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読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

堂場瞬一著「空の声」

2020-07-03 | 堂場瞬一
主人公は終戦時の玉音放送まで担当した戦前戦後のNHKアナウンサー和田信賢氏。戦後初の日本が参加することになったヘルシンキオリンピック(1952年)のアナウンサーに選ばれて派遣されるも、長年の無理がたたって心身ともにボロボロの状態だった。現地から「日本」を鼓舞する中継を懸命に続けるも、次第に目も見えなくなり・・・。人気番組「話の泉」の名物司会者で無頼派の人気アナウンサーだったそうだが、残念ながらオリンピック中継のための長期出張の出発から客死までの闘病記。主人公は出発時から健康不安を訴え、現地では歩行すら困難な状態へと至り、十分な仕事もできないまま帰路のパリで病死する。水泳のメダリスト古橋選手や同僚だった徳川夢声などがその人柄など語るのだが消化不良に感じた。史実をもとにしたフィクション。
2020年4月文藝春秋社刊
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堂場瞬一著「インタビューズ」

2020-06-09 | 堂場瞬一
「平成」だけがテーマのインタビュー集。渋谷の巨大交差点で、偶然にあつめたインタビューという設定で、30年間様々な100名のインタビュー集。どのインタビューも今年こんな事件がありましたというような出来事集でもあるが、当時の自分の身に起きた出来事と比べたり思い出したりと1989年から2019年の平成の30年間自分にとって平成という時代は何だったのか考えてみるのもいいかも。最後のページには「本書はフィクションです」の断り書きがあるのでノンフィクションではないのだろう。落ちがあるインタビューや偶然親子だったり過去にも聞いた2回目のインタビューも有ったりと実際は300名ほどインタビューしたとある。ストーリーがないし、それぞれの出来事抜き出しているだけで、何を伝えたいのか不明で残念な本でもあるが、読み人の評価に委ねるとあるので期待しないで読むといいかも。
2020年1月河出書房新社刊
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堂場瞬一著「決断の刻」

2019-11-25 | 堂場瞬一

ラグビーワールドカップ日本開催で馴染みのスポーツになりつつあるラグビーを絡めた警察ミステリー小説。日兼コンサルティング会社という男の社員が死体で発見された。その社では一人の女性社員が行方不明となっている。ほぼ時を同じくして同社の海外贈賄事件を内偵していた吉岡刑事が姿を消していた。実は所轄署の刑事課長原と同社今川社長とは、かつて過去に内部告発者として警察に協力した当時の刑事という形の信頼関係を築いていた。しかも二人には共に元ラガーマンとしてラグビーという固い絆もあった。しかし今、部下の失踪について調べる原刑事課長は署長への道を探り、今川社長は本社役員の座を狙っていた。殺人事件と失踪事件を追ううちに次第に事件の本質へと迫る展開。

企業が昔から慣例的に行ってきた贈賄の事実を知った今川は自己の保身と正義感による会社の建て直しかで揺れる。二人のせめぎあいが続くなか、二人にとっての正義とはに悩む。男たちそれぞれに決断の刻が迫る。謎解きはある程度予想が付くので立場の違う二人の正義に対する考え方と決断が見もの。『ラグビーは最も危険で乱暴なスポーツであるが故に、選手は紳士的でなければならない。・・・常に自らの「誇り」と相手に対する「敬意」を持っている必要がある』(P345

20197月東京創元社刊  

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堂場瞬一「ザ・ウォール」

2019-10-19 | 堂場瞬一

野球小説。低迷にあえぐかつての名門プロ野球チーム「スターズ」は本拠地を副都心・新宿の新球場に移転し、開幕を迎えた。周囲に高層ビルがそびえ立つ形状で“ザ・ウォール”の異名をとる野球場スターズ・パークには、大リーグ好きオーナーの沖の意向が盛り込まれている。選手、勝利よりも黒字経営をモットーに施設やサービスの魅力で観客増を目論むオーナー。狭くて打者有利の球場に四苦八苦しつつ、堅実な采配で臨む樋口監督。オーナーと監督の「ズレ」は両者間に軋轢が生じ、序盤は苦戦が続いたチームの成績は、後半戦に入ると徐々に上向き始め・・・。

ファンが求める「面白い野球」とは。「理想のボール・パーク」とは。球場が主役の野球小説。監督やオーナー以外にもエース投手・移籍してきた投手、捕手・新人・ベテラン、ヘッドコーチ・GMそれぞれの立場の思いや思惑の違いが面白い。

