メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

notes and movies(1993.9~ part3)

2012-12-16 09:56:02 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part2からのつづきで、水色ノートはこれがラスト。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『ダメージ』(1992)
監督:ルイ・マル 出演:ジェレミー・アイアンズ、ジュリエット・ビノシュ ほか
さすがルイ・マルとひと言 ジェレミーはぴったり役にハマっている。
刺激的な性描写もそうだけど、映像世界の解放はよりリアリズムに近づく鍵になっている。
こんな瞬間的な結ばれ方がありえるのかしら?

フランス期待の実力派若手女優ビノシュの白い肌と哀愁を帯びた黒い瞳、黒い髪、
着ているものもほとんど真っ黒にキメていて、それがしつこくならないのは
彼女の華奢なスタイルと、フランス女性のセンス。
マーティン役のルパート・グレイブスは『モーリス』でも光っていた純粋さを生かしている。

タイトルのダメージとは、男女関係から生まれた数々の心理的打撃のことを指しているのだろうか?
「愛は地球を救う」的イメージが当然の価値観となっている中で、
ルイ・マルはそんなの妄想だといわんばかり。少なくとも今作では愛=コントロール不可能な欲望=破滅だ。
「彼女は他の女と変わらなくなった」彼はあらかじめ分かっていたのかもしれない。


『大砂漠デッドゾーン』(1990)
監督:ハリー・フォーク 出演:アンソニー・ギアリー、マーク・シンガー ほか
異常現象が次々と起こるSF映画。
『V』のヒーロー役で日本でも人気が出たマーク出演作ということで観たら、
女好きな自信過剰のマッチョな役でちょっとビックリ。
俳優としては、いろんなタイプを演じたいだろうけど、正義のヒーローのほうが似合っていると思うんだけどな。
「B級映画みたいだ」ってゆうセリフを皮肉で使っているつもりが、
ほんとにそうな場合に限ってこのセリフを使うことが多かったりする
SFでありがちなのは、必ず説明調な奴がいるってこと。「これは、こうなんじゃないか~?!」
それで他の皆は疑いもせず「そうだったのか・・・」て納得するみたいな


『博士の異常な愛情~又は私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』(1963)
製作・監督・脚本:スタンリー・キューブリック 出演:スターリング・ヘイドン、ピーター・セラーズ、ジョージ・C・スコット ほか

♪また会いましょう どこかも知らず いつかも分からないけれど
 きっとまた会えるでしょう いつか晴れた日に
 だから笑いを忘れずに いつもたえないその微笑みを
 青い空の輝きが 黒い雲を払うまで

この物語の後だと、こんな歌も不気味に聴こえる。全く異常な作品。
始まる前に“事実とは一切関係のない架空のものだ”というテロップを流しても、
人々の心に訴える力は減るどころじゃないし、現在観ても究めてリアルな政治、それも軍事一色の話。

軍事や政治的に重要な役職であればあるほど、全世界の運命が握られているなんて危険な話はない。
上官の命令下では個人の感情など全く問題外の軍隊の世界も本当に不条理。
核爆弾を投下しようと最善を尽くした兵士の喜びようは何だったんだろう?
そして歌とともに流れる核爆発の映像。
計り知れない驚異的破壊力、恐怖だからこそ逆に人々を魅了し、狂わせる芸術品だ。

  
(セラーズの七変化映画としては面白い!


『恋人たちの曲 悲愴』(1970)
製作・監督:ケン・ラッセル 出演:リチャード・チェンバレン、グレンダ・ジャクソン ほか
ケン・ラッセルここにあり。クラシック作曲家を題材にした映画は、モーツァルト、ショパン、
そしてこのチャイコフスキーと並んだけど、どれも音楽の天才であったゆえに、
日常生活の摩擦で亀裂が生じた激しい生き様を壮絶に描いている。
こんな作品を見せられたら、すぐに言葉にするのは難しい
世の中にこんなに惨めで絶望的な結婚があるだろうか!?
芸術家が本物であればあるほど、生前に成功する例は少ないが、
彼の成功の裏には計り知れない大きな代償があった。
チェンバレンの演技もさることながら、気性の激しい妻役をグレンダが体当たりで演じている。
特に、その個性的な美しさが狂気に変わった演技は迫力
ドラマティックで情熱的なラッセルの映像詩。時にあっと驚かせる突飛な発想は彼ならでは。
強迫観念にかられたピーターの心境を感動的なチャイコフスキーの音楽にのせて見事に映像化して見せてくれる


『ホワイト・クリスマス』(1954)

監督:マイケル・カーティズ 出演:ビング・クロスビー、ダニー・ケイ、ローズマリー・クルーニー ほか
ひと足先にすっかりクリスマス気分になってしまった
映画の見どころであるダンス&ミュージックは、作品中で演るいくつものショーのリハーサルという設定はなかなか面白い。
クルーニのダンスとタップはまさにハリウッド仕込みで、相手役にアステアかジーン・ケリーが欲しいところ。
でもここはダニー・ケイが奮闘している。何か特別するわけでもなく、ただ歩いているだけでも笑えちゃう、
これって立派に芸のうち。コメディアンとして最高の技だよね!
彼の怪しげなバレエは、いかにもオーバーアクションで、真面目腐ってやってる分本当可笑しい

こんな明るいミュージカルの形を借りてはいるけど、扱っているテーマはとてもシリアスなもの。
退役した将軍がロクな働き口もなく、戦争終結とともに忘れ去られてしまう姿はなんとも惨めで心が痛む。
彼を励ますために昔ソックリに演出したショウも考えてみればとても皮肉。
誰も戦争をもう一度したいなんて思わないのに、平和な日々より「また兵隊に戻りたい」なんて軍人賛歌を歌うなんて

ヴェラ・エレンは髪型といい、化粧といい、どことなくマリリンを意識してそうだけど、
笑うと意外なほどあどけない表情がクルーニーと対照的で親しみやすい。
ラストのザ・クリスマス!てセット 雪が降って文字通りホワイトクリスマスをバックに合唱するシーンはすばらしい。
ボブ&フィルシスターズ?の爆笑コピーも含めて、それぞれのシーンピッタリのステキな衣装も見どころ。

もちろん、クロスビーの甘~い声で歌われる数々の名曲も聴きごたえ充分で、
クリスマスの晩にみんなで観るには、まさにピッタリのハッピーな1作。




【読書感想メモ】
「密会(THE TRIST)」マイケル・ディブディン
「秘密の花園」フランセス・ホジソン・バーネット
「ヨーンじいちゃん」ペーター・ヘルトリング
「小公子」フランセス・バーネット
「フランダースの犬」ウィーダ
「小公女」バーネット
「ニュールンベルクのストーブ」ウィーダ
「ぼくとジョージ」カニグズバーグ

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notes and movies(1993.6~ part1)

2012-11-30 11:33:59 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
今回はベージュのノートをご紹介。

  

photo1:これは基本形。
photo2:'93ウィンブルドンのピート・サンプラス優勝に感動したらしい。
photo3:気に入った歌詞のメモも多い。これはディランの♪Knockin' on Heaven's Door
(実際は武道館ライヴのレゲエver.が好き

若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『ミストレス』(1991)
監督:バリー・プリムス 出演:ロバート・デ・ニーロ ほか
映画人の懲りない面々。1本の映画を創ろうとするには、本当にあらゆる人間が関わってくる。
観客には見えないが、それらの様々なヴィジョンやアイデアによって
2時間前後を映像や物語で埋め尽くす訳で、これはその前段階の話。
いいシナリオがあって、プロデューサーが監督を連れて資金集めに悪戦苦闘する様子が描かれている。
デ・ニーロが製作とあればヒットするしないなど関係ない。
日頃の鬱憤晴らしに「どうだ!」とばかりに撮った1本。

元プロテニス選手までが金を武器に映画界に顔を利かせてくるなんて設定はちょっとショッキング。
それぞれが自分の愛人を女優にしようとするから大変。
アクの強い人間同士のギリギリの妥協の毎日、
最初のシナリオのピュアで崇高な精神がどんどん俗っぽく変わっていく可笑しさ

さて、C.ウォーケンは1カットのみ。それも自殺する画家の役で、
『ディアハンター』以来の共演を見たかったのに残念ながらそれは実現せず。
作品の良し悪しや才能のあるなしに関係なく、映画製作は競馬と同じ、
当たるか当たらないか、やめられないビッグな賭け事なのかも。


『スキャンダル』(1976)

監督:ベルナール・ックイザンヌ 出演:ジェーン・バーキン、ジャック・スピエセツル ほか
今まさに観たいと思っていた、センスあるセクシャルな作品。
バーキンがドキッとするような艶美な表情を持っていたなんて初めての発見。
それはロリータっぽいシャルロットにも通じているのがよく分かる。

出口をふさいだ密室で抱き合ったり、様々なことを親密に語り合う2人に、
限られたスペースの中でも若い男女には自由と愛があるって感じる。
題材は決して明るいものじゃないのに、晴れ晴れとしてむしろスッキリしたエンディング。
ジャックは'70年代のブリティッシュ・ロックンローラーみたいな雰囲気があって、
純粋さと危険さ、陰と陽の複雑に絡み合ったいい演技を見せている。
「父親を殺すってどんな気分?」「誰でも一度はやっているのさ、夢の中で」

ジェーン・バーキンも大好きな女優さんのひとり。


『スール その先は・・・愛』
監督:F.E.ソラナス
どこまでも蒼一色。5幕ほどの区切りで構成されている。
労組や仕事がない者たち、政府や軍の冷たい仕打ちなど
これはアルゼンチンの実際の歴史を舞台にしているのだろうか?

幻も現実も、死人も生きている者も一緒に存在する不思議な世界。
時々、天使だろうか?子どもらが数人駆けてゆく。
思い出と現実も交錯している。

「Sur」とは南の意味。仕事や自由、愛、それぞれが求めるものがあると
皆スールに行き着き、迷い、この地を愛している。
静かな夏の夜にはピッタリの一夜の夜会を観ている気分。


『CHAMPIONS』(1984)
監督:ジョン・アーヴィン 出演:ジョン・ハート、ジュリア・アダムス ほか
期待通りの感動が得られる1本。
映画化されたり、本になる人物は、勝者か、逆に悲劇のヒーローだが、
これは苦闘の末、運命に勝った男の物語。原作者が本人だというのも要因だろうが。

障害物レースでタイミングの一瞬のズレでフェンスに激突する馬
スローでとらえるカメラワークが最高に美しい。
「馬は生きる芸術品だ」と言われるのもよく分かる。
ラストの大詰めレースのシーンでは、バックの荘厳な音楽が
息も詰まるほどの興奮をかきたて最高の効果を盛り上げている。

また、当時44歳のジョンの演技はいつもながら血が通っている。
『のるかそるか』は賭け事がメインだったけど、今作は競馬のスタッフ側から見た真の勝負を描いている。


『POSSESION』
 
出演:イザベル・アジャーニ、サム・ニール ほか
想像通りだったけど、これほどキョーレツに異常だとは予想していなかった。
ポゼションとは“憑きもの”という意味もある。
夫の長い不在中に息子と2人で寂しく暮らしていた妻が、愛人の他にも化け物と寝ていたって話/驚
久々にカルトとスプラッタとサイコを一挙に観たって感じで、食事中には決してオススメできない
エイリアンをヌルヌルにしたみたいなアレは、結局、死神だったのだろうか?
どちらにせよ、もし通りでこんな人たちに出くわしたら絶対近寄りたくない。
地下道でアジャーニ扮するマリアが最低でも5分間は延々と暴れ狂う演技は、
本当に何かにつかれた状態そのもので観客を不安と恐怖で一杯にする。

