メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

マネー・ワールド 資本主義の未来(2) 国家 vs 超巨大企業@NHKスペシャル

2019-12-05 15:22:41 | テレビ・動画配信
中村哲医師 銃撃で死亡 農業、医療支援30年超

岩波書店@Iwanamishoten (承前)

「アフガニスタンで事業をおこなうことによって,
 少なくとも私は世界中を席巻している迷信から自由でいられるのです.

 一つには,お金さえあれば,幸せになれる,
 経済さえ豊かであれば幸せになれる,というものです.」

「もう一つは,武力があれば,軍事力があれば自分の身を守れるという迷信です.
 武力が安全をもたらすものかどうか,

 丸腰でおこなう用水路建設での私たちの経験が教えてくれます.
 このような実体験によって,私たちは幸いにも,この強力な迷信から自由です」




【内容抜粋メモ】

爆笑問題の二人が資本主義の未来を探る


「財政危機」
もみくちゃになりながら壇上に上がったのは南米の国の大統領






大統領:
今国がお金を巡って危機に瀕しています 恐ろしい衝撃です
半年で11億ドルもの損失です とても厳しいです


実は海外から誘致した大企業が次々に損害賠償請求を受け
総額は国家予算の5割に上っているというのです




「巨大企業が国家を訴える裁判が多発」
その数世界で累計700件以上






その一方で、富を求めて巨大化していくグローバル企業
ウォルマート、Google、Amazon 、サムソン、スタバ、アップル・・・


世界最大の IT 企業アップルの収入が1社ですでに
200カ国の国家収入を上回っています


国家と企業が手を携えて発展してきた資本主義
歴史上初めてその力関係が大きく変わり始めています


エクアドル外務大臣:
貧しい国よりも権力を持った企業が数多くあります
しかしこれを統括できる機関やルールがないのです


そして今、様々な手段で法人税などを軽くする「租税回避」が国際的な問題になっています
その額、世界で最大2400億ドル


経済学者 ジョン・クリステンセン:
租税回避は国家の機能を揺るがす事態になります


変貌する資本主義
それは今、国家のコントロールを超えて新たな次元に突入しようとしています

All You Need Is Love(愛こそはすべて)/The Beatles が流れる


人類に繁栄をもたらしてきた資本主義
この先には何があるのか
国、そして企業の未来は?





国家 vs 超巨大企業 第二集 富をめぐる攻防

「お金を巡る異変」

田中:
今日は、巨大グローバル企業と国の関係が超やばいぞと

これが国の歳入のベスト100
歳入とはつまり収入 税収とか




ここに企業を入れたらどうなるか?
黄色いのは全部企業です




10位にウォルマート(アメリカのスーパーマーケット チェーン店)が入っている
スペイン、オーストラリアなどを上回っている

Apple は25位

グローバル企業がベスト100に入っている

国を飲み込んでしまう
世界に大変な事態が起きているということです


「租税回避」 国境を越えて巨大化するグローバル企業
今、世界の国々との間に激しい軋轢が生まれています

その代表例が税金

「IT企業のアップル」
アメリカに本社を置き、法人税を納めています

「2013年5月 アメリカ上院公聴会」
会社のトップがアメリカの公聴会に呼ばれました




Q:この5年間、法人税の一部を払っていないですね?

