「科学誌の憂鬱」
「世界が食べられなくなる日」という映画をご覧になった方はどのくらいいるだろうか。
この映画の上映が全国で始まり、俄かに注目されてきた今、この映画の中で描かれていたフランス、カーン大学のセラリーニ氏の遺伝子組み換えトウモロコシによるラットの実験論文を掲載した科学誌『Food and Chemical Toxicology』が、その掲載を撤回した。
http://wired.jp/2013/12/02/gmos/
http://www.nature.com/news/study-linking-gm-maize-to-rat-tumours-is-retracted-1.14268
まず、この実験を説明すると、200匹のラットにモンサント社の遺伝子組み換えトウモロコシを2年間食べさせたところ、雌に乳がん、雄に腎臓や肝臓障害が、食べさせないラットよりも2倍~3倍の確率で発症したというものだ。
この論文により、EUでの規制に影響を与え、ロシアも全面的に輸入を停止した。それだけ影響力のある実験だったのである。特に、モンサント社が90日で実験を終了するのに対し、セラリーニ氏は700日の実験を行ったことにより、ラットの健康障害が90日を過ぎた頃から発症し始めるという事実を突きつけたからである。
当然、論文は他の研究者が査読し、出版社も自信を持って掲載に臨んだわけだが、その掲載後に、信じられない人事異動があった。なんと、元モンサント社の研究員だったリチャード・E・グッドマンが、この出版社に編集員として乗り込んできたのである。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=535986463149197
そして、事は起きるべきして起きた。この論文の掲載撤回を出版社が決めたのだ。
その撤回の理由が実験に使用したラットの数が少なすぎるということと、元々このラットは腫瘍を作りやすい種類だからということなのだが、セラリーニ氏が200匹に対し、モンサント社は当初20匹で実験していたのだから、馬鹿馬鹿しい批判である。現在ではモンサント社も200匹使用するそうだが、それでも同じ数である。かつ、使用しているラットも同じ種類であるというから、批判の理由にならない。
セラリーニ氏の研究グループは、掲載撤回にグッドマン氏が絡んでいると主張しているが、グッドマン氏は関与を否定している。しかし、時系列的に考えれば、状況証拠としては真っ黒だ。
権威ある科学誌を発行する出版社が掲載した論文であるだけに、その撤回はありえないと思われていたが、やはり、多国籍バイオ企業は、こうした科学誌にも強い影響力を保持している。
今やネイチャーだろうが、ナショナルジオグラフィックスだろうが、全ての記事をそのまま鵜呑みにはできない時代になってきたということだ。
https://www.facebook.com/stashiron/posts/672554316099509?notif_t=like
「世界が食べられなくなる日」という映画をご覧になった方はどのくらいいるだろうか。
この映画の上映が全国で始まり、俄かに注目されてきた今、この映画の中で描かれていたフランス、カーン大学のセラリーニ氏の遺伝子組み換えトウモロコシによるラットの実験論文を掲載した科学誌『Food and Chemical Toxicology』が、その掲載を撤回した。
http://wired.jp/2013/12/02/gmos/
http://www.nature.com/news/study-linking-gm-maize-to-rat-tumours-is-retracted-1.14268
まず、この実験を説明すると、200匹のラットにモンサント社の遺伝子組み換えトウモロコシを2年間食べさせたところ、雌に乳がん、雄に腎臓や肝臓障害が、食べさせないラットよりも2倍~3倍の確率で発症したというものだ。
この論文により、EUでの規制に影響を与え、ロシアも全面的に輸入を停止した。それだけ影響力のある実験だったのである。特に、モンサント社が90日で実験を終了するのに対し、セラリーニ氏は700日の実験を行ったことにより、ラットの健康障害が90日を過ぎた頃から発症し始めるという事実を突きつけたからである。
当然、論文は他の研究者が査読し、出版社も自信を持って掲載に臨んだわけだが、その掲載後に、信じられない人事異動があった。なんと、元モンサント社の研究員だったリチャード・E・グッドマンが、この出版社に編集員として乗り込んできたのである。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=535986463149197
そして、事は起きるべきして起きた。この論文の掲載撤回を出版社が決めたのだ。
その撤回の理由が実験に使用したラットの数が少なすぎるということと、元々このラットは腫瘍を作りやすい種類だからということなのだが、セラリーニ氏が200匹に対し、モンサント社は当初20匹で実験していたのだから、馬鹿馬鹿しい批判である。現在ではモンサント社も200匹使用するそうだが、それでも同じ数である。かつ、使用しているラットも同じ種類であるというから、批判の理由にならない。
セラリーニ氏の研究グループは、掲載撤回にグッドマン氏が絡んでいると主張しているが、グッドマン氏は関与を否定している。しかし、時系列的に考えれば、状況証拠としては真っ黒だ。
権威ある科学誌を発行する出版社が掲載した論文であるだけに、その撤回はありえないと思われていたが、やはり、多国籍バイオ企業は、こうした科学誌にも強い影響力を保持している。
今やネイチャーだろうが、ナショナルジオグラフィックスだろうが、全ての記事をそのまま鵜呑みにはできない時代になってきたということだ。
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