過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part2からのつづきで、水色ノートはこれがラスト。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。
■『ダメージ』(1992)
監督:ルイ・マル 出演:ジェレミー・アイアンズ、ジュリエット・ビノシュ ほか
さすがルイ・マルとひと言 ジェレミーはぴったり役にハマっている。
刺激的な性描写もそうだけど、映像世界の解放はよりリアリズムに近づく鍵になっている。
こんな瞬間的な結ばれ方がありえるのかしら?
フランス期待の実力派若手女優ビノシュの白い肌と哀愁を帯びた黒い瞳、黒い髪、
着ているものもほとんど真っ黒にキメていて、それがしつこくならないのは
彼女の華奢なスタイルと、フランス女性のセンス。
マーティン役のルパート・グレイブスは『モーリス』でも光っていた純粋さを生かしている。
タイトルのダメージとは、男女関係から生まれた数々の心理的打撃のことを指しているのだろうか?
「愛は地球を救う」的イメージが当然の価値観となっている中で、
ルイ・マルはそんなの妄想だといわんばかり。少なくとも今作では愛=コントロール不可能な欲望=破滅だ。
「彼女は他の女と変わらなくなった」彼はあらかじめ分かっていたのかもしれない。
■『大砂漠デッドゾーン』(1990)
監督:ハリー・フォーク 出演:アンソニー・ギアリー、マーク・シンガー ほか
異常現象が次々と起こるSF映画。
『V』のヒーロー役で日本でも人気が出たマーク出演作ということで観たら、
女好きな自信過剰のマッチョな役でちょっとビックリ。
俳優としては、いろんなタイプを演じたいだろうけど、正義のヒーローのほうが似合っていると思うんだけどな。
「B級映画みたいだ」ってゆうセリフを皮肉で使っているつもりが、
ほんとにそうな場合に限ってこのセリフを使うことが多かったりする
SFでありがちなのは、必ず説明調な奴がいるってこと。「これは、こうなんじゃないか~?!」
それで他の皆は疑いもせず「そうだったのか・・・」て納得するみたいな
■『博士の異常な愛情~又は私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』(1963)
製作・監督・脚本:スタンリー・キューブリック 出演:スターリング・ヘイドン、ピーター・セラーズ、ジョージ・C・スコット ほか
♪また会いましょう どこかも知らず いつかも分からないけれど
きっとまた会えるでしょう いつか晴れた日に
だから笑いを忘れずに いつもたえないその微笑みを
青い空の輝きが 黒い雲を払うまで
この物語の後だと、こんな歌も不気味に聴こえる。全く異常な作品。
始まる前に“事実とは一切関係のない架空のものだ”というテロップを流しても、
人々の心に訴える力は減るどころじゃないし、現在観ても究めてリアルな政治、それも軍事一色の話。
軍事や政治的に重要な役職であればあるほど、全世界の運命が握られているなんて危険な話はない。
上官の命令下では個人の感情など全く問題外の軍隊の世界も本当に不条理。
核爆弾を投下しようと最善を尽くした兵士の喜びようは何だったんだろう?
そして歌とともに流れる核爆発の映像。
計り知れない驚異的破壊力、恐怖だからこそ逆に人々を魅了し、狂わせる芸術品だ。
(セラーズの七変化映画としては面白い!
■『恋人たちの曲 悲愴』(1970)
製作・監督:ケン・ラッセル 出演:リチャード・チェンバレン、グレンダ・ジャクソン ほか
ケン・ラッセルここにあり。クラシック作曲家を題材にした映画は、モーツァルト、ショパン、
そしてこのチャイコフスキーと並んだけど、どれも音楽の天才であったゆえに、
日常生活の摩擦で亀裂が生じた激しい生き様を壮絶に描いている。
こんな作品を見せられたら、すぐに言葉にするのは難しい
世の中にこんなに惨めで絶望的な結婚があるだろうか!?
芸術家が本物であればあるほど、生前に成功する例は少ないが、
彼の成功の裏には計り知れない大きな代償があった。
チェンバレンの演技もさることながら、気性の激しい妻役をグレンダが体当たりで演じている。
特に、その個性的な美しさが狂気に変わった演技は迫力
ドラマティックで情熱的なラッセルの映像詩。時にあっと驚かせる突飛な発想は彼ならでは。
強迫観念にかられたピーターの心境を感動的なチャイコフスキーの音楽にのせて見事に映像化して見せてくれる
■『ホワイト・クリスマス』(1954)
監督:マイケル・カーティズ 出演:ビング・クロスビー、ダニー・ケイ、ローズマリー・クルーニー ほか
ひと足先にすっかりクリスマス気分になってしまった
映画の見どころであるダンス&ミュージックは、作品中で演るいくつものショーのリハーサルという設定はなかなか面白い。
クルーニのダンスとタップはまさにハリウッド仕込みで、相手役にアステアかジーン・ケリーが欲しいところ。
でもここはダニー・ケイが奮闘している。何か特別するわけでもなく、ただ歩いているだけでも笑えちゃう、
これって立派に芸のうち。コメディアンとして最高の技だよね!
