昨夜8時、登録しているニュースサイトから通知が届き、何気なく開くと、カズオ・イシグロさんが今年のノーベル文学賞を受賞したという速報でした。賞レースにはあまり興味のない私ですが、カズオ・イシグロは、いつかノーベル賞を取るんじゃないか、取れたらいいな、と思っていた作家さんなので、素直にうれしかったです。
作品を全部読んでいるわけではありませんが、やはり代表作の「日の名残り」が一番心に残っています。イギリスで教育を受けられたとはいえ、日本人の両親のもとに育った氏が、どうしてイギリス貴族社会のことをこんなにリアルに描けるの?とまずはそのことに素朴に驚いたのでした。
名家の執事として親の代から主人に仕えてきたスティーブンスの徹底したプロ意識と高潔な志、同じく長年女中頭として仕えてきたケントンとの秘めたる思い、イギリスの美しい田園風景から真の品格を見出す場面などが思い出され、久しぶりにまた読んでみたくなりました。
カズオ・イシグロの小説、映画化した作品に関しては、過去に何度か記事にしているので、この機会にまとめておきます。
小説 「日の名残り」(The Remains of the Day) (2011-12-07)
映画 「日の名残り」(The Remains of the Day) (2011-06-24)
映画 「わたしを離さないで」(Never Let Me Go) (2011-05-02)
このほか、記事にしそびれましたが、小説では「わたしを離さないで」と、最新作の「忘れられた巨人」(The Buried Giant)を読みました。「わたし~」は臓器移植を題材にした異色のSF、「忘れられた巨人」はファンタジーの奥に潜む普遍的な物語といった感じで、どちらもその発想力の豊かさに驚かされました。
小説が映画化されるとがっかりすることがままありますが、イシグロ作品は「日の名残り」「わたしを離さないで」ともに小説の世界そのままにうまく映画化されているので、これから読む方は映画から入るのもよいかと思います(私もそうだった)。土屋政雄さんの翻訳も、ナチュラルで読みやすくて好きです。
イシグロ氏がオリジナル脚本を手掛けた「上海の伯爵夫人」(The White Countess)も、古風な味わいがあって忘れがたい作品です。ジェームズ・アイヴォリー監督、レイフ・ファインズ&ナターシャ・リチャードソン主演、真田広之さんが激動の上海で暗躍する謎の日本人役で出演しています。
過去記事にコメントくださりありがとうございます。
レイルウェイの記事も探して読んでくださったのですね。
私は自分で書いたことも、ベストに入れていたこともすっかり忘れていました。
(今、自分で検索して読みました。^^;)
上海の~は私もあまり覚えていないのですが
エキゾチックな雰囲気と、歴史と運命に翻弄されるヒロインに引き込まれた記憶があります。
ライフは、シンプルといえばシンプルですが、おもしろかったなー。
道頓堀川は、原作は宮本輝さんですね。これ読みたいなーと思っていました。映画の方も気になるわ。
日の名残りは、映画も小説もすばらしかったですね。
カズオイシグロさんは
>穏やかで品があって知的で思慮深く好印象
はい、同意見です。
平野啓一郎さんや、小野正嗣さんにも通じるものを感じますが、私はこういうタイプに弱いです。^^
「レイルウェイ 運命の旅路」
2014年印象に残られた映画の1本だったのですね。
実話ベースでしたよね。
私もこういった内容には、めっぽう弱いです。
それと、拷問シーンとかそういうの私も凄ーく苦手です。
「上海の伯爵夫人」と「ライフ」も感想は書かずじまいでしたが見ています!
「ライフ」はキャストも豪華で、お金のかかったハリウッドSF映画で、こういう映画に出演されるなんて真田君凄いなーって思いました。
内容はエイリアンっぽくて既視感があって、面白かったけど目新しさに欠けてた印象でした。
上海の~、は恐ろしい事に全然思い出せません・・・
そうそう、真田君といえば、春頃にTVで「道頓堀川」って82年のがやっていて、ちょっと見たら、若いっ!松坂慶子さん綺麗!2人のからみシーンがすごくてびっくりでした。
「日の名残り」
私も凄く好きな作品です!