アップル社 CEO ティム・クック:
今の税制は古すぎます 税率が高すぎるのです

議会はアップルが本社のあるアメリカで納めるべき法人税の一部を
税金の安いアイルランドで納税したと主張しました

いわゆる「租税回避」の問題です

回避したと言われる税金は90億ドル
およそ1兆円に上ると指摘しました

アップルは法人税は法に則ってきちんと払っており、全て合法的であると反論
法律上の問題はないとされ、議会もそれ以上追究しませんでした


世界各地に現地法人や支社工場を置くグローバル企業
各国の法律に則りながら、グローバル展開の利点を駆使してビジネスを行なっています

例えば企業グループの中で売り上げが高い部門 「高収益部門」
それを本社ではなく、法人税の安い現地法人の一部分にすれば
納める税金が安くなります

法律に則っているため違法ではありません

しかしグローバル企業が巨大化する中、租税回避は拡大

OECD の試算によれば、世界で最大2400ドル(約25兆円)
世界の法人税の1割に及ぶ額です

本来なら税金として国が徴収し
国民に行政サービスとして還元すべきお金が消えていることになります


(どのみち還元されてないけどね
 税率のシステムが古いっていうのは当たらずとも遠からず


ジョン・クリステンセン:
租税回避は多くのグローバル企業が行なっているとみられます
こうした動きが続けば国家の機能を揺るがす事態になりかねません


法人税の引き下げ競争
租税回避の動きを加速させているのが
世界各国が行なっている「法人税の引き下げ競争」です

例えばヨーロッパの国々の2000年と2016年を比較すると
税率の引き下げが起きています

自国の企業の競争力をアップさせるとともに
グローバル企業を呼び込むことが狙いです

Apple との関係が指摘されたアイルランドは
中でも群を抜いた引き下げを行いました

2016年は12.5% ヨーロッパでも最低レベルです




その結果、アメリカ企業700社を誘致し、14万人の雇用を生み出す効果もありました


2016年8月 この問題は新たな展開を見せました
EUがアイルランドとアップルに対し強い疑義を呈したのです

欧州委員会委員:
アップルがアイルランドで受けた税の優遇は EU 法に照らして違法です
130億のユーロの追徴課税を払わなくてはなりません


「EU が発表したプレスリリース」




Apple の欧州での全利益は、アイルランドに計上されている
そしてアイルランドではほぼ全ての利益が書類だけで存在する
「ペーパーカンパニー」に配分され課税されていない
それはアイルランドがアップルに違法な税の優遇措置を与えたからだと結論づけたのです

Apple とアイルランドは強く反発
ヨーロッパ司法裁判所への提訴を検討しています

この EU の対応をめぐっては
オバマ政権もアメリカに払われるべき税金が EU に流れると懸念を表明しました


「ヨーロッパ 税をめぐる動き」
オランダとルクセンブルクではすでに追徴課税が徴収されたと EU 側はしています




<スタジオ>

税金や税制が専門 京都大学大学院教授 諸富徹さん
アイルランドの法人税率が12.5%と非常に低い
Apple はその利益をここで全部納めずに
EU の主張では2014年0.005%しか払ってない

アイルランドだけではなく他の国も絡ませて
税金を縮小していくテクニックがあり
Apple は合法だと主張しています

欧州委員会はなぜ今回問題にしたかと言うと
アイルランドの低い税率ですら納めていない

他の企業は法定納税率を守っている
それをアイルランドは見逃しているのではないか
それは欧州全体の競争にとって不公平だと

田中:
今の日本人の人たちは、スタバで、Googleで検索して、Amazon で買い物をしている
まったく他人ごとじゃない


徹さん:
彼ら自身は株主から「税収を最小化して、利益は最大化しろ」と言われている
それは普通の企業努力
このプロセスでなんら違法なものではない

合法の枠内でこういう仕組みを利用して
違法ではないと主張している


国家と企業の本来の関係

国は経済を成長させるため
様々な経済政策で企業の成長を促します




また、企業が社会に悪い影響を与えないように
規制をかけるなど管理する役割も担っています




もう一つの大きな役割は「再分配」




企業はビジネスで儲かったお金を社員に「賃金」として支払います

しかし儲かっている企業がたくさん払い
あまり儲かっていない企業が安く抑えていると
国民の間で「格差」が生まれます

そこで国は企業の儲けの中から法人税を徴収し
それを福祉や公共のサービスとして広く国民に還元するのです

また介護事業のようにビジネスとして成立しにくい分野にも
国のお金を投じて成長を促します

これらが国の再分配機能です
この再分配を適切に行うことが資本主義の健全な発達を促してきました

(促してきたか???


