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メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

パウル・クレー 秘密のメッセージ@日曜美術館

2016-10-20 12:02:23 | アート&イベント


温かみのある暖色系の色づかいと形が可愛いので好きになったクレー
これまで美術館でも観て、特集番組も見たけれども、
知るほどに一見しては分からない意味が浮かび上がり、さらに惹かれる



 

20世紀抽象絵画の巨匠、「色彩の詩人」と呼ばれたクレー
その絵の中には、暴走する国家への痛烈なメッセージが含まれていた
さらに、画家の死後、半世紀を経て現れた謎の処理

 


「だれにもないしょ。展」

日本初公開の作品も含めて110点が展示されている

「上昇」謎めいた記号をクレーは愛した

 

芸術、哲学の批評で知られる批評家・若松英輔さん


 

若松:
この絵の前に立つと誰でもクレーと対話ができる1枚ではないか
赤は情熱の色かもしれないが、怒りの世界でもある




ドイツ人の父と、スイス人の母の間に生まれたクレー
19歳で画家を志し、生涯で約1万点の絵をのこした

代表作「窓辺の少女」


「墓地」の右上には上記の少女の絵と一致する部分がある もとは1枚の絵 なぜ切断されたのか



スイスの首都ベルンは中世の趣を残す古都 クレーの育った街
 

ベルンには世界最大のクレーのコレクションを誇る「パウル・クレー・センター」がある


クレーを研究している柿沼さん


柿沼:この作品はもとは6分割されていて、1点ずつ独立している

各地から取り寄せてつなげると意外な風景が見えてくる
左上の大きな矢印は「矢と漏斗」、少女の視線の先には「庭園に死す」(妊婦の死体)




この絵が描かれる5年前、1914年 第一次世界大戦勃発
ミュンヘンで絵を描いていたクレーは、ドイツ軍に召集され、1人の親友を失った

 

画家フランツ・マルク クレーが召集される直前、最前線で戦死した

 

マルクの代表作「森の鹿Ⅱ」
 
マルクの卓越した色彩感覚にクレーは強い憧れを抱いていた

戦地で書かれたクレーの日記では何度もマルクの名に触れている


「マルクの名を思い出すたび、心の中でなにかが崩れ落ちるのを感じる
 『マルクとは何者なのか』という問いに私は答える それは私自身なのだと」


終戦の翌年に6点の絵が描かれた
柿沼さんは、切断する行為にこそクレーの創作の豊かさがあると考えている
「破壊と創造として考えるべき 切り離すことで絵に新たな意味を与えた」


ゲストは、クレー研究の第一人者・前田富士男さん
 

若松:
クレーの感じた世界は、これは悲しみ、これは喜び、とそう簡単に分別できるものではないとよく分かっていた
1つの絵の中にものすごくたくさんの意味が折り重なっている あまりに多層的なことに完成して気が付いたのではないか
それを切り離すと、合間に隙間ができ、新しい意味を帯びてくることがある
分かれて、独立しているほうが、観る者との間に豊かな関係ができるのではないかという思いを感じる


前田さんの考えるクレーの魅力:
フシギなイメージの重なり、非常に悲しくなったり、嬉しくなったり、
同じ絵でも長年観ているとまったく違ったイメージが浮かぶ

井浦:切断する行為はどう感じる?

前田:
この時期、モアイエという親しい友人の画家がいた
その奥さんが最初の赤ちゃんを産んで亡くなった 身近な人の出来事でもあり
2ヶ月後にマルクが戦死した 小さな死と大きな死が重なって、分けられた
死と生命、大きな世界が連続してイメージの中で存在するのかというのが切断という行為になっている

自分自身に対する問いかけ それを共有してほしい 切断にどう向かい合うのかという問いかけも強い
謎かけ、多面的なアプローチをする芸術家


「来たるべき者」
 

若松:この絵を観て戸惑う タイトルなど、洞窟にいる感じがする


この絵にはクレーの過酷な運命が隠されていた

第一次世界大戦後、クレーはドイツに設立された芸術学校「バウハウス」に招かれた
各国から集まった教師と生徒がともに前衛芸術を模索した

 



「金色の魚」でクレーは「色彩の詩人」と讃えられた
 


代表作「パルナッソス山へ」でクレーは前衛画家としての名を確立する(賢治の絵も思い出す グラデも美しい
 


1933 ナチス政権誕生 ヒトラーが首相に就任し状況は一変する

 

