メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

映画『妻二人』(1967)

2024-09-02 12:47:57 | 映画
原作:パトリック・クェンティン
監督:増村保造

出演
健三:高橋幸治
永井道子:若尾文子
永井昇平:三島雅夫 父・社長『主婦の世界』
永井利恵:江波杏子 道子の妹
雨宮順子:岡田茉莉子
小林章太郎:伊藤孝雄 小説家
井上潤吉:木村玄 元伯爵御曹司
井上美佐江:長谷川待子 妻
町田警部:早川雄三
ほか




岡田茉莉子さんを見ると『人間の証明』を思い出す
黙ってたたずんでいるだけでドラマになる女優さんだな

江波杏子さんはエキセントリックでモダンな美人さん

原作がしっかりあるせいか、ドロドロな人間関係が複雑に入り組んだ
ミステリーとしても楽しめる


【内容抜粋メモ】
柴田健二はふらりと飲み屋に入る
首に包帯を巻いた雨宮順子がいる







小説家・小林章太郎を待っているが来ない
ショウヘイはフラフラのジュンコを家に送る
布団にピストルを見つける

首を絞められた跡を隠している
小林が酔っぱらって怒声を上げて帰って来る
ケンゾウは小林をひどく殴りつける

小説を褒めてもらったお礼に母の形見の指輪をジュンコにあげたことを思い出す
死んだ父の親友の雑誌社でも断られ、代わりに編集部で働くようになり
娘ミチコと結婚してサラリーマンになった

『主婦の世界』は多角経営している
原宿の深夜喫茶で逮捕された社員をクビにすると決める社長
二度と警察沙汰を起こさないようにと叱り飛ばす

身体障害児救済事業部
ミチコが力を入れている
井上潤吉と妻・美佐江がだらしないことのを注意する

ケンゾウはまたジュンコの家に来る

ジュンコ:
彼には才能がある
彼はあなたの身代わりなんだわ
あの人の望みは金持ちと結婚して贅沢に暮らすこと
あなたと同じね

小林の原稿を読んでほしいと頼む



ミチコは取材を受ける
母の言っていた“清く、正しく、美しく”がモットー

小林がケンゾウに会いに来る
小説は退屈だと酷評

ミチコの妹・利恵はケンゾウにアタックして断られる
その後付き合い、心配したミチコは食事に呼ぶ

小林:両手に花 僕とジュンコのことも黙っててもらいます
ミチコ:あの男は財産目当てよ
リエ:必ず結婚する 私は好き勝手に生きるわ







リエと小林は井上の家に呼ばれて行くと、父ショウヘイがいる
小林はジュンコと別れて、リエと結婚する計画



小林:あんたの家庭は腐りきってる
ショウヘイとミサエがデキてる
井上夫妻は身体障害児救済事業部の寄付金を誤魔化している
ケンゾウはジュンコと付き合っていることを明かして
リエとの結婚を迫る








小林:今夜、返事を伺いましょう

小林はジュンコを乱暴に追い出す
小林:ピストルと指輪は置いていけ 売れば金になる

リエが小林の家に来る
リエ:私の体、あなたにあげるわ そうでもしないと姉が結婚に承知しない

ジュンコがマンションの前まで来て、ミチコは大阪へ行ったため家にあげる

ジュンコ:
母の実家が仙台にあるからしばらく引っ込む
夕べから何も食べてない

ミチコは小林に100万円の小切手を渡してスキャンダルをもみ消そうとする
小林:いったん食らいついたら離れるものか

小林はミチコの首も絞めてレイプしようとする
ミチコはポケットの中のピストルで撃ち殺す

ケンゾウ:妻は立派すぎてついて行くのが精一杯だ
2人が抱き合ってるところをお手伝いに見られてジュンコはホテルで泊まる
古い友だちだと言い訳をする

ショウヘイは小林が射殺された記事を見て、ケンゾウを家に呼ぶ

ショウヘイ:
警察が来る リエが小林の部屋に泊まったのはマズイ
リエはケンゾウの家に泊まったことにする
おとし(女中)は金と電話1本で話はつく

町田警部が来てリエにアリバイを聞く
小林は瀕死で道に出て通行人に発見された
ポケットにジュンコの指輪があった

ケンゾウはジュンコを訪ねて小林が殺されたと明かす
ケンゾウ:君もアリバイを作ったほうがいい

町田警部に呼ばれたケンゾウ
警察は仙台からジュンコを連れ戻した
ジュンコはケンゾウと10年ぶりの再会のフリをしてかばう

ショウヘイ:
警察はジュンコを犯人と断定した
来週からケンゾウを部長、ミチコを副部長にする
やがては副社長、社長のイスに座れるんだ

ケンゾウ:
君はいつもウソは大嫌いだと言っていたが、僕はウソの塊だ
結婚する前、ジュンコという愛人がいた
小林が殺された時、ジュンコと一緒にいた
お父さんに頼まれてニセのアリバイを立てた
ジュンコはアリバイがなくて起訴されるだろう
君のような誠実な人間になりたい
警察に行って事実を話すよ
警察から戻ったら、君の裁きを受ける

