1985年初版 沢登君恵/訳 アントニイ・メイトランド/表紙・挿絵
※「作家別」カテゴリー内に追加しました
面白かった!
ガーフィールドの全作品を翻訳してほしいな
猥雑なロンドンの街で底辺の暮らしをする人びと
謎の男を探し回る12歳の少年と
1万ポンドを巡ってうごめく大人たち
ガーフィールドの紡ぐ物語に没頭していると
映画のように目の前に映像が浮かんでくる
読書の楽しみが存分に味わえる1冊
【内容抜粋メモ】
登場人物
ウィリアム・ジョーンズ 12歳の少年
姉シシー、レベッカ
母 ローズ
父 デイビッド
叔父 ターナー
アリス夫人 料理人、家政婦
アルフレッド・ダイアモンド 父の友人
ジョン アルフレッドの息子
クニー 弁護士
ジェンキンス 書記
ロビンソン
シード
カーワディン夫人、ベイニン夫人、ブランチ夫人
ショットヘッド
●1 足音
父はハンサムで身なりの良さを自慢していた
ロンドンでコーヒーを商い
家族は恵まれた暮らしをしていた
病気の父の容態が急変し、フィッシャー先生と看護婦スモール夫人が診察に来る
スモール夫人は3人の夫を「葉っぱの病気」であの世に送っていたが
それが何であるか分からないウィリアム
耳をそば立てていると
アリス夫人:子どもは早耳、子どもは早耳! と言って止めてしまう
ウィリアムはワンマンのターナー叔父が大嫌い
ターナー叔父:こいつを半年俺に預けたら一人前の男にしてやる
ウィリアムは毎晩、下の部屋で父が足を引きずって歩く足音と深いため息を聞く
それが途切れると死んでしまったのではないかと恐怖する
●2 父の死
ある夜、音が途切れて心配になり、父の部屋に入ると
朝晩6回ずつねじを巻くよう教えて、金の懐中時計をくれる
ロンドンの「キツネ袋小路」とクニーという名前をこぼす
父:
ダイアモンド氏は私の友人で相棒だった
だのに、私はあいつを騙した
もしアルフレッド・ダイアモンドが死んだとすれば、私が殺したようなものだ
お前の父はひとでなしの泥棒だ
●3 金の懐中時計
翌朝、父が亡くなっているのをアリス夫人が発見した
父は死ぬのを知っていて、僕に話したのが最後だった
ターナー叔父はウィリアムが金の懐中時計を父の死の床から盗んだと決めつける
その夜、誰もいないはずの父の部屋から足音とため息が聞こえた
ダイアモンド氏を見つけるまで、父にも僕にも平安はないと分かる
●4 家出
5時半に家を出て、ロンドン行きの馬車に乗る
初めて見る都会の空は黄色く、誰もが怒っている
●5 キツネ袋小路
ウィリアムはデイビッド・ジョーンズの息子だと言って時計を見せ
ダイアモンド氏に会いたいと弁護士のクニーに言うと
父は実業界を退く前にひと財産つくったが、1万ポンドが消えたと話す
ウィリアムが実家の場所を話そうとすると止める
クニー:
いつも奥の手を用意しておくのだ
アルフレッド・ダイアモンドくんは死んだ
帰り際、書記ジェンキンスは、ダイアモンド氏には息子がいたと明かす
ジェンキンス:ブラックボーイ亭で8時に会おう
●6 シードさん
エレベーターを動かす小男シードはウィリアムに興味を持ち
ブラックボーイ亭に案内すると言って6ペンス要求する
●7 ブラックボーイ亭
入り口に黒人少年の木の人形があり、店の常連が連絡をとりあう伝言の役目をしている
ジェンキンスはロビンソンを連れてやって来る
ロビンソンはいつも口笛やハミングで♪ディー川の粉屋 を口ずさんでいる
♪おいらはだれも気にしない
だれもおいらを気にしない
ロビンソン:
アルフレッド・ダイアモンドの息子ジョンは
霧のように現れては消えるため