 

 

 

ヒトラーは、前衛芸術を「国民の感情を乱す、堕落したもの」と断罪
クレーもその標的とされ、「退廃芸術家」の烙印を押され、百数十点もの作品を没収された



 

ナチスの機関紙から、クレーがユダヤ人であると一方的に報道されたのをきっかけに
クレーはドイツを追われてスイスに逃れた


「リストからの抹消」(この時代の自画像 目を閉じ、口を硬く閉じ、頭には黒い×印



「洋梨礼讃」

手をあげるポーズはナチスを思わせ、鋭い批判精神を思わせる


「危険なこと」
 
ナチスを象徴する赤と黒 縦にすると人の姿が現れる 制服に身を包んだ権力者と言われている


「来たるべき者」は、クレーがドイツを追われた年に描かれた

若松:
戦うだけではなくて、しっかり未来を見据えていた
苦しみ、暗黒から出てきた光 次世代を切り拓く者に見えてきた
クレーの絵は、ファシズムを無意味化する力を秘めている
ほとんど悲願に近い 人類に対する信頼でもある


1940 第二次世界大戦が始まった翌年、クレーは60歳で世を去る(早いな
亡くなる間際まで描き続けた絵の数々には、戦いの痕跡があった


井浦:
表情も、フォルムも、技術的なところもあり、とても呪術的な雰囲気を感じます

前田:
全体がウロコ状 非常に緻密 戦いの気持ちを秘めている
クレーの根本的な問いは「力」にあるのでは 子どもは大きくなる 内発的な成長もあるだろうし
戦争、暴力、制圧、抑圧するような力 さまざまな力を見せてくれる
この作品も不安な感じを乗り越える意志を感じる

井浦:
一見、神秘的な印象も受けるが、もっと現実的、体験、願い、祈りを表現していた

前田:
当時としては先端的なものが、ドイツ的ではないと抑圧された
時間をかけた自分の行為で少しずつ確認していくような それが力に対する芸術家としての表現
声を荒げてプロテストするわけではない代わりに、
黙々と小さなアトリエで戦うことで、観る人にも共感してもらえるだろう
手を振りかざせばイデオロギーになる それも大事だが、
それを別な形、謎かけとして出すから一緒に考えて欲しいと考えたのでは



晩年のクレーが暮らしたベルン


4000点のクレーコレクションを誇る「パウル・クレー・センター」には
“クレーが仕掛けた最大の秘密”と言われる傑作がある

「グラス・ファサード」

亡くなった年に完成させた 色彩を探求したクレーの集大成と言われる

1980年代 クレー没後50年後 絵の表面に白い斑点が現れた


原因は、度重なる展示や輸送で絵の具が剥落したため
修復のため、絵の裏を調べると、そこに誰も観たことのない少女の絵があった



もともと裏側は絵の具で覆われていたが剥がれ落ち、下に描かれた絵が出てきた
調査すると驚くべき仕掛けがあった

 

「裏側を覆っていたピンク色の絵の具は、普通のものではありませんでした
 特別に剥がれ落ちやすい絵の具で塗られていた」


研究の末、制作過程がわかってきた

1.目の粗い麻布に石膏で地塗りをし、少女を描いた


2.その上に石膏と相性の悪い絵の具で元の絵を覆い隠した
3.その後、キャンバスを裏返し、そこに「グラス・ファサード」を描いた

つまり、「グラス・ファサード」の裏側の絵の具はいつか剥がれ、少女が現れることを意図していた

さらに、木枠にエンピツで書かれた、直筆の文字が発見された



さらなる調査で少女の下絵が特定された


180度さかさまに書かれたサイン 少女は頭を下に描かれたことが分かる
 

 


40年にわたりクレーを研究している奥田修さん


奥田さんは、少女には実在のモデルがいると考えた

 

マノン・グロピウスは、「バウハウス」の学長だったグロピウスの次女
聡明なマノンをクレーは可愛がっていたが、19歳で病死した
その死を悼んで描いたのではないか その理由は表側にあると奥田さんは考えている

「ファサード」とは建物の正面の意味
従来は教会のステンドグラスだと解釈されているが、バウハウスの有名なカーテンウォールのファサードではないか
カーテンウォールは、バウハウスの象徴するガラスの壁面 マノンの父が設計した



