「社長夫人を裸にする」という企画を出したら即刻ボツになった僕。急遽「社長ブログ」に突っ込みを入れるという本邦雑誌史上、初のコラムに挑戦することになった。
毎度お騒がせのホリエモンが、長く休載していたブログ「社長日記」に帰ってきた。早速、アメリカに飛んで、IRや新規事業の打ち合わせしたことを書きまくっている。
怒涛の進撃は「選挙に負けた」どころか、スゴミが出てきた。何しろ広島第6区で、1日百人以上のミニ集会を毎日数十回こなしてきた。こういう経験をしておけば、こわもての外人投資家が束になってかかって来ても、気合で撃退できそう。文面からそれを感じた。選挙には、何か人を変える「デーモン」が棲んでいるのではないか。
ブログとは、有名人の動向、それも微妙な変化を読み取れる。同時に無名の人やコンセプトにも出会える。物つくりのエンジニアが、ふと漏らした言葉がスゴく新鮮だったり。普段こういう人と専門用語でしゃべる機会なんて皆無だからね。
「イナーシャ」という言葉をご存知? 何だか、西欧の悲恋の王妃みたい。今回一番心揺さぶられたのが「イナーシャの怖さ」という頁だった。自民党大勝に沸く表通りから、スッとはずれたブログの路地で見かけた。筆者は「緑川さん」という治具製作・木工モデル加工会社「ミナロ」の代表。
前にいた会社をリストラされ有限会社を立ち上げた。社名の由来は「設立時に参加したメンバーで、緑川のミ、中村のナ、樋口のロを取ってつけました、社名に自分の名前がついているということで、責任とやる気を持つ、また『実なろう』『身なろう』の意味も兼ねています」という。職人の誠実さがあふれた文章だ。ついでに、「行政・政府・金融と名の付くエセなものには噛みつきます。(笑)」と。
彼は小泉大勝利の「怖さ」の一部をこう書いている。「郵貯・簡保資金総額が340兆円と言われ、道路公団や住宅金融公庫など特殊法人におかまいなしに貸し付けられてきた。その焦げ付きの実体が私達には知らされていない」まま「民営化」に突っ走ることの怖さ。
彼はそれを「イナーシャ」と呼ぶ。機械用語で「慣性がついて機械が制御不能」の状態を言う。これは「小泉改革」に対する鋭い警告と読めた。ブンブン唸る機械を相手にしている人だから言える、この感覚。
女性なら、ときめいて恋に落ちた時の「制御できない」感覚を知っている。そう、男性ならエジャキュエーションの、あの瞬間だ。今回の選挙結果は、もはや誰も止められない「イナーシャ」の崖っぷちに日本を引きずり込んだのではないか?
ブログ「製造業社長の逆襲」
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2005/9/20