メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

シリーズ怪盗ルパン 第4巻 『奇巌城』 ルブラン/原作 ポプラ社

2021-04-30 15:52:30 | 
1999年初版

南洋一郎/訳
藤田新策/装丁・挿絵

「ジュヴェナイル」カテゴリーに追加します


ルパンと言えば、私の中では『ルパン三世』なので
あえて原作を読もうと思わず
ずっとスルーしてきたシリーズで
読むのはこれが初めて

ルパンより少年探偵が活躍しているのが意外






それよりもビックリしたのは
途中で『鉄仮面』やルイ14世の話が出てきて
その後、ホームズとルパンの対決(!)になるって、リンクしまくり/驚×5000

ドイルの承諾を得ているのだろうか?

最初、ルパンの作戦にまんまと引っかかって船に乗せられ
事件と引き離されていたっていうのも
イギリスvsフランスのスター対決で
自国のスターの勝ちにしてズルい/苦笑

だが最後の最後にさらにどんでん返しがある
それもさらにホームズらしからぬ行動で
ドイルはどう思うだろうと気になる

本書も読みやすく数時間で読み切れる
ただ、新装されたほうなので、昭和初期のほうで読みたかった!


【内容抜粋メモ】(ネタバレ注意

刊行のことば
怪盗ルパンが登場したのは1905年
明治の終わりに日本で翻訳出版されている

ポプラ社ではイギリスのミステリーの傑作ホームズと並び
フランスのミステリーの傑作を切望し

この全集は魅力を熟知した冒険作家・南洋一郎が
子どものために書き改め

『少年探偵・江戸川乱歩全集』とともに
わが社を代表する出版物となり
21世紀を迎えるにあたり、装いも新たにに刊行した


編集方針について
一部、今ではあまり使われない表現を分かりやすいように書き改めた
身体障害、職業にかかわる不適切な表現を変えたり削ったりした


(ネタバレ注意









「奇怪な殺人事件」
白バラのように美しい少女レイモンドは寝室の下で怪しい物音を聞く
ここは昔の修道院跡で、崩れた礼拝堂だけが建っている

従妹で同い年のスザンヌも怯えて来る

スザンヌの父・ジェーブル伯爵は大金持ちだが、妻は亡い
レイモンドの両親は亡くなり、2年前から伯爵に引き取られた

召使は4階で寝ている
伯爵と秘書のダバルは2階にいるのに気づかないのか?