ダミアン以降、サイコ役が板についちゃったニールだけど、
エキゾティックなルックスだから、もうちょっと別なジャンルに出てもいいのでは?
狂気そのものの両親と環境に置かれた幼い息子がひたすら哀れ。
でもこの世にはきっと気づかれずに心を病んでいる彼のような子どもがいるってことを
知らしめているところが今作の唯一意味がある部分。
これは夫婦の絆の話とも言える。
愛する者のためなら何でも許す夫の姿が印象的。


『尋問』(1982)
出演:クリスティナ・ヤンダ ほか
とてもヘヴィなポーランド映画。
主役のヤンダが華やかな歌姫だった頃から次第に極限まで衰弱し、
人間性も、感覚も、若さも、一切消えうせてしまった変わり様は素晴らしい演技力。
喜びや希望、ほんの少しの人間性すらない秘密警察の監獄の担当官の歪んだ愛情。
妻の不貞を嘆いて去って行った夫が、子どもの様子を見に来ていたという事実。
ヒトの愛情とはなんて不思議で複雑なものかがひしひしと伝わってくる。

それにしても、ユダヤ人大虐殺などに関わった役人たちは、一体どんな思いでいたのだろうか?
心底腐りきっているか無感覚でないかぎり、毎日の尋問は自身に対する問いかけでもあるはず。
ここでは体罰はあまり描かれていないが、政治犯、とくに女囚に対しては実際は卑劣な性的虐待の事実もある。
「極限の誠実など存在しない、例外はないんだ」「怖いの?」「ああ少しだけ」


『タワー』(1992)
監督:リチャード・クレター 出演:ポール・レイザー ほか
実際、普通の家庭でもオートロックや照明、風呂など、ボタン1つでコンピュータがなんでもしてくれる現代。
セキュリティのブームは加速しているけれども、結局、自分を守るのは自分自身なんだと鋭い警告を投げかけている作品。
よりよい労働環境を与えるどころか、融通のきかない殺人コンピュータのCAS。
近未来、これと似たビルがあちこちで見られる日もあるかもしれない。
完全制御のエレベータがブンブン動いているシーンは芸術のようだけど、
いくら完璧なオフィスでも、問題はやはり仕事の質であって、
こんなハイテクなオフィスビルを建てても、ブラックユーモアの種になるのがオチだろうね。


『アミティヴィル1992』(1992)
監督:トニー・ランデル
まさに現代のホラー。高級住宅地に住む家族に起こる惨劇なのに、
どこかしら'70~'80前半のサイコホラー全盛期にも通じる不吉で悪魔的な香りがする。
まるで『エクソシスト』や『オーメン』でも観ているような。
実際いくつかの似通ったアイデアが使われている。

時計という道具が造られてから、その便利さにとりつかれ、
今もこれからも、その魔力に身も心もすっかり縛られてしまっている私たち。
自らがつくった罠に自分でハマっちゃうなんてまったく皮肉な話だ。
だからラストシーンにはなんだか爽快な感じがした。


『ファンタズム』
監督・脚本:ドン・コスカレリー 出演:マイケル・ボールドウィン、ビル・ソーンベリー ほか
タイトルは幻影、幻想、幽霊の意味。
観終わるとなんだか不思議な悪夢から覚めたよう。
手に汗握る悪夢と違って、どこか暗示的で、覚めてからもなにかしら心の奥にもやが残るような悪夢。
勇気ある主人公のマイクがとてもキレイな少年で、兄弟間のやりとりがぶっきらぼうながら温かいのがイイ。

当時は『キャリー』のショッキングな終わり方みたく、続編があるぞと思わせる全然完結しないエンディングが多い。
実際『ファンタズム2』があるから、ありがちな二番煎じになってなきゃいいけど。
ヒトの夢は映画よりも奇抜で、とっぴょうしもない展開なのに現実味に溢れていて、
いつも突然始まって、意味もつかめないまま終わってしまう。
これは、誰かがある晩に見た、そんな不思議で悲しい夢なんだ。


『カミーユ・クローデル』(1988)
出演:イザベル・アジャーニ、ジェラール・ドパルデュー ほか
1900年。すでに偉大な彫刻家として名を馳せていたロダンと、
彼の教えを受け、彼の下で仕事をしたいと野心を燃やすカミーユ
彼女の感性は、ロダンをも越えるほどの才能で、2人の間には常に極限の愛と
プロの芸術家としての対立が絶えなかった。

先日読んだエルヴェ・ギベールの本の中で彼が書いて、
イザベルがセザール賞をとったというのは今作だろう。
彼女の表情には、どこか研ぎ澄まされた狂気が宿っている。
ついに悲劇に終わる女の半生を見事に演じきっている。
見終わった後は絶望のどん底に落とされた気分。
「彼女は才能があるが故に破滅した」そもそも才能とは一体何なのだろう?
本当の芸術が見える目とは?耳とは?その心の中は?
人はこれほど激しく生きられるものなのか?

カミーユ本人の古ぼけたモノクロ写真は晩年のもののようだが、
お世辞にも美しいとは見えない老女だった。彼女が本当にこの話のヒロインなのか?
「私は彼に全てを捧げ、その代わりに虚無を得た。その3倍もの虚無を・・・」

【読書感想メモ】
『ぼくの命を救ってくれなかった友へ』エルヴェ・ギベール
コメント

notes and movies(1993.6~ part2)

2012-11-30 11:33:58 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。part1からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『ランブリング・ローズ』(1991)
 
監督:マーサ・クーリッジ 出演:ローラ・ダーン、ロバート・デュバル ほか
少年が年上の女性に初めて恋などを教わった思い出を追想する。
『君がいた夏』ほか、映画史においてずっとひきつがれているジャンルの一つ。
ローズというヒロインの、悲しい過去があるにも関わらず奔放で自由でセクシーで
なんとも形容しがたい魅力は、ローラ・ダーンの魅力によって数倍ステキに輝いている。
彼女を雇う奥さん役は、ローラの実母のダイアン・ラッド。

信じられないくらい博愛的というか、心が広い物分りのいい奥さんで、
ローズのために虎のように戦う知恵と思慮深さを持っている。
デュバルがこれまた信じられないくらい理想的な夫かつ父親役を演じていて、
その包容力だけじゃなく、人間的魅力が逆にセクシーに見えるからフシギ

そして、少年時代を演じるのがルーカス・ハース。
可愛い子役から俳優として成長するのは難しいが、今作では少年の微妙な感情の動きをよくとらえている。
ゲスト出演のようなジョン・ハードは、見応えある演技があまりなかったのがちょっと残念。

予告を映画館で観た瞬間から、とてもいい映画だろうと思っていた。
「ローズは鞄いっぱいに愛をつめてやってきた」という宣伝文句もピッタリすぎると思ったのを覚えている。
なぜ現代にこんなセンチメンタルな話が作られ、ヒットしたのか考えるとフシギな気もするが、
今作にはアメリカ人が折に触れて懐古する、自然の中でのびのびと暮らしていた頃のグッドオールドタイムが描かれている。

近所に流れる澄んだ川、そこにかかる木の橋、オレンジ色の屋根と白い壁のある家
そこに住む平和で温かい家族~私たちが失った世界が映画の中では活き活きと描かれていている。
映画に求められている娯楽性が今作には溢れている。それが理由かもしれない。


『The Rocky Horror Picture Show』(1975)
 
監督:ジム・シャーマン 出演:ティム・カリー、スーザン・サランドン ほか
サイコー こんなファンキーなロックオペラを今の今まで知らなかったなんて全く信じられない
デカダンスというより、'70年代グラムロック全盛期を映画化したような妖しい極致の世界。
真っ赤な唇が「SF映画の2本立て。私も行きたい、深夜興行の映画に~」と紹介する
アイデアなんか今までに全然なかったパターン。

思い切りキョーレツなのが、フランケン演じるティム・カリー
単なる演技とは思えないほどのユニセックスぶりで、
ハデハデなメイクにコスチュームは、ジギーの頃のボウイを彷彿とさせる?!
スーザンまでガーター姿なのに、他の男性のほうがずっとセクシーに見えるからフシギ。
悪趣味というよりエキサイティングで、ゲイの皆さんには金字塔的作品。

(今やアングラな映画No.1みたいに紹介されているもんねw


『レイジング・ケイン』(1992)
監督:ブライアン・デ・パルマ 出演:ジョン・リスゴー ほか
正直いって期待していたよりインパクトが弱かった。
デ・パルマは一流の監督だし、リスゴーにサイコ役は十八番だし、
多重人格者の犯罪を題材にしているところも現代風で、良いスタッフが揃えば完璧な作品が出来上がるはずなんだけど・・・
まず、カーターが多重人格になってしまった経緯などのシーンがない。
それに「真実は小説より奇なり」人の脳が作り出す全く別の人間を映画によって創りあげようとするのは相当困難だろう。
『ケープフィア』や『揺りかごをゆらす手』のほうがより日常生活に潜む危険と恐怖をえぐり出している。


『エルム街の悪夢2 フレディの復讐』(1986)
監督:ジャック・ショルダー 出演:マーク・パットン ほか
斬新なアイデアと、フレディという他では観られないキャラでいまだに新作が作られているシリーズ。
この頃のフレディはまだ素直で、その後の何をされようが全然効き目のないモンスターでもなく、
ジェイソンよりしつこい奴でもなく、一応ハッピーエンディングになっている。
相変わらずSFX技術を利用したショッキングなアイデアがきいている。
「眠りから産まれる不死身のモンスター」なんて改めてホラー映画の題材にピッタリだよね。
人間は眠らなきゃ生きていけないし、眠れば悪夢を見るしの悪循環。
フレディの正体は一体何なんだろう???


『ショック・トリートメント』(1981)
監督:ジム・シャーマン 出演:ジェシカ・ハーパー ほか
この前、衝撃的ショックを受けた『ロッキー・ホラー・ショー』の第2弾
前作でも活躍した典型的カップルのブラッド&ジャネットが俳優を変えて登場するほか、
またまたリチャード・オブライエンが強烈なキャラを発揮しているし、
ホスト役だったチャールズ・グレイもいる、ファンには嬉しいキャスティング。

前作のキョーレツなティム・カリーを筆頭とするハチャメチャセクシャルぶりにはかなわないけど、
これは誰にでもある成功欲、変身願望等を満たすにはいい1作。
荒唐無稽で真実などかけらもない、単にのし上がるか堕とされるかのテレビ局
ショービジネスの世界もちょっぴりのぞける。
もう一人強烈に印象的なのは、バートってゆう番号案内役。人間じゃないみたいで可笑しい。
こんなシャーマンの永遠に続くパーティにもっと浸っていたくなる。


『夜の天使』(1986)
監督:ジャン・ピエール・リモザン 出演:ジャン・フィリップ・エコフェ ほか
ヌーベルバーグのトリュフォーやルイ・マルらの後継者として期待されている監督作品。
主演のフィリップも期待の若手俳優。
夜勤パトロール員で、昼はありとあらゆる軽犯罪から殺人未遂までやってるなんとも理解しがたい男の話。
「1秒1秒、生を味わっていたいんだ」ってゆうのがその根拠なのか?
彼女も彼女でいつも驚かされたがっていて、似た者同士? ラストはちょっと粋。


『愛に渇いて』(1991)

監督・脚本:エリン・ディグナム 出演:ロビン・ライト、ジェーソン・パトリック ほか
平均80年の寿命を意識的に生きるって一体どういうこっとなんだろう?
それも半分以上は若くないということは?

