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読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

柴田哲孝著「ブレイクスルー」

2023-02-06 | さ行
「デッドエンド」シリーズ第5弾。大学四年生になったIQ170の天才女子大生笠原萌子は、怪しい人材派遣会社『キマイラ』の就職説明会に行ったきり戻ってこない同級生の南條康介・斎藤大輝が心配になり淡路島にバイクで様子を見に行く。一方ダークヒロイン グミジャが、闇のサイトで殺しを請け負、元暴力団で今は警備会社の社長を射殺しバイクで淡路島島内を逃げていた。いつの間にかクミジャと間違えられ賞金首となってしまい、ヤクザに追われるハメになった萌子。萌子とヤクザと警察の三つ巴の闘いが始まりこのピンチをどのようにして突破するのかが見どころ・・・。全て物語上の仮名での登場だがパ〇ナ社の淡路島への本社移転、元金融大臣で辞任後顧問就任で話題の人物、「任侠道義会」と同じ様に最大規模を誇る組織から離脱対立、など思わせぶりな登場者たちなど容易に想像できる展開と荒唐無稽なドンパチシーン殺人のオンパレードはお約束事としてコミック的に楽しめばそれなりに楽しめる。北朝鮮出身のクミジャやイザナギのキャラがかっこよく面白かった。
2022年11月双葉社刊
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雫井侑介著「霧をはらう」

2023-01-18 | さ行
殺人の冤罪で裁判員裁判にかけられた女性を助けようとする若手弁護士のドラマ。病院で起きた点滴死傷事件。入院中の4人の幼い子どもたちにインスリンが混入され、2人が殺された。逮捕されたのは、生き残った女児の母親。人権派の大物弁護士らと共に、若手弁護士の伊豆原勝算のない裁判に挑む。重く先が読めない深い霧が立ち込める中、公判が迫る限られた時間の中、無罪を信じて一つ一つの事実を積み重ねて真実に迫る緊迫した展開は最初遅々として進まずもどかしくイライラしたが協力してくれる味方が増えて霧が晴れる様子が心地好かった。検察が犯人を決めつけそれにもとづいて証拠を積み上げ証人を誘導していく、周囲の人たちの感じ方や思い込みの積み重ねで、真実とは全然違っているストーリーを勝手にそれらしく作られ、冤罪が作られるのかと思うと、怖いです。「裁判員や裁判官もその人のことを知らないから疑心暗鬼になる。霧の中で不気味なシルエットを見るようなものだ。だから、まとわりついている霧を払って、その人を一人の人間としてみてもらうようにする必要がある。弁護士がそれをやる」「人間って、そんなに強い生き物じゃないんだよ。薬で身を滅ぼして、家庭を壊して、どうしようもない人間だよ。でも普通の人間だって一人じゃ生きられない。ましてやそういう人間には、手を差し伸べたり、見守っててあげたりする存在が必要なんだ。それは別に甘やかすこととは違う。誰でも人間は味方が必要なんだよ」(P197)。派手な逆転劇でスッキリな展開にはならず一ひねりした意外性のある結末で流石ミステリ作家でした。頑な由惟が徐々に伊豆原を信頼し、立ち向かう勇気を取り戻していく展開はよかった。派手な逆転劇でスッキリな展開にはならず一ひねりした意外性のある結末で流石ミステリ作家でした。
2021年7月幻冬舎刊
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柴田哲孝著「蒼い水の女」

2023-01-14 | さ行
鉄道・旅情の絡む片倉・柳井刑事シリーズ第5弾。
東京の石神井公園の三宝寺池で不可解な水死体が発見される。死体の肺から発見場所と異なる水質の水が検出されたことから、片倉康孝刑事は事件を他殺と推定する。池にいるカミツキガメにより損傷が激しい遺体は最初身元不明で捜査が難航したが、幼い少女からの電話で身元がフリーライター赤塚史則と判明し、その被害者の男が残したSNSの写真を調べると青い服の女と静岡県の大井川鉄道が浮かび上がる。どうやら新興宗教と関係しているような事柄と、さらに片倉の元妻、智子の「スピリチュアルなものを感じる」という言葉を発端として、事件はさらに意外な方向へと迷走をはじめるが・・・・。大井川鉄道の旅情をかき立てる風景描写と地元での実況見分が、謎を深める青い服の女が興味を持たせる展開で面白かった。幼い少女の将来が気に掛かる終わり方が気になったが片倉と元妻との関係が気になる続編が楽しみだ。
2022年6月光文社刊 