租税回避は何が問題に?

徹さん:
租税回避をすると、本来納めるべき税金を納めないわけですから国の税収が減る

すると国民に対してサービスを提供していたはずができなくなる
あるいは仮にそれをやろうとすると、法人税で入ってこないので、消費税を上げる

そうすると一般国民の税金が増える

より所得の低い方に重い税金をかけざるを得なくなる

(日本は国のせいでどんどん税が上がってますが???


巨大化するグローバル企業と国家
その力関係の変化を象徴する深刻な事態が各国で起こっています


巨額裁判
グローバル企業による国家を相手取った巨額の裁判です

1995年から大企業に訴訟を起こされた国家は、109ヶ国中およそ700件(累計)

その一つ南米の国 エクアドル共和国
毎週土曜日 生中継番組で国民に政策を訴えているラファエル・コレア大統領

数々のグローバル企業から訴えられた損害賠償が
国家財政を大きく揺さぶっています




大統領:
恐ろしい衝撃です
石油会社への賠償や訴訟が半年で11億ドルもの損失です

争っている損害賠償額はこの1件だけで90億ドル(約1兆円)
国家予算の実に1/3に当たる金額です


現在係争中の裁判は8件
中でも国家財政を揺るがす事態に発展しているのが
アメリカの大手石油会社との裁判です


深刻な健康被害
訴訟の舞台となっているのはコロンビアとの国境近くの油田地帯
石油の採掘が終わったはずの場所から今も原油が漏れ続け
近隣の住民に深刻な健康被害が出ています






男性:
話すことも辛いのですが2002年に娘が亡くなりました
2010年にはもう一人の娘もなくなりました 16歳でした



この油田は、エクアドル政府とアメリカの大手石油会社が採掘を行ってきました
1992年 契約が終了し、企業は撤退




その際、両者は汚染処理を施しましたが、なぜか原油は川に漏れ出てきたのです

被害や環境破壊の責任をめぐり
エクアドルのと石油会社は長年裁判で争ってきました

会社側は「撤退後一切の責任を追わない」という約束を結んだことから
責任はエクアドル政府側にあると主張
被害の賠償1兆円の支払いの責任もエクアドルにあるとしています

このまま決審すれば、企業と国家との裁判では史上最高の賠償額になる見込みです


エクアドル外務大臣 ロング氏:
石油会社の規模は我が国の GDP の2.5倍から3倍です
もし裁判に負ければ国の義務である国民の利益を守ることや
教育、医療、インフラ整備などができなくなりかねません


「ISD条項」の仕組み
世界で多発するグローバル企業による国家を相手取った裁判
その背景には「ISD条項」と呼ばれる協定があります
これは企業が外国に進出する際、相手国との間に結ばれるルールです

相手国の対応によって計画通りのビジネスができなくなった場合などに
企業は損失の補償を求め裁判ができるという内容です



(ざっくり言えば先進国が後進国を搾取しているっていう構図か?


グローバル企業を呼び込みたいという国家が増えてきたため
締結するケースが増加
それと同時に裁判の数も急激に増えています

エクアドルの場合、これまでに訴えられた件数は
通信会社、石油会社、製薬会社など合計22件
すでに決審したものだけで賠償額は2000億円に及びます

財政の悪化によって行政サービスのカットが始まるなど
国民生活に影響が出始めています


最大都市で家政婦として働くルビンさんは
二人の子どもを親戚に預けて出稼ぎに来ています





ルビンさん:
かつては子どもと一緒に暮らしていましたが
政府が支給していた低所得者向けの年金が打ち切られ
親戚に預けざるを得なくなりました

月に50ドルの援助で今まで息子たちを育てることができました
政府はそのお金を私から取り上げたのです

どう生きていけばいいのかわかりません
あまりに不平等です

Q「資本主義」と聞くとどんなイメージですか?