クレーがマノンと出会うきっかけともなった「バウハウス」
ある作曲家がマノンの死を悼んで捧げたレクイエムもある


副題は「ある天使の思い出に」と書かれている

クレーは、この曲を聴いて描いたのではないかと推測
少女の傍らに描かれた絵をさらに調査して似た絵を探し出した

「いまだ女性の天使」
 

少女が天使に生まれ変わろうとしている姿
とがった形は天使の翼か(写真で彼女が抱いてた猫の耳かと思った
少女の永遠の命を願うレクイエムだった


前田:
非常に複雑な裏表 読み解いてほしい最後の謎だったのでは
壊れることも大事な制作の時間としてはかっていて、
長い時間、時代、芸術家のスパンを一緒に考えてほしいという
制作はずっと続いている 内容を一緒に体験できる


アナ:ストイックに自身にも問いかけ続けていた?

前田:
芸術のもつ創造力が、現実の社会の中で力を発揮するか どう考えますか?と問いかける珍しい作家

井浦:
困難であるほど、ユーモアや、遊びも忘れずに 物事を細分化してしっかり見なさいよという
忘れてはいけない大切なことを教えられた気がする

前田:
常識的なフレームで見るなという大切なアピール
裏側に描くのも、向こうに何かあるというのではなく
窓は外して、裏返して、彫刻みたいな感覚を拡張する1つの舞台でもある




晩年は、皮膚が徐々に硬くなる難病に冒された
絵筆を持つのもままならない中で繰り返し描いたものは、天使



「忘れっぽい天使」(このシリーズも大好き 谷川俊太郎さんが詩をつけている


 




若松:
クレーの晩年は本当に試練の連続で苦難の人生だった
フシギなのは、我々はそこから希望を感じることができること
クレーという人は、とっても深いところから励ましてくれる人
苦しいけど、大丈夫だと教えてくれる画家


(うん、達観した温かみ、ユーモアを感じる
 最後にこの天使のシリーズを描くために難病を得たんだな
 クレーも天使になって昇ったことだろう


【ブログ内関連記事】
『もっと知りたいパウル・クレー』
『パウル・クレー~おわらないアトリエ』@東京国立近代美術館
『クレーの天使』
「クレーの天使」(CD)




ガブリエル・バンサン『たまご』(ブックローン出版)

2016-10-20 12:01:23 | 
『たまご』(ブックローン出版)
ガブリエル・バンサン/作


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【まえがき 内容抜粋メモ】

この『たまご』は『アンジュール』につづくデッサン絵本だが、
『アンジュール』が鉛筆デッサンであるのに対し、
『たまご』は木炭で描かれており、一層の深みが感じられる

『たまご』『セレスティーヌ』の2作品は、ボローニャ国際児童図書展でグラフィック賞を受賞
ほかにも、キャラバンとともにサハラ砂漠を旅して描き続けたデッサンとエッセイによる画集『砂漠』などがある


【今江祥智さんによるあとがき~眼と光 内容抜粋メモ】

子どもの本の専門店クレヨンハウスから原書5冊を送ってもらい、
同じくメリーゴーランドで訳書3冊を入手して読んだ
それが『くまのアーネストおじさん』シリーズだった

ベルギー生まれ、美術学校卒業以来ひたすらデッサンに専念し、
54歳(!)にして『アンジュール』で絵本の世界に入ったことにも感銘を受けた

『たまご』の作者は、モニーク・マルタンとあるが、これはバンサンの本名
十数冊の絵本で一躍国際的に名を知られたバンサンが、改めて本名で出版した1冊

読んで分かる通り、この1冊には強いメッセージがこめられている

なぜ巨卵が産み落とされたのか
なぜ、巨鳥が人と戦わず、仲間とともに無数の巨卵を産みつけて去っていったのか

おしまいの巨鳥の眼の怖さの向こうに、何を読みとるか
光なのか闇なのか

そこに増えつづける人間の象徴を見ようと
増えつづける核の象徴を見ようと
それは読者の判断に委ねられている


この1冊こそ、優れた1人の画家、バンサンの、子ども大人両者への魂からのメッセージが托された
まさに現代の絵本なのである 1986



あらすじ(ネタバレ注意

広大な砂漠にポツンとある巨卵を見つけた1人の人間
彼は大勢を引き連れてくる

やがてマスコミが報道し、車が列をなし、団地まで建てられ、観光地のようになる





ある日、砂漠に真っ黒い雨雲がきて、人間の作った飾りなどをいっぺんになぎ倒して去る

その後、卵の親と思われる巨鳥が現れ、人々を追い払う 逃げ惑う人々



親鳥はしばし卵に寄り添うが、なぜか卵を置いて去る



とうとうヒナが孵る
外に出たものの、わずか数キロ体を引きずっただけでそのまま倒れて死ぬ



哀れんだ人々はトラック数台でヒナを十字架のように吊るす





そこに再び巨鳥が今度は群れで現れ、それぞれが巨卵を産み、また去ってゆく






この1冊の中に一体どれほどの驚きが詰まっていることか!