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笹本稜平著「山 狩」

2022-08-01 | さ行
舞台は、千葉。南房総、伊予ヶ岳(336m)の断崖で女性死体が発見されます。ストーカーにつきまとわれていた女性が山中で死体となって発見されたのです。事故あるいは自殺と思われたが、女性の家族は納得せず、復讐に動きかねない。一方、ストーカーとして告発された男は、名家の御曹司であることを楯に、取り調べを拒否して、行方をくらましてしまう・・・。発見者は、安房警察署・生活安全課巡査・小塚俊也。彼からの通報を受け、その捜査をする県の生活安全捜査隊主任・山下警部補。しかし、何故かその事件はあっさりと捜査が打ち切られていました。息子の親父は,地元の経済界を牛耳る大物で,警察官の退職後の就職のあっせんなどにも力を発揮するという事で,誰も頭が上がらず,まともに調べることもなく刑事課と生活安全課の軋轢を背景に事件は、きな臭い空気の中、意外な展開に・・・。やがて銃を持って山に消えたのは凶悪な加害者か、それとも、復讐に燃える被害者家族か。と大規模な山狩りにと発展し・・・。例によって刑事たちの会話によって事件が進行していきますが、いつもながら遅々として話が進まずイライラしますが予想が付く展開でガッカリ。山岳小説でもなく警察小説だったようです。
著者の笹本稜平氏は21年11月22日、急性心筋梗塞のため死去、70歳。(合掌)もっと著者の警察小説や山岳小説を読みたかったのに残念です。
2022年1月光文社刊


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斎藤詠一著「レーテーの大河」

2022-06-26 | さ行
1964年の東京オリンピックの頃が舞台のミステリーサスペンス。終戦時の満州、そしてオリンピック開催直前の東京。二つの「昭和」を貫いて走り始めた機密列車の後ろ暗い任務、楔になろうとした男たちの、捨て身の作戦。関東軍の機密物資を日本に運ぶ途中、終戦間際の満州で二人の関東軍中尉に助けられ親を失った三人の戦災孤児耕平、志郎、早紀子。
焼け野原から復興へ・・・オリンピックを目前に急ピッチで東京の整備が進む中、日銀の現金輸送担当者が線路に転落死を遂げた。鉄道公安官の牧の捜査によって事故として処理されるはずだったその死は事件として扱わられる。失踪した幼馴染を捜す耕平、米軍の機密列車に関わる任務を与えられる防衛庁の最上、それぞれの視点を通して過去の因縁が交錯しながら徐々にストーリーは加速される。二度と交わるはずのない人生が再び交差する。そして、運命の列車は走り始める。迫力ある暴走シーンと『レーテー』って何?が最後に明かされる興味ある展開でした。人間の生き方についても考えさせてくれる小説でした。
2022年5月KADOKAWA刊

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柴田哲孝著「ジミー・ハワードのジッポー」

2022-03-10 | さ行
いまだ癒えぬ戦争の影と米軍の闇を暴くサスペンス小説。2019年7月、小説家の桑島洋介はベトナム戦争を題材に新作を書こうと思い立ち、取材のため彼の国を訪れた。ベトナム人女性で、旧知の新聞記者ホアン・タオにホーチミン市内を案内してもらった折に、戦時中に米兵が所有していたらしいひとつのジッポーを、桑島は手に入れた。約50年前、激戦地で任務に就いていた兵士の名は「JIMMY HOWARD」と刻まれている。俄然、興味が湧いた桑島が調査に乗り出すと、次々に意外な事実が明らかになり、やがてアメリカで殺人事件が発生する。1968年、ベトナム戦争、クアンチでの或る出来事から、ジッポーに刻まれた所有者と思われる名前をアメリカに問い合わせた事から始まり、現在のアメリカ、現在のベトナム、戦争当時のベトナムのシーンなどスケールの大きい作品でした。細かなツッコミどころはあるが概ね楽しめた作品でした。
2021年11月U―NEXT刊

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柴田哲孝著「ミッドナイト」

2022-01-06 | さ行
サスペンス小説。『デッドエンド』「クラッシュマン」、「リベンジ」から続くシリーズ第4弾。警察庁公安部(通称サクラ)に所属する田臥健吾警視が、上司の内密な話しとしてバーに呼び出される。そこである ”仕事” の依頼をされる。北海道で身柄を保全しているロシア人亡命者のガレリンと娘のナオミ父娘を青森の竜飛岬から東京まで陸路での移動で送り届けると言う護衛の任務。護衛する元スパイロシア人が所持する機密情報「戦闘機F35の重大な秘密」。日米ロの諜報員がそれの奪い合う展開。今日の日本を取り巻く国際情勢の反映したリアルな衝撃的な秘密が生々しい。対峙する緊迫のスリルと活劇サスペンスに満足の物語でした。女スパイ「グミジャ」が生き延びたのでまだこのシリーズ続きそう。
2020年12月双葉社刊
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笹本稜平著「アイスクライシス」

