『お~い、翁さん、今日は何をしているよ?、ええ?、電気配線の工事を?、本当に落ち着かない人だよ。まあな、他人に迷惑を掛けることでは
ないし、ハハハハ。それに、そんな作業をしている時は、生き生きとして目も輝いている、思えば幸せな人間だろうね、ハハハハ』
『やあ、茂さん、やっと雨が降ったが、お湿りは表面だけで、葉物野菜が伸びてこないわ。電気配線、2年前に倅が婆さんの夏場の健康管理のために、最新の空調機を入れてくれたが、その時の業者の配線工事が誠に乱暴で、以前から気になっていて、ガハハハ。とてもプロとは思えない、俺に相談もなく壁や階段にコードを回して2階に、ええ、販売店?、ケーズ電器だよ』
『そこまで言うのは、相当気にしていたのだろうな。~~~どこだい?、なるほどな、でこちらが改修の途中で、天井と床をコードの太さに抜いて、配電盤から最短距離で現在の2分の1以下で空調機に配線を?、ファハハハ。大きな声では言えないが、電気工事士の資格が必要でないのかね?、業者よりは丁寧、コードが剥き出しでないし俺もそうは思うな、ファハハハ』
『クロス張りのボードや造作に業者が付けた傷、これも目立たないように補修剤で直さないと、古い家だが大切に使いたいよ、ファハハハ。善し悪しは別にして、昔のように徒弟関係で技を仕込まれないから、責任感で丁寧な仕事をするプロの職人がいない。棟梁の達治さん、毎朝、鉋や鑿の刃を研ぎ、鋸の目立て、それから現場に出かける、匠だよな』
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あとがき=「良い仕事をしていますね」と誠之助さん、そんな職人にお目にかかりたいよ、ガハハハ==放念の翁