20192PHP研究所刊

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堂場瞬一著「白いジオラマ」

2019-08-17 | 堂場瞬一

半ひきこもり青年と祖父が主人公。元刑事で、現在は神奈川県小田原市鴨宮で「防犯アドバイザー」を務める麻生和馬。元引きこもりで父親のいる東京から拉致されるように引きとられた孫・新城将。「二万円やるから、俺のバイトを引き受けろ。張り込みだ」。無茶振りされた孫は、ある老女の“捜査”ならぬ“調査”を開始するが、ある日からその姿見えなくなる。そして、暗い顔で子ども食堂に通うネグレストされた母子家庭の少女怜奈も行方不明になる。昔の肩書や人脈を生かし、行方不明となった高齢者や、女子中学生の家出といったご近所のトラブルに首を突っ込んでいく。

そこから見えてきたのは、独居老人やネグレクトなど、現代の家族が抱える問題。熱血漢の麻生と、現代っ子である将の視点を対比し、問題が立体的に浮かび上がる展開はさすが。将と麻生は、ともに家族関係で苦しんだ過去を持つ。それが調査の熱量や、調べる相手への優しさにもつながっている。派手な事件は起こらないが、家族のあり方を考えさせられた。

201810月中央公論新社刊  

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堂場瞬一著「宴の前」

2019-07-15 | 堂場瞬一

現職知事の後継者が、選挙告示前に急死。後継候補を巡る争いに、突然名乗りを上げたオリンピックメダリスト、地元フィクサーや現職知事のスキャンダルを追う地元「民報」記者の思惑が交錯する。これまで四期連続当選してきた現職県知事・安川美智夫(76)は、今期限りでの引退を決める。後任については副知事の白井に任せるということで内々に話がまとまっていた。しかし、選挙告示の2ヶ月前に白井が急死し、次期知事候補は白紙に戻る。一方その頃、地元出身でオリンピックメダリストの中司涼子(42)が、突如知事選への出馬を表明、公約に「冬季オリンピックの招致」を掲げ、一気に有力候補に躍り出る。混沌とした様相はさらに加速し、与党、現職知事、地方紙が候補者選びを行うが二転三転することに。

隠された利権、過度な忖度、県民性の謎。圧倒的な権力を持つ「地方の王様」を決める熾烈な争いの内幕を描いた選挙小説で宴前=選挙前のドタバタ内幕劇は面白かった。政治家の言う「現段階では・・・」はよく聞く言葉で当てにならないことが良く分かった。選挙には必ずよく考えて投票する必要性を感じた。

20189月集英社刊

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堂場瞬一著「焦土の刑事」

2019-07-02 | 堂場瞬一

1945年、B29の空襲を受けた町を見回っていた京橋署の高峰刑事は、防空壕に死体があるという通報を受けた。被害者は20代の女性で、首に刃物傷がある。ところが、捜査の途中で署長が「あれは空襲被害者で、身元不明ということにする」と言う。どうやら本部の指示らしい。無数の遺体と目の前のたったひとつの遺体。これは戦争ではない。個人に対する犯罪だ。やがて、防空壕でまた女性の死体が発見された。後頭部から刃物で切られている。高峰は連続殺人だと考えたが、突然、本部の者だという男が現れ、遺体を運び去った。納得がいかない高峰は極秘で捜査を続けるが、ある日、焼け残ったビルの陰で男に襲われた。「これ以上、余計なことはするな」と言ったのは、あの日、被害者の遺体を持ち去った男だった。戦時下の狂気の犯罪を追う刑事を描いたミステリー。

高峰は、中学からの同級生で特高に籍を置く海老沢とともに、終戦をまたいで「戦時下の殺人」の犯人を追い詰めていく。時代設定が戦争末期から戦後すぐまでの時代、警察組織の混乱ぶり、人々の焦土の日常感が新鮮だったが、妹を使った囮捜査は疑問だし、もみ消しは何故?の回答も尻すぼみな感じ。

20187月講談社刊   

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堂場瞬一「社長室の冬」

2019-04-30 | 堂場瞬一

『警察回りの夏』『蛮政の秋』に続く、「メディア三部作」完結編。紙文化がネットに浸食されていくという、現在のメディアが抱える問題点を取り上げた小説。日本を代表する巨大新聞社の1つである日本新報社の小寺社長は、発行部数の激減、広告収入の低迷などから、日本の新聞社では初となる「身売り」を決断します。相手は、外資系IT企業でアメリカの巨大ネットショッピング会社「AMC」の日本法人社長・青井聡太。しかし交渉のさなか、小寺は急逝。新社長には新里明が任命されましたが、身売り交渉は簡単には進みません。実は、青井は元日本新報の記者で海外勤務の予定が反故にされて新設のメディア事業に異動させられたことから辞表を提出した過去を持っていました新里とは因縁があったようです。一方、身売りに反対する創業者一族の長澤は、日本の政治の裏工作を一手に引き受けてきた国会議員・三池高志を訪ね、身売り話を潰して欲しいと要請。メディア・コングロマットAMCCEOアリッサ・デリードの意向から、青井は新里や社長室の南が震撼する衝撃の買収条件を提示してきます。売却交渉は難航。南の同期は会社に見切りをつけて続々とやめていき、また労働組合から会社OBまで多方面から徹底的な反発を受ける

