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読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

佐野晶著「ゴーストアンドポリスGAP」

2024-05-05 | さ行
2019年第1回警察小説大賞受賞作。「ごんぞう」=自主的窓際警官のこと。警察用語で「能力や経験があるのに働かない警察官」。新人の警察官桐野哲也が仮配属となったのは神奈川県辻堂にある鳩裏交番。「聞いてると思うけどさ。俺たちはごんぞうだから。無駄な仕事はしないから。張り切ってガタガタ騒いだりしないでね」いわゆる“ごんぞう”ばかりが集まった交番で、緊急配備の連絡にさえ誰も反応しようとしない。県警幹部も扱いに手を焼く“ごんぞう”たちだが、「巡回」だけは大好きで、住民との世間話をきっかけに事件に首を突っ込んでゆく。そんな中、ホームレスばかりを狙った連続殺人事件が発生。“ごんぞう”たちはやっと犯人に辿り着くのだが・・・。イケメン班長の小貫幸也や斎藤。2班の木本、やまやの高木、隅田たちのごんぞうの過去がエピソードとともに少しずつ明らかになり展開される警察官としての矜持に納得。題名のゴーストと意味合いが不明だったが面白い設定で小貫のキャラが良かった。
2019年12年小学館刊


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笹本稜平著「流転 越境捜査」

2024-04-16 | さ行
21年11月死去された著者の最後の越境捜査シリーズ第9弾。神奈川県警の小悪党刑事宮野裕之は川崎競馬場で負け続けての帰り、国際指名手配されている木津芳樹を見つけた。
木津は12年前の都下の奥多摩で起きた富豪一家惨殺事件の教唆犯である。事件直後20億円が匿名口座に移行され略取された時の犯人が帰って来たのだ。さっそく警視庁捜査一課で迷宮入り事件の継続捜査を担当する鷺沼が捜査に乗り出す。鷺沼智哉・宮野・三好・井上・山中彩香・福富、いつものタスクフォースの面々が活躍する展開。宮野が仕入れてきた行方不明の20億円を過去の事件を暴きながら探し求める。仮想通貨の仕組み等がよく理解出来ないまま最後に経済的制裁でお金を得た人が意外でしたが、好きなシリーズだったのでこれが著者笹本さんの作品の最後でもう読めないと思うとやっぱり寂しい。・・・『合掌』
2022年4月双葉社刊


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佐野広実著「私が消える」

2024-04-05 | さ行
2020年第66回江戸川乱歩賞受賞作。元刑事の藤巻は、交通事故に遭い、自分に軽度認知障碍の症状が出ていたことを知り、愕然とする。離婚した妻はすでに亡くなっており、大学生の娘祐美にも迷惑はかけられない。途方に暮れていると、祐美が藤巻を訪ね、相談を持ちかけてくる。介護実習で通っている施設に、身元不明の老人がいて、施設の門の前で放置されていたことから、「門前さん」と呼ばれており、認知症の疑いがあり意思の疎通ができなくなっていた。これは、自分に課せられた最後の使命なのではないか。そう考えた藤巻は娘の依頼を引き受け、老人の正体を突き止めるためにたった一人で調査に乗り出す。刻一刻と現れる認知障碍の症状と闘いながら調査を続ける藤巻は、「門前さん」の過去に隠された恐るべき真実に近づいていく。自分自身も軽度認知症碍と診断された訳ありの元刑事が競馬で当てた資金を使い活躍する社会派ミステリー。身元不明の認知症患者が何者かということがわかり始めるまでは、ゆっくりとした地味な展開が続きますが、過去の陰謀が明らかになる展開後は、派手なドンパチや適度などんでん返しもあり文章の旨さに最後まで飽きずに読めました。「記憶がポロポロとこぼれ落ちて行ってしまい、なにもわからなく直前、最後に残される記憶は、いったい何だろうか、と。・・・それこそがその人間が生きた証しでもあるように感じる。」(P276)
2020年9月講談社刊

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斎藤詠一著「到達不能極」

2024-03-23 | さ行
第64回江戸川乱歩賞受賞作(平成30年)。冒険SF小説。現在と過去の2つの物語が並行して語られる。2018年、遊覧飛行中のチャーター機が突如システムダウンを起こし、南極へ不時着してしまう。ツアーコンダクターの望月拓海と乗客のランディ・ベイカーは物資を求め、今は使用されていないナチスドイツの秘密「到達不能極」基地を目指す。一方日本の南極観測隊も原因不明の通信不能の危機に遭遇していた。1945年、ペナン島の日本海軍基地。訓練生の星野信之は、ドイツから来た博士とその娘・ロッテを、南極にあるナチスの秘密基地へと送り届ける任務を言い渡される。現在と過去、二つの物語が交錯するとき、極寒の地に隠された“災厄”と“秘密”が目を覚ます・・・。南極大陸を舞台にしたスケールの大きなSFだが後半科学的裏付けが不足したリアル感ない展開で少し残念。読みやすい文章と戦時中のユダヤ人少女との日本人兵士との恋愛部分もあり楽しく読めた。
2018年9月講談社刊
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佐野広実著「シャドウワーク」