“アポロが崖淵で言った。「こっちへおいで」「そこは高くて危険です」
 「崖淵に立ってごらん」「落ちてしまいます」「崖淵においで」
 彼らが来ると、アポロは押した。彼らは宙に舞った・・・”

この何十年の長い命を意識的に生きていくには、必ずそこには支えがいる。友人もいる。愛する人たちが要る。
ルーンはそんな世界で傷ついている女性すべてかもしれない。
彼女は次の人生、次の愛、次の幸せを見つけただろうか? あるがまま自由で自然な自分の姿も。
原題の「denial」は、否定、否認、拒絶、拒否、自制の意味。
ロビンの長い金髪はメルヘンチックでメランコリック。
自分自身の姿を鏡で見ているような、とても悲しい作品。


『愛にふるえて』(1988)
出演:ダイアン・レイン、クリストファー・ランバート ほか
こんなファンタジーを大人が演じると永遠の愛の物語になる。
ステキな音楽、青い海と砂浜、いつまでも消えない砂の城、
他にもいくつも望みを持っていながら、現実を恐れて誰の救いも必要としない男と、その心を開こうとする妖精。
限りなくシンプルな設定のラブストーリーだけど、あんなに綺麗な海の前でならたやすく起こりうる感じがする。
この共演がキッカケでダイアンとランバートが結婚しちゃったのもなんだかうなづける。
「愛している」の大安売りみたいだが、でもやっぱり愛すること、誰かを必要として、
いつまでも一緒にいたい気持ちは自然な欲求で大切なのかも。
天才子役から成長したダイアンは、なかなかその力量を発揮できる作品がないのが残念。
今作がイタリア映画なのがちょっと意外。心の渇きを癒すにはイイ一作。


『GOLDEN EYE もうひとりの007』(1990)
出演:チャ-ルズ・ダンス ほか
キャッチの「観ないで死ねるか」てほどの作品じゃなかった。
原作より映画で一躍ヒーローになった007シリーズだから、
やっぱりフィクションのジェームズ・ボンドには勝てないってことね。

話はサスペンスってゆうより、ロマンスがメインで、見どころはなんといってもダンス
メジャーな作品選びをしていないだけに、あまり知名度はないけど、完璧な魅力を持つ俳優の一人。
冬より夏のバカンス、異国が似合うのに、喋り方や身のこなしは優雅で紳士的な英国人。
夜のビーチに寝転んでいる姿なんか美そのもの
たぶん若い頃より、今が一番魅力的。でも本当に歳をとってしまう前の渋さをもっとスクリーン上で見たい。
出演情報などは少ないけど、ひとつ残らず観てみたい。


『STORMY MONDAY』(1988)
出演:スティング、メラニー・グリフィス ほか
話がいまいちつかめなかった。スティング出演作ってことで選んだ1本だけど、
今作では特別な役というより、小さなクラブに愛着を持っている経営者を渋く演じている。
大きな楽器を弾くシーンもある(ウドベ?)フリージャズバンドはよかった。
アメリカ国歌をジャズ風にアレンジしてgood
ブレンダン役の俳優もこれといった個性はないけど美形。
メラニーは甘ったるい声のせいかちょっと幼稚っぽく感じる。

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notes and movies(1993.6~ part3)

2012-11-30 11:33:57 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。part2からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『STING NOTHING LIKE THE SUN THE VIDEOS』(1988)
このアルバムを聴いたのは、もうずいぶん前だけど、改めてメッセージに耳を傾けて聴き直してみた。
説明書によれば、このアルバムと前回観た『STORMY MONDAY』撮影前に母親が亡くなったそうで大変な時期だったらしい。
作品全体はシンプル。♪THEY DANCE ALONE は政治的メッセージの強い曲で、詳しくは分からないけど重みのある映像。
この頃は、髪を伸ばしてたけど、やっぱし今みたくショートスタイルがずっといい。


『STING unplugged アコースティック・ライヴ』
素晴らしい スティングの音楽はどれも洗練されたセンスがある。
時に洗練されすぎていて退屈することすらあるけど。
比較的小さなスペースにシンプルなセットと、観客が混ざり合ってて、その真ん中でバンドがプレイしている。
観客まで洗練された人たちに見える。

何年収録のものか分からないけど、最近のアルバムの曲が入っているからごく最近か?
一緒にポリス時代のビッグヒットナンバーも相変わらず歌っている。
本人のインタビューで「ライヴはアルバムの再現じゃない。ツアーが終わる頃にはその曲は進化しているか、
簡素化しているか、とにかく全然別のものになっている。ライヴは曲を進化させるものだ」

いくつになっても鍛え上げられたスリムな体。でも、彼の一番の魅力はやはりその声。
どこにもない独特の声。喋っている時でもある種の音楽を聴いているようだ。
「僕はどんなカテゴリーにも分けられたくない。ジャンルなどなくしてしまうのが自分の役目だ」
黒人ピアニストのプレイが一番よかった。滑らかでハートフル。
同類は集まるっていうけど、皆“静”のイメージがする人たちばかり。


『PERMANENT VACATION』(1980)
監督:ジム・ジャームッシュ 出演:グリス・パーカー ほか
80年代にしてはなかなか新しい感覚の作品。
とてもリアルで、出演者は演じているとは思えないような存在感がある。
ティーンエイジャーのアリーが点と点を結んで浮かび上がる絵のような自分の一部を追ってゆくという設定。
「あるサックスプレイヤーは、時代を超えた音を出して誰にも理解されずに仕事がなかった。
 友人の勧めでパリに行ったが、やはりうまくいかず、屋根にのぼり飛び降りようとすると、突然空から光がさす。
 スポットライトのように。彼は♪虹のかなたに を吹くが、続きがどうしても思い出せない。
 警官が近寄り、彼はジャンプしたが奇跡的に助かり、救急車のサイレンが聞こえた。ドップラー効果だ」
このジョークのオチがよめないけど、この作品で一番気に入ったセリフ

「一つ所にいられない。終わりなき休暇ってところだ」
休暇を取れずにせかせかしている私たちには、彼の生活は羨ましいけど、
「明日することがない人は不幸だ」って言葉もあるわけで、
彼は自分のことをクレイジーだというけど、単にレイジーなだけじゃないかしら?
でも、否定できないのは彼の一部が私たちの中にも必ずあるってことと、
周りに合わせることなくやりたいだけやってる彼はとても誠実だって言える。
フーテンしている奴ほど、いい教訓をはいたりするものだけど、アリーもなかなかいいことを言っている。
きっと今でも彼みたいな奴はどこかにいるだろうけど、私はもっと別の刺激や知識を求めていたい。

いろいろゴネている彼もやはり自己主張し、表現し、最終的には人とのコミュニケーションを求めているようにしか見えない。
作品中曲らしい曲はなく、始終、鐘の幻聴みたいな音がずっと流れているのが気になる。
この少年の先の物語をもう少し見ていたい。静かに港を離れてゆく船。
「そこを離れる時は、そこに住んでる時より懐かしく思える」この気持ちもよく分かる。
波が画面いっぱいになって、もっと大きなスクリーンで観ていたい気がした。


『STING tne videos』(1988)
♪If you love somebody set them free ではセクシーなサングラスとスタイリッシュな服で登場。
バンドは別撮りらしく、揺らいだり白黒に霞んだりして凝った映像。(中略)
後半は先日観た『STING NOTHING LIKE THE SUN THE VIDEOS』からのもの。
スティングの純真さは純真さからじゃなく、ファンキーさはファンクからじゃなく、
いつもそのインテリでハイセンスな感覚からきていて、プレイも映像もそこから生まれている。
ビデオもいいけど、観ているとライヴに足を運んでみたくなる。
最近はもっぱら慈善活動にはげんでいるけど、ライブ活動もどんどん見せて欲しい。


『都会のアリス』(1974)

監督:ヴィム・ヴェンダース 出演:リュディガー・フォーグラー ほか
『ペーパー・ムーン』を観ているようだった。
1ヶ月間アメリカを放浪して雑誌記事を書かなきゃいけないのに、
毒された街と人々、溢れかえる情報の渦に自分を見失い、自分で自分に飽き、
どこへ行っても変わることなんてあり得ないと思っているこの男は監督自身を投影しているのだろうか?

居所を探してあてもなくさまよう男と少女の旅。これはどこまでも、いつまでも続いて
私たちはその様子を一部始終見続けることができるんじゃないだろうかという気がしてくる。
人はなにも1ヵ所に定住することが決められている訳じゃない。
この主人公も、ロードムーヴィーを撮り続けるヴェンダースも、
放浪癖のある人たちは皆、風を食べて、常に動き、前進していることで生きている。
時にそんな人たちがひどくうらやましく感じられるものだ。

アリス役の子が美人でハキハキと主張しているのがイイ。
男のルックスはちょっと冴えないけど、2人していろんな行程を経てゆくのを観ていると、
都会で暮らす私たちを砂漠で水飲み場を見つけたラクダのような気分にさせてくれる。
「空き家て墓みたいね。家墓ね」


『THE TRIAL』(1993)(銀座テアトルにて

監督:デヴィッド・ヒュー・ジョーンズ 出演:カイル・マクラクラン ほか
『カフカ』よりずっとよかった。
久々にスクリーンで観て、より映像の確かさ、幻想的な世界を味わうことができた。
まさにカフカの不条理な世界。人が人を裁く、公正であるはずの裁判が、
裏のつながり、権力の横行、女たちの色仕掛けが働く、まったく馬鹿げた茶番劇だったという
かなり反体制的な内容。現代だから公平な目で判断され得る作品だ。
マクラクランが見事に熱演していて、一手に作品を引っ張っている。
それがとても自然で真に迫った迫力ある演技なのが少しビックリした。
一瞬にして女たちを虜にするその美貌も大いに利用され、光り輝いている。
強烈な皮肉とあらゆる要素を含んで、立派な芸術作品に出来上がっている。


『THE TRIAL 審判』(1962)
監督・出演:オーソン・ウェルズ 出演:アンソニー・パーキンス、ジャンヌ・モロー、ロミー・シュナイダー ほか
たぶん最初にこちらを観ていたら、それほど感銘を受けずに、
単なるパーキンス演じるサイコものとして片付けていたかも知れないけど、
先日観たリメイクと比べることで、その細部やセリフの概略は同じでも、微妙な違いが見えてきて、
とても面白く観させてもらった。撮った年代の違いでもあるからだ。

例えば、モロー演じる娼婦が事件とはまったく関わり合いがないことや、
リメイクでの法の門番と被告人の寓話を今作でははしょってあるのが大きな違い。
女たちの性的誘惑などの描写もやはりこの時代だとかなり遠まわしで抑制気味。
成り行きをいちいちセリフで言わずとも済ませられるのは、私たちが世紀末的映像に慣れてしまったからかも

キャストが華やかで、ウェルズの演技力が他と一線を画して素晴らしいのがひと目でわかる。
抑揚のきいた経験豊かな輝きがある。
昨年エイズでこの世を去ったパーキンスも独特の個性があった。
端整で静的美形なのに、なぜかいつでも脅かされているようなサイコ的雰囲気を漂わせ、
カイルとはまったく別タイプながら、同じカフカ役を演じて観客を魅了している。


『man trable』(1992)
出演:ジャック・ニコルソン、エレン・バーキン ほか
ニコルソンとバーキンの共演ってだけで期待度100%のワクワク感!
さすが筋金入りの2人の演技。どちらもプロ、拍手喝采で楽しむほかない
同じラブコメディでも設定や話の切り口、キャストであらゆる形に生まれ変わるもの。
この2人なら何をやらせても文句なしの出来になるんじゃないかな?
当時56歳でどうみてもしがないオヤジのニコルソン(失礼だ
髪をボサボサにしていくら滑稽にしても、笑えると同時にどこか他にない惹きつけられるものがあるのはフシギ。
バーキンは今作ではちょっと大人しめだけど、あのっ独特の皮肉っぽい笑い方といい、
今最も脂が乗っている時だけに、彼女だけの個性とコケティッシュな魅力をもっとスクリーンで観たい。
冒頭の犬のアニメも可愛いけど、なにがビックリしたって変質的な電話のメッセージに
スティングのI will watching you の一節を使っていたこと!