ネットに押され、新聞のメディアとしての重要性が希薄になって、電子化への移行は仕方がないかもしれない。しかし、ネットではいくらでも修正が利く。過去の記事も削除されたりする一方で、紙媒体は決して消えない訂正も削除もできないからこそ記事の重みの違いがあるように思う。主人公に過去に誤報を書いて第一線の記者から社長室へ移動させられた南を置いたところが暗示しているように思う。

一気に物語に引き込まれた。非常に面白い小説だった。

2016年12月集英社刊

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堂場瞬一著「ピーク」

2019-03-06 | 堂場瞬一

社会部遊軍記者の永尾賢治(40)は、新米記者1年目に「野球賭博」のスクープを放つものの、その後はパッとせず、最近では「一発屋」と卑下する日が続く毎日。また自分の記事により、入団わずか1年で永久追放された“幻のエース”が忘れられずにいた。あれから17年、永尾の目の前に、“幻のエース”がいる。彼は法廷で立ちすくみ、殺人罪の容疑で裁かれようとしていた。永尾には、どうしても彼が人を殺したとは思えなかった。殺害現場の状況を考えても不自然な点が多かった。永尾は独自に孤独な取材を始め、記事を書こうとしたが・・・。やがて永尾は、警察さえも見落としていた真実にたどり着く。徐々に明らかになる“幻のエース”が隠し続けた過去や動機。

人生のピーク、仕事の上でのピーク、年を重ねれば誰でも自分の人生を振り返ってそれぞれの最高点の思いそしてその分岐点でのその時々の選択の是非や後悔があるものだ。長く続けていれば体力的限界はあれど「何回でもピークを迎えられる」と思いたい。

20191月朝日新聞出版刊

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堂場瞬一著「絶望の歌を唄え」

2018-12-22 | 堂場瞬一

内戦で荒れた外国の選挙監視要員として警視庁から派遣された過去を持ち今は警視庁公安部外事課刑事を退職して神田で喫茶店のマスターをしている安宅真。10年前の当時、治安が不安な現地で日本人ジャーナリストの田澤直人と出会い音楽の趣味が合い親しくしていたがトラックを使った爆弾テロに遭い別れ別れになる。安宅の神田の喫茶店「フリ―バード」の近くでテロが起きた。それは10年前、安宅を退職に追い込んだ彼の地のテロを思い出させることになるのだが・・・・。日本がイスラム過激派のテロの餌食になったら・・・。

テロによって人生を狂わされた男、過去と断絶した男が、再び覚醒する。10年の友情にさよならを告げる、究極に、切ないハードボイルド・サスペンス。謎の女も登場するなど、話しは過去に遡ったり二転三転しハードボイルドの様相でミステリアスなのだが、何かリアル感と盛り上がりに欠ける展開で男の友情も感じられず、これといって感情移入も出来ず不完全燃焼気味な読後感。

201712月角川春樹事務所刊

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堂場瞬一著「ネタ元」

2018-09-20 | 堂場瞬一

事件記者を主人公にした短編5本。記者と刑事の会話は騙し合いだともいえる。時代とともに、事件記者と「ネタ元」の関係も変化した。一つの新聞社を舞台に50年の変遷を描いた小説1996年インターネット黎明期。特ダネのネタ元はネットで知り合っただけの会ったこともない匿名の人物。上司からネタ元の特定を指示されるのだが・・・表題作「ネタ元」他、1964年東京五輪開会式当日で浮かれる世間をよそに、記者は特ダネを掴んでいた、記事の掲載を直訴するも断られ号外手配を打診され・・・「号外」、1972年。都内ホテルでの女性弁護士殺人事件。記者は恋人から重大情報を知らされ―このネタ、使っていいのか?・・・「タブー」1986年。支局長として新潟に戻ってきた記者が、長年のネタ元と再会する。まだ俺は現役だろうか。・・・「好敵手」2017年。支局に配属されたルーキー記者は、情報の氾濫に悩んでいる。新聞記者って必要なのか?・・・「不拡散」。