2024-03-21 | さ行
シャドウワーク=生活の基盤を維持する不可欠な労働。報酬の支払わない仕事。家庭内暴力・警察官の夫からのDVを受けている千葉県警の女性刑事の北川薫と同じく暴力夫によりケガを負い病院から風変わりなシェルターにたどり着いた紀子の2つの視点から交互に展開する。溺死体の事件を担当したが自殺と処理されたことに納得がいかず個人的に調べる女性刑事の薫。4日に1人、妻が夫に殺されているという、声を上げられないDV被害者たちが、今日もどこかで心と体に瀕死の重傷を負っている。命すら奪われかねない状況に置かれながら法に守られず、絶望の果てを見た女たちが生きる世界。シェルターのその家には、ある一つの「ルール」があった。・・・「法律は力のあるものが、踏みにじる側の者が、自分の都合よく作ったものに過ぎないわ。だから・・・万能でもない。・・・世界は法律で裁けない悪意に満ちている。」(P325)現実がどうにもならず、被害者だけが生涯脅えて耐え続けるしかないのなら…「一度だけ他人を押しのける」ことは正当だとさえ思ってしまう。法整備に公的補助や他に方法がなかったのか終わり方に納得感が持てなかったが内容は面白かったし考えさせられた。
2022年9月講談社刊
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佐野広実著「誰かがこの町で」

2024-03-12 | さ行
ミステリーサスペンス。岩田法律事務所に、かつての友人の娘、麻希を名乗る女がやってきた。彼女は孤児で自分の出自を知りたい、ということだった。心に傷を抱える事務所の補助員、真崎雄一はその仕事を引き受けることにしたが、人探しを続けるうちに、ある街にたどり着く。しかし、この街、何がかおかしい・・・人もうらやむ瀟洒な住宅街。その裏側は、忖度と同調圧力が渦巻いていた。やがて誰も理由を知らない村八分が行われ、誰も指示していない犯罪が起きる。外界から隔絶された町で、19年前に何が起きたのか。いま日本中のあらゆる町で起きているかもしれない惨劇の根源を追う。変だと思っている者はあまりいないかもしれない。「この町ではそういうものなのだから、従うのが当たり前だ」と、そのうちに何にも違和感も、感じなくなる。わたしにしても、特に生活に支障がないかぎり、なんとなくそうなっているのを認めているといってもよかった。あらためて口にすると角が立つからだ。背筋が寒くなる不気味度が読み続ける程のグロテスクなサスペンス。「不作為の罪に対する良心の呵責」が誰にも起こり得ると共感できる。オウム弁護士一家殺人事件。安倍政権時代の忖度政治を思い出した。読者を引き込む力を感じ面白かった。「善悪の判断より何かを、つい優先してしまった。その挙句に自らの行為を糊塗し続けた。・・・そんな場面に直面したとき、ブレーキをかけることができるかどうか」(P334)
「強がる人間はいても、実際の人間は弱い。弱いとわかった上で、周囲に流されず、周囲からに立ち向かっていけるかどうか」(P354)
2022年1月講談社刊


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司馬遼太郎著「軍師二人」

2024-02-04 | さ行
8つの短編歴史小説。何処から来たのかかなり前から本棚に有りいつかは読もうと思っていた作品。軍師と言えば竹中半兵衛と黒田官兵衛と長い間思っていたのだが表題作の軍師二人は大阪城の豊臣方に味方した勇将後藤又兵衛と智将真田幸村のことでした。徳川方と如何に戦うかという戦略を巡る二人をとりまく心理や感情の様子を書いた、名将なるが故の葛藤と互いの深い洞察を語られます・・・「軍師二人」。徳川家康の女性観を描く・・・「嬖女(めかけ)守り」。他、「侍大将の胸毛」「雑賀の鉄砲舟」「女は遊べ物語」「雨おんな」「一夜官女」「割って、城を」登場人物一人ひとりが皆魅力的で面白かった争乱の時代を生きた、戦にも、女にも強い、生き物の典型としての男たちを描かれていて、興趣尽きない短編集。安土桃山時代の女性の描き方が上手い、けっして男や時代に翻弄される者とは描かれていない強かな女たちです。
1968年12月講談社刊
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新堂冬樹著「#刑事の娘は何してる?」

