ギリシャ問題に端を発するユーロ危機が叫ばれ始めたのが2011年、この本はその翌年に出版されています。
政治的独立を保ちながら経済的には一国として効率性を追求したユーロ圏の試みは、私見では失敗だったように思えます。
仮に北海道・東北・関東・中部・関西・中国・四国・九州が政治的に独立し、ただし日本円は共通通貨として使用したとします。
現状でもおこなわれているように、関東・中部・関西からその他の地域への有形無形の援助がなければこの経済圏は成り立ちません。
単純化しすぎかもしれませんが、関東⇒ドイツ、北海道⇒ギリシア等と置き換えればユーロ圏にもあてはまります。
同じ国なら財政援助・インフラ整備共通化によって、異国なら為替という適切なハンディキャップによって、経済が成り立ちます。
生産性に格差のある国または地域の間で、為替という調整弁もない、援助もない(というか適正レベルについていつももめている)という状況に政治的多元・経済的一元という「政経分離」ユーロの矛盾が露呈しているように思えます。
経済政策は政治なのか経済なのか、市場機能という自律的調整機能を否定した社会主義がいきづまったような、根本的欠陥をかかえているように思えます。
ユーロも崩壊してしまうのか、歴史的検証はまだこれからです。
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