昭和58年初版 平成7年 新装版発行 山下喬子/訳・文 アリマ・ジュンコ/絵
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
新装版の「少年少女世界名作全集」シリーズは
取り上げている作品がちょっとずつ違うから
こちらも制覇したい
活発でいたずら好きなケティがケガをして動けなくなることで
周りに気遣いする“優しい、いい子”になる物語
昭和のオモチャみたいなイラストがカワイイ
アリマ・ジュンコ
1949年東京生まれ
学生時代より雑誌の挿絵を描き始める
『雪の女王』『きつねバス』ほか
【内容抜粋メモ】
登場人物
ケティ・カー 12歳
クローバー、エルシー、ドリー、ジョアンナ、フィル
イジーおばさま 父の妹
お手伝いのメアリー
セシー 隣りの少女
いとこのヘレン
●イジーおばさま
アメリカのバーネット
12歳のケティは遊ぶのが大好きで、毎日のようにドレスを汚したり、破いたりして
なんでもきちんとしていていないと気がすまないイジーおばさまにいつも怒られる
母はフィルが産まれてすぐ病気で亡くなり
父は医者でいつも忙しいため、父の妹のイジーおばさまが6人きょうだいの世話をしている
父は子どもをのびのびと育てる方針
●おもしろいあそび
子どもたちが好きなあそび場は氷室の屋根にのぼること
森の中には“おとぎの国”がある
ケティは物語りを話すのが上手くて、子どもたちは夢中で聴く
“おとなになったら”という遊びで、みんな将来なにになりたいかを話す
ケティはナイチンゲールのような看護婦や優れた芸術家などで
みんなに褒められる立派な人になりたいと思っているが
実際は怒られてばかり
●ナイト校とミラー校
朝、イジーおばさまがケティの帽子のあごひもをピンで留めて
さらに学校に遅刻して、授業中のおしゃべりで立たされて踏んだり蹴ったり
隣り同士のナイト校とミラー校はとても仲が悪く
薪小屋の屋根で強い風が吹いて、帽子がミラー校の運動場に飛んで
慌てて拾うと、無断で入るなとケンカを売られる
●川ごっこあそび
ミラー校の生徒を言い負かしたお祝いに川ごっこを思いつき
大騒ぎしていると、校長が来て叱り
今後3週間は休み時間も教室で座っているよう命令する
●1本のくぎの話
ケティ:どうして、いい日とわるい日があるのかしら?
父は国がなくなったのは、くぎが1本なかったせいという話を聞かせる
隣国と戦争になり、馬のていてつの釘が抜けていたため走れず
兵隊は馬に乗れず、戦うことができず、国がなくなった
ケティ:私が早く帽子のひもをつけていたら、遅刻もしなかったんだわ
イジーおばさまが留守の日に、家で鬼ごっこをして大暴れしたため叱られる
父:
お母さんが亡くなった時、ケティが大きくなったら、お母さん代わりに
きょうだいの面倒をみてあげてと頼まれたのを忘れたのかい?
●なかよしがいっぱい
ケティは素直な物怖じしない性格のため、誰とでもすぐ仲良くなる
刑務所の囚人や、みんな気味悪がって近づかないスペンサー夫人とも仲良くなり
後に、夫が大どろぼうだと分かったこともある
●気取りやのともだち
学校に越してきたイモジェンともすぐ仲良くなるが
ケティが思いつく遊びは野蛮だと言ってやらないし
話すのは自分のことばかり
父:
お前は誰ともすぐ仲良くなる
そんなところが好きだけれども
そんな思いやりを分かってくれない友だちもいるんだよ
●ヘレンのおとずれ
8週間の夏休みが始まり、いとこのヘレンが来る
足の病気で寝たきりなのに、いつも明るく、みんなに優しいため
“聖者のような病人”だと思い、みんな大好きになる
病人なのに全然陰気じゃなく、オシャレだと話すと
セシー:病人のくせにオシャレなんて間違ってるんじゃない?