大きな荷物を抱えた男たちが池のそばを走るのを見る
レイモンドはベルを押して召使を起こす

2階で格闘の音がする

背の高い中年男が2人の少女を見つめてくすりと笑い
帽子をとって丁寧におじぎをして外に出る

ダバルは短剣に刺されて死に、父は倒れている

客間には値打ちのある武器などが飾りつけてあり
レイモンドは小銃で男を撃つ
賊は消えて、運転手の革帽子だけが残されていた


村の警官が調べ、書記を連れた判事も来るが盗まれたものは何もない
伯爵は頭を殴られたと言う

2人の少女は怪しい男の人相をあべこべに言う
同一犯人の証言が正反対ということはよくある
人間の目は当てにならないと笑う判事

犯人はまだこの屋敷内にいるはずと細密な捜査を続ける
帽子を調べさせ、足跡、血痕、タイヤの跡も見つかる

帽子屋は帽子を売ったのは今朝だと言い、犯行時刻後になる
同じ帽子が2つあり、証拠品とすり替えられたと分かる

「ボスが死んだら、娘は生かしちゃおかねえ」というメモが見つかる


ジャンソン高校の生徒イジドール・ボートレルが捜査に紛れている
犯罪学の実地見学で、この犯行についていくらか見当がついていると言う

レイモンドは昨日の午後、イジドールに似た人を見たと話し
疑われたイジドールはアリバイがあると言い張るが
老巡査に見張られ閉じ込められる


突然銃声がして、物置小屋が火事になり
消火の騒動の間に2人の警官の姿が消え
ホンモノの警官は気絶している

イジドールは老巡査に麻酔剤を飲ませて眠らせて逃げ出す


同じ頃、有名な外科医のドラトル博士が観劇中に3人の男に連れ去られる
だが、翌朝無事に戻ってきて、安ホテルで重傷者の手当をさせられたと話す

「A・L・N殿 外科医、はやく送れ」という電報が打たれたことが分かる

パリ警察の名警部ガニマールがいくら調べてもそんなホテルは見つからない


イジドールはアリバイが証明され
素人名探偵としてガニマールと握手する

イジドール:
盗まれたのはルーベンスの4枚の名画で
ニセモノとすり替えられたんです


1年ほど前、若い画家が模写を頼んだ時のものと推理

伯爵:ひと目見てニセモノと分かったが、金で買い戻せると思い黙っていた

イジドール:
新聞広告に「名画買い戻したし」と出せばいい
絵を盗んだ男と、ダバルの殺人犯は別々で
画家はダバルの紹介で模写した
ダバルは怪盗の一味だ

伯爵:ダバルと格闘して誤って刺してしまった と白状する
ガニマール:立派な正当防衛ですよ

イジドール:A・L・Nはルパンの頭文字だ
ガニマール:手口が同じだから分かっていた

イジドール:
石像のどこかにルパンはまだいる
手術はこの荒れた庭の地下で行われたのです

ルパンは1年ほど前からボードレイという名の紳士に化けていた
部屋に行くとすっかり片付いている

そこにハーリントンという男から手紙が届く

名画4枚、例の方法で発送願います
 その他の品も一緒に送ってほしい
 グランドホテルで会いましょう」

ガニマールはハーリントンを留置場に入れる

絵はどこに行ったのか?
イジドールに似た男とは?


イジドールに「余計なおせっかいをすると命が危ないぞ」
と警告文が届くが全く相手にしない

新聞を見て青ざめる
「伯爵邸に凶漢が侵入 スザンヌを縛り、レイモンドを連れ去った」


奇怪な暗号文の古い紙も見つかる




伯爵がホームズをイギリスから呼んだと聞いて興奮するイジドール
ガニマールはフランスのメンツに賭けて
ホームズ到着までに解決すると意気込む

レイモンドは殺されたのか?
しかしレイモンド、ルパンの死体がない

イジドールは渡船場に向かい
荷物を積んだ伝馬船があったと分かる
毎日、6回も運んだが、荷物には触らせてもらえなかったと聞く

2回目の警告文が届くも無視

イジドール:「他のものも送ってくれ」とあるのはフランスの国宝のことです

大理石の石像を棒で殴ると粉々に砕けて
石膏のニセモノとすり替えられていたと分かる

イジドール:
ルパンはレイモンドさんに撃たれて地下へ隠れた
役場で調べたら、礼拝堂の下に地下室があると分かった

祭壇の下に地下室があり
半裸の死体が2つ腐っているのを発見する
下着の縫い取りでルパンだと言う判事
もう1人は若い女の死体でレイモンドの腕輪をしている


イジドールは陽気に口笛を吹き
「勝てるぞ」と自転車を走らせていると
1本の綱で転び危うく大怪我するところだった

最後の警告文が届いて少し警戒する





イジドール:この綱は屋敷のものだ 怪盗のスパイがいる

暗号文の一部も解いてみせる
アルファベットの母音と子音を組み合わせて「ドモアゼル(令嬢たち)」と訳せる
スザンヌとレイモンドのことか?

