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官製バブル?

2016-02-14 11:35:00 | 経済統計
今年に入って株価が急落しています。年末終値が19,033円、先週末終値が14,952円で一ヵ月半で21.5%下げました。
リーマンショックの時のような下げ方です。

中国景気減速等理由はいろいろありますが、日米欧の先進国がとってきた超金融緩和政策が主要因だと思います。下げまくったはずの株価は、よくよく見ると二年前(2014年2月)の株価水準と同じくらいです。この間たいした要因もなく金融緩和が続くことを理由に株価が上昇しました。

景気がいまいちだから金融緩和をしているのに株価が上昇するのは不思議な現象でせいぜい横ばいが適正だったともいえます。問題は緩和マネーが実物経済に向かわず、金融資産に向かったことです(まさしくバブル)。そして、いろんな経済ニュースをきっかけに相場が動きますが、しょせん金融資産の中で安全資産(現金債権等)と危険資産(株式等)の間をお金がいったりきたりしているにすぎません。

生産過剰・設備過剰が云々される現在、緩和マネーは消費に向かい、消費増⇒雇用増が理想の姿です。しかし、投資も消費もふえず、あまったお金が金融資産へ向かい、安全資産と危険資産の間を往来して、金融市場は経済指標を対象とした公営ギャンブルと化しています。金融政策の選択肢として金融緩和⇒インフレが必要なので、副作用の金融バブルは自己責任でという見方もできますが、本質的解決策ではないように思えます。

春節(中国正月)来る

2016-02-08 22:26:53 | 経済統計

今年も春節がやってきました。今年のカレンダーでは2月7日から13日のようです。 会社でも一大イベントで春節前後で売上・物流が大変動します。 今や日本の最大の貿易相手国であり、体感的にもその影響力は米国以上のものを感じます。

ジェトロ https://www.jetro.go.jp/world/japan/stats/trade/の統計で確認すると、2015年の輸出入合計が対中国2699億ドル、対米国1924億ドルで、なんと米国の1.5倍!にもなっています。ちなみに対EUは1373億ドルです。

日経中国語版でも中国人旅行客「暴買い」の記事が掲載されています。今年のポイントは、中国景気減速の影響をうけるか・買うだけでなく体験(温泉やスキー)にも対象が拡大していることのようです。

好き嫌いにかかわらず中国ウォッチャーにならざるを得ない時代がやってきました。


余剰の時代

2016-02-01 23:46:45 | 経済統計


人あまりの時代になりました。中高年世代となった私も他人事ではありません。この手の本も目にすることが本当に多くなりました。
著者の副島隆彦氏はやや過激にこの現実を分析検討しています。

むかしマクロ経済学の教科書で、一国や企業の生産力は ソフト×ハード×労働力 で表現する記述があったように思います。
現在は技術ノウハウが発展しすぎてソフト・ハードのレベル・投入量が大きくなり、需要を満たすために必要とされる労働力はどんどん小さくなっていきます。単純作業はソフト・ハードで置き換えられ、ソフトやハードを管理するような高度な技術だけが要求されています。

極論すれば100人いたら高度なスキルを持つ10人が働けば十分な時代です。その一方で労働は生活の糧を得る手段としてだけではなく、社会参加の手段としても非常に重要です。現代の問題はモノ不足ではなく仕事不足で、仕事が社会全体にいきわたらないことがあげられます。ソフトやハードはいったん作ってしまえば維持費くらいなもので、相対的に高価な労働への需要が不足してしまうことは市場経済では解決できない問題かもしれません。

カール・マルクスは資本主義が高度に発展した後に社会主義が到来することを予言しましたが、20世紀前半のロシア革命は発展段階的にマルクスのいう社会主義ではありえないとする考え方があります。市場経済では解決できなさそうな問題に直面した現在の先進国の対応こそ社会主義への移行段階かもしれません。
モノ余り・仕事不足という現象は、見方をかえれば余り働かなくても生活ができる夢の時代の到来であり、深刻な雇用問題は経済という下部構造の変化に政治や社会がうまく対応できてないだけなのかもれません。(マルクス的表現は今の時代においてはいささか古臭くも聞こえますが)

この本は厳しい現実ばかり書いてあるので、問題解決的な明るい視点も盛り込んでほしかったと思います。