社会不安障害:SAD、ボランティアとセカンドライフ

SADで会社を休職したが、一年で復帰し、無事定年を務めて、その後の生活とボランティアについて気ままに掲載中

オオカミ少年(狼と羊飼い)になってはいけないが・・・

2011-01-15 16:08:59 | 会社の仕事

イソップ寓話(童話)の一つに有名な『狼と羊飼い』がある。

羊飼いの少年が、「狼が来た!」と大声で叫んで回った。村人は、驚いて飛び出してきた。しかし狼はいない。面白がって少年はこれを繰り返す。繰り返す内に、村人は誰も出てこなくなった。ある時本当に狼が来て、羊飼いの少年は、「狼が来た!」と叫んで回るが、誰も出てこなかった。結局、村の羊が食べられてしまった。

これは、簡単に言うと嘘をついてはいけないの教えだ。嘘を繰り返すと、本当であっても、信じて貰えなくなる事を言っている。しかし、嘘をつく気がなくても、間違った結果になったら、これも同じ事になる。そう嘘をついた事になると言う意味だ。

私は、10年前に当時の部署に転籍した。そしてその部署で工場との生産調整をするのが一番大きな仕事だった。もちろん私にとって初めての仕事だった。しかし生産調整をする以前に、商品も分からず生産や購買等がどうなっているかもわからなかった。もちろんそれを調整する為の営業も知らなかった。そう殆ど無知の状態で、仕事を引き受けた事になる。もっとも引く受けた訳ではない。前任の大先輩の方が、入院されたからだ。そうせざるを得なかった。他の誰もできなかったしやらなかったからだ。それから半年余り、工場と生産の調整の仕事をする中で、やっと何とか工場と話ができる様になった。そして今度は話ができる様になると、それからは、大変な仕事を引き受けたと思い始めた。そう当時の工場に調達のこれまた大先輩がおられて、当時の部門長か私に電話が掛かってくると「アホー、バカ、マヌケ、ソンナ事できるかー・・・」と毎度お叱りのお言葉を貰う事となった。しかし、その大先輩のおかけで以降の仕事は、大変上手く行った。そうその大先輩が、了解されたら、後はもう大丈夫だったからだ。

ある時も大先輩から電話が入った。「部門長か○○はおるか?」

私「○○です。」
大先輩「○○か!この件だが、おまえこれできると思うか?ふざけんな!バカか!絶対納期が間に合わない!これはできんぞ!」
私「すみません。そこを何とかお願いします」
大先輩「アホー、すみませんですんだら警察なんか言わんわ!絶対できん!できると思うかおまえは!ふざけんな!」
私「すみませんーーー!でも、この注文は作ってもらわないとこまります。そこをなんとかおねがいします」
大先輩「アホー、そんなもんキャンセルさせろ。できるか!」
私「すみません。すみません。こまります。そうかもしれませんが、なんとかお願いします」
大先輩「おまえはバカーか?こんなもんできるか!」
と言う様なやり取りを約30分ぐらい繰り返した。

結果、この大先輩がこれだけお願いしてもだめなら私は、本当にダメと判断した。しかしそうでない限りはあくまでお願いする事にした。当時工場側もこの大先輩がキーマンで、月2回の会議でも、大半私とこの大先輩との話で、事が決着していた。当時の部門では私以外では工場側が話ができなかったからだが・・・。

さてこの大先輩を交えた会議の中で、毎回でる言葉が、あった。私が「あるお客様からの引き合いが出て、この製品を何月に何台生産をお願いしたい。注文が決定したら」と言うと、工場の方が一斉に「うそやろー、そんな台数くるか!、どうせこないやろ、うそばかりつくな!」だった。

まさに、上記のオオカミ少年の話だ。前任者と当時の部門は工場からはオオカミ少年とみなされていた事になる。従って私も当初はオオカミ少年と思われていた様だ。前任の大先輩は当時の営業をどう見ていたかは分からないが、話からすると、信用はできないが、工業側にはそのまま要求を伝えていたようだ。