イジドール:
もう1つの「空洞の針」は分からない
この怪事件を解く鍵が隠されている気がする

これはまるで中世の羊皮紙だ
裏には赤い封蝋のあともある


判事が外に呼び出されている間に
書記ブレドーが銃を向け、その紙をよこせと言い
2人は殴り合いになり、イジドールは短剣で刺され
ブレドーは逃げ去る

今度はガニマールとホームズが行方不明になる


6週間後に退院して回復したイジドールのもとに
ルパンから「真相を発表するのを止めないと父の命が危ない」と手紙が来る

とうとうルパンに会うと、背の高い、礼儀正しい紳士

ルパン:
ブレドーは新米で怪我をさせたのはすまなかった
僕はどんな時も他人を殺すことは絶対にしない

これからはお互いにぶつかり合おう
一か八かの談判だ

過去10年間、君みたいな相手にぶつかったことがない
互いに邪魔しないと約束しよう
あの記事は間違いでルパンは死んだと書き直すんだ

イジドール:
嫌です もう記者に渡しました

僕の父はさらわれたりしない
シェルブール軍港の職員にかくまわれている

ルパンにシェルブールから電報が来て父がさらわれたと分かると
父思いのイジドールは声を出して泣いてしまいルパンは面食らう

彼は貧しい者を助ける「紳士強盗」と呼ばれている
弱い者、女性、子どもには親切で
フランスを愛している不思議な男なのだ

ルパン:
我々は敵じゃない
僕と戦うのを止めれば親父さんも無事に戻れる

僕は全能の力を持ち、どんな秘密も探り出せる
暗号文の謎を解けるのは僕なのだ


イジドールは負けたと分かり承諾して部屋を出るが
あの電報はニセモノだと思い
翌日の新聞には彼の原稿がそのまま載った

記事:
なぜルパンがクスリも食物もなく40日も地下で生きられたのか

レイモンドはルパンを撃ったが
ダバルを殺した犯人でないと分かり可哀想に思い
地下にかくまい鍵をかけ、毎日食事を運んだ

人相も違うことを言い、帽子をすり替えた
イジドールに似た人物を見たというのも攪乱するウソ

腐乱した死体は、最近心中した若い夫婦


イジドールが軍港に向かう途中
新聞に載ったルパンからの返事を読む

記事:
イジドールの発表は大体合っている
レイモンドも生きている
私は彼女を愛している

ハーリントンはアメリカの金持ちの秘書で
名画を売り、私は莫大な金を受け取った
彼は何の罪もないため、1日も早く自由の身にすることを望む


イジドールは庭に立つ自分の写真を渡され
ルパンの部下が少女に託したと分かり
彼らがシャトールーに行ったと聞き
イギリスの青年画家に扮して駅に向かう

伯爵とスザンヌは景色の良い南のニースの別荘に行った

切手のない手紙がパリから来て父の文字と分かる

手紙:
ここがどこか分からないが、フランス中部の中世の古城のようだ
手紙に小石をつけて塀の外に投げれば
誰かが拾ってお前に届くかもしれないと思い書いている
私は丁寧に扱われている
お前が危険な冒険をしないように心配している