まず、ネットにはないガブリエル・バンサンの情報が少しずつ分かってきた

バンサンが本名じゃないのね しかも54歳から絵本を出版てビックリ
まあ、75歳から描き始めたグランマ・モーゼスもいるけど
なにかを始めるのに年齢なんて関係ないんだ

それを知ると、1冊目、2冊目にしてこの哀愁、画力に納得
そこにこめられた、たくさんの想いも、バンサンが歩んだ人生経験の中で培われたものが滲み出ている

水彩画シリーズもあるそうだけれども、私はやっぱりこのシンプルなデッサン、
無言劇シリーズこそ、バンサンしか生み出せないオリジナルだと思う
他のも読んでみないと比べるのはまだ早いけれども


そして、このストーリーにビックリ

表紙をチラッと見ただけだと、フツーの卵の話だと思っていたのが
実は、下に小さな人がいて、恐ろしく巨大だと分かる 恐竜の卵!?

それにストゥーパのように飾り付けて、団地まで造って、観光地化しちゃうヒトの愚かさにビックリ

巨鳥はなぜ卵を温めないのかフシギに思ったけど、そういえば、産んで放っておく鳥もいるよね
鳥の生態をほとんど知らないことにも気づかされた

ヒナが孵って可愛いと思った矢先に死んでしまったのはなぜか? 病気? ヒトのせい?
そのヒナの死体をキリストの磔みたいにしてしまう発想にまたビックリ???


あとがきを読んで、この卵を核や人口拡大に例えるなんて思いもよらなかった
親は卵を見て、中のヒナの命が短いことにすぐに気づいたんじゃないかな
それとも、ヒナが孵って、何も食べずに月日が経ったから死んでしまったのか?

卵は生命の象徴で、その自然を金儲けに利用し、最後は壊してしまうヒトの愚かさだと私は思った

親鳥の鋭い眼の意味か
それぞれの解釈があっていい


改めて鉛筆と木炭の違いにも注目してみた

横長の本の形態を効果的に使って、広大な砂漠にポツンとある卵を描き
真っ黒に襲ってくる雲、巨鳥の群れは、ヒトのつくったものなどこっぱ微塵にしてしまう
自然の大きさが炭でうまく表現されている

もっともっと他の作品をみるのがまた楽しみになった



ピカソ 愛と苦悩「ゲルニカ」への道、ミッソーニの世界(1996.2.5)

2016-10-20 12:00:23 | アート&イベント
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ピカソ 愛と苦悩「ゲルニカ」への道@東武美術館


11時 家を出て、池袋のvirginに寄って、フィービー・スノウのCDを買っちゃった
ディランの写真集2500円(洋書)も良かったな

13時 Nさんと落ち合って、東武美術館の企画展を観た

最初はスケッチばかりで、ほとんど闘牛シーン
が女で、牛が男の絡んでいるやつ 性や暴力がテーマみたい

そこに晩年の愛人が加わったり、次はギリシア神話の女神が牛と交わって(!)産まれたタミロウス(?)と
盲目になった彼を導く少女のシリーズ

ギリシア神話って血族入り乱れた激しい話が多いね


そして巨大壁画の「ゲルニカ」登場 写真複製なんだけど

その後、ピカソをめぐる先妻オルガ、愛人2人を描いたシリーズ
オルガは怪物と化し、愛人1はブロンドで体育界系、フランスパンのように描かれていて、
愛人2は美人→「泣く女」に変貌しちゃう

なんだかフランス女性と結婚していたらしい、先日亡くなった岡本太郎氏とダブってきちゃった
(結婚はしてないよね? 2016

ポストカード買ってから(これ今でも大事に持ってる 2016
5Fパレルモで例のクリームチーズサンドとフロートティーを注文

次に西武デパートのリブロ方面にあるセゾン美術館へ



ミッソーニの世界@セゾン美術館


イタリア人で、マラソン選手優勝経験ありってフシギな経歴の持ち主
親子でデザイナーで、今も元気

古いスナップ写真からはじまって、'70もの「イエイエ娘」みたいなファッション雑誌表紙のモデルさんたち
デザイン原画に、実物もマネキンが着て展示してある

他にも大きなタペストリーや、多種多彩なはぎれサイズのデザイン見本、
サッカー大会のオープニングセレモニーシーンビデオと
アフリカ民族衣装風マネキン、壁や床にも模様あり