『The Nightcomers 妖精たちの森』(1971)
原作:ヘンリー・ジェイムス『ねじの回転』
監督:マイケル・ウィナー 出演:マーロン・ブランド ほか
なぜだかファンタジックな邦題がつけられちゃってるけど、原題は「夜這い人」?
「時に愛するが故に、殺したくなるものだ」

原作も撮影年代もとても古いけど、いまだに人気が高いブランドの魅力を探るにはいいかも。
私には分からないなあ。すでに立派な樽腹で、外見に似合わない少女っぽい声。
でもなにか分からないけど、泥まみれの中でも光る真実性がある。
今作でも子どもたちに真実を伝えようとしているのだけれど、
まだ社会での経験も年齢も浅い彼らには、その言動の表面しかとらえられず模倣することしかできない。
それはとても滑稽であると同時に取り返しのきかない危険に満ちている。
この子たちにもう一度正しい教育をしようとしてももう遅いんじゃないかしら?
クイントの人生観のお陰で『アダムス・ファミリー』のカルトなガキ並に悪ガキなんだもの。


『Stranger Than Paradise』(1984)
監督・脚本:ジム・ジャームッシュ 出演:ジョン・ルーリー、エスター・バリント ほか
訳も分からずに手にした1本なんだけど、訳が分からないなりに良かった。
時代性も主題もへったくれもなく、いとことその友3人の微妙な会話ややりとりを淡々と描いている。
同世代として会話のとぎれたみょーな間や、そのおぼつかなさなんかが共感持てて、
このフーテンしている野郎の思いつき休暇につい付き合っちゃった感が残る。
なんといってもフロリダで突如現れたファンキーな黒人
一人でまくしたてて行っちゃうノリには参った
Screaming Jay Hawkinsの音楽もすごく渋くてブルーズィ。

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notes and movies(1993.6~ part4)

2012-11-30 11:33:56 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part3からのつづきで、ベージュのノートはこれがラスト。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『The Rainbow』(1989)
監督:ケン・ラッセル
『トミー』や『サロメ』を撮った後の作品にしては案外古典的でノーマル。『白蛇伝説』の毒消しに撮ったのかしら?
グエンティンてゆう活動的で昔にしてみれば発展的な少女の思春期とそこから脱するまでを描いている。
昔の小説の映画化らしいが、現代の女の子にも通じるモラトリアム 現象を見ているようで、
ふと自分とも重なる部分も見つけてしまう。

常に先へ進むことばかり考えて、自立した自由な生活を夢見るんだけど、
結局は面倒をみてくれる親元という帰る巣があることを知っていて、
実は巣立ってない状態で一人じゃ生きていけないんだってことが分かってる。
今は女性も職業を持つのが普通だけど、本当に男女平等になったかといえばそうじゃない。
結局は個人の主体性、考え方が問題になるのよね(もう分かってたんじゃん/驚

グエンティン役の女優は女教師役の女優同様、現代にはない独特の個性がある。
「男は自分の勝手な要求にピッタリの女を見つけると愛していると言うのよ」
「男から情熱をとったら何も残らないわ」
でもやっぱり女にも男と同じくらいの偏見があることも確かなんだ。


『永遠に美しく・・・』(1992)
監督:ロバート・ゼメキス 出演:メリル・ストリープ、ゴールディ・ホーン、ブルース・ウィリス ほか
傑作 どぎつい性描写なし、エグいスプラッタシーンもなし、だけど始まりから終わりまで
友だち、家族みんなで100%楽しめるユニバーサル風娯楽映画
1993年の正月映画として『ドラキュラ』と対照的な話題を呼んだ今作がもうビデオで観れるなんて幸せな世の中だ。
美貌も経験も積み上げた円熟の極みの女優2人の怪演がなんといっても見どころ。
そして映像カラクリの特撮技術が進歩するほど、そこに広がる架空現実世界は無限に広がってゆく。
♪Forever Young と歌ったディランもビックリ! 永遠の若さ、永遠の命ってどうゆうことか、
今作をじっくり観て考え直したほうがいいってゆう人類へのメッセージなわけ。
ここまで人間の永遠の夢を完全に皮肉ったところはお見事。
天才的医師ながらどこか冴えないボケまくりな外科医をブルースが今までとはうって変わった演技をみせる。
ラストのオチまで最高! SFXよりビックリなのは、ホーンが48歳!?
全然変わらない魅力で輝いている若さの秘訣を教えて欲しい。


『米米CLUB大全集Vol.14 ANTI SHARISHARISM 右脳と左脳の恋物語』(1991)
「右脳編」は、小野田商事の物語。新入社員のてっぺーちゃんが入って3日目でてごめにされちゃうってゆう危ない寸劇
「左脳編」は、衣装の違うライブ映像を組み合わせたメドレーもあるし、シュークリームシュとのダンスシーンもいい。
115minいっぱい、ステージいっぱい、人数もいっぱい使って、ついでに観客まで使っての
まさに他じゃめったにない米米ならではのサーカスみたいな、なんでもありの楽しいステージ
金かかってるゾってゆう派手さと凝りようが見物。
キメる時はちゃんとキメて盛り上がり、ボケるところは完璧にボケまくる。
観客も一体とゆうより、石井さんのペースにハマって操られている感じw
今、日本で一番イッちゃってるバンドってゆう雰囲気が漂っているのと、
バンドのメンバそれぞれが自分のパートの役割を創っていて、自身も楽しくてしかたない感じが伝わってくるのがイイ。
石井さんがデザインした衣装やセットもスゴイ!

なんでもいいんじゃないの


『カラヴァッジオ』(1986)
監督:デレク・ジャーマン
16Cの天才画家ミケランジェロ・カラヴァッジオの生涯を古典的に描いた作品。
ゲイだったのか? そのスキャンダラスな生活をセピア色に上品に撮っている。
時代背景や詳しいことは全く分からないが、そうとう昔なのに人々の生活、
とくに貧民の暮らしや考え方は今に近くて、日本の昔とは比べ物にならない感覚。
ホモセクシュアルも結構歴史が深くて、いまさら不自然でインノーマルじゃない気がしてくる。
でも、この時代にはエイズは存在していなかったのかな?
ミケーレ役もラヌッチオ役も美形ぞろい。
男女入り組んだ複雑な愛憎関係を画家の才能とともに繊細なタッチで描いている。
『ジュリア ジュリア』でも使っていた「愛する者を探せど見つからず」という聖書の一節を引用しているのが印象的。


『Roger Corman's FRANKENSTEIN unbound フランケンシュタインの解放~禁断の時空』(1990)
監督:ロジャー・コーマン 出演:ジョン・ハート、ラウル・ジュリア、ブリジッド・フォンダ ほか
まさに近未来のSF映画 ここに再び運命的出会いを感じた。
今作が日本未公開のままビデオショップの中に埋もれているなんてもったいない!
この監督作品をぜひすべて観てみたい。

長い間、映画界でドラキュラと同様に受け継がれているモンスターだが、
コッポラが完全に古典に忠実に撮ったのに比べ、彼は現代を超えてはるか未来の文化とまで対面させ
バイロンや、女流作家メアリー・シェリーまでいた1800年代にタイムスリップしてしまった!
なにからなにまでハチャメチャなアイデアなのに、ゾッとするほど現実感がある。


キャストがまた最高。ジョン・ハートは『エイリアン』以来の本格的SFで原点回帰し、
スタイリッシュな未来的スーツ姿も、中世の衣装も見事に着こなして、メアリーとのロマンスまであるし、
ハードアクションもピッタリはまって、信じられないくらいカッコいい
博士役のラウル・ジュリアとの共演は舞台を見ているような錯覚を起こす。
注目されている若手女優ブリジッド・フォンダがメアリー役、ジェイソン・パトリックがバイロン役。
そして、数々の未来的セットをデザインし稼動させた撮影スタッフもまた素晴らしい
未来万能型の車は、いつか実用可能なんじゃないか?と思えるリアル感。
今やSF映画は夢物語ではなく、何年か先に実現するかもしれない可能性がある。


「meet my monster...」
人造人間を創り上げた博士を「神を冒涜した」と責めたが、科学の進歩もまた自然を侵し、人間を無力なものにした。
でも、科学者なのにタイムパラドックスという大きな危険を知らないのかしら?
「殺さねばならない私は一体誰なのか?」
フランケンは恐れられると同時に悲哀に満ちた者として存在していることが人気の秘密ではないだろうか。
これは完全永久保存版で文句なく脱帽の一作。

(これももう一度観たい1本なんだよなあ!



【その他の読書感想メモ】
『五番目のサリー』ダニエル・キース
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notes and movies(1993.1~ part1)

2012-11-14 10:58:36 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
今回は白いノートをご紹介。

  

photo1:ノートの中身は大体こんな感じ(基本形
photo2:好きな切り抜きもペタペタ
photo3:あとはテニスの話題とか

若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『My Left Foot』(1989)
監督:ジム・シェリダン 出演:ダニエル・ディ・ルイス ほか
先天性脳麻痺で生まれた時から左足を除くほとんどの部分が不自由であったクリスティーンが
ある時は必要に迫られて、ある時は人の中傷に立ち向かって、
そしてある時は父母、兄弟、姉妹たちの愛情に応えようとして、
やがて画廊や小説で世に認められるまでを、自伝を通して回想する形で淡々と描かれてゆく。
決して感傷的な追想でなく、素晴らしい絵と共に独特な感性をうかがわせる。

22人の兄弟、姉妹というのはビックリする大家族だが、
少なくとも映画の中では不思議なくらい調和がとれていて、
クリスも家族の一員であり、それ以上でも以下でもなく、自然に愛されてきたという環境がイイ。
「あんたの足をくれるなら、私の足をくれてやってもいい」
大家族とクリスを支え続けた母親の言葉は重く心に迫る。
やっと生涯の伴侶を得て、頭にのしかかる大きな孤独は消え去ったのだろうか?

