畑倉山の忘備録

日々気ままに

クリミア編入を表明したプーチン大統領の演説(その4)

2018年03月24日 | 国際情勢
ウクライナ国民に言いたい。私たちをわかって欲しい。あなたたちに損害を与えたくないし、民族感覚を侮辱したくない。いつもウクライナの領土一体性を尊重してきたし、私たちは、自分の政治的野心でウクライナの統一を犠牲にするような人たちとは違うのだ。

彼らは「偉大なウクライナ」とスローガンを掲げて装ってはいるが、国を分断するあらゆることをしてきた。今日の国民の対立は彼らが持ち込んだものだ。ロシアを利用してあなたたちを脅す人たちを信じないで欲しい。クリミアのあと別の地域だと叫んでいるような人たちのことだ。

ロシアはウクライナを分割したいのではない。それは必要ない。クリミアには今後もロシア人、ウクライナ人、タタール人がそのままの状態で残る。繰り返す。クリミアはこれまでもこれからも、あらゆる民族にとってのふるさとであり続ける。しかし、ファシストのものにはさせない!

クリミアは我々共通のものだ。地域安定に最も重要な要因だ。このような戦略的な場所は、強くて安定した主権のもとにあるべきだ。それは実際、今日においてはロシアだけだろう。

ウクライナやロシア人にも言いたい。我々はあなた方とともにいる。近い将来、歴史的な視点でみれば、(このままでは)クリミアを完全に失うかもしれないのだ。考えて欲しい。

キエフではウクライナがNATOに入るという話も出ている。クリミアとセバストポリにとってそれは何を意味するか?ロシアの偉大な軍事都市に、NATOの軍艦が出現することはロシア南部にとって脅威となるだろう。それはつかの間もことではなく、全く具体的な脅威なのだ。

もしクリミア人が今回のような選択しなければ、本当に(そうした脅威が)起こりうることだった。(クリミアの住民よ)ありがとう。

ところで、我々はNATOとの協力に反対しているわけではない。全く違う。我々が反対しているのは、軍事同盟としてのNATOが、軍事組織のあらゆる内部機能を伴って駐留することに反対なのだ。我々の塀の近くや我々の家の近所、歴史的な土地の近くで展開するのに反対なのだ。

セバストポリに行って、NATOの海軍兵の家に招待される光景は全くイメージできない。彼らはまったく違う人たちであり、私たちが彼らのもとに行くのではなく、私たちが彼らをセバストポリに客人として招待する方がいい。

今ウクライナで起きている事に私たちは心を痛めている。ウクライナでは今日、明日をどう生きればいいかかわからない状態だ。私たちの心配は理解されるはずだ。

我々は単に親しい間柄ではない。事実上、同じ民族なんだ。キエフは古代ルーシのロシアの母なる都市。そこから私たちはともに始まったのであり、お互いを抜きにしてはあり得ないのだ。

ウクライナには数百万人のロシア人,ロシア語話者が住んでいる。ロシアは常に彼らの利益を、政治的、外交的、法的な手段で守る。しかし、何よりもまず、ウクライナ自身が彼らの利益に関心を払い、保障しなければならない。そうしてこそウクライナ国家の安定と領土保全が保証される。

我々はウクライナと仲良くしたいし、強くて主権があって自主的に豊かなになれる国家になって欲しい。ロシアにとっては最も重要なパートナーの一つであり、多くの共同プロジェクトもあり、その成功を信じている。

最も重要なことは、ウクライナの領土に、平和と合意が訪れ、ロシアが望むのは、ほかの国々とともにウクライナ支援のために全面的な協力ができるようになることだ。しかし、繰り返しになるが、そのためには、ウクライナ国民自身が、適切に秩序を取り戻すしかないのだ。

クリミアとセバストポリの住民のみなさん。ロシアはあなた方の勇気、威厳、勇敢さが本当にうれしいです。あなた方自らクリミアの将来を決めたことがうれしいのです。決まるまでの間、我々は最も近づいたような気持ちになり、互いを支え合いました。心からの連帯でした。

このような、急展開した歴史的な瞬間においてこそ、成熟や民族の強い心が試されるのです。ロシア国民は成熟さを示したし、団結によって同胞(クリミア住民)を支えました。

ロシアの外交スタンスが強固なことは、数百万人の国民の統一的な意思、政界や市民団体のリーダーたちの支援に基づく。愛国的な雰囲気にお礼を言いたい。我々にとって重要なのはそのような結束だ。それはロシアに立ちはだかる課題を解決してくれる。

ロシアは外交的には反発を食らっている。しかし、それを解決し、首尾一貫して民族の利益を守るのか、あるいはそれをあきらめ、放棄してしまうのか。いくつかの西側の国はすでに我々を脅している。制裁だけでなく、ロシア内部で何か激しいことが起こるのではないかと。

いったい何を言おうとしているのか。異なる民族の裏切り?あるいはロシアの社会経済状態の悪化?人々の不満を挑発すること?無責任で攻撃的な発言だ。

我々は一度も西側と争おうとしたことはない。実際は逆で、文明的で友好的な関係を築くために必要なことをすべてやる。それが現代世界で決められたことだ。

皆さん。クリミア人は住民投票で直接、はっきりと質問した。クリミアはウクライナに残るのか、ロシアに入るのかと。クリミアとセバストポリの指導者、議員たちは、住民投票の質問を設定し、政治的な利害関係やグループを超えて、住民の根本的な利益を考えた。

住民投票以外の方法ではクリミアの問題は一時的にしか解決できず、将来的な対立の激化を招き、人々の人生を引き裂くことになっただろう。

クリミアの住民ははっきりと、妥協なしに、明らかに質問を設定した。投票はオープンでクリーンに行われ、住民たちははっきりと自分たちの意思を示した。つまり、彼らはロシアに編入したいのだ。

内外の要因を総合的に判断すれば、ロシアにとっても難しい決定だ。ロシア人の気持ちはどうか。どんな民主的な社会でも、違った考えを持つ人がいるのはつきものだ。しかし、この場合、立場は一つだ。強調したいのは、絶対的な多数のロシア国民の意見は明らかだということだ。

最近の世論調査の結果はご存じだろうか。95%のロシア国民が、ロシアはクリミアに住むロシア人とほかの民族の利益を守るべきだと考えている。95%だ。そして83%以上の国民が、たとえ別の国々との関係を損なったとしても、ロシアはそれをすべきだと考えている。

そして86%の国民が、クリミアは現時点までロシアの土地であると考えている。それはとても重要な数字であり、クリミアの住民投票で92%がロシア編入を望んでいることと相関関係にある。

このように、とても多くのクリミア住民とロシア国民の絶対的な多数がクリミアとセバストポリの編入を支持している。問題はロシア自身の政治決断にかかっている。それは国民の意思にのみ立脚している。なぜなら国民だけが、あらゆる権力の源であるからだ。

上院、下院のみなさん。ロシア国民、クリミアとセバストポリのみなさん。住民の意思をよりどころとしたクリミアの住民投票の結果に基づき、国会にクリミアとセバストポリを編入する法案を提出し、審議をお願いする。

クリミアとセバストポリでも同様に、編入に関する条約調印のための批准がなされるだろう。これについて、皆さんの支持があることを確信しています!(終わり)

(関根和弘)
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