『お～い、チカさ～～ん、誰かね？？？、ああ翁ですよ、目が悪くて人様がはっきり見えない？、ハハハハ、車を止めてじっと見ていたが、耕耘機を颯爽と運転して、綺麗に耕ってさすがにベテランだな。そうか、もう麦蒔きの準備だね、季節を肌で感じながら体が自然に動くのが農業、それがプロだろうな。俺かい、花植木センターをブラブラして、球根を植え替えたり、安い花木も入れようかと、ファハハハ』
『おや、お珍しい、花植木の直売所まで？、それでここを通ったわけだな、そう言えば翁さんは花木苑を作ってあるそうで、ホホホホ。わしのお爺いは、翁さんとは確か２ツ違いだが、耄碌をしちゃって動きが悪くなって、畑も止めると言い出してさ。確かに私の祖父など、当時のラジオの天気予報は戦時報道で全くあてにはならない、だから空を見上げ風を感じて百姓をしていたわ』
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『そう言えば、与一さんには暫く会っていないな、６月の町のいきいき健診の時に一寸話しをして、ハハハハ。何の苗木を買ってきた？、ホトトギスにほうき草、アベリア、チェリーセージ、ホトトギス以外は１００円だよ、肥料もやらない世話もしない、高価な苗木は買えないわ、ファハハハ。球根はホームセンターに回って、次から次へと新品種、珍奇なチューリップがあったな』
『取りあえず、今年は小麦を作るが、来年は分からないよ。うちには田圃はないが、あちこちで米作りを止めた話は聞くね。子どもや孫たちの食生活が変わって、米を食わなくなったものな、ホホホホ。翁さんは相変わらずに奥さんと温泉旅行にお出かけかね？、ええ、奥さんが体調を崩した？、そりゃ知らなかったわ。こんなことでお茶も出せないが、そのうちゆっくり出かけてきてください』
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あとがき＝麦を蒔いて来年食べられる、球根を植えて来年花が見られる、神様のみ見知るだが、そう思って頑張るのさ、ガハハハ＝＝放念の翁