1972年初版 1981年17刷 谷村まち子/編著
山下一徳/カバー図案 辰巳まさ江/カバー絵・口絵・挿絵
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
心正しく生きていれば、神さまが助けてくれるという
いかにも僧侶が書いた宗教的な物語
【内容抜粋メモ】
登場人物
メリー 14歳の少女
ヤコブ 庭づくり、かごづくりを生業とする父
アメリア 伯爵家のお嬢さん
ジュリエット 伯爵家の侍女
●父とむすめ
ドイツの小さな村テルボルグに美しい庭があり
14歳の少女メリーに花束をつくってもらう子どもたち
母は4歳の時に亡くなり、父は庭師とかごづくりを生業としている
●誕生日のプレゼント
近くの森へかごに使う小枝を探しに行き、スズランを摘んでいると
伯爵夫人と娘のアメリアがくる
日ごろ父がお世話になっているお礼にスズランをあげると
アメリアを訪ねに城に遊びに来てと誘う
アメリアはメリーを妹のように感じ、城に一緒に住んでほしいと思っている
アメリアの誕生日に父が編んだかごをプレゼントしようと考え
父はかごにアメリアの頭文字を編みこんであげる
こんなキレイなものを見たことがない、と感激したアメリアは
母に相談して、もう着なくなったドレスをプレゼントする
侍女のジュリエットは、これまでずっとアメリアのおさがりをもらっていたのに
このごろはメリーが独占してしまっていることを妬み、メリーを憎む
父:
こういう立派なものをもらうと、妬む人が出るかもしれない
もっと困るのは、お前の心からつつましさがなくなることだ
●なくなった指輪
アメリアが血相変えてメリーの家に来る
母のダイヤモンドの指輪がなくなり、部屋に1人でいたメリーを疑う
父:人のものを盗めば死刑になるのだよ
メリー:私はとっていないことを神さまの前に誓います
父とアメリアはメリーを信じるが、役人に取り調べられる
指輪の噂は小さな村中に広がり、父娘に同情する
●ろうやの中
メリーは牢に入れられる
神に祈ると、小さな窓から月のあかりが差し込む
メリー:
私にかけられた疑いも月にかかる雲と同じ
いつかはきっと疑いも晴れるでしょう
裁判所では裁判長から責め立てられ、ジュリエットは
メリーが指輪をはめているのを見たとウソの証言をしたため
強情に無罪を訴えるメリーをムチで打つ
裁判長:
指輪がどこにあるか白状すれば罰しないことにしよう
隠し続けるならお父さんまで死刑になるぞ
メリー:
私はウソを言いたくありません
本当のことを言って死刑になるなら、喜んで死にます
でも父は助けてあげてください
●かなしい対面
もう一度詳しく調べたが、メリーを救う事実はなく
裁判長は同情して、父を訪ね、メリーを説得するよう命令する
父:
私はお前を信じている
お前は天国できっと幸せになれるだろう
けしてジュリエットを恨んではいけないよ
わしもすぐに天国に行くから、そこで会うことにしよう
●ほんとうの友だち
伯爵一家もメリーを心配して、裁判官に言って、死刑ではなく感化院に入れ
ヤコブはこの地方から追放とする
アメリアは悲しい思い出の花かごを見るのがツラクて
ジュリエットに見えない所にやってくれと頼む
ジュリエットはメリーがもう城に来れなくなったのを喜び
メリーとヤコブが村を出て行く時、花かごをつき返す
メリーはアメリアにも嫌われたと思う
頼る者もなく、旅するお金もなく歩いていると
ヤコブの友人で猟師のアンソニーと会い、杖と少しの金を渡す
父:神さまがもう私たちに必要なものをお与えくださった
●しんせつな人びと
親子は物乞いをしながら歩き、怒鳴られ、冷たく断られることもあった
父は疲れきって道端で倒れてしまう
メリーは近くの農家に住む老夫婦に助けを求めると
すぐに荷車で運んで、食べ物を与え、まるで夫婦で競争するように親切にしてくれる
老夫婦:困っている時はお互いさまだからね
