メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

世界少女名作全集 2 若草物語 ルイザ・メイ・オルコット/著 岩崎書店

2024-02-24 13:12:33 | 
1972年初版 1981年 第13刷 白木茂/訳 山中冬児/装幀・口絵 石田武雄/挿絵

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


オルコット作品をひと通り読んで、代表作の本作をもう一度読み返したくなって
この全集の最後に選んだ

初めて読んだのは中学生頃か?
登場人物の人柄や関係性がよく分かった上で読むと
さらに素晴らしい作品として味わえる

ルイザは「自分には少女ものは書けない」と言ったようだが
自身が育った家族を飾らずに書いたことで
世界各国の何世代もの人々に読まれる作品が生まれた

経済的に貧しくても、幸福になれるということが伝わる

ベスの死まで書かれていると思って読んでいたが
峠を越えて、回復したところまで
クリスマスからの1年間の話となっていた

これほどの絆で結ばれた愛する妹を亡くした時はどれほどの喪失感だったろう
それをも乗り越えたルイザはほんとうに強い女性だったと分かる



【内容抜粋メモ】

登場人物
父 デイジー・マーチ

メグ 長女
ジョー 次女
ベス 三女
エミー 四女
ばあや ハンナ

ローリー 隣りの家の少年
ローレンス ローリーの祖父









●4人のきょうだい
ジョー:楽しいクリスマスなのに贈りものがないなんてつまらない








本が大好きなジョーは、マーチおばさんの身の周りの世話をして稼いだお金で本が買いたい
音楽が好きなベスは楽譜、オシャレ好きなメグは絹のドレス
絵を描くのが好きなエミーは色鉛筆が欲しい