2024-01-27 | さ行
コメンテーターや情報番組MCが唇を削がれ十指を切断される連続殺人事件が発生。額には「粗大ごみ処理券」のシールが貼られていた。被害者の共通点はこの国の「老害」をマスコミやネットで糾弾していた。
三人目の被害者石井信助が出会い系アプリに嵌っていたとの情報を得た神谷刑事と三田村刑事。一方コルレオーネ刑事神谷の娘朝陽は、友だちの楓が出会い系アプリに登録していて行方不明になっていた。楓を探すためアプリに登録した朝陽は誘い出されたあげく悲劇が訪れる。
刑事の娘が危険を冒して犯人に接触する。あるかも知れませんが荒唐無稽でリアル感の薄い展開で無茶な設定のお話でした。登場人物の誰にも感情移入が出来ず残念。
2023年4月中央公論新社刊
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曽根圭介著「黒い波紋」

2023-11-14 | さ行
元刑事・加瀬将造(38)は、借金取りから逃げ回るロクデナシの日々を送る。ある日、30年前子どもの頃に家を出ていった父親が、孤独死したとの知らせを受ける。加瀬は父親が住んでいたボロアパートを訪ね、金目のものがないかと探すと、偽名で借りた私書箱の契約書があり、何者かが毎月30万円を送金していることを知る。さらに天井裏には古いVHSのビデオテープが隠されていた。再生した映像に映っていたのは・・・。父親の遺したVHSを使い、政治家を強請る元刑事の将造と、その政治家の父親、祖父の2代に仕えた臼杵家に大恩がある混血の老人である生方貞次郎の二人が主人公。「ゆする側」と「ゆすられる側」の視点が交互に語られるのだがクズの元刑事、どうしょうもない腐れ3代目政治家臼杵浩太、半グレの外道ととんでもない人間だらけが登場する昭和の臭いぷんぷんの人間の業の深さが随所に残るクライムミステリー小説でした。最後に表紙絵に繋がる展開は見事。
2017年6月朝日新聞出版刊

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染井為人著「鎮 魂」

2023-07-23 | さ行
クライムサスペンスミステリー。世間を騒がせている半グレ集団「凶徒聯合」の主要メンバーの一人坂崎が殺された。警視庁組織犯罪対策部特別捜査隊の古賀刑事と若い同僚の窪塚刑事は暴力団や半グレ同士の抗争と見て捜査をはじめるが、それを嘲笑うかのように次は元メンバーでユーチュバーの田中が配信中に殺害された。
そしてまた一人と。疑心暗鬼になっていくメンバーたち。別の殺人事件で海外逃亡中のリーダー石神の行方。警察内部の内通者の存在。そして、犯人を持ち上げるSNSの住民たちとある女性の存在。「凶徒聯合」の本を出そうとする編集者天野の存在。様々な要素と登場人物たちの善悪が入り乱れる中、
犯罪集団への復讐が追行される展開。
復讐・正義、罪と罰と物語を通じて作者からの問いかけに考えさせらる内容だった。

2022年5月双葉社刊 


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染井為人著「滅茶苦茶」

2023-07-08 | さ行
コロナ禍でオリンピックも延期になった2020年、仕事は順調、東京でシングルライフを謳歌する37歳の今井美世子がマッチィングアプリで始めた不穏な恋愛。自宅学習の毎日1か月振りの登校した帰り道、不良に堕ちた元級友の田辺聖也と再会した、北関東の高校生二宮礼央。老朽化したラブホテルを継ぐがコロナ禍で経営不振に陥った静岡県在住の中年男の戸村茂一は持続化給付金の不正受給ビジネスに手を出してしまい・・・。刹那な現代をサバイブしながらも、孤独を胸底に抱える者たちの欲望に駆られた出会いは、彼らをまっさかさまに谷底に突き落とす。「最悪だ。もう逃げ場がない」三人三色の人生が転落しながら絡み合う。最初から点った危険を知らせる点滅ランプが邪魔し読み進めるのが嫌になったが、題名どおり滅茶苦茶な転落人生が後半の奇蹟の交錯をうみ、人生の閉塞感に風穴を開ける展開に思わず喝采した。後半のドタバタ劇はコミックだ。
2023年5月講談社刊