カンタンには見つからない
ジェンキンスは1万ポンドの秘密を聞き出そうとするが
ウィリアムはクニーの言葉を思い出してはぐらかす
ロビンソン:
明日またここに来たまえ ジョン・ダイアモンドを見つけるのに協力しよう
オレがここにいない時はジミーの所に伝言を置いておく
●8 ハンギングソード横町
ウィリアムはシェリー酒をしこたま飲まされて泥酔し
シードが家まで連れて来て、寝室で目を覚ます
シードの家は父のコーヒー商会の会社の一部で
ツウィス氏が会社を買い、今はクニーが家主
シードに頼まれてカーワディン夫人がウィリアムのシャツと靴下を洗って持ってくる
家が爆発したような音がして、カーワディン夫人は「ボーダーさん、ボーダーさん!」と大声を上げる
シードの家にたくさんの少年が集まっていたが
恐ろしい顔のごろつきどもが蹴散らす
通りでロビンソンの口笛が聞こえる
♪おいらはだれも気にしない だれもおいらを気にしない
●9 横町の隣人たち
カーワディン夫人はウィリアムの上等なシャツや靴下に見惚れて特別視する
夫が行方不明のブランチ夫人はスープとチーズをごちそうする
ブランチ夫人の部屋は古着が至る所にぶらさがっている
カーワディン夫人:
ホワイトフライアーズに入らないように
つばをはく間もなくのどをかっ切られるんですよ
シードの家はたびたび餓鬼どもに襲われるが
ボーダーという斬りこみ隊員を呼べば餓鬼どもののどをかっ切ってくれる
●10 取り逃がした獲物
家に火をつけようとしていた餓鬼の1人がシードに捕まりそうになり
家の中でキツネ狩りのように追い立てられる
ウィリアムは火かき棒を渡されるが、目の前に来た少年を逃がしてあげて
シードはかんかんに怒る
シード:
私はあんたの4倍も年とっていて、40倍も利口だぞ
もしまたあのガキに会ったら、命がけで逃げるんだ
●11 栄光の太陽亭
昨晩の店に行くとロビンソンとすれ違いになる
常連をマネしてジミー人形の頭をなでると印刷インクが手について
髪をかきあげるクセのあるウィリアムの額が黒く汚れる
「J.Dは栄光の太陽亭にいる」という伝言を読む
店に着くと、シードの家を襲った少年が来る
モロッコ革の財布を投げつけて逃げるが
少年たちの目当ては金でなくウィリアムの命
店に落ちている白い名詞を拾うロビンソン
そこには「ジョン・ダイアモンド 秘密探偵」とある
●12 ジョン・ダイアモンド
ジェンキンス、ロビンソンとともにジョンを探し回るが
いつも出て行った後
ジェンキンスは1万ポンドはシードの家にあると疑う
父といっしょに最初に商売を始めた所だから
そしてとうとうロビンソンがジョン・ダイアモンドだと明かす
●13 ロンドン橋
ウィリアムは父が深く後悔していたこと
過去の罪を償いたいとを伝えるが
ジョン・ダイアモンドは父から憎しみを受け継ぎ
20年間ずっと恨みを晴らそうと考え続けてきたことに気づく
ジョン・ダイアモンドは口笛を吹いて、少年たちを集める
●14 夜のあられ
ウィリアムはロンドンの街中を走って逃げる
少年たちは口笛で連絡を取り合い、袋小路に追い詰める
壁がドアになって開き、中に押し込まれ、暗闇の中を歩き回り屋根に着く
案内したのはウィリアムが逃がした少年ショットヘッドだった
●15 屋根の上の世界
ショットヘッドは食べ物をくれて、ジョン・ダイアモンドが人形にインクをつけたと話す
ショットヘッド:ロバソンさんはお前を殺したかったんだ
ショットヘッドが壁の中に手を入れると、時計、指輪などの宝物がわんさと出てくる
彼が本当に欲しいのはセントポール寺院のてっぺんにある金の十字架ではないかと思う