メリーは裁縫や編み物、農家の仕事を手伝う
回復したヤコブはかごづくりを再開し、おかみさんにもプレゼントする
お礼を言って出て行こうとすると、ずっとこの家にいてもらいたいと頼む老夫婦
●あたらしい生活
おかみさんは村人から新しい注文をとったり、町へ行く時はかごを売ってきてくれる
父とメリーは前と同じ幸せな暮らしを取り戻す
お礼に荒れたままの庭に花木を植えると、春に美しい庭となる
3年目の秋、父は病気がちになる
ヤコブ:
人間も花と同じ、若い時は美しく、誰にも喜ばれるが
しだいに色褪せてしまうものだ
種のように土に埋められるが、また花を咲かせる
私たちの魂も天国によみがえるんだよ
おかみさんが医者を呼ぶが、もうよくならないと言われる
メリーは必ず治ると信じて、夜昼なく看病する
父:
お前はまだ半分も世の中を知らない
私が死んでも、神さまはけしてお前を見捨てはしないだろう
父は形見に祖母からもらった聖書をあげる
真夜中に「天国でまた会おうね」と言ってヤコブは亡くなる
ヤコブはこの地方の人ではないため、教会の墓地ではなく
はずれの2本松の間にお墓をつくって葬られた
牧師は老夫婦にメリーの親になってくれと頼む
●いじわるのブリュエンヌ
老夫婦の息子はブリュエンヌと結婚
美人でお金持ちを自慢にして、老夫婦を邪魔扱いし、夫をバカにする
生前、ヤコブはブリュエンヌと結婚させたら不幸になるとアドバイスしたが
老夫婦:1万フロリンという財産は相当なものじゃありませんか
ヤコブ:
お金をたくさん持つのは、けして幸福なことではないんですよ
私たちの生活に雨は必要ですが、あまり多いと作物をダメにし、川があふれる危険もある
花がミツバチに蜜を吸わせるように、人間も周りの役に立つ人でなくてはいけない
ただ美しいだけではダメなのです
メリーも厄介者と呼ばれ、女中のようにこき使われる
教会の牧師に相談すると、いつか神さまが救う日を待つように言われる
●家なき少女
父の誕生日に思い出の花かごに花をもってお墓に飾る
ブリュエンヌは、小川にさらしておいた上等な麻の布がなくなっているのを
メリーのせいにする
ブリュエンヌ:お前のような泥棒は出ておいき!
メリーは小さな包みをもって、家を出るが、あてもなく、父のお墓に行って泣きふせる
●みつかった指輪
メリー:神さま、どうぞ、私の行くべき道をお教えください
女性に声をかけられて、振り向くとアメリアだった
アメリア:
神さまのお導きですよ
あなたの無実が分かったのです
城の庭の真ん中にあるナシの木が嵐で倒れそうになり伐り倒すと
2人の弟はカササギの巣からダイヤモンドの指輪を見つけた
アンソニー:カササギは光るものが好きで巣に持ちかえる
ジュリエットはウソがバレて、妬みからの仕業と分かり
怒った伯爵はメリー同様、鎖でつなぎ、国から追い払えと命令する
裁判官も事実を知って深く後悔する
裁判官:
無実の人を罪に落としたのは大きな罪です
嵐は神が起こしたものでしょう
●思い出の花かご
伯爵一家はたくさんの人を使ってメリーとヤコブを探した
ある時、用事があって、ある地方に寄り、アメリアは友人と散歩していると
墓地に美しく花が飾られているお墓があると聞いて立ち寄り
あの花かごを見つけて、メリーが松の木農場にいると知る
伯爵一家は、明日、都へ発つため、友人が呼びに行くがメリーが出て行った後
教会の牧師は、父の墓にいるだろうと教えて、メリーと再会することができた
アメリア:これからは私の家族として暮らすのよ
伯爵夫婦は大喜びでメリーを迎え、体にピッタリのドレス一式をプレゼントする
老夫婦にもお礼に行くと泣いて喜ぶ
伯爵はブリュエンヌの憎しみに気づき
メリーたちがもと住んでいた家に住まないかと老夫婦に提案する
ブリュエンヌは老夫婦を厄介払いできると喜ぶが
御者が出発前に伯爵からの手紙を渡し
年に4回、老夫婦の生活費をおさめないと罰金をとるとあり