ケンゾウが事実を話しても、映画を観に行っていたとウソをつきとおすジュンコ
町田警部はオトシを連れて来るが、見たことないとウソをつく
町田警部:真犯人が逮捕されたら即日釈放されますよ

ケンゾウ:僕は犬にはなりたくなかった
ショウヘイ:お前は犬だ! 会社はクビだ ミチコとも別れろ!

ミチコ:
前から父のやり方が嫌いだった
どんなことがあっても別れない

ミチコはジュンコに差し入れを持ってくる
ミチコ:主人を愛してまして?
ジュンコ:一生に一度の恋

ミチコ:
あなたのように愛される女になりたい
きっと犯人が逮捕されるでしょう








リエに会うケンゾウ

リエ:
人殺しなんて面倒くさいのは大嫌い
事件の晩、小林はゆすりに行ったのよ
父とミサエのことを見たから

ミチコは井上夫婦を解雇する

ジュンキチ:
社長は事件の夜、ミサエと一緒だった
小林の目的はリエと結婚すること
たった一人反対したのはミチコさんだ

ミチコ:みんなお父様の原因よ

ショウヘイ:
おまえのせいだ 人間は生き物だ 汚くてでたらめだ
死んだ母さんの思い出を守れなんていうからだ
リエもお前が厳しいから小林とくっついた
お前は商売のために利用した看板娘にすぎん
大人しく黙って座っていればいいんだ!








ミチコ:
とうとう事実をつかまえてしまったのね
小林にゆすられ、犯されそうになったから殺したの
自首しなかったのは、ジュンコさんにあなたを渡したくなかった
一生懸命生きたけど、みんなムダだった

ケンゾウ:尊敬しているよ

ミチコ:私が欲しいのは愛情
窓から飛び降りようとするのを止めるケンゾウ

ケンゾウ:
生きてくれ
君と生きるよ 2人ではじめからやり直そう
君は正当防衛だ

2人で警察に行く
ミチコは自首し、ジュンコは釈放される

ジュンコ:ショウちゃんを紹介しなければこんな事件は起きなかった
ケンゾウ:一生に一度の恋は終わったな



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少年少女学研文庫 パール街の少年たち モルナール 学研

2024-09-02 12:04:36 | 
1978年初版 岩崎悦子/訳 小林与志/画

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


古今東西の男の子たちが戦争ごっこにハマる理由は女子には分からないなあ

子どもは大人を見て学ぶから
大人が国を護るために敵を殺すことを名誉として語り
勲章や位に対して周囲が敬意を払う様を見て影響されてるのかも

実際の戦争はもっと生臭く、PTSDで心を病んだり
一般人も殺し、略奪し、ルールもなにもない部分を隠してきたこともあるだろう

原っぱの争奪戦も、領地や利益を巡る戦争とおおもとは同じ
現代っ子たちの間ではもうこんな荒っぽいやり方や古い考え方は流行らないよね

途中なにかミステリー的な出来事が起きることもなく
ずっと子どもたちの抗争話なのが飽きてしまった
同じ年頃の男の子には面白いだろうか?

しかもラストが悲しくて、浮かばれない


【内容抜粋メモ】






●1
原っぱで団長選挙が開かれる
1人だけ万年“従卒”のネメチェクは、隣り町の敵対しているグループの
パーストル兄弟に“分捕品”だと言ってビー玉をとられたと話す






●2
パール街の原っぱは、近所の子どもたちにとっては絶好の遊び場
植物園を陣地としている敵対グループ“赤シャツ団”の首領アーチ・フェリが原っぱを偵察に来て
自分たちの旗を持っていったことも報告する





ネメチェクは、自分だけ従卒のままにしないで欲しいと泣いて頼むが
泣き虫は除名するぞと逆に脅される

ボカ:僕たちのほうから“赤シャツ団”のいる植物園を攻撃しよう


●3
植物園に侵入し、武器庫にトマホークを見つける
敵陣にゲレーブがいることに気づく
リーダーのボカを妬んでいるため、敵のスパイとして働いていた





“赤シャツ団”もボール遊びの場所が欲しいため、原っぱを狙っていることが分かる
ボカらは陣地に入ったと書いたメモを残して逃げる際
ネメチェクは首まで冷たい水に入ってびしょぬれになる


●4
パテ・クラブの会長ワイスと会員は先生に呼び出される
パテを各所から盗んで、つねに噛んでいるのがルール?
先生はすぐ解散し、二度とクラブを作らないよう命令する





バラバーシュとコルナイはいつもケンカしていて
どちらが会長になるかでモメどおし

ネメチェクはゲレーブがスロバキア人ヤノーを葉巻で買収して
原っぱから子どもたちを追い出すよう約束させるのを見る

それを一刻も早くボカに報告しようとして
クラブの記録係の仕事を断ったため、裏切り者として除名される


●5
ネメチェクは単身、植物園に侵入して捕まり、水没させられる

ネメチェク:
友だちを裏切るより、水につかってたほうがいいや
10人で1人をやっつけるなんてたやすいことだ!