2017年7月講談社刊

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堂場瞬一著「錯迷」 

2018-09-17 | 堂場瞬一

 警察小説。順調にキャリアを重ねてきた神奈川県警捜査一課課長補佐の萩原哲郎に鎌倉南署への突然の異動命令が下された。それも署長としての赴任。異例の昇格人事の裏には事情があった。それは女性前署長の不審死の謎を解くこと。署内の結束は固く、協力者を得られないまま、孤独の秘密捜査を始める萩原。やがて起きた殺人事件。それが5年前の忘れ去られた過去の未解決殺人事件との関連が浮上してくる・・・。

異動の多い警察、刑事たちが信頼、裏切り、疑いながら前署長の死の謎に迫っていきます。一種特殊な組織の中での人間関係の摩擦、葛藤、連帯をリアルに描かれていて面白かった。隠蔽捜査の竜崎署長比べて読んでしまったのは仕方がないか。

2017年1月小学館刊

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堂場瞬一著「砂の家」

2018-09-11 | 堂場瞬一

犯罪加害者家族の心の叫びを描く社会派サスペンス小説。大手外食企業「AZフーズ」で働く浅野健人に、突然弁護士から電話がかかってきた。「お父さんが出所されました」。20年前、健人が10歳のとき、父親が母と妹を刺し殺し一家心中を図る途中で逮捕された。残された健人と弟の正俊は別々に預けられ、犯罪加害者の家族として絶望的な日々を送ってきた。一方、「AZフーズ」社長のもとに、誰も知るはずのない会社の秘密を暴露した脅迫文がメールで届く。いったい誰が、何のために。社長から息子のように信頼されている健人がその解決役を任されたが・・・。「黒い紙」で登場した企業危機管理専門会社TCR(東京Crisis Response)の長須恭介がAZフーズの相談役として登場する。加害者であり被害者でもある少年に世間は冷たい。脅迫犯人は途中で予想がつき、結末の意外性もないし加害者でもあり被害者の救済や解決策も提示はないのが残念。中途半端。

2018年4月角川書店刊 

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堂場瞬一著「ランニング・ワールド」

2018-06-16 | 堂場瞬一

スポーツサスペンス。タイムリミットは24時間。「人類が経験できる、もっとも過酷なスポーツ」アドベンチャーレース、瀬戸内海のとびしま海道で行われる大会に参加した機動隊員が、家族を人質に脅迫された。レース出場の「チームP」のキャップ和倉賢治はスタート直前妻子を拉致監禁したと電話があり助けたければレース中にある物を回収しゴール地点で引き渡せと脅迫される。犯人の要求、チームの他のメンバーに言えないジレンマ、警察に届ける訳にもいかず、ひたすら先行する為チームの士気を考えず無謀な行程になってしまう。他のチームメイト3人も疑問を抱くが、和倉は説明もせず納得しろというのでは共感しづらい。犯人の計画も杜撰で、なぜ大会の日を選ばなければならないのかの説明もないままレースが開始される。アドベンチャーレースとは、総距離はマラソンより長く、明確にコースが設定されていないがチェックポイントを通過すること。コースは自由、道を行こうが、山の中を突っ切ろうが、そこは自由。ラン、シーカヤック、自転車を乗り継いでチーム全員がゴールまで戻る。選手の心理状態とか身体の変化とかの描写は面白いが一応理由付けはしているが最後まで何を回収するのか何故なのか不可解のまま展開されイライラ。犯人も途中で予想が付く展開で最後に理由付けされるが消化不良で読了。

20178月文藝春秋刊

 

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堂場瞬一著「黒い紙」

2018-04-16 | 堂場瞬一

主人公はある事情から警察を辞め企業危機管理専門会社TCR(東京Crisis Response)に就職した長須恭介。クライアントの大手総合商社テイゲンに、同社と旧ソ連の不適切な関係を指摘する文書が届いた。現会長の糸山が、30年前に旧ソ連のスパイ活動を行ったというものだった。犯人からの要求は現金10億円。警察に届けるわけにいかないテイゲンは、秘密裏に危機管理会社「TCR」に解決を依頼してきた。元刑事の長須が真相究明に動き出す。脅迫状に添付されていた業務日誌は、テイゲンがかつて社内で使用していた公式用箋にワープロ打ちされたものだった。果たして犯人の狙いは何か。長須は、正義と職務遂行の狭間で揺れながら、巨大企業の“闇”に挑む展開。

「一々、事前に全部決めないとやれないのか?それで失敗したら、やり直しが大変だろう。むしろダメージが大きくなるぞ。その場その場で、反射神経で判断するのも大事なことだ」(P216

設定に違和感がる部分もあったが登場人物の心理を解りやすく描かれていて人生に躓いて再生していく 主人公に感情移入しやすかったし、他のメンバーのキャラも特徴的で面白い、続編化出来そうな設定で面白かった。

20169月角川書店刊

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