ショットヘッドが“いただき”と呼ぶスリをしている間
ウィリアムは屋根の上で女に頼まれて赤ん坊の世話をして過ごす
ウィリアムはショットヘッドに実家や父のことなど全部話して聞かせる
代わりにショットヘッドは日中の下界の冒険を話す
ウィリアムの金の懐中時計をぎりぎり巻いて壊してしまうが
中からメモが出て来る
「クラブ・コテッジ ライムハウス巣窟」
そうしてウィリアムの屋根の上の生活は終わった
●16 地上へ
屋根からおりると、口笛の歌が聞こえてきて
ショットヘッドは少年たちにつかまる
ジョン・ダイアモンド:会えてよかった ウィリアム・ジョーンズ
ウィリアムはジョンの手首に噛みつき、「ボーダーさん! ボーダーさん!」と呼ぶと
巨大な男たちが現れる
●17 ふたたびシードさんの家
頭をケガしたウィリアムは、シードになにもかも話す
みんなで日曜の教会に行くと、匿名の手紙をもらう
「悪意ある者は今日、ハーフォードに向けて旅立った」
シード:
ジェンキンスに間違いない
ジョン・ダイアモンドがハーフォードに出かけたということだ
●18 ライムハウス巣窟
ウィリアムとシードが行くと、クニーと老紳士がトランプの賭けをしている
これまでのことを話し、ジョン・ダイアモンドになにもかも返すと言うと
目の前の老紳士がアルフレッド・ダイアモンド氏だと分かる
●19 消えた1万ポンド
クニー:
1万ポンドなど昔からなかったんだ
子どもと愚か者は隠された宝を夢見るのが常だ
会社をツウィス氏に売った際、シードが住む家だけが漏れた
その価値は2000ポンドほど
クニー:夢のままにしておくかね それとも現金にするか?
ウィリアム:夢のままにしておきます
ダイアモンド:
息子が乱暴してすまなかった
憎しみの種をまかなければ、まったく違った男になったかもしれん
わしが悪かったのだ
ロビンソンがウィリアムの実家に行った手紙を渡すと
ダイアモンド氏は馬車で行けばまだ間に合うと悲鳴を上げる
クニー:一家皆殺しの罪をあんたは自分で負う気か?
●20 火の中の男
夜中に実家に着くと、家は燃え上がり、焼け落ちようとしていた
2人の姉、母、ターナー叔父らはみんな無事
アリス夫人が夜中に口笛を聞いたのがきっかけだった
ジョン・ダイアモンドが火の海の中にいるのを見つけて
ウィリアムは火事の中に入り、ジョンを外まで引っ張り出す
シード:君はもうあのため息も足音も聞くことはないだろう
●21 腐ったりんご
朝方、火は消し止められた
フィッシャー先生はジョンを診て、絶対安静だが大丈夫だという
クニー:
善は善を生むよりはるかに容易に、悪は悪を生みます
腐ったりんごを1個、いいりんごの詰まった樽に入れたら、残らず腐るんです
この世に法ほど不自然なものはない
ウィリアムはジョンを見舞う
ジョン:握手はしないが許してくれ
●22 子どもと愚か者は・・・
焼け残りの部屋に家族で住み、ターナー叔父は祖母の家に戻った
ターナー叔父:あいつを俺の所に半年ほどよこしさえしたら・・・
母:そうしなくてよかった あの子も兄さんみたいな人間になっていたでしょうから
ショットヘッドは生きていて、屋根の上で聞いたウィリアムの住所を探して家に来る
彼が命の恩人だと知って、母はセスと名付けて家に置く
ウィリアムとショットヘッドは屋根の上の地図を作る
宝はほんとうにあるんだ 僕はそのありかを知っている
■訳者あとがき
本書は冒険を通じて少年が成長する物語
18世紀を背景にしていると思われる
♪ディー川の粉屋 は古いイングランドの民謡
※「作家別」カテゴリー内に追加しました
面白かった!