ブリュエンヌ:私は大損をしてしまった! と地団駄を踏む
その後、お金を預けていた商人が仕事に失敗して、財産をすべてなくし
ショックで病気になる
牧師:
あなたの考え方は間違っていた
いくらお金があっても人間は幸せになれるものじゃない
ブリュエンヌはその後まもなく亡くなる
●かれたバラ
ある日、牧師がメリーを訪ねて、名前は明かせないが
死ぬ前に会いたいという女性がいると頼む
狭い横町の陰気な家を訪ねると、骸骨のように瘠せたジュリエットが寝ている
ジュリエット:死ぬ前にお詫びがしたかった
メリー:ずっと前にすべて許しました
メリーはなんとかジュリエットを助けたいと伯爵夫婦に相談し
病人に必要なものを届けさせるが、ジュリエットは23歳で亡くなる
●故郷へかえったメリー
春になり、伯爵一家はまたテルボルグの城に来る
メリーはみんなに歓迎される
翌朝いちばんに昔の家を訪ねると、老夫婦が幸せに暮らしていて
家の中もそのまま残してある
いつかの裁判官が訪ねて来て、息子のフレデリックが結婚したがっていると頼む
村でも優しく好かれている青年で、メリーは承諾する
伯爵夫人はお祝いにいつかのダイヤモンドの指輪をあげる
思い出の花かごは、メリーの少女時代の記念にいつまでも大切に飾ることにする
父のお墓も新しく建て替え、村の名物の1つとなる
■解説
クリストフ・フォン・シュミット(1768~1854)
ドイツのカソリック僧侶で神学者
子どものために書いた『聖書物語』はたくさんの人に読まれている
本書で父のヤコブはメリーに3つのことを教えた
1.神さまを敬うこと
2.人に真心を尽くすこと
3.よく働くこと
人にいつも親切にしていれば、自分が困った時、苦しい時に
必ず誰かが助けてくれる、ということ
そして、自然の美しさをつくった神を崇拝するよう導いた
山下一徳/カバー図案 辰巳まさ江/カバー絵・口絵・挿絵
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
心正しく生きていれば、神さまが助けてくれるという
いかにも僧侶が書いた宗教的な物語
【内容抜粋メモ】
登場人物
メリー 14歳の少女
ヤコブ 庭づくり、かごづくりを生業とする父
アメリア 伯爵家のお嬢さん
ジュリエット 伯爵家の侍女
●父とむすめ
ドイツの小さな村テルボルグに美しい庭があり
14歳の少女メリーに花束をつくってもらう子どもたち
母は4歳の時に亡くなり、父は庭師とかごづくりを生業としている
●誕生日のプレゼント
近くの森へかごに使う小枝を探しに行き、スズランを摘んでいると
伯爵夫人と娘のアメリアがくる
日ごろ父がお世話になっているお礼にスズランをあげると
アメリアを訪ねに城に遊びに来てと誘う
アメリアはメリーを妹のように感じ、城に一緒に住んでほしいと思っている
アメリアの誕生日に父が編んだかごをプレゼントしようと考え
父はかごにアメリアの頭文字を編みこんであげる
こんなキレイなものを見たことがない、と感激したアメリアは
母に相談して、もう着なくなったドレスをプレゼントする
侍女のジュリエットは、これまでずっとアメリアのおさがりをもらっていたのに
このごろはメリーが独占してしまっていることを妬み、メリーを憎む
父:
こういう立派なものをもらうと、妬む人が出るかもしれない
もっと困るのは、お前の心からつつましさがなくなることだ
●なくなった指輪
アメリアが血相変えてメリーの家に来る
母のダイヤモンドの指輪がなくなり、部屋に1人でいたメリーを疑う
父:人のものを盗めば死刑になるのだよ
メリー:私はとっていないことを神さまの前に誓います
父とアメリアはメリーを信じるが、役人に取り調べられる
指輪の噂は小さな村中に広がり、父娘に同情する
●ろうやの中
メリーは牢に入れられる
神に祈ると、小さな窓から月のあかりが差し込む
メリー:
私にかけられた疑いも月にかかる雲と同じ
いつかはきっと疑いも晴れるでしょう
