メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

海外SFミステリー傑作選 16 殺しのメロディー アガサ・クリスティー/原作 国土社

2023-05-26 19:14:46 | 
1995年初版 内田庶/訳 吉崎正巳/装画・挿絵

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください


雪に閉ざされたホテル、
マザーグースの奇怪な歌

アガサの推理小説はとてもスマートで
ハラハラしながら、2時間くらいで読み切れちゃう
しかも、大満足

演劇でロングランになるのも頷ける


【内容抜粋メモ】

●下宿屋開業
モリイとガイルズは新婚夫婦

2人とも貧乏だったが、モリイの叔母が死に
モンクスウェル館を遺産として譲り受ける

大き過ぎるため、下宿屋にして
ガイルズはロンドンの会社を辞めて2人で経営することにする







最初の下宿人は3人 1週間に7ポンド
横柄で口うるさいボイル夫人
メトカーフ少佐
おちゃらけているレン 自称・建築家

ラジオから大雪になる予報と
ロンドンで起きた殺人事件が報じられる








●夜の訪問者
夜中の2時、クルマが雪で横転したといって
パラビッチという外国人が泊まることになる







翌朝、雪は2m近く積もる
バークシャー警察のホブベン警視からトロッター刑事を送ると電話が来る

パラビッチ:あまり他人を信じすぎないほうがいい

客の身分証明書も見せてもらわず受け入れたことが不安になる夫婦
そのパラビッチもうっすら化粧をして老人ぽく見せているが
行動が若者風なのが気になる

メトカーフ少佐は電話が通じないと知らせる



●リヨン夫人殺人事件
トロッター刑事はスキーで来る
ロンドンで起きたリヨン夫人殺人事件の犯人が
ここにいるかもしれないという

本当の名前はリヨン夫人でここから近いロングリッジ農場に住んでいた
3人の戦争孤児がグレッグ夫妻に引き取られ
こき使われて、とうとう一番下の弟が死んだ

夫妻は逮捕されたが、夫グレッグは途中で逃走して事故死
夫人は刑期を終えて、2か月前に釈放された

現場にノートがあり、2つの住所があった
1つはリヨン夫人の住所
もう1つはモンクスウェル館

そしてマザーグースの♪3匹のめくらのネズミ
「これが1匹目だ」というメモ



3匹のめくらのネズミ


3匹のめくらのネズミが走ってる
めくらのネズミが走ってる

百姓女につきまとい
ナイフでしっぽをチョン切られ
あれあれ あんなに走ってる

2番目の女児はほかにもらわれて行方知れず
一番上の男児は、その後、軍隊に入り、脱走
精神異常者とのこと

年齢的に当てはまるのはレンのみ

ボイル夫人は、その頃、主婦の会の会長で
繊細孤児を農場に送り、その後の面倒をみなかったのを指摘されて怒る



●2匹目の被害者
1人で居間にいたボイル夫人は何者かに首を絞められて殺される

第一発見者はモリイ
どこかで口笛、ドアが閉まる音がしたと証言

少佐は電話線が切られていたのを確認して
階段下の戸棚に地下室を見つけた

そこにしまってあった刑事のスキーが盗まれた

レンが疑われるが、モリイは信じられない

レンは軍にいたが、母が空襲で生き埋めになったと聞いて脱走し
そのまま戻れなくなった事情を話す

モリイはガイルズのポケットからロンドンの新聞が出てきたことで不安になる
ガイルズもモリイの引き出しからロンドンのバスの切符が出てきて
2人はケンカになる








●実験
トロッター刑事は、ボイル夫人の殺人の時
それぞれどこで何をしていたか検証するために
もう一度繰り返してくれと命令する

パラビッチはピアノを弾いていたが、代わりにモリイに弾かせる
それぞれ立場をかえてやってもらうという作戦

トロッター刑事:
あなたは虐待された子どもが通っていた小学校の教師だった
死んだ子どもは助けを求める手紙を出したのに知らん顔をした

モリイ:
それは姉です
すごい熱を出して手紙のことを知らなかった
後で知り、苦しんで、病気が再発して死んでしまった

トロッター刑事は銃を持ち、自分が一番上の兄で
死んだ弟ジョージの復讐のために殺人をして
電話線を切ったと明かす

スキーで逃げようと思ったが、少佐が隠した
少佐はすんでのところでモリイを助ける







少佐はタナ警部だと名乗り、メモを見て、犯人を追って来た

モリイとガイルズは結婚記念日のプレゼントを買うために
ロンドンに行ったと話して仲直りする




解説 各務三郎
マザーグースには気味の悪い歌がたくさんあり
英米のミステリー作家は好んで題材にした

『誰がコマドリを殺したか』ハリントン・ヘキスト
『靴に棲む老婆』エラリー・クイーン
『僧正殺人事件』ヴァン・ダイン など


その中で最も優れているのは推理小説の女王アガサ

英国王室の人たちも愛して、1947年、クイーン・メリーは
80歳の誕生日のお祝いにどんな番組が聴きたいかとラジオ放送局から聞かれて
アガサを指名した

それが本書の原型となった脚本「子ネズミの復讐」

1952年に書き直して「ネズミとり」と改題し、演劇化
これが30年に1万回以上の世界的ロングランとなる




コメント    この記事についてブログを書く
« 浮間公園、赤羽北図書館(5... | トップ | 別所沼公園&与野公園(5.26 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。