Naked Heart

その時々の関心事をざっくばらんに語ります

夕凪の街 桜の国

2005年04月25日 23時16分05秒 | 趣味
日本人はまんが好きだとよく言われますが、どうも私は苦手でして、
(やっぱり「非国民」なのかな?)
活字だったらいくらでも読めますし、少々高い本でも興味を引けば
躊躇せず買って読むほうなのですが、まんがとなるとなぜか、
自分で選んで読もうという気が起こらないのです。
いま我が家にあるいくつかのまんがも、元々伴侶が持っていたものか、
親や友人が読ませてくれて気に入ったので買ったものばかり。
たまにコンビニで週刊誌を立ち読みしてみたりしますけど、
面白いって思えるまんがに出会うことってまずないですね。

さて、タイトルの『夕凪の街 桜の国』ですが、
こうの史代という方の「ヒロシマ」をテーマにしたまんがです。
中国新聞では何度も紹介されていて、気には留めていたのですが
やっぱり手を出せずにいたところ、先日友人のブログに
この本の感想が書かれていたのを読みまして、(こちらを参照)
「あ、これは読まなきゃいけない」と思い立ちました。
幸い広島には「まんが図書館」という便利なものがありまして、
1週間ほどの予約待ちの末、借りて読むことが出来ました。

『夕凪の街』は被爆10年後の広島での、ある女性の恋の物語、
『桜の国』2編は、彼女の姪たちの物語で、いずれの話にも
「ヒロシマ」が影を落としています。
新聞等では『はだしのゲン』と比較したコメントが目立ちましたが、
ややピント外れの観がありました。
確かに『はだしのゲン』のほうは、特に物語の中盤以降、
ゲンを通して作者の思想が語られる党派色の強い作品ではありますが、
基本テーマは「ヒロシマの怒り」だと思うんですよね。
それが、戦後のある時期まではある程度受け入れられていたけれど、
世代が変わり、戦争の記憶が薄れるとともに、共感されなくなってきた。
だから『はだしのゲン』では物語の前提となっていた共通認識を、
「戦争を知らない世代」のために改めて提示し直したのが、
この『夕凪の街 桜の国』だと私は受け止めました。

いま風のタッチで、淡々と展開される話ですが、よく見ると
細かいところまで丁寧に、そして正確に描かれています。
読むだけでなく、ぜひこの本を持って広島をその目で見に来てほしい、
そう言える一冊です。

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