アーチ・フェリはネメチェクを小さな英雄と認めて敬礼させる
逆にゲレーブは無視する


●6
“赤シャツ団”は明日襲撃してくると分かり
ボカは作戦を立ててみんなに発表する
原っぱの2つの門を固め、砂で攻撃する作戦

ボカは副官にネメチェクを抜擢する







“赤シャツ団”から締め出されたゲレーブはボカに謝り
またグループに加えてくれるよう頼む

ボカ:僕は君を許しているが、仲間にすることは絶対出来ないね

みんなで演習をしていると、ゲレーブの父親が来る

ゲレーブの父:
息子が泣いて帰ってきた
スパイの疑いをかけられてるというのは本当か?
本当なら絶対許せないことだ

みんなは父親を悲しませたくないため黙る

ネメチェクは風邪で高熱を出しているため
ゲレーブの父に問い詰められて、朦朧として裏切り者ではないとウソをつく
(子どもが病気なのに、自分の名誉うんぬんを優先させる大人もどうなんだ?


●7
ゲレーブの家の女中がことづけを持ってやって来る
ゲレーブからの手紙で、許しを請い、仲間に戻りたいと切願する
手紙をみんなの前で読み、復帰を認める

敵が白旗を持ってやって来て、明日の2時半に攻めると宣言する
武器は砂爆弾のみなどのルールを確認する


●8
実際の戦争に参加した従軍記者たちは
戦いのもっとも大きな危険は混乱だと書いている


ボカの見事な作戦と指揮により
パーストルらを人質として小屋に閉じこめた

そうと知らない“赤シャツ団”は、味方が勝っていると信じて入り
上の砦、下は塹壕から砂爆弾を浴びた

高熱で寝ているはずのネメチェクがアーチ・フェリの前に現れて押し倒し
自分も倒れて気を失う
首領を失った敵陣は崩れて、ボカらの勝利が決まる









ボカはネメチェクの活躍を認めて昇級すると
ネメチェク:昇級したくてやったんじゃない

ネメチェクの母が迎えに来て、家に連れて帰る
医者はネメチェクが明日までもたないだろうと診断する

アーチ・フェリも見舞いに来ていたが、ひと言も言わずに帰る

●9
パテ・クラブはネメチェクの除名を撤回し、表彰することにした


●10
アーチ・フェリは負けた責任をとって首領の座を追放された
兄のパーストルが首領になったが
植物園の園長が“赤シャツ団”を追い出して島を閉めてしまった

ボカ:パテ・クラブは君の名前を記事録に大文字で書き直したよ
ネメチェク:だまれ! 僕を慰めようとしてウソをついてるんだ







ネメチェクは死ぬ前にもう一度原っぱに行きたいと切願するが
治ったら行こうと空約束をするボカ

市役所の役人がネメチェクの父に注文してあった服を取りに来て
息子が死にそうだとワケを話したにも関わらず
あちこちの裾を直させて、1週間で仕上げるよう念を押す

医者が「入用なものを用意しておいたほうがいい」と忠告したため
父親は無言で裾直しをする

パテ・クラブの会員がネメチェクのもとに来たが、もう意識がない
バラバーシュ:来るのが遅すぎたんだ、僕たち







ネメチェクは亡くなり、友だちの死を理解していない生徒たちは
明日のラテン語の授業の話をしながら帰る

バラバーシュは犬猿の仲だったコルナイと仲直りする

ヤノー:
月曜に人夫が来て原っぱを掘りはじめるよ
原っぱの持ち主がここに5階建ての家を建てるんだ

ボカは一体何のために原っぱを巡って争ったのかと思って泣く

ボカは初めて子どもらしい心の中に
おぼろげながら分かりかけたことがある

人生とはなにかということ
人間は悲しい時も、嬉しい時も、人生という主人に仕えているものだということが




■あとがき

モルナール・フェレンツ
1878年 ブタペスト生まれ 74歳で没
新聞記者として役所、政治家の腐敗を目にして、彼の作品の素材となった
第二次世界大戦、ファシズムの波がハンガリーにもおよび、アメリカに亡命


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