まほろば俳句日記

毎日見たこと聞いたこと感じたことを俳句にします。JーPOP論にチャレンジ。その他評論・エッセー、学習ノート。競馬も。

吉野家は敗北の味夏の雨/北大路翼を読む(5)

2017-08-01 00:40:00 | エッセー・評論

*写真は吉野家の定番メニュー牛丼(並・大・特盛)で、紅しょうがは自由。同僚などとイヤイヤ食べに来る人は、これを大量に混ぜ、肉汁の臭み(通常旨味と受け取る)を消す人を頻繁に見かける。安さ、手軽さの生み出した食の崩壊現象の一つである。

吉野家は敗北の味夏の雨   北大路翼 (その2)
吉野家に行ったことのない人はほとんどいないだろう。と言うより、行ったことのないという人はお金のある無しに関わらず、生涯行くことのない人であろう。一方、頻繁に行く人はあまりリッチとまではゆかないにしても、貧乏とか、この句にあるような【敗北者】とまでは言えない。そう言ってしまうのは、ビジネスタウンのランチタイムの同店を覗いてみるとわかるように、明らかな事実誤認であり、ごく平均的なサラリーマンで溢れ返っている。値段も牛丼の並盛に味噌汁やサイドメニューのおしんこ(又はキムチ)・生卵などを付ければゆうに600円を超える。牛すき鍋セットなどにすればそれをさらに上回る。この句にいう【敗北の味】とは、作者自身の〈敗北感)が一句に籠められたものであり、興味は作者の《敗北》そのものに移る。彼は、現在どのような〈敗北感〉を味わっているのだろうか。・・・《続く》
 

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