メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『クレーの天使』

2010-05-08 22:51:18 | 
『クレーの天使』Paul Klee&谷川俊太郎 講談社
パウル・クレー:Paul Klee(1879年12月18日-1940年6月29日)は、スイス出身の画家、美術理論家。その作品は表現主義、超現実主義などのいずれにも属さない、独特の世界を形づくった。(ウィキ参照

「まにあうまだまにあう とおもっているうちに まにあわなくなった
 ちいさなといにこたえられなかったから おおきなといにもこたえられなかった
 もうだれにもてがみをかかず だれにもといかけず
 てんしはわたしのためにないている
 そうおもうことだけが なぐさめだった
 なにひとつこたえのない しずけさをつたわってきこえてくる
 かすかなすすりなき・・・

 そしてあすがくる」


谷川俊太郎さんは大好きな詩人で、『夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった』や『コカコーラ・レッスン』などなど、
当時10代の自分には難解なものも多かったけど、ちょっと背伸びをして読んでいた。
自由で、静かに淡々と、正直にココロの奥深い部分をさらけ出す、そんな言葉の選び方、
使い方にはとても衝撃を受け、文章を書く時も影響を受けたと勝手に思っている。

パウル・クレーという画家は今回初めて知ったが、美術書のコーナーにこの絵と詩がコラボった本を見つけて、
わたしの好きなコクトーにも通じるやわらかでシンプルな線画に添えられた谷川さんの詩に心打たれた。
歳を重ねてもなお、みずみずしい詩を書きつづけるって、ほんと素晴らしいなあ!


『クレーの絵本』Paul Klee&谷川俊太郎 講談社

「いのちはいのちをいけにえとして ひかりかがやく
 しあわせはふしあわせをやしないとして はなひらく
 どんなよろこびのふかいうみにも ひとつぶのなみだが
 とけていないということはない」
(「黄金の魚」より)

本書のほうが先に刊行されたみたい。より多彩なクレーの絵が楽しめる。
とくに赤色のつかい方がよい。世の中の雑多なものが画家の筆によってこんなに素敵な世界に変わるものか。
谷川さんとクレーの出会いは若い頃だそう。すべて「かな」で書かれたシンプルな詩がそっと絵に寄り添っている。

あとがきに「“詩”は言葉のうちにあるよりももっと明瞭に、ある種の音楽、ある種の絵のうちに潜んでいる」とある。
なるほど。

コメント    この記事についてブログを書く
« 『世界の歴史14 アメリカとゆ... | トップ | ★sweet★soul★mashman★ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。