2021-12-20 | さ行
資源探査会社に勤める郷田裕斗は、海底油田の探査のために北極の基地にアメリカ人の準石油メジャーのオブザーバー・ジェイソン、海洋学者アーロン、そしてカナダ系イヌイットチャーリーとサミー等7人たちといた。ある日、北極海の水中でロシアによる核実験が行われた。だが、郷田たちは通信機器の故障により外部との連絡は取れずまだそのことを知らず、いつの間にか孤立していたのだった。氷の割れ目のリードは増え続け、燃料と食料も刻一刻と減る中、ついに精神を追い詰められる者まで現れて・・・。大国の思惑と駆け引きに巻き込まれた郷田たちは、氷の世界で生き残ることができるのかという展開。核実験による氷の崩壊、氷点下40度、放射能、低気圧の到来からの逃避という設定はハラハラさせる。米露国家間の駆け引きに翻弄されながらも懸命に避難する彼らを救ったのは国家の思惑とは無縁、人としての良心や矜持を持った人たちで、希望を捨てず戦い続けた彼等に感動。
2021年8月徳間書店刊
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下村敦史著「白医」

2021-11-24 | さ行
“安楽死”をテーマに描く、医療ミステリー。ホスピスで起きた3件の不審死。沈黙を貫く医師神崎が抱える真相とは?救うべきは、患者か、命か。「先生は、患者を救ったんです」末期がん患者の水木雅隆に安楽死を行ったとして、裁判を受ける天心病院の医師・神崎秀輝。「神崎先生は私から・・・愛する夫を奪っていったんです!」証人席から雅隆の妻・多香子が悲痛な声をあげるも一向に口を開こうとはしない。そんな神崎には他にも2件、安楽死の疑惑がかかっていた。患者思いで評判だった医師がなぜ。患者からの苦痛から逃れたいという、悲鳴をあげる“命”を前に、悩みもだえる医師がたどり着いた「答え」とは・・・。安楽死を望む患者と、それに対する医師の姿勢が描かれた、連作短編集。終末期鎮静と安楽死の違いは、患者に死を積極的に迎えさせるかどうか。医療を施す方達の気持ち。終末期鎮静は合法的とは言ってもその注射で結果的に死を迎える事になるわけだ。末期癌の元ボクサー、ALSの元女優など、耐えられない痛みと絶望そして家族への負担を考えて、命を絶ちたいと願う患者の望みをかなえた医師は、すべての罪をかぶる覚悟で裁かれる。患者、家族そして看護師や医師などの医療関係者から見える安楽死の意味、死刑執行のボタンを押す刑務官と同じような罪悪感、終末医療処置者の心の負担など、多くの問題提起の作品だった。
2021年5月講談社刊

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笹本稜平著「公安狼」

2021-11-03 | さ行
20年前警視庁公安部の捜査官高坂邦夫から声をかけられ公安捜査官になった唐沢龍二には、公安部に入るわけがあった。学生のころ恋人の吉村久美子に誘われて「グループ・アノニマス」という名の奇妙な会に入る。一見映画論を語っているようでいて、唐沢の理系の知識を利用して爆弾テロを目論む活動組織のようだった。怪しげなアノニマスから距離を取る唐沢はやがて久美子と破局し疎遠となるも、1年後の1998年。東京都西神田のビルで自爆テロが発生し、死亡者でもある実行犯は久美子だという。アノニマスのリーダー・ハンクスこそが真の実行犯で、久美子は利用されただけだと唐沢は気付くが、地下に潜ったハンクスは行方不明になる。やがて、地下に潜った組織壊滅のための顔を見ている切り札として、警視庁公安部の捜査官となった唐沢だったが、アノニマスのスパイではないかという風評や、危うい捜査はいくつもの敵をつくってしまい・・・。会話中心の展開はゆっくりで情報提供協力者エスを通じて公安部の捜査状況を流しているのではという同僚などもいて中々ハンクスにはたどり着かない。後半外国人のISや投資ファンド・仕手集団が明らかになり追詰めていくが結末はあっけない。
2020年3月徳間書店刊
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千田理緒著「五色の殺人者」

2021-10-12 | さ行
2020年第30回鮎川哲也賞受賞作「誤認五色」を改題。介護施設・あずき荘で働く、メイこと明治瑞希はある日、利用者の撲殺死体を発見する。犯人を目撃したのは、同じく利用者である五人の老人。しかし、証言された犯人の服色は「赤」「青」「白」「黒」「緑」と、なんとバラバラの五通りだった。なぜ証言が食い違うのか。ありえない証言に加え、見つからない凶器の謎もあり、捜査は難航する。そんな中、メイの同僚・ハルが片思いしている相手に犯人の容疑をかけられる。メイはハルに泣きつかれ、ミステリー好きの素人探偵として事件解決に乗り出すことになるが・・・。中盤まで登場人物が多く人間関係が解り難いし各人の説明で展開が遅く読み難い。本名と呼び名など伏線の一つらしいが・・・。
ささいな解釈や認知の行き違いから、現実に起きた事がらとの齟齬が生じて混乱が生じる展開で不可解な謎が後半一気に明かされる。介護職だった著者だから書けた職場の様子がリアル。謎解きと恋を絡めたため印象が薄くなったのは残念。 
2020年10月東京創元社刊