ガーフィールドの全作品を翻訳してほしいな
猥雑なロンドンの街で底辺の暮らしをする人びと
謎の男を探し回る12歳の少年と
1万ポンドを巡ってうごめく大人たち
ガーフィールドの紡ぐ物語に没頭していると
映画のように目の前に映像が浮かんでくる
読書の楽しみが存分に味わえる1冊
【内容抜粋メモ】
登場人物
ウィリアム・ジョーンズ 12歳の少年
姉シシー、レベッカ
母 ローズ
父 デイビッド
叔父 ターナー
アリス夫人 料理人、家政婦
アルフレッド・ダイアモンド 父の友人
ジョン アルフレッドの息子
クニー 弁護士
ジェンキンス 書記
ロビンソン
シード
カーワディン夫人、ベイニン夫人、ブランチ夫人
ショットヘッド
●1 足音
父はハンサムで身なりの良さを自慢していた
ロンドンでコーヒーを商い
家族は恵まれた暮らしをしていた
病気の父の容態が急変し、フィッシャー先生と看護婦スモール夫人が診察に来る
スモール夫人は3人の夫を「葉っぱの病気」であの世に送っていたが
それが何であるか分からないウィリアム
耳をそば立てていると
アリス夫人:子どもは早耳、子どもは早耳! と言って止めてしまう
ウィリアムはワンマンのターナー叔父が大嫌い
ターナー叔父:こいつを半年俺に預けたら一人前の男にしてやる
ウィリアムは毎晩、下の部屋で父が足を引きずって歩く足音と深いため息を聞く
それが途切れると死んでしまったのではないかと恐怖する
●2 父の死
ある夜、音が途切れて心配になり、父の部屋に入ると
朝晩6回ずつねじを巻くよう教えて、金の懐中時計をくれる
ロンドンの「キツネ袋小路」とクニーという名前をこぼす
父:
ダイアモンド氏は私の友人で相棒だった
だのに、私はあいつを騙した
もしアルフレッド・ダイアモンドが死んだとすれば、私が殺したようなものだ
お前の父はひとでなしの泥棒だ
●3 金の懐中時計
翌朝、父が亡くなっているのをアリス夫人が発見した
父は死ぬのを知っていて、僕に話したのが最後だった
ターナー叔父はウィリアムが金の懐中時計を父の死の床から盗んだと決めつける
その夜、誰もいないはずの父の部屋から足音とため息が聞こえた
ダイアモンド氏を見つけるまで、父にも僕にも平安はないと分かる
●4 家出
5時半に家を出て、ロンドン行きの馬車に乗る
初めて見る都会の空は黄色く、誰もが怒っている
●5 キツネ袋小路
ウィリアムはデイビッド・ジョーンズの息子だと言って時計を見せ
ダイアモンド氏に会いたいと弁護士のクニーに言うと
父は実業界を退く前にひと財産つくったが、1万ポンドが消えたと話す
ウィリアムが実家の場所を話そうとすると止める
クニー:
いつも奥の手を用意しておくのだ
アルフレッド・ダイアモンドくんは死んだ
帰り際、書記ジェンキンスは、ダイアモンド氏には息子がいたと明かす
ジェンキンス:ブラックボーイ亭で8時に会おう
●6 シードさん
エレベーターを動かす小男シードはウィリアムに興味を持ち
ブラックボーイ亭に案内すると言って6ペンス要求する
●7 ブラックボーイ亭
入り口に黒人少年の木の人形があり、店の常連が連絡をとりあう伝言の役目をしている
ジェンキンスはロビンソンを連れてやって来る
ロビンソンはいつも口笛やハミングで♪ディー川の粉屋 を口ずさんでいる
♪おいらはだれも気にしない
だれもおいらを気にしない
ロビンソン:
アルフレッド・ダイアモンドの息子ジョンは
霧のように現れては消えるため
カンタンには見つからない
ジェンキンスは1万ポンドの秘密を聞き出そうとするが