ルイスは本作でオスカーを受賞した。
演技と感じさせない、クリス本人の姿が見えてくる。
人物と同化できる演技をする俳優は世界でも貴重だが、彼は若くしてその一人だと感じる。


『リトルマン・テイト』(1991)
監督・出演:ジョディ・フォスター 出演:ダイアン・ウィースト ほか
「周りにいるユニークな人間は、私の宝だ」そう、みんな変人ばかりだ。
天才児とは、そもそも何なんだろう。IQが異常に高く、生まれついて詩や音楽、
絵画、数学、物理、建築、あらゆる分野にわたって並の大人をはるかに超越した知識と理解力のある子ども。
ある意味では見世物小屋の奇形や、サーカスの道化師と同じなのかもしれない。
でも、世界中にこんなに孤独な子どもがいるだろうか?

子どもがストレス性の胃潰瘍で入院する事例はすでに日本でもあり得る現象だが、
変わっているからというだけで同年代の友だちもできず、TVでもてはやされても
本当の理解者は母親のディディだけ。
場合によっては、その親でさえ表面的な知識を自慢にして、
その子の心の奥がどれだけ空虚で、どれだけ感受性が鋭くて、
どれだけ計り知れないプレッシャーを感じているか気づこうともしないだろう。

ステージママによって天才子役とうたわれたジョディ自身、
今の成功は確かに親とその環境に感謝の気持ちもあるだろうけど、
巨大な孤独感からは解放されたのかしら?


『PROVIDENCE』(1977)
監督:アラン・レネ 出演:ダーク・ボガード ほか
森の奥にひっそりと建っている古めかしい洋館プロビデンス(神の摂理、ご加護、または神、先見の眼)。
「この素敵な夕方の終わりを締めくくるために、お願いだから、
 皆、私にキスも体に触れることもせずに立ち去ってくれ」


『BUNKER PALACE HOTEL』(1989)
監督:エンキ・ビラル 出演:ジャン・ルイ・トランティニャン、キャロル・ブーケ ほか
アンドロイドたちの無機質な滑稽さがイイ。
以前は支配者側の実業家がプログラムを変えられ新時代では運転手にされているところが皮肉。

「ここはどれくらい深いのか?」「地獄の近くまでさ」「いや、地獄はもっと上だ」

世紀末が近づいている。映画界にもひしひしとそれが感じられる作品が多い。
しかし、こんなにも希望も温かみもないものだろうか、私たち地球の未来は?
これらが単なる警告であってほしい。


『LA VOCE DELLA LUMA ヴォイス・オブ・ムーン』(1990)
監督:フェデリコ・フェリーニ 出演:ロベルト・ベニーニ ほか
世界が愛すべき映画監督フェリーニが現代にもたらした新しい作品がここにある。
女性のような月。夜の太陽。いつも私たちを見つめているのに
何一つその存在に明確な答えは得られない。

少しトボけた顔をして純粋なる今作の案内人であるイヴォーノが
夜どこからともなく聞こえてくる声の主を探して歩き回り、実に様々な人間に出会う。
フェリーニ映画の楽しさはここにある。おかげでイタリア人とは本当によく喋る、
にぎやか好きな人種だというイメージが強く残る。
いつも永遠に続くんじゃないかと思わせるフェリーニの現実を描いた夢幻の世界にもやっぱり時間が働いているのが寂しい。

今作はマイケル・ジャクソンの新曲で若者らが踊る(その人数の多さも彼の作品ならでは)シーンまであって今が感じられる。
2時間の中に最初から最後まで美しい詩と映像に姿を変えたメッセージがワンサと詰まっている。
この雄弁な映像詩人からの大切なひと言ひと言をいかに多くとらえることができるか?
フェリーニ作品の真髄はそこにある気がする。


『マンハッタン』(1979)
監督・出演:ウディ・アレン 出演:ダイアン・キートン ほか
N.Y.で生まれ、育ち、心から愛してやまないアレンの、
そこに住む男女の恋愛模様の原型とも言うべきこの作品と『アニーホール』。


『マスカレード 甘い罠』(1988)
監督:ボブ・スウェム 出演:ロブ・ロウ、メグ・ティリー ほか
メグの摩訶不思議な魅力と、ロウのどこか危ないのに許されちゃう甘い魅力。
そこへ海とボートとくれば思わずハマってみたくなるようなステキな罠だけど、
手に余るお金はトラブルの種にしかならないってことね。
でも、いくらあってもありすぎるってことがないのがお金なのよね。
それにしてもあの見事なヨットの名前であるマスカレードってとっても甘い響きだけど、意味は仮面、見せ掛けってこと。
金と真実とは永遠に相容れないってことか?


『他人の血』(1984)
監督:クロード・シャブロル 出演:ジョディ・フォスター、マイケル・オントキーン、サム・ニール ほか
『パルムの僧院』にも通じる男女の設定が面白い。
その美貌を使って恋人をなんとか守り愛しぬく強いヒロインと対照的に、
彼女の愛の深さを知りつつも政治活動に入れ込んで命も惜しまない男はちょっとズルイ。
そして身分をかなぐり捨ててあくまで情熱的かつ紳士的にヒロインに横恋慕するサムもなかなかセクシー。
なんといってもこれが皆フランス語で進行しているのがビックリ。
でも、声は吹き替えらしいのがとても残念。ジョディならちゃんとやれるのに。
今や『ツインピークス』でお馴染みのオントキーン(変な名前)が若い!
誠実で包容力がありそうな独特の風貌がきいている。

大きな盛り上がりもなく淡々としているけれども、政治的テーマを取り扱っているためかしら?
この暗い時代を背景にした作品じゃやっぱりルイ・マルの『さよなら子供たち』だ。
今作はジョディの主演作品中では目立たないものだけど、
政治関連としてはただ一つだから、彼女のクールな魅力を堪能できるだけでも一見の価値がある。


『アイスマン』(1984)
監督:フレッド・スケピシ 出演:ティモシー・ハットン、ジョン・ローン ほか
4万年前の原始人が瞬間冷却の眠りから覚めて現代人と交流する
人間の想像力とは本当に果てしなく、それが可能かも知れないと思わず思わせる現代の科学や医療技術も
他ならないこのあくなき好奇心と突飛な想像力の産物ともいえる。
4万年前の人にも言語の原型が見られ、感情も豊か、歌まで歌い、信仰まで持っているとしたらステキだ。
カルチャー・ショックも4万年の月日があれば、それはもう想像を絶する恐怖でしかないだろう。

エイプマンと接する考古学者役にハットン、エイプマン役にジョン。
個性の対照的なこの2人の究極の演技が、カナダの神聖なほど白一面雪の世界に光る。
こんな超SFの話も、現実としてはエイズ感染者が未来のより高度な医療技術に願いをかけて
自分自身を冷凍保存することと関係している。
本来夢物語として楽しむSF映画は、より高度な社会を求めて描き出す
人間の果てのない願望の姿なのかもしれない。


『ウエディング』(1978)
監督:ロバート・アルトマン 出演:キャロル・バーネット ほか
2時間あまりのドタバタで、華やかで、ほのぼので、事件が次から次へと起こってゆく結婚式
まるで親戚の一員として参列しているような錯覚になる群像劇。
フェリーニ映画にも通じる登場人物の多さとサーカスみたいな雰囲気、
それも一人ひとりが個性的すぎるほど個性的、だけど誰も憎めない。
それぞれ問題があるのに全体として家族愛や兄弟愛に包まれている感じ。
この盛大な祭りに似た儀式がひと通り終わり、作品自体も静かに幕を閉じるラストはしんみりしててイイ。
コメディとして笑わせようというのでなく、どこかでありがちな日常生活の中の笑いを控えめに描いている。
全然セリフがないのに天使みたいなミア・ファローが若くって不思議に可愛い。


コメント

notes and movies(1993.1~ part2)

2012-11-14 10:58:35 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part1からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『ビートルジュース』(1988)
監督:ティム・バートン 出演:アレック・ボールドウィン、マイケル・キートン ほか
死後、そのままの格好で存在し続けたり、困った時のヘルパーやケースワーカーがいたり、
ほとんど一発芸のノリで次々と現れる奇妙な死者たち。
そして極めつけはキートン演じる完璧下品でスケベな人間祓いがいて、
霊界の様子がコミカルに解説されていて笑える。
セリフもブッ飛んでて、それにつけた日本語訳も他には見られないほどあわせているからビックリ/驚
ウィノナの変な暗黒ファッションに身を包んだオカルト少女ぶりもイイし、
アレックとジーナのどこか抜けてるけど平凡かつ強い愛の絆でしっかりと結ばれている夫婦ぶりがとてもほのぼのしている。


『コールド・ヘブン 悪夢の再会』(1992)
監督:ニコラス・ローグ 出演:テレサ・ラッセル ほか
これはとっても新しいスタイル
ストーリーのもっていき方といい、映像の斬新なアイデア、
心の中のつぶやきを読心術でも使っているかのようにセリフにしたり、
『エクソシスト』顔負けのヘドを吐くシーンがあったり
死人がよみがえるという驚くべき設定で神の起こす奇跡を描いたのかと思いきや、
夫婦の永遠の愛にまで発展するところが感動的。

無神論者の2人が神の前で誓い合った言葉。
とくにアメリカでは一体どれだけのカップルがこの誓いを破っただろうか?
死に直面した時、一体どれだけの夫婦が言えるだろうか「私はパートナーを一生愛した」と。
正統派で誠実そうなキャラがピッタリのマーク・ハーモンが久々に大役、
テレサが真の夫婦愛に目覚める妻役を妖しげに演じている。
愛することは信じること。信仰を取り戻すことは大変なことだ。


『ポンヌフの恋人』(1992)
監督:レオス・カラックス 出演:ジュリエット・ビノシュ ほか
ホームレス同士の色恋を描いたものには『黄昏に燃えて』があるが、
この作品では自分と同年代くらいでもう人生の舞台から降りてしまった男女が描かれている。
女ホームレスとして体当たりの演技を見せているのは、若手実力派の一人ビノシュ。
『存在の耐えられない軽さ』の時とはまたうってかわった役どころで、
路上生活の汚れた身なりとポスターの顔、そして後半のキュートさが対照的。
アレックス役はカラックス作品に3度目出演の俳優。
『ボーイ・ミーツ・ガール』でも観たけど、どこか日本人も親しめそうな風貌でアクの強い演技とキャラがある。
ラストに誰も死なないフランス映画は珍しくて大歓迎だけど、
ギリギリのところの駆け引きが恐かったし、若さだけを武器に犯罪でもホームレスでも
セーヌ川の水上スキーも出来ちゃう自由奔放さには少し羨ましさを感じた。
でもやっぱり酒と銃はトラブルのもとでしかないってこと。
イギー・ポップやデヴィッド・ボウイなど音楽の使い方が仏映らしくなくて面白い


『迷宮のヴェニス』(1990)
監督:ポール・シュレイダー 出演:クリストファー・ウォーケン ほか
ストーリーの訳の分からなさは『ツインピークス』並。
ヴェニスに迷ったのは確かだけど、50歳過ぎてもいまだに妖光を放つウォーケンの魅力に迷うための作品。
『ヴェニスに死す』での異常愛やペストといい、水の都といってもあんまりいいところには思えない。
音楽も古臭いし、なんだかフシギな一作。
『モーリス』以来、英国美青年として鳴らすルパートがひたすら美しいと賛美されているよう。
なんの目的もないが、人と人の間にはそれなりの関係が成り立つ、
それが吉とでるか凶とでるか想像さえせずに。


『エイリアン3』(1992)

監督:デヴィッド・フィンチャー 出演:シガーニー・ウィーバー、チャールズ・ダンス ほか
映画としての完成度は初作を上回ることは不可能としても、
これほどまでにエイリアンというキャラクターを昇華させ、イメージを限りなくふくらませてくれたことに敬意を表して。