ルビンさん:そんな言葉知りません


エクアドル外務省 カレイラさん:
私達はいつも自問しています
市民にこれだけの損害を与えてまでお金が欲しいのはどうしてなの?って

企業の投資を守るためのルールは正しく
理にかなっていて必要なことだと思います

でも、巨大資本や大きな政治権力までも動かす多国籍企業が
その力を乱用した時には、小さな政府や被害者たちが
その身を守るメカニズムが存在しないのです


<スタジオ>

企業が国家を訴えるって昔はなかったですよね?
それがこれだけ増えている
国と企業の関係は劇的に変化しているということですよね

日本もいずれ企業から訴えられたりするような可能性はあるんですか?

徹さん:
今のところそういうことはないと思うんですが
「TPP(環太平洋パートナーシップ)」にも似たような条項が入っています
※ TPP については現在国会で議論が続いている(2016)

将来的に日本もこういう形のことが起きる可能性はあります


中米の人口800万人 ホンジュラス共和国




力を増すグローバル企業に訴えられながらも
その恩恵を必要としている小さな国々

ホンジュラス共和国では、今かつてない政策で世界から注目されています
全国21カ所に準備している「経済特区 セデ」です

一般的な経済特区は、その国の法律のもとで
法人税の優遇や規制緩和などを行いますが
ここの特区ではホンジュラスの法律がほとんど及びません

一定数のホンジュラス人を雇いさえすれば
税率、裁判官の認定、警察を置くかどうかさえ
進出企業が決めることができるという計画

大統領直轄の一大プロジェクトです
「大統領のお墨付き」と書かれた看板




ホンジュラス政府 セデ長官 カナーレス将軍:
我が国には雇用がありませんし、政府もこれ以上増やせません
それができるのは様々な分野に投資してくれる海外の投資家たちです

危険を侵して大きい賭けをしなければ成長はできません
もう他に手立てはありませんから


この経済特区に世界のグローバル企業から熱い注目が集まっています

経営難に陥っていた地元のホテルです
(緑が豊かで良いところだな




10か月前、世界的ホテルチェーンが経営に乗り出すことが決まりました

従業員:我々のホテルは10月6日にヒルトンに生まれ変わります

法人税がほとんどかからず、すぐに投資を回収できると
数億円をかけてリニューアルが行われました

一方、国民の側からは大反対の声が沸き起こっています




「アマパラの土地は売り物じゃない!」

「団結してセデ経済特区を追い出そう!」

デモをしているのは、住んでいる土地を経済特区に指定された人達です
特区建設のために立ち退きを強制されているといいます

女性:
立ち退きに抵抗した夫は、1年前から刑務所に入れられています
マスクで顔を隠した7人の警官が夫を連れ去ったのです
3歳のこの子と私だけが残されたのです


特区の計画を決める最高諮問委員会にも国民の怒りは向けられています

委員:
完全に主権の侵害です
メンバー21人のうち17人は外国人です

マイケル・レーガンとあります
アメリカ元アメリカ大統領の息子ですよ


女性住民:
私たちは住民の利益に応える政府を持っているのではなく
多国籍資本の利益に応える政府を持っています

それがこの国の現実です


<スタジオ>

Q:国と企業の力関係はいつからこんなことになったんですか?

徹さん:
特に21世紀に入ってから顕著になってきたと思います

企業が国家を突破してしまい、もはや国家には手が負えなくなった
逆に国のほうが自分たちを選んでくださいと企業に言う立場
企業が国を選ぶ時代になってしまった

Q:
小さい国も困っているのは分かるんですが
大きな企業に「税収を安くしますから来てください」ということですね

徹さん:
それをずっとやってしまうと「底辺の競争」という言葉があるんですが
みんな自国に引き寄せたいので、条件を切り下げて

それを見た小さい国がまた「もっといい条件ですよ 来てください」と言い出して
それで国民が犠牲になっていく

太田:
資本主義で自由主義だと、当然企業は成長することになるし
しかもグローバルになったら海外からどんどん進出してくる

田中:
今被害に遭ってるのは小さな国ですよね

おそらく一部のグローバル企業がどんどん巨大化して
国家がどんどん弱体化しているように見えるんですが
いったいなぜ企業が国家を飲み込むほどに巨大化したのか


国と企業の関係

(また全部「産業革命」のせいなんじゃない?

