神永氏の作品は、『ファントム・ペイン』以来となる。久しぶりの作品だ。氏の天命探偵真田省吾シリーズは少しくらいイメージと恐怖感があったが、こちらは非常に読みやすかった。と言うか殆ど1日も掛からずにアッと言う間に読めてしまった。つまり、それだけ面白かったと言う事になる。あまり理屈を考えずにひたすら読むと良い作品だ。
一つの事件が終わり、次に事件へと続く複数の個別な事件が紹介されるのかと思ったら、最初の事件が全ての事件へとつながっており、最後には、途中で落ちと言うか真犯人が見えてくる。と言うやっぱりそうかと自分で確信しながら読むのも面白い。
しかし、この作品は面白い。ネタがおもしろい。数学で事件を解く。統計的手法。そしてゲーム性。そしてこの作品はその2が出版されると思うが、楽しみにしたい。
最初の事件の容疑者、都内の大学生亜矢子を車で拉致し乱暴を働いたとされる島田遼平25歳。大学の時にも痴漢の逮捕歴があった(この時の訴えたのも亜矢子)。この取り調べ中の先輩刑事の強引さで取っ組み合いになり、この件で新部署の捜査一課特殊取調対策班に回された新米刑事の新妻友紀。
数学者の御子柴岳人と二つ目の事件の取り調べを行う事になる。殺されたのは、無職の西山孝36歳。容疑者の鈴木美佐子38歳のアパートで発見された。自分が昔の知り合いの西山を殺したと自白。しかし高校2年の娘を庇っての自白だった。
そして次の取り調べは3か月前から騒がれている連続強盗・強姦事件。被害者は5人。一人暮らしの女性を強奪したあとに、金銭と下着を盗むという悪質な事件だったが、目撃証言が少なく、捜査は難航していた。そしてついに殺人が起きた。死亡者は相馬純子、出版社の32才の雑誌記者だった。
この事件の容疑者として、島田遼平が捕まった。殺された相馬純子の血痕が付着した下着を自分のカバンに入れていたとして。そしてこの島田を最初に取り調べたのが、先輩警部であり、新妻の元上司の津山重臣。と言う事で、登場人物が全てにつながっていくと言う濃縮小説だ。落ちはここまで書くと今までの氏の作品から犯人が推定できてしまうだろうが・・・。
書籍名:確率的捜査官 御子柴岳人 密室のゲーム 出 版 :2011年8月31日初版 著 者 :神永 学 発行者:井上伸一郎 発行所:株式会社角川グループパブリシング 印刷所:大日本印刷株式会社 定 価 :1300円+税 | |
この男、純真なのか、ただの子供かーーー!? 超理系な美貌の数学者と、一生懸命で空回りな新米女刑事が 人間の心の深層を暴く、 前代未聞の取り調べエンタティンメント! お前、救いようのない アホだな。 猫を愛し、アメを頬張る、 若き数学者・御子柴岳人。 果たして、その推理は、 鮮やかかつ華麗であった! 効率的かつ正確な取り調べの方法を検証する為に警視庁内に作られた新部署<捜査一課特殊取調対策班>。そこに配属された新米刑事・新妻友紀は、さっそくある事件の容疑者の取り調べを任されることになった。いきなりペアを組まされたのは、偏屈で常識知らずの青年数学者だった!? 「あの・・・・本日付で配属になった、新妻友紀と申します」 「残念だが、その戦術は通用しない」 「はあ!?」 |
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