SF映画が生み出した世界最強のキャラクターは、文化、感情等は一切持たずとも、
実は個の永久にして絶大な存続ただそれだけに人間よりはるかに進化した生物だった。
自らの利益のためなら他の大勢の命など問題にしない我々人間には
彼らほど繁栄してゆく確固たる理由は持てないだろう。

エイリアンによって始まったシガーニーのキャリアは、自ら今作をプロデュースし、
見事にこの悪夢そのもののリプリーの運命をエイリアンと共に完結させている。
暗闇から朝陽が広がるラストは決して暗いものではない。
けれども、もしこれが私たちの迎えるスペースエイジとしての近未来であるなら、
やはりそこには変わらない問題の数々と、かすかに輝く愛だけのある世界なのだろうかと少々不安が残る。

今回はSFXシーンの迫力もさることながら、かなりスプラッタの要素が多かった。
そして前2作とも劣らないエイリアンとの戦闘シーンのスピード感と、
それをさらに盛り上げる重厚な音楽効果、ストーリー設定もイイ。

それからなんといっても色男役が十八番のダンスが出演し、ファンの意表をついている。
巨大溶鉱炉の相変わらず湿気の多いセット、人間をものすごい勢いで追うエイリアンの視点から見た
カメラアングルも不思議な効果を生み出している。

永遠の女戦士リプリーという大きな役柄を卒業して、シガーニーは年齢、キャリアともに充実し、
次はどんな作品で、どんな演技を披露してくれるのか。
彼女にとってはまた大きなプレッシャーかもしれないが、ファンにしてみれば大いに興味のあるところ。
これからも全身を投げ打った彼女ならではの迫真の演技を期待して応援していきたい。


『幸せの向う側』(1991)
 
監督:ダミアン・ハリス 出演:ゴールディ・ホーン、ジョン・ハード ほか
家族をテーマにした映画を撮らせたら、アメリカが一番考えさせられるイイ作品を作るな。
昔のカルマに引き寄せられ、壮絶なサスペンスへと展開するのは『愛と死のはざま』でもそうだが、
平凡で幸福な家族の中にも、もしかしたら異常な狂気が見え隠れしているかもしれない。

夫が別の女の夫でもあるとしたら? 一夫多妻制ならあり得る話。
でも100%信じている男が、まったく別の過去を借りて偽っていると知ったら・・・?
最も身近な存在であるはずの家族に何十年も隠し通すことなど可能だろうか?
人間の愛とは、なんて不思議で、あったかくて、強い感情だろう。

ホーンが持ち前のファニーでキュートな笑顔をちょっと抑えて、
真の夫の姿を必死に探す一児の母親役に挑戦している。
そして今作はジョン・ハードの魅力によって最初から最後まで引っ張られてゆく。
目立たず、背も高くないのに、なんともいえない抑制されたセクシーさは魅力たっぷり
『キャットピープル』以来のステキな役って感じ。


『パイレーツ』(1991)
監督:ノア・スターン 出演:ケビン・ベーコン、キーラ・セジウィック ほか
ポップ!ヒップ!キッチュ!
実生活でもケヴィンのハートを射止めたのは、この間観た社会派ドラマ『ミス・ローズホワイト』に出演していたキーラ。
イメージをガラリと変えて、思い切りノリのいいラブコメディが出来ちゃった。
『フットルース』のヒットから一貫してポップな映画で活躍しているケヴィン。
最近は『フューグッドマン』など堅いものにも出てたけど、
やっぱりせめて年齢の許す限り恋する青春真っ只中のキュートな役をやってほしいのはファンのワガママ?

バカバカしくも楽しい始まりから、後半にはまるでウディ・アレン風の精神科医を交えての男女の真剣勝負。
ほんとの夫婦なんだものどんな絡みシーンだって大丈夫。
関連のロックが15~16曲も入ってて、ラストを飾る♪ハウス・オン・ファイア もとってもいいノリ
おまけにケビンのファンキーなセレナーデまで聴ける、ロックファンも満足な作品。
2人の行く末を占うそれぞれの親友役もなかなかイイ味出してる。
さて火事は免れないこの2人。この先一体どんな騒ぎが待っていることやら。
笑いこけてスカッとするならこの1本。ケヴィンのシド風ファッションもイケてる。


『ニューヨーク恋泥棒』(1991)

監督:リチャード・シェパード  出演:デヴィッド・ボウイ、ロザンナ・アークエット ほか
ボウイ主演の作品はこれで何本目だろうか?
常に完全な変容に沿ってスクリーンに登場し、音楽シーンにおける活躍とともに
私たちを楽しませてくれる彼のエイリアン的キャラクターで、
今作では英国人バーテンダーぶりを披露。
途中からボウイであることを忘れてしまうほどなりきっているところにも
彼がまだ映画への愛着を捨てていなかったことが分かる。
彼が完全に別の人間変身できるのは、もはやスクリーンという媒体しかあり得ないのかもしれない。

舞台はN.Y.というより近未来のパリにいるようなケン・ラッセル作品にも通じる
デカダン風不思議に濃い色調で、超トレンディな店「ダリ」の“やわらかい時計”、
ジギーっぽいギンギラのファッション、食べ物や自然環境に関するちょっとした会話にしても
未来的で無機質な感じを受ける。
とにかく味のある役者が作品を引き締めている。
ジャズの軽妙なサウンドに乗って、ハッピーエンドなのに
ラストのピアノ曲のせいか、どこかキュンと寂しくなる余韻が残る。

さて、『ツインピークス』や今作、そしてティン・マシーンで充分時間をかけて充電し、
年齢的にもまたひとつの転換期を迎えたボウイが、また再びソロ活動を再開するとのニュースを聞いた。
今度はどんなビックリするメッセージを抱えて、神秘のベールに真実を覆って私たちに届けてくれるのかしら?


『恋人たちの予感』(1989)
監督:ロブ・ライナー 出演:ビリー・クリスタル、メグ・ライアン ほか
いきなりサッチモの渋いジャジーなサウンドで始まる2人の出会い。
「男と女は友達関係でいられない。いつもsexが絡むから」
『サタデー・ナイト・ライヴ』で鍛え上げたビリーの理屈っぽいジョークが冴えている。
メグのヘルシーでキュートな魅力も充分満喫できる。
サリーの友だちで、面倒見のいいマリー役にキャリー・フィッシャーが好演。
古今東西そして多分これからも未来永劫、複雑怪奇な男女の仲。
N.Y.では今この瞬間もボーイ・ミーツ・ガールが起こっている。
趣味のいい選曲の中でもやっぱり♪It had be you が一番


『カフカ』(1991)
監督:スティーブン・ソダーバーグ 出演:ジェレミー・アイアンズ ほか
カフカの作品で読んだのは「変身」だけ。それも何年も昔に一度読んだだけで、
著者の人となりもほぼ知らないが、今作は『1984』にも勝る陰鬱さで
せめてカラーだったならと思うが、城に入って突然カラー(それも少々濁った)に
変わるところは良かったから、時代の陰鬱さを反映させていたとも思える。

表情を抑えたアイアンズの魅力と力量が薄れている感じ。
テレサ・ラッセルなどひとクセある役者が揃っている。
でもなぜ今カフカを撮ったのか?
心理サスペンス、オカルト映画がまた面白くなってきたこともあるが、
組織の中で、個性も、ついには顔までも失って働き続け、
真実の歪みを時には認め、利用せざるを得ない、
現代人の心の病は、カフカにとりついた悪夢のような病そのものかもしれない。

コメント

notes and movies(1993.1~ part3)

2012-11-14 10:58:34 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part2からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『ホーム・アローン』(1990)
監督:ジョン・ヒューズ 出演:マコーレ・カルキン、ジョン・ハード ほか
クリスマスシーズンに観れば心が温まること間違いなし
せっかくジョン・ハードが出ているのに色っぽいシーンもなく、
すっかりパパ演技に徹しているのはちょっと残念だけど、
よく発掘してくれたカルキン君のそこらにない魅力あふれる作品になっている。

クリスマス一色の家々いっぱいに仕掛けられているハンパじゃない罠の連発に
見事ハマってくれるマヌケな泥棒2人組がどこか憎めないだけに、
なんだか可哀想になっちゃう(2で仕返しがくるんだけど
空き巣狙い防止対策としては、かなり参考になるかも。完全安心な防犯設備でも油断は禁物。
主人公は少年だけどセリフの下品さは立派に大人向けコメディ。
家族そろってこれを観たら、子どもへの影響は一体どうなのかしら?
N.Y.じゃ今もこんなステキなホワイトクリスマスの景色が楽しめるのかな?


『ナイト・オン・ザ・プラネット』(1991)

監督:ジム・ジャームッシュ 出演:ウィノナ・ライダー ほか
待ちに待ったこの1本。
夜7時。L.A.の空港。タクシー運転手とそれに乗り合わせる客との人情話から始まる。
1.新人女優発掘のエイジェント
「映画スターになりたいって娘はたくさんいるけど、あたしはあたしなりのプランを立ててるのよ」
2.N.Y. ドイツの道化師 散々な兄妹喧嘩。
3.PARIS 盲目の女を乗せた黒人ドライバー。
日本の盲人に対するイメージとかなり違う。
色も味も感覚で捉えて、仏らしい粋なセンスがある。
4.ROME 司教風の坊さん 過激だけど一番笑える一作
5.ヘルシンキ 友2人と中年ドライバー
友の不幸など不幸のうちに入らないと見捨てる話。不幸は比較の問題だろうか?

そしていつものごとく朝がやってくる
真夜中を縦横に走るタクシー。そこには人の流れと生き様が見えてくる。
いくつも、いくつも、とったりかわったり。。。

♪もう一度チャンスを賭けたい 潮の流れに
 グッド・オールド・ワールドにもどって/トム・ウェイツ


『スピリッツ・オブ・ジ・エア』(1988)

監督:アレックス・プロヤス 出演:マイケル・レイク ほか
どこか未来か世紀末の地の果て。
どんな夢も実現すると心から信じて、努力を惜しまなければ叶うだろうと今作は語っている。
とにかく過激でパンクなベティの七変化のメイクとファッションのアイデアが奇抜。
いくつもの十字架や廃車、風をよむ旗などが砂漠の荒涼さと不思議にマッチしている。
ベティの弾く弦楽器もシンプルだが大地の音とよく調和している。
真っ青に抜けたどこまでも広く続く青空はこれまで見た事もないほどキレイ
ダリの絵の中に迷い込んだよう。

(これは砂漠シリーズかも。


the best of Saturday Night Live『ウェインズ・ワールド・スペシャルエディション』(1992)
監督:デイヴ・ウィルソン 出演:マイク・マイヤーズ、ダナ・カーヴィ ほか
ゲスト:トム・ハンクス、エアロスミス、マドンナ ほか
アメリカで人気爆発の2人組を、まずは拝見。なんだか理解するのにとまどう世界。
映画スターも続々生まれたコメディアンの登竜門的番組らしく、
エディ・マーフィのSNLライブビデオは爆笑ものだったけど、
CMパロディあり、ニュースパロ、ミュージシャンのゲストも出て、コントがあって・・・
と、これは「ひょうきん族」にも通じるスタイル。