ウィリアムはクニーの言葉を思い出してはぐらかす
ロビンソン:
明日またここに来たまえ ジョン・ダイアモンドを見つけるのに協力しよう
オレがここにいない時はジミーの所に伝言を置いておく
●8 ハンギングソード横町
ウィリアムはシェリー酒をしこたま飲まされて泥酔し
シードが家まで連れて来て、寝室で目を覚ます
シードの家は父のコーヒー商会の会社の一部で
ツウィス氏が会社を買い、今はクニーが家主
シードに頼まれてカーワディン夫人がウィリアムのシャツと靴下を洗って持ってくる
家が爆発したような音がして、カーワディン夫人は「ボーダーさん、ボーダーさん!」と大声を上げる
シードの家にたくさんの少年が集まっていたが
恐ろしい顔のごろつきどもが蹴散らす
通りでロビンソンの口笛が聞こえる
♪おいらはだれも気にしない だれもおいらを気にしない
●9 横町の隣人たち
カーワディン夫人はウィリアムの上等なシャツや靴下に見惚れて特別視する
夫が行方不明のブランチ夫人はスープとチーズをごちそうする
ブランチ夫人の部屋は古着が至る所にぶらさがっている
カーワディン夫人:
ホワイトフライアーズに入らないように
つばをはく間もなくのどをかっ切られるんですよ
シードの家はたびたび餓鬼どもに襲われるが
ボーダーという斬りこみ隊員を呼べば餓鬼どもののどをかっ切ってくれる
●10 取り逃がした獲物
家に火をつけようとしていた餓鬼の1人がシードに捕まりそうになり
家の中でキツネ狩りのように追い立てられる
ウィリアムは火かき棒を渡されるが、目の前に来た少年を逃がしてあげて
シードはかんかんに怒る
シード:
私はあんたの4倍も年とっていて、40倍も利口だぞ
もしまたあのガキに会ったら、命がけで逃げるんだ
●11 栄光の太陽亭
昨晩の店に行くとロビンソンとすれ違いになる
常連をマネしてジミー人形の頭をなでると印刷インクが手について
髪をかきあげるクセのあるウィリアムの額が黒く汚れる
「J.Dは栄光の太陽亭にいる」という伝言を読む
店に着くと、シードの家を襲った少年が来る
モロッコ革の財布を投げつけて逃げるが
少年たちの目当ては金でなくウィリアムの命
店に落ちている白い名詞を拾うロビンソン
そこには「ジョン・ダイアモンド 秘密探偵」とある
●12 ジョン・ダイアモンド
ジェンキンス、ロビンソンとともにジョンを探し回るが
いつも出て行った後
ジェンキンスは1万ポンドはシードの家にあると疑う
父といっしょに最初に商売を始めた所だから
そしてとうとうロビンソンがジョン・ダイアモンドだと明かす
●13 ロンドン橋
ウィリアムは父が深く後悔していたこと
過去の罪を償いたいとを伝えるが
ジョン・ダイアモンドは父から憎しみを受け継ぎ
20年間ずっと恨みを晴らそうと考え続けてきたことに気づく
ジョン・ダイアモンドは口笛を吹いて、少年たちを集める
●14 夜のあられ
ウィリアムはロンドンの街中を走って逃げる
少年たちは口笛で連絡を取り合い、袋小路に追い詰める
壁がドアになって開き、中に押し込まれ、暗闇の中を歩き回り屋根に着く
案内したのはウィリアムが逃がした少年ショットヘッドだった
●15 屋根の上の世界
ショットヘッドは食べ物をくれて、ジョン・ダイアモンドが人形にインクをつけたと話す
ショットヘッド:ロバソンさんはお前を殺したかったんだ
ショットヘッドが壁の中に手を入れると、時計、指輪などの宝物がわんさと出てくる
彼が本当に欲しいのはセントポール寺院のてっぺんにある金の十字架ではないかと思う