消印はアンドル県 フレスリーヌ村の研ぎ屋の老人が拾った
その老人のあとを尾ける

老人のあとを尾けるもう1人の男がいて
途中、暗い森に入り、古城で消える
隠し戸でもあるに違いない

城はルイ13世式の古いシャトーで
屋根の尖った小塔がいくつもある

村の者から「針の城」と呼ばれていて、ここはクルーズ村
ここが「空洞の針」だとワクワクする






フランス王家の大秘密
建物の管理をしている公証人に聞くと
エイギュイユ城は夏の間だけアンウレイジイ男爵に貸している
ルパンの扮装に違いない

持ち主はパルメラという30歳くらいの快活な紳士
イジドールは信用して事情を話すと快く協力する

パルメラ:
お父さんがいるのはツタの間です
あの高い城壁は越えられない
秘密のくぐり戸から入るしかない


真夜中、イジドールと同級生2人、パルメラが忍び込む
1人の男が銃を持って見張りをしているがパルメラがやっつける

父を救いに行くと、レイモンドが青い部屋にいると分かる
2人を救い、ホテルにかくまい、村の警察に連絡し
城内を調べるが一味は逃げた後

父とレイモンドは静養のためニースに行き
スザンヌと再会して涙を流して喜び合う

その後、パルメラとレイモンドは結婚する

ガニマールとホームズは手足を縛られてパリ警視庁に倒れていた
2人はルパンによってヨットでアフリカ一周の旅に出されていた


イジドールの活躍は全国に知れ渡り、祝賀会が開かれる
そこでフランス学界の最高権威である
アカデミー会員・マッシバン博士の記事が読まれる

博士:
ルイ14世の時代『空洞の針の秘密』と題したパンフレットが出た
著者は鉄の面をかぶせられ、孤島の岩牢に閉じ込められた
歴史の大きな謎の「鉄仮面」である

この1冊は大尉が隠していたが何者かに暗殺された

それはフランスの代々の王が集めた宝の隠し場所を記したもので
暗号文は封印されて、国王が保管していた

フランス革命の時、ルイ16世はマリー・アントワネットに託してギロチンで死刑にされた
王妃も首を斬られてしまった

パンフレットは大尉の曾孫の士官に渡った
大尉のノートには内容が書き写された

エイギュイユ城は秘宝の隠し場所を探す人々の目を向けさせるため
ルイ14世によって建てられた


ルパンは本当のエイギュイユ・クルーズに向かい
大秘宝を手に入れようとしていると分かるイジドール
「令嬢たち」もレイモンドらのことではなかった

古文書研究家を訪ねて、祈祷書の裏表紙から出てきたのはルパンのサイン
すでに暗号文を盗んだ後だった

調べると大尉が暗殺された話はない
ルイ16世の看守となった士官らしい名は2つあり
ラルベリーかラルブリー

博士から「ラルベリーの子孫について話したい」という手紙が届く

ラルベリーには息子と娘がいて、娘はベリーヌ侯爵の妻になった
レンヌ市近くにベリーヌ男爵が住んでいて、侯爵の子孫らしい

男爵を訪ねると、60歳くらいの老人
夫人は亡くなり、娘も夫と息子を交通事故で亡くしたばかり

無造作に置かれた本の表紙に「エイギュイユ・クルーズの秘密」とあり
暗号文も載っていて5行ある

「解読するには第4行を見よ
 大秘宝の隠し場所を見つけるのに必要な方法を指示している」

2ページ分ルパンに切り取られたと分かるが
夫人が文句を覚えていると言う

そこに召使が手紙を持って入って来る
「話せば愛児の命はない」という脅迫状

子ども部屋で息子がぐったりしていて
博士がルパンだとねじ倒すイジドール

博士そっくりに化けたルパンは
子どもに麻酔剤を注射しただけたと話す
ルパン:坊や、さよなら、また会おう と去る


イジドールが駅に向かうとルパンが待っている

ルパン:
君の行動は筒抜けだ
君の学友は口が軽く、友だちに喋って自慢している
あんな薄っぺらい奴とは交際しないほうがいいな

車に乗りたまえ フルスピードで出発だ

私には素晴らしい使命がある
大秘宝をフランス社会のために役立て
引退して平安な余生を送ろうと願っている


私は私利私欲ではなく、欲張りから盗み、貧しい者
孤児などを救うのが願いだ

2人は疲れて寝てしまう
イジドールはルパンに次第に惹きつけられる


大針岩の怪洞
パリに戻ったイジドールは暗号文の解読に夢中になり
みなノルマンディー地方に由来していることに気づく
一番怪しいのはル・アーブル

町のカフェに入ると労働者風の男から声をかけられる
ホームズの変装で、イジドールはこの大先生に勝とうという
競争心が沸き上がる

ホームズ:
私はまったく違う方面から謎を解こうとしている

ビクトワールという女はルパンを赤ん坊の時から世話をしている
ルパンが怪盗になり嘆いて止めてくれといつも泣いているそうだが
警察に追われると命を捨てる覚悟でかくまったり逃がしたりしている

