メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

夏の終わり

2006-02-13 23:55:55 | lyrics
どこまでも どこまでも
望むだけ手に入る 高い空と
日光を浴びた 流れる入道雲のキュビズム

私は今日
人のすむコンクリートの街へ
帰ってきた

ここではみんなが いろいろなものから
逃げ回っている

今のわたしに必要なのは

すべてにノー・コメントといえる
大きなサングラスと

マスクに白手袋

深々とかぶる帽子に

靴まで隠れる オーバーコート

静かに休める場所

カラカラに乾いた 蝉の死骸

天に挑戦する 無数の花火

いかれたクーラー ゴミの山

ヒューズの飛んだ 陰湿なへや

10日前まではここが
自分だけの自由な幻想王国(ワンダーランド)だと思っていたのに
今じゃこの拠り所のない35℃の夜の街は
私を無下に突き放す


宇宙人の微笑みをむける見知らぬ女
次第に脳のビスもゆるみはじめ
コントロールを失ってゆく

あんたは別の次元から来たのか?
別の惑星から

破滅に向かっている地球を見物しに来たんだろ?
働き続けることこそ人間の生の全てなんだ
そしてやっととったたった3日間の休暇を仲間と愚痴る


きっと君はなにか我慢大会にでも
参加しているに違いない

どれだけこんなイカサマに耐えられるか
いつのまにやらゲームに参加させられていた

これはきっといつか笑い飛ばせる
ジョークに違いない


雨空に流れる オカリナのBGM

食後のコーヒーに映る 真紅のアーケイド

幾何学模様の タイル張りの広場

緑にコケむした 水の止まった噴水

群がる鳩の中に 飛び込んでゆく少女


私は一人で歩いていく
どこまでいってもコンクリートに覆われている
固くて熱い道を




1994年記
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