ヘレン:
病気になると気分が暗くなるから周りも不愉快にしてしまう
だから私はなるべくキレイにして、気持ちよくいられるよう心がけているの
アレックスと婚約していたが、一生、病人に縛りつけておくのは可哀想だと思い
いい人を見つけて結婚してほしいと頼んだ
アレックスはその通りにして、奥さんのエンマとも仲が良い
産まれた女の子にヘレンと名付けた
最後の日にはみんなにプレゼントをくれて、みんな感激する
●きょうだいげんか
ケティは朝からいら立って、ヘレンからもらった大事な花びんを割ってしまう
エルシーはヘレンに手紙を書いたと言って見せるが
石板に切手を貼っていて呆れる
2人はケンカになり、押した勢いで、エルシーは階段から落ちて
イジーおばさまにまた叱られる
ケティはぶらんこに乗って、憂さ晴らしするが
壊れていたため、すごい勢いで落ちて
気づいたら長いすに寝かされている
痛みで立てず、めまいがして、数日寝ていなきゃならずガッカリする
エルシーが横で葉であおぎ、お見舞いに人形などを飾ってくれていて
今朝冷たくしたことを反省して泣いて謝る
●ベッドにねたきり
1週間過ぎてもよくならず、専門医が呼ばれ
背中を強く打って神経を痛めたと分かる
ケティはしだいに怒りっぽくなり、絶望し、みんな寄りつかなくなる
●神さまの学校で
ヘレンが来て、ケティが痩せ細り、部屋も陰気で乱れているのを見て驚く
ケティ:私はいろんなことがしたいのに、すっかり良くなるまでなにも出来ない
ヘレン:なぜ、よくならなければ何もできないと思うの?
ヘレンは“神さまの学校”について話す
最初は「がまん」の授業から始まり、「よろこび」「お日さま」が先生
毎朝起きたら「私は良くなる」と言い聞かせて
今日を楽しく美しく過ごすこと
ヘレンも子どもの頃はおてんばだったけれども
事故に遭い、歩くことができなくなった
面倒をみてくれる人もいなくて、部屋は散らかり放題
それを見た父が、片付けて喜ばせてほしと言い
最初は面倒だったが、やりはじめると次第に片付いてないと気持ちが悪くなった
部屋が明るくなると、みんなが来たがるようになる
嬉しい時、悲しい時になんでも相談するようになる
“神さまの学校”は、いつも先生がそばにいてくれて
困った時にどうすればいいか教えてくれる
●おばさまのかわりに
その年のクリスマスは、みんなケティの部屋に集まって
いつもより楽しく過ごした
クローバーは銀の鈴をプレゼントして
なにか用事がある時に鳴らして呼べるようになる
その後、イジーおばさまがチフスにかかり、急死してしまった
ケティはそれまでずっと世話になっていたことを痛感する
家のことを自分にやらせてほしいと父に頼む
料理の献立を毎日変えて指示したり、裁縫の本を読み、つくろいもする
●すばらしい日
2年後、ケティは車いすで部屋を移動できるようになり
ある日、急に立てるようになった
その日から少しずつ練習して、亡くなった母の誕生日の9月8日に
2階から1階に行くと、ヘレンも来ていて一緒に喜んでくれる
ケティ:みんな、あなたのお陰なの
ヘレン:あなたはほんとうにいい子になった
■解説
スーザン・クーリッジ
1835年 アメリカ生まれ
本名はセーラ・チョンシー・ウールジー
1871年 36歳で初めて本を書き、翌年発表した本作は大好評となる
オルコットと並び、アメリカに新しい少女小説を生み出した作家
原題は『ケティがしたこと』
『ケティが学校でしたこと』
『つぎにケティがしたこと』の三部作
自分の力で自分を励まし、物事をいいほうに解釈して
絶望を希望にかえる努力をしなければならないと説く
自分がケガをしたことで、体の不自由な人の苦しみが分かり
長い人生にはいいことも、つらいこともあり
