ディープインパクト 2010-10-18 23:55:28 | 大学 問題は、地殻変動ではなく地球外からの攻撃で津波がきた場合、だれのせいにするかということだ。 いままでのわが国の経験から推測するに、はじめは北朝鮮や韓国のせいにするが、いずれは、国内の異分子のせいにする。次に津波が来たときに一気に異分子排斥に動き出す日本であることだ。
無理して逃走 2010-10-18 19:57:40 | 文学 「何だか、僕の小説が、あなたの身の上に似ていたそうですが、僕は小説には絶対にモデルを使いません。全部フィクションです。だいいち、あなたの最初のお手紙なんか。」ふっと口を噤んで、うつむきました。 「失礼いたしました。」私は歯の欠けた、見すぼらしい乞食娘だ。小さすぎるジャケツの袖口は、ほころびている。紺のスカートは、つぎはぎだらけだ。私は頭のてっぺんから足の爪先まで、軽蔑されている。小説家は悪魔だ! 嘘つきだ! 貧乏でもないのに極貧の振りをしている。立派な顔をしている癖に、醜貌だなんて言って同情を集めている。うんと勉強している癖に、無学だなんて言ってとぼけている。奥様を愛している癖に、毎日、夫婦喧嘩だと吹聴している。くるしくもないのに、つらいような身振りをしてみせる。私は、だまされた。だまってお辞儀して、立ち上り、 「御病気は、いかがですか? 脚気だとか。」 「僕は健康です。」 私は此の人のために毛布を持って来たのだ。また、持って帰ろう。菊子さん、あまりの恥ずかしさに、私は毛布の包みを抱いて帰る途々、泣いたわよ。毛布の包みに顔を押しつけて泣いたわよ。自動車の運転手に、馬鹿野郎! 気をつけて歩けって怒鳴られた。 太宰治の「恥」である。ある勘違い文学少女が悲惨な生活を送る作家を庇護せんとして、自分もひどい格好をして訪ねていったところ、彼は自分よりも遙かにブルジョアで幸福そうな奴だったという……。 もっとも、「小説家は悪魔だ! 嘘つきだ!」これが分かっただけでも彼女は幸福であった。気づかないで、「愛の流刑地」みたいな羽目になったら目も当てられない。いや、あれはあれで、モラルやいかに女性に向きあうかといった困難に挑戦している作品だから、太宰の方が、無理して女にまつわるエトセトラから逃げ続けた人と考えることもできるであろう。一方、逃げない逃げないと言いつつ太宰の逆をゆく小説ばかり書いていた三島由紀夫だが、彼の場合、本当に異姓から逃げなければならなかったのだから世話はない。 何を言いたいかというと、戦後派も無理をしていたのだが、浪曼派も無理していたということである。当たり前のことだ。