10時と3時のいっぷく

零細建築設計事務所の日常とその周辺を、コーヒータイムに綴ります。

木造軸組の講習会

2008年05月23日 | 研修・自己啓発
あるCADメーカーが主催する、木造軸組の講習会に出席しました。講習会と並行してCADの新しいバージョンの体験コーナーもやっていましたが、私の使っているCADとは違うので、そちらは出ませんでした。講習会の内容は要するに“正しい架構の設計の仕方”とも言うべきもので、2階の壁や柱が直下の1階と通っていて、合理的な梁の架構をすることにより2階床の不陸事故を防げるという、極めて単純なものです。私自身もこれまで、このことには注意を払って来ましたが、これを数字で○パーセント以上の直下率とか、ということまでは表わしませんでしたが、なるほどこういう表現のほうが説得力はあります。柱は50%以上、壁は60%以上必要とのことで、ちなみに我が家の柱の直下率は100%、壁もおそらく80%以上はあるでしょう。最後に、このメーカーのCADを使えば、この直下率の計算も簡単にできるというのが、主催者の目的のようです。

驚いたことに梁の架構の設計(伏図と言います)を自らしない(というか、出来ない)設計者がいるようで、それらの人は工務店やプレカット工場に任せているのでしょうか。確かに大学の建築教育では、鉄筋コンクリートや鉄骨造に主眼を置き、木造の構造を学ぶ機会は多くありません。そのため若い設計者は伏図を描けない人がいるのでしょう。我々の世代は若い時代に大工を始め、色んな職人から現場の実際を学んだものです。その中から自分なりに試行錯誤の繰り返しで、方法論を身に付けて来ました。特に木造の場合は、経験と理論の組み合わせが重要ですから、これから先、木造の設計は不安な状況になるかも知れません。そうなるとますます規格住宅全盛になり、建築文化の衰退が危惧されます。

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