彼の怪しげなバレエは、いかにもオーバーアクションで、真面目腐ってやってる分本当可笑しい
こんな明るいミュージカルの形を借りてはいるけど、扱っているテーマはとてもシリアスなもの。
退役した将軍がロクな働き口もなく、戦争終結とともに忘れ去られてしまう姿はなんとも惨めで心が痛む。
彼を励ますために昔ソックリに演出したショウも考えてみればとても皮肉。
誰も戦争をもう一度したいなんて思わないのに、平和な日々より「また兵隊に戻りたい」なんて軍人賛歌を歌うなんて
ヴェラ・エレンは髪型といい、化粧といい、どことなくマリリンを意識してそうだけど、
笑うと意外なほどあどけない表情がクルーニーと対照的で親しみやすい。
ラストのザ・クリスマス!てセット 雪が降って文字通りホワイトクリスマスをバックに合唱するシーンはすばらしい。
ボブ&フィルシスターズ?の爆笑コピーも含めて、それぞれのシーンピッタリのステキな衣装も見どころ。
もちろん、クロスビーの甘~い声で歌われる数々の名曲も聴きごたえ充分で、
クリスマスの晩にみんなで観るには、まさにピッタリのハッピーな1作。
【読書感想メモ】
「密会(THE TRIST)」マイケル・ディブディン
「秘密の花園」フランセス・ホジソン・バーネット
「ヨーンじいちゃん」ペーター・ヘルトリング
「小公子」フランセス・バーネット
「フランダースの犬」ウィーダ
「小公女」バーネット
「ニュールンベルクのストーブ」ウィーダ
「ぼくとジョージ」カニグズバーグ
part2からのつづきで、水色ノートはこれがラスト。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。
■『ダメージ』(1992)
監督:ルイ・マル 出演:ジェレミー・アイアンズ、ジュリエット・ビノシュ ほか
さすがルイ・マルとひと言 ジェレミーはぴったり役にハマっている。
刺激的な性描写もそうだけど、映像世界の解放はよりリアリズムに近づく鍵になっている。
こんな瞬間的な結ばれ方がありえるのかしら?
フランス期待の実力派若手女優ビノシュの白い肌と哀愁を帯びた黒い瞳、黒い髪、
着ているものもほとんど真っ黒にキメていて、それがしつこくならないのは
彼女の華奢なスタイルと、フランス女性のセンス。
マーティン役のルパート・グレイブスは『モーリス』でも光っていた純粋さを生かしている。
タイトルのダメージとは、男女関係から生まれた数々の心理的打撃のことを指しているのだろうか?
「愛は地球を救う」的イメージが当然の価値観となっている中で、
ルイ・マルはそんなの妄想だといわんばかり。少なくとも今作では愛=コントロール不可能な欲望=破滅だ。
「彼女は他の女と変わらなくなった」彼はあらかじめ分かっていたのかもしれない。
■『大砂漠デッドゾーン』(1990)
監督:ハリー・フォーク 出演:アンソニー・ギアリー、マーク・シンガー ほか
異常現象が次々と起こるSF映画。
『V』のヒーロー役で日本でも人気が出たマーク出演作ということで観たら、
女好きな自信過剰のマッチョな役でちょっとビックリ。
俳優としては、いろんなタイプを演じたいだろうけど、正義のヒーローのほうが似合っていると思うんだけどな。
「B級映画みたいだ」ってゆうセリフを皮肉で使っているつもりが、
ほんとにそうな場合に限ってこのセリフを使うことが多かったりする
SFでありがちなのは、必ず説明調な奴がいるってこと。「これは、こうなんじゃないか~?!」
それで他の皆は疑いもせず「そうだったのか・・・」て納得するみたいな
■『博士の異常な愛情~又は私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』(1963)
製作・監督・脚本:スタンリー・キューブリック 出演:スターリング・ヘイドン、ピーター・セラーズ、ジョージ・C・スコット ほか
♪また会いましょう どこかも知らず いつかも分からないけれど
きっとまた会えるでしょう いつか晴れた日に
だから笑いを忘れずに いつもたえないその微笑みを
青い空の輝きが 黒い雲を払うまで
この物語の後だと、こんな歌も不気味に聴こえる。全く異常な作品。
始まる前に“事実とは一切関係のない架空のものだ”というテロップを流しても、
人々の心に訴える力は減るどころじゃないし、現在観ても究めてリアルな政治、それも軍事一色の話。
軍事や政治的に重要な役職であればあるほど、全世界の運命が握られているなんて危険な話はない。
上官の命令下では個人の感情など全く問題外の軍隊の世界も本当に不条理。
核爆弾を投下しようと最善を尽くした兵士の喜びようは何だったんだろう?