父のデイジーは陸軍大佐で、南北戦争当時は牧師として従軍
友だちを助けて財産をなくしたため、一家は貧しい生活をしている

姉妹は母にそれぞれサプライズのプレゼントをしようと計画する
メグは手袋、ジョーは上靴、ベスはハンカチ、エミーは香水


●おとうさんの手紙
母が父からの手紙を読み、子どもたちのことも書いてあって
みんなはすすり泣く


●自分よりも人を愛す
クリスマスの朝 姉妹に母から表紙の色の違う聖書が贈られて感動し
毎朝1章ずつ読もうと決心する

近所のフンメルさん宅は、赤ちゃんが生まれたばかりなのに
母親が病気で、6人の子どもが食べるものもないため朝ごはんを届ける

薪を燃やして部屋を暖め、ごちそうを並べると
「天使のおねえさん」と呼び夢中で食べる姿を見て
自分たちはパンと牛乳だけの朝食でも幸せに満ちる

メグ:これが自分よりも人を愛すということなのね ほんとにいい気持ちだわ


●すばらしいごちそう
母は姉妹からのプレゼントに感動して涙する

夜は友だちを招いて、劇を見せて大喝采を浴びる
その後のごちそうは、見たこともないようなアイスクリーム、ケーキ、ボンボン

隣りのローレンス氏からの贈り物
朝食をフンメル一家にあげたのをハンナが隣りのお手伝いさんに話して
ローレンス氏が感動して、プレゼントしてくれた

孫のローリーは家庭教師と散歩に出る以外は
ずっと家にいて勉強ばかりしている


●舞踏会の招待
ガーディナー奥さんがメグとジョーを舞踏会に招待してくれた
ポプリンの服しかない上、ジョーは背中にレモネードのシミや焦げがある

メグの手袋を片方借りて、目立たないようカーテンの後ろに入ると
ローリーが先にいて、クリスマスのごちそうのお礼を言う







ジョーと同じ15歳で、長いことパリやローマにいた話をする
ダンスも上手で2人で楽しく踊る

メグはかかとの高い舞踏靴で足をくじいてしまう
ローリーはコーヒーをもってきてくれたり、馬車で家まで送ってくれる

ジョーは庭の雪をはいて、隣りへの道をつくる
ローリーは風邪をひいて1週間寝ていたが退屈していると話す

ジョーはベスの子猫を3匹連れてお見舞いに行く
ローリーはいつも窓から姉妹と母の様子を見て、名前も覚えてしまった

ローリー:
あなたがたはいつも楽しそうですね
ほんとうに絵のような美しさです
僕にはお母さまがいなでしょう だから

ジョー:じゃあ、毎晩、カーテンをひかないで、好きなだけお見せしますわ

本好きなジョーのために図書室に案内する
ローレンス氏の肖像画を見ながら、ちっとも怖くないと独り言を言い
本人に聞かれてしまう
ローリーに友だちがいたほうがいいと提案する








●思いがけないベスのよろこび
ローリーの父が音楽家のイタリア人と結婚して
ローレンス氏は彼女が嫌いで、ピアノを弾くと思い出すからあまり弾かせたがらない

姉妹はローリーとよく遊ぶようになり
ローレンス氏はベスがピアノが好きだと分かると
音の調子が狂わないように、ピアノを弾いて欲しいと頼む
ピアノの上にはいつも新しい楽譜が置いてある








ベスはお礼に三色すみれの刺繍を入れた上履きをプレゼントする
ローレンス氏はそのお礼に、ベスに小型のピアノをプレゼントする
ベスは感激して、ローレンス氏に抱きついて涙を流す


●エミーの失敗
学校で塩漬けのライムが流行っているが
お金がないためいつももらってばかりいると話し
メグが25セントあげて、エミーはライムを24個も買ってもっていくと
学校で大評判になる

いつも意地悪なスノウにあげなかったため、怒ったスノウは先生に言いつける
先生はエミーにライムを窓の外に捨てさせ、ムチで手の平を打った上
教壇の上に立たせて恥をかく







母:
規則を破ったのだから、罰を受けるのは当然
でも、ぶつのはいけないと思いますね


●原稿を燃やされて
メグとジョーはローリーに誘われて芝居を観に出かけようとすると
エミーは一緒に行きたがるが、風邪をひいていたため家にいなければならない

ジョー:呼ばれてない者を連れて行くのは失礼よ

2人が行ってしまうと、エミーは腹立ちまぎれに
ジョーが一生懸命書いた原稿を燃やしてしまう

ジョー:生きている限り、けっしてあなたを許さない
エミーが謝っても聞かないジョー







気を晴らそうとローリーと川にスケートに行き
真ん中を滑ったら危ないという注意を聞かなかったエミーは
割れた氷から落ちてしまう

エミーを助け、家に連れて帰り、暖炉で温めて、ようやく眠りにつくエミー








ジョー:
万一死にでもしたら、私のせいよ
この性質を直そうとしているのに、どうしたらいいの

母:今日のことをよく覚えていて、二度と繰り返さないよう心の底で誓ってちょうだい


●いつわりのよそおい
メグはお金持ちのアニー家に泊まりがけで2週間遊びに行く
母がいろいろ用意してくれたが、パーティーに着る服がなくて夜も眠れない

アニーの姉ベルが着付けを手伝ってくれて
非の打ちどころがないほど美しく仕上がるが
借り物だという噂をしているのを聞いて恥ずかしくなる







メグ:こんなの着るなんて、私、おばかさんね


●わかしすぎたお茶
メグ:この夏休みは、みんなで好きなことをしていいかしら?

