『やあ、茂さん、秋らしくなって、昨夜は名月が見られたわ。新米?、まだ届かないよ、稲架掛けも雨で濡れて、天気が続き乾かないとだろうな、ハハハハ。いやあ、奥さんに買い物などの世話になって助かるわ。俺の車が車庫にあり、前の道を顔馴染みの誰かが行き過ぎると、寄って声を掛けてくれて、時間があれば一緒にお茶を飲んで談笑、楽しいよ。お陰でブログも続けられるが、ファハハハ』
『おう、翁さん、畑で柵入れをしてきたよ、そう大根や白菜のね、里芋掘りはもう少しだわな、ハハハハ。米も田圃で脱穀する家が多くなって、味もいまいちだろうな。婆さんの助っ人も暇つぶしみたいなもので、出歩ける理屈にも、この間は翁さんに頼まれ物と言いながら、一人で昼に寿司を食ってきたらしいよ。山や畑仕事、買い出しなどは “武士は相見互い” 、好意は気楽に受けるのよ、ハハハハ』
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『昔は子育てのお節介がいたわ、近所で幼児の鳴き声でもすると、おばちゃんたちが跳んで行って面倒を。農家で働く若い嫁さんは、そうしたおばちゃんに乳幼児を預けて、この時期なら田圃に、そして買い物に、子育てのスキルもおばちゃんたちから学んで、ハハハハ。地域には必ず “生き字引” (博識の人、ものしり)がいて、言い伝えの生活の仕来り、農作物の播種収穫時期、天気などを教えて貰って』
『まだ生き字引は何人もいるわ、90過ぎたセツさんもその一人だ、空を見上げて天気を予測し農業を。皆さんは良い意味でのお節介を楽しんでいる、翁さんを手助けしようという意識はないのよ、自然に体が動くのよ、ファハハハ。閉鎖的な都会生活ではそれを迷惑と思うようだよ、家庭の事情を知られたくないこともあるようで。軍事歌謡に「隣組」 という歌が、そんな暮らしの時代がまだあるのさ』
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あとがき=社会生活は一人では生きられない、何処かで誰かの世話になっている、それを還元しながら生きないと、ガハハハ==放念の翁