18世紀 産業革命の国イギリスで生まれた資本主義
アダム・スミスが唱えたように、当初は企業が自由に経済活動を行い
それによって経済成長が続きました








ところが、利益を追求するあまり、公害などの問題が起こり始め
国による規制や管理が始まります




「世界恐慌」が起きると、国は公共事業を起こして
企業に仕事を与えるなど救済を行い成長を後押ししてきました「ニューディール政策」

そして第二次世界対戦後の復興期
国はさらに先頭に立って自国の企業を支援するようになります

目指したのは国内市場の拡大です



(そんなにクルマが必要かねえ
 1人生まれるたびに1台作るのかなあ

外国企業が参入しにくいよう高めの関税を設定しました
一方で自国の企業も簡単に外に出て行かないよう
海外への出資・投資に高い制限を設けました




その結果、戦後の「経済成長」が実現します




ところが1970年代に入った頃、各国の経済成長が伸び悩むようになりました




そこで先進国のトップ達は方針を変えました




「海外への出資や投資の制限を大幅に緩和」
企業が海外でも広く活動できるよう一気に制限を緩めたのです
固定していた為替相場も変動相場制に変えました

しかしなかなか成長の壁は破れません


「新自由主義」
こうしたなか脚光を浴びたのはアメリカの経済学者ミルトンが唱えた「新自由主義」です




国家による企業への制約をなくせばなくすほど競争が加速し
強い企業がより強くなる

80年代この理論のもとで各国で一気に規制緩和が進み
企業に大きな自由が与えられました

まもなく先進国の GDP は右肩上がりで伸び始めます 「バブル期」

さらに国は自分たちが持っていた軍事技術などを民間企業に広く開放
その代表例が「インターネット」でした



(最新技術、最新医療などは全部軍のお下がりなんだよね


すでに国境を越える自由が与えられていた企業は猛烈な勢いで全世界に拡大
そして新しい企業も次々と登場
巨大なグローバル企業が世界を席巻していきます

Microsoft、Google 、Apple、 Amazon、Facebook


2008年 「リーマンショック」




未曾有の経済危機に遭遇した国々の財政事情は一気に厳しさを増しました

そして今、危機の度に莫大な国費を投入して企業を支えてきた国家に
かつての力はありません

拡大し続けるグローバル企業に国家がすがるという新たな構図




資本主義は歴史上かつてないステージのただ中にあります


<スタジオ>

「資本主義の歴史」




長い資本主義の歴史の中で、国による産業に対する統制の程度は
今は弱まっている 良い悪いは別として
非常に大きな分岐点に来ている

リーマンショックという世界的な金融危機があり
今再び国会がグリップを握って、もう1回起きた問題
格差の拡大であったり、経済の低迷を元に戻すべく
国家が統制を強めるのかどうか


「変わり続ける国家の役割」

太田:
中央銀行なんかはすごく口出ししてきて
世界的に国が経済に介入するのは果たしてどうなのか

最初の「神の見えざる手」っていうのは、あなたの手じゃないの?
って言う気がしてしょうがないんだけど

田中:我々の暮らしはどうなっちゃうんですか?