ライトのついた蚊帳みたいなのがさがってて、
織機の写真、音響効果の部屋や、
壁がスクリーンでたくさんの映像が流れてるポップアート風の部屋等凝ってる

ラストはミッソーニのロゴいろいろ
極彩色が元気いっぱいで、レゲエミュージックほか南国ムードが強い

糸車の部屋や、ファッションショー、ダンスのビデオ、
絹色がライトに妖しく光ってたりする部屋もあったな


そこを出ると美術洋書売場と喫茶店があって、すごい種類の美術書ほか
CDデレク・ジャーマンのビデオ、グッズなどがたっくさん

喫茶店の高いテーブルでチョコレートケーキとアイスコーヒーのセット(バレンタインデースペシャル)を注文
食べ終わる頃はもう19時

なかなかよい1日でした


PS.
Nさんが布団の綿で作成したっていうネコのぬいぐるみ兼置物も見てみたい
(そいえばもらったんだった/礼 2016 可愛いんだよね、目がボタンで




ルネ・マグリット展@三越美術館・新宿南館7F(1994.12.29)

2016-10-20 12:00:22 | アート&イベント
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11時までベッドでウダウダ
12時に家を出て
13時新宿アルタ前ジャストNさんと待ち合わせて三越美術館へ

ルネ・マグリット展は、だまし絵っぽくて面白かった(パンフレット参照)←引越しのたびに処分しちゃったな(2016


ミュージアムショップに売ってた目やハトの絵のネクタイはキョーレツ
ウォーホルのTシャツまであった


そのままNさん宅にお邪魔して、噂の3匹の猫ちゃんと初対面
ミミちゃん、ピイちゃんと、???

ミケのミミちゃんはシッポが二股で、一番愛想よく迎えてくれて、
ほかの黒白の子はフーって怒ったし、もう1匹は隠れっぱなしでした

ルーちゃん(友だちの猫)の載ったカレンダーを見て、
チョコレートケーキとチェリーパイ、コーヒーを頂いて
旦那さんの撮ったネコの写真を見せてもらったり、岩手の写真を見せたり、本を交換した
私は『インド夜想曲』と『ローズマリーローズ』、Nさんは『シンプル・プラン』を貸してくれた
お正月にこれを読もうっと


(思ったほどマグリット展について書いてなくてガッカリ てかひと言で済ませてるし
 この頃はけっこう好きだったんだけど




黄金の都 シカン発掘展@国立科学博物館(1994.10.29)

2016-10-20 12:00:21 | アート&イベント
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始まってからずっと行きたいと気にしてたけど、今日やっと機会がもてた
掃除やら終えて、遅めの朝食を食べて、12時頃だったろうか
外は雨だけれども、きっと混まないだろう


上野の国立科学博物館は初めて
しのばず口から出てすぐ

上野の森美術館では「モディリアーニ展」、
もう1つでは18C頃のパリの画家を集めた展覧会をやっている


科学館はさすがに古く、会場まで長々と歩かされて、中はさほど広くない

私はキンキラキンの純金ってやつを一度観てみたいと思って行ったけど、
半分は銅製の壷類、半分は金の装飾品
ほかは、銀、砒素(?)、合金だった


「金をより少なく、より美しく光る、金らしいものを」

彼らは当時どうやって合金の方法、高い技術を知っていたか


場所は南米ペルー
そばには地上絵で有名なナスカがある

たった数世紀栄えて滅びた未知の文明
それを発掘したのが日本人だというのを誇りに思った
既成の歴史を変えて、世界中の文献に新しい歴史を加える考古学者の最大の魅力はそこにあるのだろう


TBSがバックとあって、展覧会にもそこらじゅうに影響が見られた
テレビ画面がいたる所に設置され、それぞれのコーナーを映像で紹介する
とくに墓内部の様子を6層に分けた、立体的なCG映像での解説は分かりやすくてインパクトが強い



