【 Photo by Jun Hiraoka 】
ここからが本番さ
そう
長い長い準備中だったのさ
もうこれ以上
新しい恋はしないって決めるまで
ラブソングを唄わなかっただけさ
100回のうち97回は
酔っぱらうために呑んでるが
そうじゃない３回のための唄さ
年を取ったって
心に中には
燃え残りの欠片ぐらい残ってるんだ
だから唄わなきゃいけないんだ
くそジジイのバラードを
ジイさんのキスだって
夜中なら十分にロマンチックだし
娘に隠れてデートの準備をする
バアさんなんて最高じゃないか
最後の最後で
叫んどかなきゃいけない恋心さ
命がけで唄い続けるラブソング
こんな人生でも唄える感謝の心はあるのさ
ここからが本番さ
そう
ここまでの人生は
心で唄う準備だったのさ
人生で
一番大切な時
それは
いつでも 今 なんだ
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【 Photo by Yosjinobu Tashiro 】
グラスから垂れた水滴のひと雫が
糸をひくようにゆっくり落ちて
テーブルの上で
今にも一雨きそうな
グレーの空を映します
そんな
自然の全ては生きていると
証明するような
劇的な景色はどこにでもあるけれど
それを見ていたボクは
それを見ていないキミに
どう伝えようかばかりを考えてます
この一瞬が見えていなかったこれまでと
この一瞬が見えてからのこれからと
見てしまったことで変わったはずの
ボクの行き先を決めるのは
この自然なのだと
ふと思います
一雨が過ぎて
軒から落ちてきた雫が額に落ちて
ふと見上げた空は
雨が通り過ぎたことを教えてくれてます
ボクの行き先は
まだ知らせてはくれません
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【 Photo by Kentarou Noomaru 】
この街では
仲間が集まれば
ギャアギャアと話が始まる
やがてがなり立てる言葉にリズムが乗って
言葉は音楽へと姿を変えていく
魂の音楽のはじまりさ
ラップだろうが
Ｒ＆Ｂだろうが
ブルースだろうが
カテゴリーは関係ない
ただ魂が熱くなってるだけさ
オフクロさんが死んだ日あいつは
ずっと一人で唄って踊ってた
歌も ケンカも 愛も 後悔も 涙も
すべて心の一部分なんだ
そうさ
生きていることは悲しいこと
生きていることは辛いこと
だから唄うのさ 踊るのさ
さあステップを踏もう
人生を唄う準備は出来たかい？
運が良くなりたければ、微笑んでいればいい
幸せになりたければ 唄えばいい
そう言いながらジイちゃんは
踊り尽くして死んでった
もうこれ以上
失う希望もなければ
失う今もない
ただ音楽の中にだけはあるんだ
自分の居る場所が
音楽はオフクロの腹ん中さ
音楽はオヤジの膝の上さ
音楽はバアちゃんが作ってくれたスープさ
音楽でだったら
失敗してもいいのさ
全て失くしてもいいのさ
バカげた人生の一場面が
また一つ加わるだけのことさ
さあ始めるとするか
今日も魂が暴れたがってるぜ
人生の準備は出来たかい？
さあ生きるぞ これからも
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【 Photo by Natsuko Imai 】
もう一度伝えたい言葉があるのに
もう一度伝えたい思いがあるのに
役目を終えた切手は二度と言葉を運ばない
見せなければ良かった後悔と
覗かなければ良かった心の中
切手に乗せてしまった言葉は二度と振りむかない
季節の美しさを称える一言や
元気を告げる何気ない挨拶
どのくらい切ったか触れない髪の長さに
語ろうとしない未来の自分
言葉の中に隠した本音から
どうかワタシを探してくださいと
不器用な少女の言葉が踊る
たったあれだけの
小さな四角い紙に乗り
無限の思いが世界を飛び廻る
春には春の
秋には秋の
言葉があり
夏には夏の
冬には冬の
言葉に託す思いがある
透明な封筒に貼られた使用済みの切手とともに
少女の思いは
季節の狭間をかけめぐる
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【 Photo by Hideyuki Tokigawa 】
ガンジスから上がった朝日は
静かに河岸を照らす
朝日は
笑顔をより美しく輝かせ
泣き顔を闇へと葬り去る
太陽は人の闇の中に
醜い部分が潜んでいることを知っている
光の届かない影の中で
泣き笑いがくり返されていることも
しかし太陽は影に光を当てようとはしない
影がなくては
光と闇がなくては
善は善として存在できないから
それでも太陽は照らし続ける
必死に作った母の笑顔をより輝かせるために
泣き顔の少年を大きな夢へと導くために
土を握りしめた老人のささやかな希望を大きく振幅させるために
闇夜と夜明けの間には
美しいグラデーションの時がある
暗闇に身を横たえた人にだけ
見ることができる神々しい輝きの瞬間が
地球のこちら側で
朝日がきれいだと思った少年の心が
地球のあちら側へと伝わって
なんてすばらしい夜明けと
夢を見そこなった少女が空を見る
キミの明日に幸あれ
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