裁判所では裁判長から責め立てられ、ジュリエットは
メリーが指輪をはめているのを見たとウソの証言をしたため
強情に無罪を訴えるメリーをムチで打つ
裁判長:
指輪がどこにあるか白状すれば罰しないことにしよう
隠し続けるならお父さんまで死刑になるぞ
メリー:
私はウソを言いたくありません
本当のことを言って死刑になるなら、喜んで死にます
でも父は助けてあげてください
●かなしい対面
もう一度詳しく調べたが、メリーを救う事実はなく
裁判長は同情して、父を訪ね、メリーを説得するよう命令する
父:
私はお前を信じている
お前は天国できっと幸せになれるだろう
けしてジュリエットを恨んではいけないよ
わしもすぐに天国に行くから、そこで会うことにしよう
●ほんとうの友だち
伯爵一家もメリーを心配して、裁判官に言って、死刑ではなく感化院に入れ
ヤコブはこの地方から追放とする
アメリアは悲しい思い出の花かごを見るのがツラクて
ジュリエットに見えない所にやってくれと頼む
ジュリエットはメリーがもう城に来れなくなったのを喜び
メリーとヤコブが村を出て行く時、花かごをつき返す
メリーはアメリアにも嫌われたと思う
頼る者もなく、旅するお金もなく歩いていると
ヤコブの友人で猟師のアンソニーと会い、杖と少しの金を渡す
父:神さまがもう私たちに必要なものをお与えくださった
●しんせつな人びと
親子は物乞いをしながら歩き、怒鳴られ、冷たく断られることもあった
父は疲れきって道端で倒れてしまう
メリーは近くの農家に住む老夫婦に助けを求めると
すぐに荷車で運んで、食べ物を与え、まるで夫婦で競争するように親切にしてくれる
老夫婦:困っている時はお互いさまだからね
メリーは裁縫や編み物、農家の仕事を手伝う
回復したヤコブはかごづくりを再開し、おかみさんにもプレゼントする
お礼を言って出て行こうとすると、ずっとこの家にいてもらいたいと頼む老夫婦
●あたらしい生活
おかみさんは村人から新しい注文をとったり、町へ行く時はかごを売ってきてくれる
父とメリーは前と同じ幸せな暮らしを取り戻す
お礼に荒れたままの庭に花木を植えると、春に美しい庭となる
3年目の秋、父は病気がちになる
ヤコブ:
人間も花と同じ、若い時は美しく、誰にも喜ばれるが
しだいに色褪せてしまうものだ
種のように土に埋められるが、また花を咲かせる
私たちの魂も天国によみがえるんだよ
おかみさんが医者を呼ぶが、もうよくならないと言われる
メリーは必ず治ると信じて、夜昼なく看病する
父:
お前はまだ半分も世の中を知らない
私が死んでも、神さまはけしてお前を見捨てはしないだろう
父は形見に祖母からもらった聖書をあげる
真夜中に「天国でまた会おうね」と言ってヤコブは亡くなる
ヤコブはこの地方の人ではないため、教会の墓地ではなく
はずれの2本松の間にお墓をつくって葬られた
牧師は老夫婦にメリーの親になってくれと頼む
●いじわるのブリュエンヌ
老夫婦の息子はブリュエンヌと結婚
美人でお金持ちを自慢にして、老夫婦を邪魔扱いし、夫をバカにする
生前、ヤコブはブリュエンヌと結婚させたら不幸になるとアドバイスしたが
老夫婦:1万フロリンという財産は相当なものじゃありませんか
ヤコブ:
お金をたくさん持つのは、けして幸福なことではないんですよ
私たちの生活に雨は必要ですが、あまり多いと作物をダメにし、川があふれる危険もある
花がミツバチに蜜を吸わせるように、人間も周りの役に立つ人でなくてはいけない
ただ美しいだけではダメなのです
メリーも厄介者と呼ばれ、女中のようにこき使われる
教会の牧師に相談すると、いつか神さまが救う日を待つように言われる
●家なき少女
父の誕生日に思い出の花かごに花をもってお墓に飾る
ブリュエンヌは、小川にさらしておいた上等な麻の布がなくなっているのを
メリーのせいにする
ブリュエンヌ:お前のような泥棒は出ておいき!
