清運寺だより

ようこそいらっしゃいました。甲府市にある日蓮宗寺院の住職のブログです。日々の出来事、感想、行事などをご紹介します。

ウィーン国立歌劇場管弦楽団のコシ・ファン・トゥッテ

2008-10-24 11:26:09 | クラシック

昨日、上野の東京文化会館でおこなわれた、ウィーンフィルのオペラ、コシ・ファン・トゥッテを観に行ってきました。

念願だったウィーン国立歌劇場管弦楽団の演奏を生で聞くのは初めてです。

さすがに世界最高峰の楽団だけあって、大入り満員でした。

入口に「大入り」の看板も掲げられています。

指揮はリッカルド・ムーティ、相変わらずの男前です。

歌手陣もバルバラ・フリットリ、アンゲリカ・キルヒシュラーガー・イルデブランド・ダルカンジェロ、ミヒャエル・シャーデ等そうそうたるメンバーです。

座席は5階左、相変わらずの天井桟敷です。

しかし、左側からだと、指揮者の手元がよく見えて案外よい席だったかもしれません。

ムーティの雄弁に語る左手に見とれてしまいます。(もちろん双眼鏡を使います)

オーケストラが休んでハンマーグラヴィーアだけの演奏になる時に、ムーティが眼鏡をはずして譜面台に置いているのまでよく見えます。

以前、ムーティが老眼鏡を使うようになったときは結構ショックでしたが、最近は慣れてきました。

 まあ、余計なところに目が行ってしまうわけですが、何といっても、演奏と歌手陣の素晴らしさは筆舌に尽くせません。

何が良いのか、どう表現したらよいのかを考えてみましたが、一言でいうと、気持のよい音ということです。

 感動も失望も心が大きく揺れますが、この演奏はそうではなく、体全体にしみわたる心地よさです。

 気持ちよくて思わずうとうととしてしまうような感じです。

いつも、真剣に演奏を聴いていると思わず力が入ってしまい、肩が凝ってしまうことがあるのですが、この演奏では、そういうことがなくマッサージを受けた後のような心地よさを感じます。

どんなオペラでも、多少は突っ込みどころがあるのですが、ここでは見当たりません。

 演出も演奏を邪魔しないですし、歌手陣のアンサンブルも絶妙です。

たとえるなら、最高の生地を使って最高の仕立てで作られたごくシンプルなオーダーメイドのジャケットを身にまとったような感じ。

シャンパンのような華やかさやワインのような奥深さではなく、シンプルな自然水を飲んだ時のような、体にしみわたるような感じです。

昔、たしか開高健だったかが、飲んだ時に水のように体にしみわたるのが究極のお酒だという文章を書いていたという記憶があるのですが、まさにそんな感じです。

時々、自分で聲明を唱えたとき、あるいはお題目を唱えたときに、たまに、良い声が出てその振動が体に伝わって気持ち良いと感じることがありますが、ウィーン国立歌劇場管弦楽団の音(歌手陣も含めて)はもっと振動が細かく、気持ちよさも格別です。

 良い音楽とは感動するというよりも、心地よさ、体に直接沁みてくるものだということを今回初めて体験しました。

この気持ちよさ、体に直接伝わる振動?はCDでは再現できないものではないでしょうか。

改めて、生で聞くということの素晴らしさを実感しました。

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4 コメント

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Unknown (Unknown)
2008-10-24 22:15:41
一流のオペラを見た感想、読んでいてその感じがとてもよくわかるような気がします。スウェーデンの王立オペラはそこまでのレベルではないとは思いますが、それでもオペラを見に行って体がこの世にないような感じになって、うとうとしてしまうようなことがあります。もちろんおっしゃる通り、オペラによっては体に力が入って肩がこってしまうこともありますが。こういううっとりした感覚、頻繁に味わいたいものです。
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オペラへに連れてって! (akibingo)
2008-10-25 16:39:11
こんにちは、
seiunnjiさんのオペラ体験を読んでいて、こちらもワクワク・ドキドキしてきます。僕にとって、オペラの時ってハレの日です。なかなか一流のオペラハウスの引越し公演は行けませんが(タイミングと気分とそのときの経済の音楽係数で)、来日の情報やニュースだけでもワクワクしてきます。
数少ない僕のライブ体験に、<メット>(ニューヨーク・メトロポリタン・オペラ)の引越し公演(25年ほど前)があります。《ボエーム》でのパヴァロティの、ホールを突き抜けて宇宙のエーテルに透けていく声の衝撃は、言葉では表現できない感動とまさしく心地よさでした。一生忘れることの出来ない体験です。
だから、僕にとってのオペラは青春の時のドラマで、棚の上か押入れの奥にしまってあるものです。たまに棚から下ろしレコードなら一枚一枚裏返して針を落として、心地よく青春を体感します。
そんな自分をたまにはオペラに連れてってあげたいと思います。オペラを観に行く日はハレの日です。チケットを購入したその日から期待と心の準備が始まります。わずか3~4時間の公演を何ヶ月も前から楽しむことが出来ます。
seiunnjiさんの《トリスタン-》や《ブルックナー》体験も大変参考になり、読むのが楽しみです。
以上、つまらない事を長々書いてしまいました。ちょっと昔《本郷》でお世話になったFです。
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オペラのすばらしさ (seiunzi)
2008-10-25 23:11:02
やはり、良いものの触れるということはすバラいいことですね。
しかし、日本ではオペラの値段が恐ろしく高くて、相当数を絞っていかないと、経済的に破綻してしまいそうです。
しかし、たった数時間でも至福の時を過ごせる幸せは何物にも代えられないですね。
でも、空気が違うと音が違うという話を聞いたことがありますが、一度くらいは本場の劇場で聞いてみたいものです。

きっとスウェーデンで聞く音も日本とはまた違うのでしょうね。

Fさんは今でも「帰宅途中の指揮」を続けていらっしゃるのでしょうか。
たまには、ご自分をオペラにれて行ってあげてください。


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巷の美食家 (ひろ坊)
2008-12-11 22:42:02
お酒について開高健が「巷の美食家」の中で「あらゆる酒は、究極は水に近づく」「いい酒は、水のようにスルスルと喉を流れる」といってますね。
 お酒だけでなく、お茶も三味、特に三味の最後、無味の味を楽しみます。
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