どんな困難も乗り越える勇気と忍耐が必要だと伝える
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
新装版の「少年少女世界名作全集」シリーズは
取り上げている作品がちょっとずつ違うから
こちらも制覇したい
活発でいたずら好きなケティがケガをして動けなくなることで
周りに気遣いする“優しい、いい子”になる物語
昭和のオモチャみたいなイラストがカワイイ
アリマ・ジュンコ
1949年東京生まれ
学生時代より雑誌の挿絵を描き始める
『雪の女王』『きつねバス』ほか
【内容抜粋メモ】
登場人物
ケティ・カー 12歳
クローバー、エルシー、ドリー、ジョアンナ、フィル
イジーおばさま 父の妹
お手伝いのメアリー
セシー 隣りの少女
いとこのヘレン
●イジーおばさま
アメリカのバーネット
12歳のケティは遊ぶのが大好きで、毎日のようにドレスを汚したり、破いたりして
なんでもきちんとしていていないと気がすまないイジーおばさまにいつも怒られる
母はフィルが産まれてすぐ病気で亡くなり
父は医者でいつも忙しいため、父の妹のイジーおばさまが6人きょうだいの世話をしている
父は子どもをのびのびと育てる方針
●おもしろいあそび
子どもたちが好きなあそび場は氷室の屋根にのぼること
森の中には“おとぎの国”がある
ケティは物語りを話すのが上手くて、子どもたちは夢中で聴く
“おとなになったら”という遊びで、みんな将来なにになりたいかを話す
ケティはナイチンゲールのような看護婦や優れた芸術家などで
みんなに褒められる立派な人になりたいと思っているが
実際は怒られてばかり
●ナイト校とミラー校
朝、イジーおばさまがケティの帽子のあごひもをピンで留めて
さらに学校に遅刻して、授業中のおしゃべりで立たされて踏んだり蹴ったり
隣り同士のナイト校とミラー校はとても仲が悪く
薪小屋の屋根で強い風が吹いて、帽子がミラー校の運動場に飛んで
慌てて拾うと、無断で入るなとケンカを売られる
●川ごっこあそび
ミラー校の生徒を言い負かしたお祝いに川ごっこを思いつき
大騒ぎしていると、校長が来て叱り
今後3週間は休み時間も教室で座っているよう命令する
●1本のくぎの話
ケティ:どうして、いい日とわるい日があるのかしら?
父は国がなくなったのは、くぎが1本なかったせいという話を聞かせる
隣国と戦争になり、馬のていてつの釘が抜けていたため走れず
兵隊は馬に乗れず、戦うことができず、国がなくなった
ケティ:私が早く帽子のひもをつけていたら、遅刻もしなかったんだわ
イジーおばさまが留守の日に、家で鬼ごっこをして大暴れしたため叱られる
父:
お母さんが亡くなった時、ケティが大きくなったら、お母さん代わりに
きょうだいの面倒をみてあげてと頼まれたのを忘れたのかい?
●なかよしがいっぱい
ケティは素直な物怖じしない性格のため、誰とでもすぐ仲良くなる
刑務所の囚人や、みんな気味悪がって近づかないスペンサー夫人とも仲良くなり
後に、夫が大どろぼうだと分かったこともある
●気取りやのともだち
学校に越してきたイモジェンともすぐ仲良くなるが
ケティが思いつく遊びは野蛮だと言ってやらないし
話すのは自分のことばかり
父:
お前は誰ともすぐ仲良くなる
そんなところが好きだけれども
そんな思いやりを分かってくれない友だちもいるんだよ
●ヘレンのおとずれ
8週間の夏休みが始まり、いとこのヘレンが来る
足の病気で寝たきりなのに、いつも明るく、みんなに優しいため
“聖者のような病人”だと思い、みんな大好きになる
病人なのに全然陰気じゃなく、オシャレだと話すと
セシー:病人のくせにオシャレなんて間違ってるんじゃない?