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柴田哲孝著「幕末期」

2021-09-09 | さ行
著者の高祖父にあたる宇和島藩藩士柴田快太郎の見た江戸城桜田門外の変から蛤御門の変までの幕末記。「宇和島藩伊達家の墓所の中にある」柴田家の墓。重臣といえるほどの名家ではない柴田家が、なぜそのような所に祀られているのか。その謎を解く鍵となる人物が、著者の四世代前の祖先、高祖父に当たる〝柴田快太郎〟である。八代藩主伊達宗城の密命を受け脱藩したという高祖父の伝説を、幕末の動乱期をフィクション多く散りばめながら歴史上の事件や登場人物は史実に基づくという手法で著者独自の視点で描いた創作歴史ドラマ。柴田家の過去帳や日誌、書簡などを元に書かれている。何度も出てくるフリーメーソンが幕末の動乱に一枚噛んでいると言う主張の説明が中途半端で終り残念。
2021年5月角川春樹事務所刊

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笹本稜平著「相剋―越境捜査」

2021-07-22 | さ行
型破りコンビが巨悪と戦う警察シリーズ第8作。
警視庁の鷺沼と神奈川県警の宮野は、神奈川県警管内で発見された腐乱死体が碌な捜査もせず自殺と断定されることに疑問を持ち捜査を開始する。やがて東京でも行方不明の死体が発見され、その裏には「巨悪」、「権力」の煙が立ち込め警察上層部が阻む、やがていつものタスクフォースの面々が招集されます。会話主体で展開が遅くイライラさせられます。シリーズ物の為主役の2人以外はメンバーの立ち位置や細かな性格などははぶかれ途中から読むには読み難いかも。非合法捜査は愉快なのだが敵が巨大すぎて終わり方も中途半端の印象だった。
2020年10月双葉社刊


 
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笹本稜平著「山岳捜査」

2021-05-11 | さ行
山岳ミステリー小説。長野県警山岳遭難救助隊に所属する桑崎祐二と浜崎は、鹿島槍北壁からの下山途中、谷あいに倒れている人物を発見する。すでに死亡していたその女性は、他殺死体だと認められた。しかし彼等をヘリコプターに収容する直前、雪崩が発生し、死体は飲み込まれてしまう。桑崎は、死体を発見する前日、同じ場所で不審な三人組を目撃していた。さらに三月の気温の上がる時期にもかかわらず、死体は完全凍結していた。三人組と女性との関係は、なぜ死体は凍ったまま発見されたのか。桑崎と浜村は、捜査一課刑事・富坂と共に事件の真相に捜査を開始します。カクネ里・大遠見山、鹿島槍ヶ岳、五竜岳、唐松岳の稜線、中央アルプス・千畳敷カール、宝剣岳、など山の名前が出て来て山屋の私的には嬉しい。描かれる景観、吹雪の北アルプスでの壮絶な「命」を賭けた救援山行には読みこたえがあるものの、ただ描写の中に着信がある度に「その時桑崎のポケットに振動が走った」ってこの場面が多すぎ又かと飽きる。ミステリーとしての展開も遅い。里香子が桑崎と対面する最後さえ読めば解決するのも謎解き小説としては残念な結末でした。
2020年1月小学館刊
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笹本稜平著「サンズイ」

2020-12-01 | さ行
サンズイ(汚職)事案担当の警視庁捜査二課刑事・園崎省吾は、ある大物政治家のあっせん収賄容疑を追及していた。鍵を握る秘書の大久保は、過去に準強制わいせつやストーカー規制法違反を疑われた札付きだった。司法取引を持ちかけられ、大久保と待ち合わせた園崎は、すっぽかされた上、同時刻に妻と息子が何者かに轢き逃げされた。園崎は大久保の関与を疑うが、逆に自らが重要参考人として呼び出される・・・。刑事を罠に嵌め殺人未遂の犯人に仕立てようとあり得そうもない展開。さらに園崎の父も政治家秘書だったが罠に嵌められ自殺している。政治家の犯罪はほとんどが秘書の責任に転嫁され幕引きが図られるのはよくある話。園崎は政治家と悪徳刑事との癒着で捜査妨害の目的で逆に犯罪者として追及される。GPSやツィッターやブログを駆使した展開は面白かったし、いい仲間に恵まれ最後は一矢報いるが家族に危害を加えられ、冤罪の上に首になり、元には戻れない。職を失い、退職金もない。後味はあまりよくない。
2019年10月光文社刊
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