映画の後小説を読みました♪
カズオイシグロさん、本も3冊しか読んでいないし、ご本人のことはあまり良く知らないので勝手なイメージですが、穏やかで品があって知的で思慮深く好印象です。
qさんは、イシグロさんの作品を全部読んでいらっしゃるのですね。
どの作品も描かれる世界はまったく違ってでも
その下に流れている思想には
共通のものがあるように感じられます。
私もいずれ他の作品も読んでみたいです。
まずは本を読んで映画を観て
どちらの世界も堪能です
『遠い山なみの光』から『わたしたちが孤児だったころ』全作を読んでいて
氏の世界の常に記憶という世界と
自分との隔たりや距離感
失われたものを取り戻すのは出来なくても
思い出という心の現実を感じたり
頭と心の「内なる動力」にある言葉に
旅するように探るように
切なくなって苦しくなって
染み込むんで来ます
ノーベル賞を受賞して初めて知ることも多いのですが
今回は偶然、知っている作家さんで、しかも
好きな作家さんだったので、とてもうれしかったです。
小説の方はしばらく手に入らないかもしれませんが
もしご興味があったら、映画の方を先にご覧になってもよいかと思います。
「わたしを離さないで」は日本でもドラマ化、舞台化されたことがあるようですよ。
って、しばらくは店頭に在庫がないでしょうから、手にするまでに時間がかかりそうですね。
小説の世界を映画にすると、残念だなぁと思う事がありますが、この作品は小説の世界がうまく映画の世界でも表現されているようなので、映画を先に観てみようかなと思いました。
既に小説もお読みになって、映画もご覧になっているとは、さすがセレンディピティさんです!
私もびっくりしましたが、いつかはこの日が来るような気がしていたので
なんとなく納得もしました。うれしい受賞でしたね!
ごみつさんは、突然の騒ぎに大忙しだったでしょうね!
大江健三郎さんの時みたいに、書店さんはどこも即売切れだったでしょう。
しばらくブームが続きそうですね。
思えば「日の名残り」もごみつさんに教えていただいたのでした。
私にとっても大切な作品です。
世間が落ち着いたら、私も他の作品を読んでみようと思います。^^
「わたしを離さないで」切ないけれど心に残る作品ですね。
鳩森神社のあたりは、かつて村上春樹さんが経営していた
ジャズ喫茶があったのですよね。
毎年この時期の騒ぎは春樹さん本人も困っているでしょうから
ファンだったらそっとしてあげたらいいのに...と思います。
私も昨日の夜、職場で知ってびっくりしてしまいました。
村上春樹氏は気の毒でしたが、イシグロカズオさんは大好きな作家なので、嬉しかったです。
今朝、あっという間に書籍(和書も洋書も)売りきれてしまいましたが、和書は夕方、早川書房さんが追加を持ってきてくれました。増刷分はもう少し後になりそうです。
洋書は2~3週間かかりそうなので、わかってれば準備出来たのにな~~とほぞをかんでいます。(笑)
私、「日の名残り」「私を離さないで」「私たちが孤児だったころ」の3作しか読んでないので、また他の作品も読んでいこうと思ってます!
「上海の伯爵夫人」も見なきゃな~。
「わたしを離さないで」は私も好きです!
ところで昨日夕方、千駄ヶ谷の鳩森八幡神社の前を通ったら、取材のカメラが来ていて撮影していたので??と思ったら、大々的にライブビューイングがセッティングされていて、神社の境内に椅子が沢山並べられていました。
どうやらハルキストによるノーベル文学賞受賞発表をライブで観る催しだったみたいです。今年も落胆なさったのでしょうか…