もっともショッキングだったのは、発掘された墓の主

シカンの高級貴族で、仮面に神の模様があり、僧侶の位かもしれないとのこと
いつの時代も、世界中で、坊さんは、神と一般市民の仲介役として、いい暮らしをしていたのね
それが逆さに埋葬され、他にも幼い子どもまで(生け贄か?)女性2人とともに埋められていたこと

観たら、一番間抜けに見えた
なにか酉の方角が神聖だかららしいけど、下向きなのは「死の世界」だからかしら?
僧侶なのに、死んでもまだ女と宝物を連れて、裕福に暮らしたいと思ったのかしら


女性2人は妻?
いやはや、出産のポーズで、おっぴろげな格好で、もう1人は助産婦のつもりらしい
「再生、復活」を意味しているそう

もしかして、夫が突然死んじゃって、奥さんはまだ死にたくなかったろうに
夫の寿命が、妻の寿命ってこと
無理やり死ななきゃならなくて、きっと死後の世界じゃろくな目に遭わないよ

奥さんの白骨が華奢なことから、労働には無縁の貴族階級同士の組み合わせみたい
金持ちの考えることは分からないわ

でも、キレイに残っている横たわる白骨
骨の仕組みがほんとに医務室にある模型と一緒で、つい見入っちゃった
私の骨もああなのね
腰骨が一番しっかりしていたな


(展覧会の室内のイラストが描いてある

出産ポーズの女性(30代)と、もう1人の女性の骨(深さは12m)
主人は中央で、あぐらをかいて、頭はむりやり180度横を向いている 西向き 逆さ 仮面をつけている

そのそばには、ビーズ その数と層の厚さはハンパじゃない 紫水晶や翡翠もある
網のような箱(?)の上には男の子(?)がいて、見張りのためか、膝を抱えている
左側には、珍品とされる「イモ貝」(?)
貴族らはこれらの貿易ルートをもち、動かしていた


こんな模型が展示されていて一目瞭然
その隣りは、ミイラにされて埋葬された主人の頭蓋骨と骨格から予想されるモンタージュ
みんな「あまりハンサムじゃないね」

他の冠をつけた上半身のマネキンや、
合金作りをしている、火に空気を吹き込む褐色の肌、
前だけ布1枚で隠した男性のマネキンは、それぞれ整った顔立ちに作られていた
体型は日本人に近かったらしいけど、、きっと全然違ってたと思うよ


あとは生け贄の女性が身につけていたキラキラの装飾品
王冠、耳輪、鼻輪(ほんと笑っちゃう)


そして、みんなが期待していた頭にかぶっていた仮面
コウモリが舌を出しているのが愛らしい

時にカエルやヘビなどに姿を変えたという「シカン神」とはどういうものだったのだろう
壷の取っ手の装飾も、人面のほかに、猿や、子犬が4匹も乳にしゃぶりついている犬、
シャム双生児などなど 動物が多い

今でこそ1つ1つの細かい装飾は、照明に照らされて、あたかも古代に作られた時のままの輝きを見せているけど
腐って、泥まみれ、青くサビついた1つ1つを洗浄していく気の遠くなるような
細かく、長い時間のかかる作業の様子も観て
この1つ1つの輝きは、そんな多くの無名のスタッフの情熱や執念の賜物


みんな、先日放映したシカン発掘のテレビ番組の話をしていた
見逃したのが本当に残念




ついでに、常設展のほうもちょっと覗いてきた
今流行りの恐竜の骨の模型があって、みんなデカイ!

変な動物もいっぱい!
とくにライオンとオオカミを掛け合わせたみたいなのがクジラの祖先だって、あれは、絶対信じないもんね
あんな凶暴そうなのが祖先なわけないもの!


人間の祖先、猿人はアフリカが起源(少なくとも発見された骨でいうと)で
アメリカは、新人類っていうのはなんとなく納得だけど、
日本人はその中間で、旧人が多いのか
けっこう日本も人間の歴史は古いのね、ヨーロッパと同じくらい


つい寄ってしまったミュージアムショップで見つけたクジラと、海の絵が入ったガラスのボールの美しさったら
安いのでも38000円 この値段でも欲しいと思った 高いのは6万円とかもっと

冷たいジュースを入れると絵が変わるっていうグラス500円でもよかったけど、
結局買ったのは、会場出口で300円のミニガイドブックだけ
ちょっと前なら2000円の厚いパンフレットのほうを買ったかも


雨がそぼ降る上野公園もなかなかよかった 落ち葉の濡れた香りがして