ショットヘッドが“いただき”と呼ぶスリをしている間
ウィリアムは屋根の上で女に頼まれて赤ん坊の世話をして過ごす
ウィリアムはショットヘッドに実家や父のことなど全部話して聞かせる
代わりにショットヘッドは日中の下界の冒険を話す
ウィリアムの金の懐中時計をぎりぎり巻いて壊してしまうが
中からメモが出て来る
「クラブ・コテッジ ライムハウス巣窟」
そうしてウィリアムの屋根の上の生活は終わった
●16 地上へ
屋根からおりると、口笛の歌が聞こえてきて
ショットヘッドは少年たちにつかまる
ジョン・ダイアモンド:会えてよかった ウィリアム・ジョーンズ
ウィリアムはジョンの手首に噛みつき、「ボーダーさん! ボーダーさん!」と呼ぶと
巨大な男たちが現れる
●17 ふたたびシードさんの家
頭をケガしたウィリアムは、シードになにもかも話す
みんなで日曜の教会に行くと、匿名の手紙をもらう
「悪意ある者は今日、ハーフォードに向けて旅立った」
シード:
ジェンキンスに間違いない
ジョン・ダイアモンドがハーフォードに出かけたということだ
●18 ライムハウス巣窟
ウィリアムとシードが行くと、クニーと老紳士がトランプの賭けをしている
これまでのことを話し、ジョン・ダイアモンドになにもかも返すと言うと
目の前の老紳士がアルフレッド・ダイアモンド氏だと分かる
●19 消えた1万ポンド
クニー:
1万ポンドなど昔からなかったんだ
子どもと愚か者は隠された宝を夢見るのが常だ
会社をツウィス氏に売った際、シードが住む家だけが漏れた
その価値は2000ポンドほど
クニー:夢のままにしておくかね それとも現金にするか?
ウィリアム:夢のままにしておきます
ダイアモンド:
息子が乱暴してすまなかった
憎しみの種をまかなければ、まったく違った男になったかもしれん
わしが悪かったのだ
ロビンソンがウィリアムの実家に行った手紙を渡すと
ダイアモンド氏は馬車で行けばまだ間に合うと悲鳴を上げる
クニー:一家皆殺しの罪をあんたは自分で負う気か?
●20 火の中の男
夜中に実家に着くと、家は燃え上がり、焼け落ちようとしていた
2人の姉、母、ターナー叔父らはみんな無事
アリス夫人が夜中に口笛を聞いたのがきっかけだった
ジョン・ダイアモンドが火の海の中にいるのを見つけて
ウィリアムは火事の中に入り、ジョンを外まで引っ張り出す
シード:君はもうあのため息も足音も聞くことはないだろう
●21 腐ったりんご
朝方、火は消し止められた
フィッシャー先生はジョンを診て、絶対安静だが大丈夫だという
クニー:
善は善を生むよりはるかに容易に、悪は悪を生みます
腐ったりんごを1個、いいりんごの詰まった樽に入れたら、残らず腐るんです
この世に法ほど不自然なものはない
ウィリアムはジョンを見舞う
ジョン:握手はしないが許してくれ
●22 子どもと愚か者は・・・
焼け残りの部屋に家族で住み、ターナー叔父は祖母の家に戻った
ターナー叔父:あいつを俺の所に半年ほどよこしさえしたら・・・
母:そうしなくてよかった あの子も兄さんみたいな人間になっていたでしょうから
ショットヘッドは生きていて、屋根の上で聞いたウィリアムの住所を探して家に来る
彼が命の恩人だと知って、母はセスと名付けて家に置く
ウィリアムとショットヘッドは屋根の上の地図を作る
宝はほんとうにあるんだ 僕はそのありかを知っている
■訳者あとがき
本書は冒険を通じて少年が成長する物語
18世紀を背景にしていると思われる
♪ディー川の粉屋 は古いイングランドの民謡