そのビクトワールの隠れ家を突き止めた
このル・アーブルにある農家だ

そこできっとあいつを逮捕してやる
あいつと僕は死んでも忘れない敵同士だ
死の血闘あるのみの運命なのだ


イジドールは暗号文の4行目だけが解読出来ないでいる

煮詰まって来た場所にローマ人の遺跡があり
「フレフォッセの砦」とある

岩にDとFの文字が刻まれ
ここが「ドモアゼルの部屋」と呼ばれていると分かる
エイギュイユ・クルーズがあるに違いない

目前に80mほどの巨大な岩が針のように突き出ている
割れ目から煙が出ていて、空洞と分かる
ルパンが先に発見したに違いない





大秘宝は、令嬢たちの部屋に入り
フレフォッセの城跡の下を通り、針岩の内部に入る
海底トンネルを抜けるとあるとようやく暗号文を解く

三角や四角の記号は小窓の形などを表していて
とうとう地下道も発見する

パリの警視庁に応援を頼み、見張っていると
秘密の地下道から11人もの人が出て来て
何か運び出している


翌朝、ガニマールが来る

ガニマール:
大統領からの命令でここはフランスの最新兵器の隠し場所にするから
他言しないように
漁船12隻、潜水艦も応援に出す


イジドールを先頭にガニマールと部下が海底トンネルに入る

暗号文通り階段を数えて、鉄の扉を開けると
また次の階段がある迷路のような構造

狭いのぼり階段は体の小さいイジドールが先に入る

中に入ると一流ホテルの食堂のようで
会食者の名前のカードにルパン、ルパン夫人、イジドール様とある

入ってきたのはパルメラ!
ルパンが化けて、自分の別荘に押し入りイジドールと父を助けた

ルパン夫人はレイモンド

イジドールは恨みより親しみの気持ちで
笑いながら握手してご馳走を食べる

ルパン:
今後は怪盗から足を洗い、妻と静かな土地でゆっくり生活したい
よく来てくれたね お別れの乾杯だ

私がここを発見した時は荒れ果てていたが、苦労して別荘に改装した
今後は、観光地になって見物人の靴で荒らされちまうだろう

ガニマールらが登ってくる音がして
ルパンはレイモンドを先に別室に連れて行かせる

騒音が聞こえないかのように、さらに上の部屋を案内する
そこにはこれまで盗んだ美術品が揃っている
大美術館、博物館にあるのは模写

ルパン:
最後の部屋は秘宝の間だがだいぶなくなっている

昔の国王は戦争で大金を使い
平和になると贅沢三昧をして使い果たした

だが少し残っている


金庫には宝石がざくざくとある


ルパン:
私はこの秘宝には手をつけない
これは代々の国王が人民からしぼりあげた宝なのだ
国民のものには手は出さないのが私の主義、誇りだ

この部屋でレイモンドと暮らした日々は
一生のうちで最も楽しく平和だった
それを見捨てるのは寂しいことだ

ルパンはチョークで壁に書く

「全財宝をフランス国民におくる
 ルーブル博物館の1部屋におさめ
 『アルセーヌ・ルパン室』と名付けること」


ルパンはイジドールをかついで急な階段を駆け下り
モーターボートで外海に出る

潜水艇は警官の漁船隊の下を通りルパン港へ直行する

水夫に変装したホームズがいると分かるが
隠れ家まで案内する

ルパン:
ここでレイモンドと暮らすつもりで隠れ家を建てた
レイモンドは私が怪盗であることを嘆き、私の心を変えた
彼女の愛は少年時代からの世間に対する恨みと僻みを忘れさせた


ホームズとルパン
ホームズはパルメラの友人だと言って屋敷に入り
ルパンの母を連れだして人質にし、ルパンとにらみ合いが続く

ルパンが銃を出そうとすると、ホームズは女に銃を突きつける

ホームズ:
この女は母親なんかじゃない ビクトワールだ
彼女を人質にすれば逃げられまい
そっちの女もだ

ルパンがレイモンドを見た隙に手元の銃を撃ち落とす
ホームズの部下2人はルパンの柔道(!)で投げ飛ばされる

ホームズがルパンを狙うとレイモンドがその間に立ち
喉を撃ち抜かれて即死する

(ホームズだって殺人するようなキャラじゃないのに・・・

ルパン:死んだぞ、ホームズ・・・
ホームズ:すまなかった、ルパン

ホームズは抵抗せず縛り上げられる

ルパンは乳母の胸に顔をつけて泣き出す
ルパン:さよなら、イジドール君

妻を背負い、乳母の手を引いて、夕闇に消える







<解説 出会いのミステリー 佐藤宗子(児童文学研究者)>





小学校5年の私が読んだのはもっと生々しい挿絵で
当時の版は写実的でたじろぐほどだった(それを読みたかったなあ!

原題は「うつろな針」(日本題のほうがセンスあるね

後でフランスの高校修辞学級に通うイジドールが
日本の普通校と違い、選ばれた存在とも分かった

一番のミステリーはレイモンド
少女なのに銃の撃ち方を知っているし

初めて顔を合わせた瞬間に生まれる深い愛が
この世に存在することも知った

大団円をひっくり返す悲劇の後の寂寥感
どうぞ、それぞれの年齢に合わせて堪能してください












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