この2人組の笑いはたぶんブッ飛んだ今風の言葉やノリにあるのかも。
でも単なるキャラとしての演技であって、ラストはフツーに肩をたたき合ったりして終わるのが妙
全体的にアメリカ、ハリウッドにありがちな虚像のムードが漂っている。
政治に関するコントもいっぱいでブッシュ大統領のギャグは笑える。

“Party On!”だの“Excelent”、“No Way”“Way!”、“Not!”(んなわけないだろ)などなど
流行しそうな(させようとしている)ギャグの連発。
ハンクスやマドンナの普通じゃ見れないようなコミカルななりきりぶりは楽しい。
2人組が地下室から飛び出して、多彩な出演者を交えて大騒ぎを起こすヒット作『ウェインズ・ワールド』劇場版のほうが面白そう。

(この後、SNLライブビデオにハマって大体見た


『フォーエバー・フレンズ』(1988)
監督:ゲーリー・マーシャル 出演:ベット・ミドラー、バーバラ・ハーシー ほか
男同士の友情を扱ったハードボイルドはよくあるけど、
最近、女同士の友情を感情豊かに描いた作品も多く作られている。
異性に対する愛とはまた違った、友情も人間の大切な感情のひとつ。
2人の子ども時代を演じる子役も芸達者でしっかりした演技をしている。
もちろんジョン・ハードも誠実で、金の亡者でない演出家役でとてもイイ。
そしてミドラーのしっとりした歌は聴かせてくれる


『ミレニアム』(1989)
監督:マイケル・アンダーソン 出演:クリス・クリストファーソン、シェリル・ラッド ほか

「一度会ったきり。生きている間2度と会わない者は、タイムトラヴェラーかもしれない」

生殖能力を失い、肉体をそのままコピーする技術を持ち、
時間を自由に行き来することが出来ても、魂や愛、希望も存在せず死にかけた千年後の未来。
しかし、時間の流れをつきつめて考えると複雑すぎて混乱してくる。
人が生き、そして死んでもなお、その後の無数の人間の命や人生、
歴史につながっているという考えは素晴らしく、また真実ではないだろうか。

それにしても、ある未来がパラドックスによって崩壊した後は一体どうなるのか?
別の新しい未来とすぐ入れ替わるのか、それとも?
いや、時間が刻々と先へ流れているかぎり、それは未来へと無限につながっているのだろう。
その世界に人間らしい生物が存在していようといまいと。
ヒットしたという記憶はないが、SFとしてストーリーもセットも小道具もとても完成された作品。
メイヤー博士は大好きだったドラマ『ヒル・ストリート・ブルース』の署長役の俳優


『クローズ・マイ・アイズ』(1991)
監督:スティーブン・ポリアコフ 出演:アラン・リックマン、サスキア・リーブス、クライブ・オーエン ほか
『モーリス』を思い起こさせる。ホモセクシュアルの次は姉弟の近親相姦。
劇場公開もまだ記憶に新しいイギリスの叙情的作品。
同じ血の通う家族愛をこえた異性愛が生まれるって一体どんなものなのか?
暑さのひどいひと夏のせいか、それとも境遇のせいか。

現代のイギリスのセックスシンボルであるサスキアの大きなお尻とイギリス訛りの声、クライブのスーツ姿は完璧。
ナタリーの夫シンクレアのキャラもなかなかイイ。リックマンの『ダイハード』にないソフトな演技はとても魅力あり。
上司がエイズだと公表するシーンがちょこっと入ってたり、
リチャードが若いのに妙に世界の終わり、人類の滅亡の話を何度も日常会話で話しているのは
きわめて現代を反映していて、今っぽい作品に仕上がっている。


『花嫁のパパ』(1992)
監督:チャールズ・シャイアー 出演:スティーブ・マーティン、ダイアン・キートン ほか
観た後で胸の奥がキュンとなるような作品
もし私がアメリカ人ならもっとキュンとなれたのにと思うとちょっと残念。
アメリカのステキな一部分を見せてもらったって感じ。
誰より娘を天使みたく愛しているマーティンの父親演技はサイコーに味がある。
もちろん母親役のキートンがメジャーな作品で観れるのは久々でとても嬉しい。
それにしても、1人当たり250ドルの披露宴費用から始まって、出費の莫大さには呆れる。
それにマーティン・ショートの何語訛りかさっぱりメチャクチャな英語を喋りまくる
ウェディング・コーディネーターが輪をかけて変だからまた大変
子を持つ親、とくに父親の心境とは本当は一体どういうものなのだろう。

「人生は驚きの連続さ」

仕事バリバリのシンウルウーマンもこれを見れば結婚観がちょっと変わって、
ちょっと夢を抱くかもしれない一作。


『アップルゲイツ』(1990)
監督:マイケル・レーマン 出演:エド・ベグリーJr. ほか
昆虫が人間に化けて、環境問題を訴え、人間を滅ぼすために原子力発電所の爆発を密かに狙っていたら・・・?
上記とはまた一風違ったストーリーの奇抜さで笑える一作。
アメリカが慢性的に抱えている問題を風刺した鋭い皮肉。
それに『ザ・フライ』をパロったSFXまでとりまぜたりする昆虫ギャグ?がイケる。
人間より昆虫のほうがはるかに割合は多く、人類が滅びても、その生命力はずっと続いていくかもしれないのは、
彼ら自身、自然のサイクルからはみださず、破壊することなく、
適応して生きていることに鍵があるのかもしれない。


『the best of SATURDAY NIGHT LIVE 15th anniversary special』(1992)
 
監督:デイヴ・ウィルソン 出演:ブルース・ブラザース、チェビー・チェイス、ギルダ・ラドナー、スティーヴン・マーティン ほか
なんだか訳の分からんコントやら、ほとんど一発芸まで、
もし私がアメリカに住んでいて、毎週土曜の夜、家族みんなでこれを見ていたとするなら、
傑作集としてもっと想い入れも強く楽しめたろうけど、やっぱりわからんのが多いなあ
中でもやっぱり笑えるのはエディ・マーフィーかな。
彼のは別売りで何本か出ているだけあって、何度見ても爆笑もので分かりやすい。

アメリカのコメディアンはルックスも良かったりするからイイ。
ほとんど映画でも成功している連中がこの記念ライブに来ていて、その豪華さはすごい
上の出演陣のほかにも俳優のマシュー・ブロデリックが出たり、
グレン・クローズが客席にいるかと思えば、ブルース・ウィリスが最後をしめくくったり。
スタートレックのカーク大佐まで登場しての大騒ぎ。
若手ではマーティン・ショートがけっこう芸達者でイイ。
映画でもいろんな変な役で出ているけど、ルックスがいいのに
なりきってバカげたシンクロナイズドスイミングなんてやってるのが可笑しい

バカ騒ぎが終わった後、週末が終わりかける哀愁みたいなものまで感じちゃうところなんか、
やっぱし「ひょうきん族」を思い起こさせるんだな。
今は亡きジョン・ベルーシの傑作コントやブルース・ブラザース時代のファンキーなロックも見れて、これはイイ

ギルダ・ラドナーの「ロザンヌ・ロザンナダナ」大好きだった!w

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notes and movies(1993.1~ part4)

2012-11-14 10:58:33 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part3からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『ラジオ・デイズ』(1987)
監督:ウディ・アレン 出演:ミア・ファロー、ダイアン・ウィースト、ダイアン・キートン ほか
『アニー・ホール』の神経質な男のイメージがそのままアレンにも当てはまる気がしていたけど、
この自伝的作品を観る限り、幼少時代は家族に囲まれて、ラジオから流れる名曲の数々で育った温かいものだったとみえる。
トークショーでステージに出ていた時代も使われていただろうネタの多くは、
そんな嘘みたいな本当のバカ話が実際に起こっていた思い出深いホームタウンでの出来事ではないだろうか。

途中、戦争も起こり、ユダヤ系家族なら当然無関係じゃなかったはずだろうけど、
今作ではむしろ政治的なことより、ラジオを中心に繰り広がり、
次々と浮かんでくる幼少期の思い出が郷愁をもって描かれている。
今ではテレビにとってかわり、人々がラジオの周りに集まって一喜一憂することもなくなった。
そんなアレンのラジオへの愛着がひしひしと伝わってくる


『アギーレ・神の怒り』(1972)
監督:ヴェルナー・ヘルツォーク 出演:クラウス・キンスキー ほか
血も涙もない鬼神でも娘に対する愛は過剰なほど。
新境地を求めて、現代のような文明の機器もなしに、
ただあてもなくジャングルをさまよったであろう開拓者たちも、こんな風に夢だけを頼りに、
様々な不安や恐怖を味わい無数の困難を乗り越えた生き残りが私たちであり、
今の国家の源となっているのだろうが、開拓者とはこんなにも孤独なものなのか?


『ハウスシッター 結婚願望』(1992)
監督:フランク・オズ 出演:スティーブ・マーティン、ゴールディ・ホーン ほか
家庭や小さな町の人々との温かいふれあいを求めて、他人の家にすっかり住み着いてしまうグエンも、
ホーンの太陽みたいな明るい魅力にかかると嘘も真実に見えてくる。
嘘はどんどん深まる一方だけど好転していくのって、彼女は実はスゴイあげまん女なのかも?
父親の命を助け、涙を流させたというわけの分からん歌を即興でマーティンが歌うところなんか爆笑もの!
これぞマーティンスタイルのコメディ映画。


『イヴ』(1991)
監督:ダンカン・ギビンズ 出演:レネー・ソーテンデイク、グレゴリー・ハインズ ほか
筋金入りのバイオレント・アクション!それも女ターミネーター。

「神は最初の女性イヴを創り、男を悩ませたが、君はイヴという殺人鬼を創ったんだ」

考えてみれば、やり口はハードにせよ、イヴは現代の悪を抹殺する超正義にも見えてくる。
仕事に追われ、充分に息子の面倒をみてあげられないという抑圧が彼女を動かしている。
ハインズは最近、得意なタップダンスより、シリアスでハードな演技を見せてくれる。
『ターミネーター』人気に乗じた作品と疑ってたけど、
女のフラストレーションや欲求、子どもへの愛の描写は胸にジンとくるし、
アクションシーンは久々に手に汗握る迫力。
“新しい女性の時代”が映画にも反映してきたという一作。


『ヘンリー ある連続殺人鬼の記録』(1986)
監督:ジョン・マクノートン 出演:マイケル・ルーカー ほか
300人以上の女性を殺した実在のヘンリー・リー・ルーカスを扱った問題作。
かなりエグイ作品。実際の殺害シーンはなく、もの言わぬ死体となった女性たちと
犯行時の声がカバーされるだけだが、殺しが趣味としか言いようのないこの男。
悪を裏で封じ込めるとかゆう映画は今までにもあったけど、
罪のないそれも女性ばかりを無差別に予告もなく殺していくなんて卑劣極まりないやり口。
完全に意識的犯行でまったく救いがたい異常者としか思えない。
同じ手段は使わない、定住しないなど、プロフェッショナルな犯行手口。
誰に雇われたわけでもなく、単なる習慣で人を殺すヘンリーのような奴が
もし身近にいたら?疑った時にはもう手遅れかも!?


