★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

「菊池寛をふりかえる」展をみてきたよ

2018-12-18 23:40:29 | 文学
https://bungo.dmmgames.com/news/181003_02.html


いや、

http://www.city.takamatsu.kagawa.jp/kurashi/kosodate/bunka/kikuchikan/bungakuten/27.html


こちらに行ってきた。上のなんとかアルケミストのグッズも記念に二つほど買ってみたが、1ミリも似ていない中原中也と堀辰雄の絵にびっくりした。よくわからんが、このゲームみたいなのを喜んでるのは案外文学マニアのおじさんだけではないか……そうでもないのであろうか……

わたくしは良い歳になってきたせいか、菊池寛が水着を着てしょんぼり立っている写真などに共感した。しかし、いつものことだが、「「父帰る」でおれは後世に残る」とか言っている菊池寛はあまり好きじゃない。おれは若い頃から実はすごかったと言っているようで……。実際、若い頃の方がいいんだが……

「だから、本当の小説家になるのに、一番困る人は、二十二三歳で、相当にうまい短篇が書ける人だ。だから、小説家たらんとする者は、そういうようなちょっとした文芸上の遊戯に耽ることをよして、専心に、人生に対する修業を励むべきではないか。」
――「小説家たらんとする青年に与う」


芥川にケンカ売ってんのかいと思うけれども、菊池寛の説教にめげず若者は書いて書いて書きまくれば良いと思う。行き詰まったら、菊池寛のように「無名作家の日記」みたいなものでも何でも書く根性がついている。たしかに、芥川から太宰に至る多くの韜晦的文人がその韜晦の苦しさに追い詰められる御時世が始まろうとするときに、思うことを言えばいい、お前は言う勇気があるかよ(とは言ってないが……)、と言って文藝春秋、ひいては文壇を組織した菊池寛は、商才がある吉本隆明みたいなところがちょっとだけある。