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染井為人著「海神(わだつみ)」

2023-05-26 | さ行
東日本大震災により甚大な被害を受けた岩手県天ノ島で、NPO法人の代表が復興支援金を使い込む横領疑惑が発覚。命の金がひとりの男遠田政吉の私利私欲で消えてしまったのだ。10年後、被災地の海でカバンの中から黄金のインゴットが見つかり、事件は動き始める・・・。2年後の2013年、震災から10年後で現在の2021年と3つの時間軸で、天ノ島出身で記者の菊池一朗、東京からボランティアで来た椎名姫乃、天ノ島育ち元助産師で養護施設の臨時職員をしている堤佳代、この三人の視点から物語が展開されていく。東日本大震災は多くの人を悲しませましたが、それに付け込んで私腹を肥やそうとする遠田、小宮山、江村といったNPO団体と名乗る男たちがどんな悪党ぶりだったのかが私欲を膨張さやがては破滅するまでが巧みに描かれています。時系列がバラバラで読みづらいこともあったが姫乃や江村のことが気になり一気読みできました。実際の「遠田」モデルは、岩手県山田町で事件を起こした旭川のNPOの元代表に着想があるのか、復興支援を食い物にし私服を肥やした輩がいた事は記憶に新しい。津波後の惨状や沢山の犠牲者の様子など生々しく、遅遅として進まない復興、人々の苦悩の様子が読み取れるだけにボランティアや被災した人々を騙して食い物にした事は憤りや怒りで悲しくなりました。
2021年10月光文社刊

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染井為人著「正 体」

2023-05-06 | さ行
社会の歪みに隠された真実を追う。少年死刑囚の脱獄488日を追う。埼玉で二歳の子を含む一家三人を惨殺し、死刑判決を受けている少年死刑囚鏑木慶一が脱獄した。東京オリンピック施設の工事現場で、スキー場の旅館の住み込みバイトで、新興宗教の説教会で、人手不足に喘ぐグループホーム等々。様々な場所で潜伏生活を送りながら捜査の手を逃れ、必死に逃亡を続ける彼の目的は、その逃避行の日々とは・・・
冤罪の主人公の苦悩を具体的にするための伏線が各所に。そして派遣、若年認知症、介護問題、冤罪の恐ろしさ。疑いを晴らす潔白を証明する難しさなど、あらゆる社会問題を同時に絡める仕掛けと展開に脱帽。結末は悲しいが面白いミステリーでした。
2020年1月光文社刊
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雫井侑介著「クロコダイル・ティアーズ」

2023-04-09 | さ行
ワニの涙とは「偽りの涙、特に偽善者が悲報に接して噓泣きするような、不誠実な感情表現のことを指す言葉である。ワニが獲物を食べながらそら涙を流すという古くからの伝承に由来とある。」「息子を殺したのは、あの子よ」「馬鹿を言うな。俺たちは家族じゃないか」三代続く老舗の土岐屋吉平陶磁器店を営む久野貞彦と暁美。その跡取り息子康平が殺される。犯人は妻・想代子の元交際相手。裁判が結審した後に犯人は想代子にそそのかされたと発言する。嫁の想代子は、殺された息子からのDVに苦しみ殺人を依頼したのか。嫁を信じたい舅、疑念にかられる姑。何か悪いことが起こるたびに疑念が湧き起こる。嫁は関与しているのか、いないのか疑念は膨らみ、次第に家族は追い詰められていく。読み手にも疑念を抱かせつつ、貞彦と暁美の心情が揺れ動く。心理描写がすごく面白かった。一度疑いの目でみると全ての言動が怪しくみえてしまう作者の術中に嵌りました。
2022年9月文藝春秋刊
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仙川環著「処方箋のないクリニック」

2023-02-19 | さ行
お医者さん小説を6つの連作で描く。東京郊外にある古びた洋館。そこには先端科学では治せない患者と家族の「人生」を治療する名医がいる。凄腕、イケメンだけど、ちょっと変わり者の医師青島倫太郎が主人公。目が悪くなったのに車の運転をやめない父。緑内障・・・「もみじドライバー」。
怪しげなサプリにはまる母。関節炎。・・・「サプリ狂信者」。
仕事のストレスで血圧が上がった息子。高血圧。・・・「血圧陰謀論」。
民間治療に心酔した妻。アトピー性皮膚炎・・・「奇跡のメソッド」。
肥満遺伝子を調べる検査キットを婚約者に。肥満・・・「理想のパートナー」。セクハラを受けた看護婦はもう我慢の限界だ。・・・「総合内科 本日開院」。そんな患者を持つ家族たちはどうしたらいいのか。マドレーヌと紅茶の香る古い洋館の診察室を訪れた患者と家族は、青島と話をするうちに、隠していた心の内を打ち明けてしまう・・・。現代版 の赤ひげ先生が、鮮やかに患者と家族のトラブルを解決するハートウォーミング小説。先生も看護婦もキャラが立っていいですね。ぜひ続編を、楽しみです。
2020年12月小学館刊
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