『柔らかい殻』(1990)
監督:フィリップ・リドリー 出演:リンジー・ダンカン ほか
デヴィッド・リンチの弟子と評された鬼才の監督作品。
リンチのストーリーはどこまでいってもまだ迷路が続く堂々巡りな感じがするけど、
この監督のストーリーはなんだか頭痛がしてくるような異常さ。
どこの町か知らないけど、やけに呪われている、特にセスの家は特別呪われているんじゃないかしら?
リドリーはどこからこんな話を持ち出してきたのやら。

「なにもかも少年時代は悪夢のよう、でもすぐ通り過ぎ、後には皺が残るだけ。
 醜くなった時、傍に愛してくれる人がいるといいけど。愛は人を若く保つの」
子どもの無意識の残酷性。


『フォーエバー・ロード』(1992)

監督:エドワード・ズウィック 出演:メグ・ティリー ほか
人生における選択の物語りってとこかな。
どんなに危機的な状況でも、時が流れて、昨日と今日、今日と明日がつながっている限り、
バッドラックも無価値とはいえないのかも。
『テルマ&ルイーズ』がラスト死に向かってまっしぐらなのに比べると、
こちらは“明日があるさ”ていう希望あるエンディング。

久しぶりにメグの不可思議な魅力に触れられる。
現代のアラスカを舞台にするのも珍しい設定だけど、ほんとに空気がキレイ、オーロラもキレイ。
もし、あの時ああしていたら、もし、こうしていたら。
みんないつでもそう思うけど、問題は今どんな状況で、これからどうしたいのかなんだよね。


『ストラップレス』(1989)

監督:デイヴィッド・ヘアー 出演:ブレア・ブラウン、ブルーノ・ガンツ、ブリジット・フォンダ ほか
まさに現代の働く女性たちの心が洗われるような作品。
実にイギリス的な人間模様が、イギリスの美しい自然と風景の中で描かれてゆく。
「一度は高く翔んでみたい」と日々の忙しさの中で思っている人は大勢いるはず。
しかし、現実に縛られ、夢は夢のまま終わり、傷つくのを恐れ、勇気を出せないでいる私たち。
3人の味のある俳優が演じ、1つ1つのセリフの中にも、まだ何か別の深い意味が隠されていそうな、
私自身もう少し歳をとって成長してからもう一度観たら、また別の意味をつかめるかもしれない。


『ヴァレンチノ』(1977)
監督:ケン・ラッセル 出演:ルドルフ・ヌレエフ、レスリー・キャロン、ミシェル・フィリップス ほか
かつてのハリウッド大スターを象徴的に描いた、ラッセルにしてはまあまあまともな伝記風映画。
何年代のことか、今作で私は初めて彼の名を知ったけど、一枚の白黒写真を先日見て
この主人公を演じる俳優とはちょっと違った、いかにもかつてのスターらしい白い仮面を着けた
繊細な表情をしていたのが印象に残っている。
一見したところでは「世紀の女たらし」なんて看板がたったとは思えない。
まさに名声がもたらす地獄絵巻を見ているよう。
映画だから、ここまで現実は演出的じゃなかったろうけど、
カリフォルニアでオレンジ畑を耕すのが彼の唯一の夢だったというくだりは事実だろうか?

「見ろ、奴が山を登っていく」彼らは言う「そこから飛び降りてみろ」と
ボウイはこのことを歌っているんだ。


『VAMPIRE'S KISS』(1988)
監督:ロバート・ビアマン 出演:ニコラス・ケイジ、ジェニファー・ビールズ ほか
大都市N.Y.で運命的で永遠の愛など到底つかめないという話である一方、
上司と部下のコミュニケーションの難しさを表した話でもある。
ニコラス・ケイジの叔父がコッポラだなんて、今作を観る限り全然想像できないくらい思いっきり変な役。
奇行の限りを尽くして(アドリブもかなりあるだろうけど)とにかくその異常さは笑える。
どこか偏った作品、人物を演じるのが好きみたい。
ビールズも『フラッシュダンス』以降、マイナーなサスペンス映画ばかりに出演しているのも同じく。
精神科医が「レイプなんて気にしない。N.Y.じゃ殺人だって日常茶飯事なんだから!」と笑い飛ばすシーンは空恐ろしい。
ちょっとボーっとしてるけど、人がいいアルバとのファイル探しを巡るやりとりがサイコー。

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notes and movies(1993.1~ par5)

2012-11-14 10:58:32 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part4からのつづき。これで白いノートのメモは最後。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『プロスペローの本』(1991)
監督:ピーター・グリーナウェイ 出演:ジョン・ギールグッド ほか
『コックと泥棒、その妻と愛人』にも劣らぬ豪華絢爛さ、映像と話の濃密さ、時にグロテスクで、時に崇高。
特に、途中で次から次へと秘密の源の本が紹介されるくだりはスゴイ
それぞれ全てを極めた第一級の書物がちゃんと映像化されていて、本当に実在するのかと思わせる。
それを惜しげもなく処分してしまうところもシェイクスピア原作だからなせる業か?
原作『テンペスト』を読んでいないから、どこまでが演出なのか見当がつかないが。

『プロヴィデンス』のギールグッドが時に残酷に、時に学を究めた最高の国王としての
寛大な優しさをその膨大なセリフ(ほとんどどの人物の声も彼のセリフに複声を重ねてある)と共に見事演じきっている。
話は少々難解。ほとんどが裸体に近い格好で登場するが、ワダ・エミの奇抜な衣装も見逃せない要素の一つ。
素晴らしく妖しい虚構の世界。一度観ただけでは、その本当の意味や映像や凝ったセットの細部、
セリフの一つ一つまで読み取るのはとても不可能だ。


『ネイキッド・タンゴ』(1990)
監督:レナード・シュレーダー 出演:マティルダ・メイ ほか
チョーロがなぜそこまでタンゴにとりつかれたか語られないし、
もっと孤高のままでいてくれたらミステリアスで刺激的なのに、
中盤から平凡なメロドラマになったような感じ。現実味はあるかもしれないけど。
イザベル・アジャーニが最初のキャスティングだったらしいが、
マチルダ(アリッサ・ミラノによく似ている)もなかなかの変身ぶりで妖しい美女の魅力を出していた。

途中何カットもヴァレンティノがタンゴを踊る映画のシーン(先日観たのとまったく同じ!)があって、
本物はやっぱりノッペリした無表情だったけど、時代が表れていて効果あり。
「心が裸にされたみたい。あなたの腕の中で踊りながら死なせて」
タンゴ映画だけど、あまり本場のタンゴシーンの見せ場はなし。


『QUEEN GREATEST FLIX Ⅱ』(1991)
サイコー もっと渋い曲調のイメージがあったけど、全てヒットナンバーのビデオクリップが
一挙に見れるなんて、予想をはるかに超えたハッピーな気分。
つい先日、ボウイも参加した「フレディ・マーキュリー追悼コンサート」のフレディってこのヴォーカルの人だったのね。
エイズで亡くなったらしいけど、活躍していたのが'80半ば~なんと'91の曲まで今作に入っているからビックリ。
UNDER PRESSUER ではボウイもコーラスで参加。クリップにも1カットのみ出演している。2人の関係も新たな発見。

それぞれサイコーだけど、最初の♪A KIND OF MAGIC の始まり方からハイ・テンション
映画『メトロポリタン』のシーンを入れたものや、子ども版クイーンのちびっこたちと本人らが一緒に演るシーンも。
それから、なんと女の子に扮したメンバ(特にドラマーは異常にカワイイ!)、
フレディが妖しげでコミカルな男を演じている♪The Invisible Man、列車の上でパフォーマンスを見せる♪BREAKTHRU、
ライヴヴァージョンもあり。信じられない広さの会場に信じられないファンの数
スケールの大きいオーケストラ版♪WHO WANTS TO LIVE FOREVER、レコーディング風景もありetc.etc...

「みんなに夢を与える」って気持ちがひしひし伝わってくる。
始終一貫してテンションの高いフレディのパフォーマンスが楽しい。
早速アルバムのほうもチェックしたくなる。これは永久保存版の1本。

(なるほど。ここで初めて出会ったのか。新鮮な感動メモ。ロジャー・テイラーの女装はマジで可愛い!



『恋しくて』(1987)
監督:ハワード・ドイッチ 出演:メアリー・スチュワート・マスターソン、エリック・ストルツ、リー・トンプソン ほか
たまにはちょっと観てみたくなる、人気のジャンルのひとつ、ハイスクール・ロマンスもの。
『プリティ・イン・ピンク』では同じ生徒同士の階級を越えた恋でも、
今作は男女のシチュエーションが逆で、ちょっと出来すぎにも思えるけど、
身近すぎて気づけなかった友達が恋人に変わるっていう映画マジックでハッピーエンディング。

マスターソンはどこにでもいそうな女の子だけど、スクリーン上ではちゃんと光ってて、
一作ごとに微妙に表情が違って見えてくる魅力を持っている。
ストルツがアウトサイダーな美術青年役。ピュアで包容力ある男子をクールに演じている。
ちなみにトンプソンのスクールファッションは参考になりそう。
学園イチの美人をはるだけあってメイクやドレスアップも気合い入ってる。


『1900』(1976)

監督:ベルナルド・ベルトルッチ 出演:バート・ランカスター、ロバート・デ・ニーロ、ジェラール・ドパルデュー、ドナルド・サザランド、ドミニク・サンダ ほか
ベルトルッチが『ラスト・タンゴ・イン・パリ』以前に撮ったにしてはこのキャスティングでこの超大作
一番仰天なのは、サザランドやドパルデューがとにかく若い 最初誰だか分からなかった。
デ・ニーロは未だにどんな年齢にもなりきれる特異体質だけど。
監督も含め、この4人の役者らは今作以降も素晴らしい作品を次々と生み出し、
今なお円熟の頂点にいるわけだから、今作にその芽がまさに伸びようとする才能のルーツが見れるだろう。

デ・ニーロとサザランドはアメリカ生まれ、ドパルデューはフランス人、監督はイタリア人。
それでどうやって一つの村の物語りを完成させたのかとっても不思議。
ラストの数十秒のシーンはこの長編の中で最も衝撃的。
デ・ニーロとドパルデューの老人演技も凄い。

身分の差から始まって、生まれた時から敵同士でありながら、死ぬまで親友だった2人の男。
それを激動の時代、イタリアを舞台にして、ベルトルッチの初期作品とはとても思えない、
想い入れたっぷりのスケールの大きな1作。
観終わってどことなく『ラストエンペラー』を思い出す。

「私は誰一人傷つけなかった。誰一人」
「しかし地主がファシストを作って、農民を苦しめ私服を肥やし、
 有り余る金で戦争を起こし、農民を兵士として送り込んだんだ」

アルフレッドは結局地主である自分に満足していたのか?
それとも政治や周りのゴタゴタからいつも隠れ場所を探していたのか?
同じ40代にオルモが活き活きした眼を持っているのに比べ、アルフレッドはすっかり老け込んでしまっている。
でも、誰の人生も客観的に見ればあやふやで平坦なのかもしれない。
特に、こんな時代に少ない選択肢の中から自分がどちら側で、どこと敵対しているのか知ることは容易じゃない。

これらの「イズム」は現代でも生き続けている。
労働者がまだ真の自由、働く自由、言動の自由等を得ていないということだ(ジョンはこれらに永遠にバイバイすると歌った
世代が変わっても、罪なくして罰せられ、それでもなお団結して戦い続けて死んででいった、
無知だが不屈の魂は受け継がれている。



(マイベスト。もう一度観たいうちの1本だけど、ビデオ時代で3本分の長編だけにいまだそのまま
 ドミニク・サンダはクールビューティで大好きな女優さん。



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