ちさと図書館2Fの音楽コーナーで70年代に一世を風靡したカーペンターズのムック本があり懐かしく読みました。
3年前にデビュー40周年を記念して訪日したリチャード・カーペンターが、NHK「SONGS」特集に出演したことをブログで書いたことも想いだします。
ビートルズ旋風の後、ポピュラー・ソングやロックまたフォークなどの多様なうねりの中で、カレンの抑制された美しいアルトと多重録音を繰り返して厚みと透明感を増したコーラスが特徴の兄妹ユニットは、サイモン&ガーファンクルの解散とも相まってデュオの魅力を継承し、時代を超えた音楽として現代にもその輝きを放ち続けています。
カバー・アルバムを出しているアグネス・チャンやシンガー・ソングライターの小林明子、そして作詞家で評論家として取材をしていた湯川れい子といった人達が、それぞれのカーペンターズへの想いを込めてインタビューに応えています。
ところで、僕が浪人生活の末に東京の大学に入り、ようやく学生生活にも慣れ始めた初夏の夜に、故郷の高校で同級生だったSさんから電話で訪ねても良いかと言われ、下宿の近くの喫茶店で会い旧交を温めました。彼女は現役で津田塾大に通っていたので既に東京には詳しく、薄化粧の溌剌とした彼女に僕は少し気後れしていたのではないかと想います。
話の中でちょうど『イエスタデイ・ワンス・モア』が流行っていたカーペンターズの話になりました。彼女は新たな方向を求めて試行錯誤するロックやフォークではなく、オールディーズ・カバーまで含めて自分達の独自のイメージを追求し、粘り強く創り上げていくその音楽性に惹かれるようでした。もちろん彗星のように世界の人気者に駆け上がった、カレンに取り憑いた心の闇など想いもよりませんでした‥‥。
カーペンターズを聴くとその青春の一齣を想い出します。
※ リチャードがレコーディング・スタジオから車で帰っていた時に、『イエスタデイ・ワンス・モア』のメロディーと歌詞が同時に浮かび、家に着くと直ぐに忘れないように楽譜に書き付けたと述べています。「Every Sha-la-la-la Every Wo-o-Wo-o」という有名なサビと1番の歌詞はリチャードが自ら作り、作詞家ジョン・ベティスが後に全体を完成させたようです。
カーペンターズ KAWADE夢ムック (文藝別冊) | |
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