徹さん:
市場に任せていれば問題は解決するということに対する不審が広がっているので
国家が止めるのかどうか


「世界経済を長年見つめてきた専門家に話を聞く」
国境を自由に行き来するグローバル経済と
その動きに対応できない現代の国家

このままの状態が続けば国家はグローバル化に対応するどころか
むしろ逆行していくと指摘するのが
フランスの経済学者ジャック・アタリ氏です




税の引き下げ競争などで疲弊する国々
グローバル経済に適応できないのは
資本主義の仕組みが国民・国家が元になっているからだと指摘します

アタリ氏:
資本主義経済はグローバルでも、国家はグローバルな形になっていません
このままでは市場が破局するか、内向き志向のリスクが高まると思います

そうなると「他人の利益は自分の利益に繋がらない」という考え方が広がり
経済紛争、場合によっては政治的な紛争のリスクを生み出しかねないのです

(いっそのこと国境をなくすのはどう?


「世界政府」
そこでアタリ氏が提唱しているのが
国家の枠組みを超えた全世界的な統治の仕組みです




EU や国連の上に、国同士の利害を調整できる
「世界政府」のような組織を作ることで共通の利益を守ろうというのです

(これにアメリカ、ロシア、中国のトップなどが賛成するかどうかだよね
 世の中に良いことは、世界を牛耳る一部の富裕層にとっては不都合


アタリ氏:
私の理想は、次世代の利益を守る世界的な法治国家を作ることです
財政赤字の問題から環境問題まで
世界共通の利益につながる対応策を打つべきです


資本主義の未来

田中:最終的には“紛争”という言い方をしてましたね

徹さん:
徹底して企業が自らの利益を押し通そうとした時
あるいは国家同士が企業との争いが進むことも考えられます

企業が反発をして裁判して国家を訴えるというのが先進国で出てきてますので
あちこちで紛争が生まれてくる可能性はあります

田中:本来は国連がっていう話もあるんでしょうけど

徹さん:
私も共感する部分がないわけではない
EU の最近の情勢を見てますと
本当にそれが問題の解決だろうか?という気持ちも非常にある

太田:
イギリスかEUを離脱するって言った時
専門家は直前まで「絶対ないだろう」って言っていたけれども
皆びっくりしちゃって

そういう時だからこそ日本という国
独特な歴史を歩んできた日本の重要性が必要になってくるような


(いつまでもアメリカのコバンザメをやめて、リーダーシップを世界平和に向ければいいのに
 そしたら隣国からミサイルが飛んで来る必要もなくなる


日本の役割

徹さん:
「ODA(世界開発援助 途上国への援助や出資その国の発展を促す)」
自分の市場を拡大するためではなく
その国の人材の育成、産業の発展を後押しする援助をしてきたと言われてきた

新しいポジティブな国家間関係をもっと進化させる
日本独自の貢献をすべきだと言えると思う

田中:資本主義の限界か?という話に関してはどう思ってますか?

太田:
悲観的な話を、特に経済学者の人はしたがるんだけど
警鐘を鳴らすという意味では必要あるんでしょうけど

僕は意外と人間は賢くて、新たな価値をまだまだ全然成長させて
成長ってただただ富を得るということじゃないからね

田中:心の豊かさも成長だからね


新しい時代の資本主義と国家の関係
今やこんな動きも始まっているようです

アメリカ サンフランシスコ

資本主義をコントロールできない現代の国家
それに業を煮やし、国に代わるものを一から作るという
プロジェクトが始まっています

計画を進めているのは40歳のパトリ・フリードマン
「新自由主義」を唱えたミルトン・フリードマンの孫です



(TEDみたい

パトリ:
21世紀の問題解決に18世紀の DNA は使えないと思います
ではどうしたらいいのでしょうか?


パトリの考える新しい国とは、海上に浮かぶ小さな人工の島々
そこにビジネスをしたい人が集まり
自分たちで様々なルールを決めていこうというものです





(ここで働きたい人たちが働いて、儲けたい人たちが儲けて
 勝手にやってたらいいんじゃないの?
 その他の人たちは、自由に自給自足・物々交換で生活したらいい


パトリ:
今ある大きな国家は変化する時代に対応できない
毎夏 カリフォルニアで船を島に見立てた実験を行う



(もうやってるんだ! なんでも早いなアメリカは/驚
 また珊瑚礁を白化させたり、海の環境を汚したりするんじゃないの?