ヘレン:
病気になると気分が暗くなるから周りも不愉快にしてしまう
だから私はなるべくキレイにして、気持ちよくいられるよう心がけているの
アレックスと婚約していたが、一生、病人に縛りつけておくのは可哀想だと思い
いい人を見つけて結婚してほしいと頼んだ
アレックスはその通りにして、奥さんのエンマとも仲が良い
産まれた女の子にヘレンと名付けた
最後の日にはみんなにプレゼントをくれて、みんな感激する
●きょうだいげんか
ケティは朝からいら立って、ヘレンからもらった大事な花びんを割ってしまう
エルシーはヘレンに手紙を書いたと言って見せるが
石板に切手を貼っていて呆れる
2人はケンカになり、押した勢いで、エルシーは階段から落ちて
イジーおばさまにまた叱られる
ケティはぶらんこに乗って、憂さ晴らしするが
壊れていたため、すごい勢いで落ちて
気づいたら長いすに寝かされている
痛みで立てず、めまいがして、数日寝ていなきゃならずガッカリする
エルシーが横で葉であおぎ、お見舞いに人形などを飾ってくれていて
今朝冷たくしたことを反省して泣いて謝る
●ベッドにねたきり
1週間過ぎてもよくならず、専門医が呼ばれ
背中を強く打って神経を痛めたと分かる
ケティはしだいに怒りっぽくなり、絶望し、みんな寄りつかなくなる
●神さまの学校で
ヘレンが来て、ケティが痩せ細り、部屋も陰気で乱れているのを見て驚く
ケティ:私はいろんなことがしたいのに、すっかり良くなるまでなにも出来ない
ヘレン:なぜ、よくならなければ何もできないと思うの?
ヘレンは“神さまの学校”について話す
最初は「がまん」の授業から始まり、「よろこび」「お日さま」が先生
毎朝起きたら「私は良くなる」と言い聞かせて
今日を楽しく美しく過ごすこと
ヘレンも子どもの頃はおてんばだったけれども
事故に遭い、歩くことができなくなった
面倒をみてくれる人もいなくて、部屋は散らかり放題
それを見た父が、片付けて喜ばせてほしと言い
最初は面倒だったが、やりはじめると次第に片付いてないと気持ちが悪くなった
部屋が明るくなると、みんなが来たがるようになる
嬉しい時、悲しい時になんでも相談するようになる
“神さまの学校”は、いつも先生がそばにいてくれて
困った時にどうすればいいか教えてくれる
●おばさまのかわりに
その年のクリスマスは、みんなケティの部屋に集まって
いつもより楽しく過ごした
クローバーは銀の鈴をプレゼントして
なにか用事がある時に鳴らして呼べるようになる
その後、イジーおばさまがチフスにかかり、急死してしまった
ケティはそれまでずっと世話になっていたことを痛感する
家のことを自分にやらせてほしいと父に頼む
料理の献立を毎日変えて指示したり、裁縫の本を読み、つくろいもする
●すばらしい日
2年後、ケティは車いすで部屋を移動できるようになり
ある日、急に立てるようになった
その日から少しずつ練習して、亡くなった母の誕生日の9月8日に
2階から1階に行くと、ヘレンも来ていて一緒に喜んでくれる
ケティ:みんな、あなたのお陰なの
ヘレン:あなたはほんとうにいい子になった
■解説
スーザン・クーリッジ
1835年 アメリカ生まれ
本名はセーラ・チョンシー・ウールジー
1871年 36歳で初めて本を書き、翌年発表した本作は大好評となる
オルコットと並び、アメリカに新しい少女小説を生み出した作家
原題は『ケティがしたこと』
『ケティが学校でしたこと』
『つぎにケティがしたこと』の三部作
自分の力で自分を励まし、物事をいいほうに解釈して
絶望を希望にかえる努力をしなければならないと説く
自分がケガをしたことで、体の不自由な人の苦しみが分かり
長い人生にはいいことも、つらいこともあり
どんな困難も乗り越える勇気と忍耐が必要だと伝える