【 Photo by Kenji Oouchi 】
自分軸が動いてる
そう気づいた瞬間
復活したようなもんだよ
まわりもキミも
何もが動かないまま
ただこぼれていった時間でさえも
ほらアスファルトにひろがって
少し黒いシミになった
こんなふうに
誰にも突然に
新しい時はやってくる
かわいそうだった自分が
ほめてやりたい自分になって
すぎ去ったことを
ふり返えれるようになったなら
まっくらな夜の空に
浮かんでいる雲の色をあててごらん
それがキミが天使とよべる
たったひとりの人が背負った翼の色だ
神さまなんて信じなくていい
社会や世間がイヤでもいい
そろそろもう一度
自分自身を愛してみればいい
かなえられないと知っていながら
それでも祈りつづけた天使のように
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【 Photo by Tokuyuki Takashima 】
誰も疲れるときがあるよ
そんなことは知ってるけど
疲れちゃったんだ仕方ないだろ
ため息ならいくらでも出るが
ふったってどっからも
夢なんか出てきやしない
こんな日に酒はダメだ
少しでも元気が残ってなきゃ
エンジンだってまわらないさ
口から歌が出てくるけど
哀しいのやら 昔のやら
おふくろを思い出させる歌ばっかだ
聞き手？ まあいてもいいけど
道端の石か地蔵
またはそんな感じのヤツだ
それも自分の話はしないヤツな
わかってるさ
寝りゃいいんだろ寝りゃ
布団に入れりゃいいなんてわかってるよ
でも寝たくない日はあんだよ
バタって落ちるまで起きてたいんだ
月は勘弁してくれよ
満月なんて最悪だよ
あんな善人に見つめられたら
自分がイヤになっちまう
文句ばっかで悪りぃな
明日はいつものように笑うから
ピエン超えてパオン超えてオギャン超えたら
はい終わりってやつさ
泣けるほど主役じゃないし
あきらめるほど上級者でもない
そうそんなとこさ
そんなね
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【 Photo by Keiko Aoki 】
その日
唇は
恋を告げ
そして
確認するためにあった
またある時
唇は
次々と生まれる夢に
多くの命をあたえ
またある夜には
食卓の一皿を
やわらかな笑い声で包み
違う日には
人を傷つけながら
正義をふりまわし
光のとどかぬ村で
涙を流す人々のために
許しを唱えた
そのあとも
幾度となく
嘘といい訳と美辞麗句を
繰り返すうちに
唇のシワは深く刻みつけられ
思い出したように
恋心をつぶやこうとしても
さびついた切り札は
真下へ落ちるようになる
それでも唇は雄弁だ
ゆっくりと息をすいこんで
そして少しにごった息にのせ
これがわたしですと
水ぶくれの体をさらけ出していく
そしていつか
もう語ることはないと
硬くつぐんで終焉を告げる日
ようやくひとつの嘘が終わる
よろこびも 悲しみも
歓喜も 絶望も
出会いも 別離も
すべて同じ所からうまれ
すべて同じ言葉からうまれたのに
タイトルのひとつもつかないままに
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