こうした小さな集合体を数多く作ったほうが
資本主義の荒波を乗り越えられるというのがパトリ氏の主張です

パトリ:
全く異なる10種類の政府があれば
何かが起こってもその影響は少なくて済みますし、安全です
むしろ巨大な国家システムは脆弱で間違っていると思います


このアイデアにより自由な経済活動ができると
今、世界各国の若い企業家たちが次々と賛同
およそ数千人が支持を表明しているといいます




その中には PayPal を創業し、Facebook などの成長企業などを支援してきた
投資家ピーター・ティールもいます
ティールは、可能性に賛同し140万ドルを出資しました


フランス領ポリネシア タヒチ
夢物語に見えたこのプロジェクト
南太平洋に浮かぶタヒチの海で本格的に稼働

フランス領ポリネシア タヒチ大統領 エドワー・フリッチを始め
閣僚達と交渉し、両者は合意に至り
2020年には移住を開始する計画です(来年じゃん!


より自由な国家を求める企業家たちがいる一方で
強欲な資本主義を変えるため、国家の役割も変えなければならない
と言う考えも芽生えています


スペインの人口3000人の小さな村 マリナレダ村




どこにでもあるような平凡な村ですが
ここに未来の資本主義における国家のモデルがあるとして
熱い視線が注がれているのです

それは、競争を制限するということです

30年にわたり村長を務めてきたサンチェス・ゴルディージョさん:
人間が生きていく上でまず必要なものは食べ物や住居ですよね
それらで儲けようとしてはならないと思います


この村では人の暮らしの根幹
衣食住には資本主義の基本である競争を持ち込まないルールになっています
つまりビジネスの対象にしないということです

例えば住まい(カラフルで可愛い家




個人の土地所有は認められていません
土地が売買できると投資の対象になり、買い占めなどが起きるからです
土地は全て村が所有し、月25ユーロで貸し出しています

(でかい国じゃなく、小さな共同体だとうまくいくんだよね


食料は村営の農場で生産され、村人には安い値段で配られます
最低限のお金がかからず安心して暮らせるといいます



(通貨も必要ない 物々交換でいいよ


村人の男性:
他の村では出稼ぎをしないといけないけれども
マリナレダでは出稼ぎをやらずに済みます


衣食住以外のところでは経済活動を村が積極的に後押ししています

例えば村人に配った後に残った作物は
村営の工場に導入した最新鋭の設備で付加価値のある加工食品を作ります




質の高さが評判になり
市場の1.5倍の価格で売れるといいます



(これはオリーブ油かな?


経営は好調で雇用も増えています

その結果、過疎に悩む村が多いスペインにあって若者の移住が急増
若い労働力が増えたことでビジネスの生産性も上がっています

結婚式の映像




村の収入もここ数年で1割アップしました

カメルーンからの移住者:
この村には仕事があって家も与えてくれるんだ
村長がこのシステムを作ってくれたおかげだね

(黒人も白人もないのがまたいいね


競争を一部制限することで、逆に成長を実現した小さな村
資本主義における国のあり方に一石を投じています

村長:
今の資本主義は残念ながら福祉を念頭に置いたものではありません
現在の資本主義がうまくいっていないのなら
新たなシステムを作り出すべきだと思います


極限まで膨張する資本主義のシステム
今、ギリギリの曲がり角に立つ国家、企業、そして私たちの資本主義
間違いなく新しい何かが必要とされています

第3集は、世界に広がる巨大格差

世界で広がり続ける経済格差
巨額のマネーで政治に働きかけるアメリカの大富豪



(まず、この世代とシステムが衰退しないとね


一方、格差是正への挑戦が世界各地で始まっています






「読書感想メモリスト3」カテゴリー内[格差][貧困]など参照



コメント