そう営業 -> 企画(大先輩) -> 工場(大先輩)のルートで前任の大先輩も営業をオオカミ少年とみなしても、そのまま工場に要求して結果が伴わなければ、つまり注文を貰わう事ができなければ、工場側からすると、前任の大先輩も含めて、オオカミ少年となった様だ。

さてこのオオカミ少年の教えからするとオオカミ少年のウソがわるい事になるが、それだけではない教えがある。オオカミ少年のウソがもし本当の場合への対応が必要だと言う事だ。そうしなければ村人も被害を被る事になるからだ。実際そうなった。

そう、当時の工場の方にもこれと同じ事が言えたのだ。もしウソではなく、本当になったら、或いは本当でなくとも、営業は、工場が作れないから注文を貰えなかったと言うに違いないと。だから、例えウソでも、ウソとなっても対応せざるを得なかった。そして毎回裏切られ、そのたびにうそつきと呼んでいたに違いない。

そして間に入って苦労されたと思う前任の大先輩の気持ちもわかる気がする。が私はそこまで、営業を全面的に信用して、工場と話をする事はしなかった。客先の情報と営業の動きや営業の性格等と過去の実績等考えられるあらゆる情報を加味して、注文を貰えるかどうかをある程度、私が判断して、工場と話をしたからだ。従って余分な(工場にとって必要のない)情報は工場に流さなかった。つまり工場を逆にだます時もあったと言う事になる。しかし工場側からすれば、私の言う情報を、相方で決めた期限に私が全てを判断してくれたので、私の言う事だけを聞いておけば良かったと言う事になる。

もちろん私に上記の権限があった訳ではない。しかし当時当時の部門長やライン長の事前承認を全て貰っていた。従って私の決断した事が、部門の決断とイコールだった。そのかわり、この判断や工場との話に私がどれだけの神経と労力を使ったかは今でも計り知れない。一つの生産ロットが数億円~数十億円。最高の一括注文が約50億円となる商談の結果を予想して生産させるまさにバクチと言うかギャンブルをやっていた様な物だ。もちろん、普通のバクチと異なり、一人での戦いではなく、関連部門の総力を挙げての戦いをしていたので、その判定する確率はかなり高かった。

結果、私が工場と仕事する様になり、うそつき呼ばわりはなくなった。そう私の判断の殆どが正しかった事になる。結果がついて来たと言う事だ。この結果と言うのは、100%注文が貰えたという意味ではない。引き合いは来そうだが、今回は、受注するのは無理だろう。この場合は、この部材はこっちのお客様に転用しよう等を先に情報として入れてはおくが、生産はさせない事だった。従って生産の可否をぎりぎりまで工場に待たせる事により、不要な生産や材料を買わない事を優先させた。決して注文もないのに作らせる事はしなかった。

この工場の大先輩と仕事をする様になり、2年後一つの転機を迎えた。そうこの製品の生産が年間10,000万台を超えたのだ。そして翌年に大先輩から「おい、今年も10,000台は大丈夫か」と業者に行く前に電話がかかって来た。その時には10,000台以上の販売計画を工場にも連絡していたが、まだ信用できなかったのだろう。私が「もちろんです。今年もかならず10,000台以上行かせます」と答えると大先輩は「わかった。これから業者に言ってくる。」と嬉しそうに話された。

この大先輩とはその後二人で飲みに行きスナックでもカラオケをした。私にこの時の仕事を仕込んでくださった大先輩で、大変感謝している。しかしその数年後病気で突然亡くなられた。大変残念だ。

さて、このオオカミ少年の話を今回掲載したのは、昔を懐かしんでの話ではない。そう今の話だ。親会社で当社も管理している事業部門の話だ。すでに4年間オオカミ少年となっているようだ。そう厳しい事業環境にあってどこも苦しいのは確かだろう。従って別にウソをつきたくて、やっているわけでもないだろう。しかし結果が伴わなければ、それはウソとなる。そう最初に挙げた昔の話と同じだ。従って、親会社のトップやスタッフ部門からすると、オオカミ少年をどう見るかと言う事になるだろう。オオカミ少年が言っている事が正しいとなるのか?そうではないのか?

オオカミ少年の最後の結末に、オリジナルの寓話には存在しないが、少年自身が襲われて狼に食べられてしまう話も良く聞いた話だが・・・。


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