メリーは小さな包みをもって、家を出るが、あてもなく、父のお墓に行って泣きふせる
●みつかった指輪
メリー:神さま、どうぞ、私の行くべき道をお教えください
女性に声をかけられて、振り向くとアメリアだった
アメリア:
神さまのお導きですよ
あなたの無実が分かったのです
城の庭の真ん中にあるナシの木が嵐で倒れそうになり伐り倒すと
2人の弟はカササギの巣からダイヤモンドの指輪を見つけた
アンソニー:カササギは光るものが好きで巣に持ちかえる
ジュリエットはウソがバレて、妬みからの仕業と分かり
怒った伯爵はメリー同様、鎖でつなぎ、国から追い払えと命令する
裁判官も事実を知って深く後悔する
裁判官:
無実の人を罪に落としたのは大きな罪です
嵐は神が起こしたものでしょう
●思い出の花かご
伯爵一家はたくさんの人を使ってメリーとヤコブを探した
ある時、用事があって、ある地方に寄り、アメリアは友人と散歩していると
墓地に美しく花が飾られているお墓があると聞いて立ち寄り
あの花かごを見つけて、メリーが松の木農場にいると知る
伯爵一家は、明日、都へ発つため、友人が呼びに行くがメリーが出て行った後
教会の牧師は、父の墓にいるだろうと教えて、メリーと再会することができた
アメリア:これからは私の家族として暮らすのよ
伯爵夫婦は大喜びでメリーを迎え、体にピッタリのドレス一式をプレゼントする
老夫婦にもお礼に行くと泣いて喜ぶ
伯爵はブリュエンヌの憎しみに気づき
メリーたちがもと住んでいた家に住まないかと老夫婦に提案する
ブリュエンヌは老夫婦を厄介払いできると喜ぶが
御者が出発前に伯爵からの手紙を渡し
年に4回、老夫婦の生活費をおさめないと罰金をとるとあり
ブリュエンヌ:私は大損をしてしまった! と地団駄を踏む
その後、お金を預けていた商人が仕事に失敗して、財産をすべてなくし
ショックで病気になる
牧師:
あなたの考え方は間違っていた
いくらお金があっても人間は幸せになれるものじゃない
ブリュエンヌはその後まもなく亡くなる
●かれたバラ
ある日、牧師がメリーを訪ねて、名前は明かせないが
死ぬ前に会いたいという女性がいると頼む
狭い横町の陰気な家を訪ねると、骸骨のように瘠せたジュリエットが寝ている
ジュリエット:死ぬ前にお詫びがしたかった
メリー:ずっと前にすべて許しました
メリーはなんとかジュリエットを助けたいと伯爵夫婦に相談し
病人に必要なものを届けさせるが、ジュリエットは23歳で亡くなる
●故郷へかえったメリー
春になり、伯爵一家はまたテルボルグの城に来る
メリーはみんなに歓迎される
翌朝いちばんに昔の家を訪ねると、老夫婦が幸せに暮らしていて
家の中もそのまま残してある
いつかの裁判官が訪ねて来て、息子のフレデリックが結婚したがっていると頼む
村でも優しく好かれている青年で、メリーは承諾する
伯爵夫人はお祝いにいつかのダイヤモンドの指輪をあげる
思い出の花かごは、メリーの少女時代の記念にいつまでも大切に飾ることにする
父のお墓も新しく建て替え、村の名物の1つとなる
■解説
クリストフ・フォン・シュミット(1768~1854)
ドイツのカソリック僧侶で神学者
子どものために書いた『聖書物語』はたくさんの人に読まれている
本書で父のヤコブはメリーに3つのことを教えた
1.神さまを敬うこと
2.人に真心を尽くすこと
3.よく働くこと
人にいつも親切にしていれば、自分が困った時、苦しい時に
必ず誰かが助けてくれる、ということ
そして、自然の美しさをつくった神を崇拝するよう導いた