そして歌とともに流れる核爆発の映像。
計り知れない驚異的破壊力、恐怖だからこそ逆に人々を魅了し、狂わせる芸術品だ。
(セラーズの七変化映画としては面白い!
■『恋人たちの曲 悲愴』(1970)
製作・監督:ケン・ラッセル 出演:リチャード・チェンバレン、グレンダ・ジャクソン ほか
ケン・ラッセルここにあり。クラシック作曲家を題材にした映画は、モーツァルト、ショパン、
そしてこのチャイコフスキーと並んだけど、どれも音楽の天才であったゆえに、
日常生活の摩擦で亀裂が生じた激しい生き様を壮絶に描いている。
こんな作品を見せられたら、すぐに言葉にするのは難しい
世の中にこんなに惨めで絶望的な結婚があるだろうか!?
芸術家が本物であればあるほど、生前に成功する例は少ないが、
彼の成功の裏には計り知れない大きな代償があった。
チェンバレンの演技もさることながら、気性の激しい妻役をグレンダが体当たりで演じている。
特に、その個性的な美しさが狂気に変わった演技は迫力
ドラマティックで情熱的なラッセルの映像詩。時にあっと驚かせる突飛な発想は彼ならでは。
強迫観念にかられたピーターの心境を感動的なチャイコフスキーの音楽にのせて見事に映像化して見せてくれる
■『ホワイト・クリスマス』(1954)
監督:マイケル・カーティズ 出演:ビング・クロスビー、ダニー・ケイ、ローズマリー・クルーニー ほか
ひと足先にすっかりクリスマス気分になってしまった
映画の見どころであるダンス&ミュージックは、作品中で演るいくつものショーのリハーサルという設定はなかなか面白い。
クルーニのダンスとタップはまさにハリウッド仕込みで、相手役にアステアかジーン・ケリーが欲しいところ。
でもここはダニー・ケイが奮闘している。何か特別するわけでもなく、ただ歩いているだけでも笑えちゃう、
これって立派に芸のうち。コメディアンとして最高の技だよね!
彼の怪しげなバレエは、いかにもオーバーアクションで、真面目腐ってやってる分本当可笑しい
こんな明るいミュージカルの形を借りてはいるけど、扱っているテーマはとてもシリアスなもの。
退役した将軍がロクな働き口もなく、戦争終結とともに忘れ去られてしまう姿はなんとも惨めで心が痛む。
彼を励ますために昔ソックリに演出したショウも考えてみればとても皮肉。
誰も戦争をもう一度したいなんて思わないのに、平和な日々より「また兵隊に戻りたい」なんて軍人賛歌を歌うなんて
ヴェラ・エレンは髪型といい、化粧といい、どことなくマリリンを意識してそうだけど、
笑うと意外なほどあどけない表情がクルーニーと対照的で親しみやすい。
ラストのザ・クリスマス!てセット 雪が降って文字通りホワイトクリスマスをバックに合唱するシーンはすばらしい。
ボブ&フィルシスターズ?の爆笑コピーも含めて、それぞれのシーンピッタリのステキな衣装も見どころ。
もちろん、クロスビーの甘~い声で歌われる数々の名曲も聴きごたえ充分で、
クリスマスの晩にみんなで観るには、まさにピッタリのハッピーな1作。
【読書感想メモ】
「密会(THE TRIST)」マイケル・ディブディン
「秘密の花園」フランセス・ホジソン・バーネット
「ヨーンじいちゃん」ペーター・ヘルトリング
「小公子」フランセス・バーネット
「フランダースの犬」ウィーダ
「小公女」バーネット
「ニュールンベルクのストーブ」ウィーダ
「ぼくとジョージ」カニグズバーグ