母:
1週間だけ好きなようにやってごらんなさい
遊んでばかりいるのは、働いてばかりいるのと同じくらいツライと分かるでしょう

最初は楽しんでいた姉妹は、怠けて暮らすことに飽きてしまう
休みのハンナの代わりに、メグは朝食をつくるが失敗
ハンナ:家事はやさしいようで、なかなか難しいものと悟るでしょう







昼食はジョーがつくるが砂糖と塩を間違えたりして大失敗






ベスは飼っていたカナリヤのペップにエサをやらなかったせいで飢え死にさせてしまう
みんなでペップのお葬式をおごそかに行う








母:家庭の楽しさは、めいめいが自分の役目を果たすことにあるのだと分かってもらいたかったのです


●ふたりのひみつ
ジョーは新聞社に行って、短編小説を2つ置いてきたことをローリーに打ち明ける
ローリーは、なくなったメグの手袋の片方をブルーク先生が大事に持っていることを話す









2週間後、新聞にジョーの小説が載って、みんなで褒めると泣いて喜ぶ


●かなしい電報
父が重い病だから母が看病に来るよう電報が来る
母はマーチおばから旅費を借りて、ローレンス氏に留守中の娘たちを頼むと
ブルーク先生を同行させてくれる

ジョーは自慢の髪を25ドルで理髪店に売り、母に持たせる

ジョー:
メグは3か月の給料を全部、家賃に入れてしまったのに
私は給料で服地を買ってしまった









母:
やさしい子どもたちよ、心をやすらかになさい
雲のうしろには、かならず光があるのだから

父は重体だったが、母の看病もあって回復に向かう

母がいない間、とても利口にしていた姉妹は
父が回復してくると気が緩みはじめる

フンメル一家の面倒をみていたメグは
赤ちゃんがしょうこう熱で亡くなったのを看取り
自分もしょうこう熱をもらってしまう








メグとベスは一度かかったことがあるため、看病にあたり
エミーはマーチおばさんの家に預けられる
ハンナ:手当さえよければ、けして心配はいりませんよ

ハンナは母に心配かけてはいけないと判断し
手紙にベスの容態を書かないよう言う

メグはお金で買えるどんな贅沢なものより
愛情、平和、健康がほんとうの幸福だと悟る

ベスの熱が下がらず、うわごとを言うまでになり
ローリーは祖父に相談して、マーチ夫人に帰るよう電報を打つ

ジョー:人生ってこんなにツライことがたびたび起きるなら、私、自信ないわ







一時期はもうダメかと諦めたが、熱が下がり、峠は越えたと言う医師
母も帰宅し、平穏な空気が戻る







エミーはマーチおばさんに気に入られて、トルコ玉の指輪をもらう
母と礼拝堂で祈る

母:悔しくなったり、悲しい時に、心を静める場所をもっていることはほんとうによいことです


●ふたたびクリスマスが
ベスが徐々に回復し、エミーも帰宅する
ジョーは母にメグの手袋の話をする

母:
ブルークさんは立派な人です
メグさんと結婚させてくださいっておっしゃったわ

クリスマス ジョーとローリーはベスのために雪娘をつくる








母からのプレゼントは、メグには絹のドレス
ジョーには2冊の本、エミーには聖母マリアとキリストの版画

サプライズに父が帰宅し、みんなで抱きついて泣いて喜ぶ








ローレンス氏、ローリー、ブルークを招いてごちそうを食べ
去年のクリスマスはつまらないと愚痴ったことを思い出す









父は、メグは美しい手を自慢していたが、家事で荒れた手のほうが美しいと褒める
息子ジョーが女性らしく成長したこと、ベスのはにかみが減ったこと
エミーが自分よりほかの人を優先して考えるようになったことも褒める

みんなでピアノに合わせて歌い、夜がふけていく




解説
本作の原題は『小さな婦人たち(Little Women)』
ルイザは4姉妹の次女 姉はアンナ、三女はエリザベス、四女はメイ
ルイザが22歳の時に書いた『花ものがたり』が初めて出版された

出版社の支配人トマス・ナイルズが少女小説を書くようにすすめた時
「私は少女のことなど1つも知らない」と言って母に相談し
自分のきょうだいのことをありのまま書いた

ナイルズが姪に読ませると感激したため、出版
アメリカ中の少女の愛読書となる

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