「天才作家の妻 40年目の真実」(The Wife) での演技が記憶に新しいグレン・クローズ。これまでアカデミー賞に7回もノミネートされている演技派の女優さんで、今年こそ受賞との呼び声が高かったですが、逃してしまったのはほんとうに残念でした。
かくいう私も「ガープの世界」は見ているものの、あまり記憶になく... この機会に代表作をいくつか見てみました。
1987年にヒットしたサスペンス映画。マイケル・ダグラスと共演しています。マイケル演じる弁護士ダンと仕事を通じて知り合ったアレックス(グレン・クローズ)は、ダンに大人の関係を持ち掛けます。ダンはその言葉通り、一夜限りのつきあいのつもりでしたが、アレックスは本気になって、ダンにつきまとうようになり...というお話です。
アレックスのことばを真に受けて、浮気するダンが悪いといってしまえばそれまでですが、たしかにちょっと気の毒だな...とも。ストーカーの草分けですね。^^; ダンの浮気を知って妻も怒りますが、最後はあまりにしつこいアレックスにいっしょに反撃するうちに、不思議な連帯感が芽生えます。
バスタブから死んだと思ったアレックスがざば~っと起き上がる場面では、夜中だというのに驚いて悲鳴を上げてしまいました。ご近所から通報されなくてよかった~。そういえば昔はこの手の驚かせ系の映画、結構あったなーと懐かしくなりました。なかなか、おもしろかったです。^^
コデルロス・ド・ラクロの原作は何度も映画化されていますが、これは1988年の作品で、グレン・クローズのほか、ジョン・マルコヴィッチ、ミシェル・ファイファー、ユマ・サーマン、キアヌ・リーヴスが共演しています。18世紀後半のフランス貴族社会を舞台にした、スキャンダラスでどろどろした恋の駆け引き劇です。
こちらはフィクションですが、ちょっと「女王陛下のお気に入り」(The Favourite) に似ているかな? 衣装はすてきでしたが、映画自体は私には合いませんでした。ただ人の気持ちを弄んでいるだけで、結局誰も幸せにならないというのがなんとも...。裏に政治的駆け引きがある分、女王陛下~の方がまだよかったです。
でもこれだけ何度も映画化、舞台化されているということは、いつの世にも人々の心をとらえる魅力ある物語ということなのでしょうね。
19世紀のアイルランドを舞台にした、2011年公開のヒューマンドラマ。なんとも哀しい物語ですが、心に響く作品でした。私生児として生まれ、14歳で家と家族を失ったアルバート(グレン・クローズ)は、男たちに乱暴されたのを機に、身を守るために男として生きていくことを決意します。
勤務先のホテルで、ペンキ職人のヒューバート(ジャネット・マクティア)が実は女性で、結婚もしていると知り、アルバートも同僚のヘレン(ミア・ワシコウスカ)との結婚生活を夢見るようになります。ヘレンの恋人ジョー(アーロン・ジョンソン)は、アルバートの恋心を利用してお金を巻き上げようと、ヘレンをそそのかしますが...。
この時代に女性がひとり生きていくことがいかにたいへんだったか。男として生きなければならなかったアルバートもですが、恋人に捨てられ、子どもを抱えてホテルでただ働きをしていくしかないヘレンも、あまりに気の毒でした。でもラストは幸せの光明が見えて、ようやく救われました。