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実質為替レート

2018-09-20 12:45:33 | 経済統計

 

実質為替レートについての出題は、問題【2】の(e)です。

決して難しかったり、複雑だったりするわけではありませんが、直感的理解は難しいと思います。

 実質為替レート = 1ドルを円換算したもの ✖ 米国物価指数 ÷ 日本の物価指数

物価が上昇した通貨の価値は下落するので、その分を考慮して補正したものです。

国内総生産も 名目成長率から物価上昇率を引くと実質成長率が得られます。

似たような考え方ですが、純粋な一指標というより二通貨の比である為替に当てはめるとわかりづらくなります。

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詳しくはこちらをご参照ください。

 https://blog.goo.ne.jp/scm123/e/745ef0930cfd8347f772a1f10c02a565

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固定資本 Q&A

2018-09-19 15:17:36 | 経済統計

国民経済計算において、固定資本、具体的には支出面に出てくる「固定資本形成」、分配面に出てくる「固定資本減耗」はなかなかやっかいですっきり理解することが難しいトピックです。

ここを説明してほしいという依頼がありましたので、そのQ&Aをここに記しておきます。

個人・企業・政府の損益計算書を合体すると国内総生産になるか、というテーマでの質問です。

Q1)企業(生産活動の主体)の売上から中間投入物を引いたものがGDPという理解でいいでしょうか。

A1) そのとおりです。

Q2)設備を売った方としては単に売上ですが、買った方にとっては、「固定資本形成」というBS項目になっています。で、本来これはBS項目なので、このGDPのPLには入らないはずだと思います。

一方で、固定資本減耗(減価償却)というのは、PLであるわけですが、これはどう考えればよいのでしょうか。そもそも「固定資本形成」が表に出ていないのであれば、これが突然降ってわいたような印象を受けます。

そのへんの整理ができず悩んでいます。
NDPにおいて、これは本来省かてこそ適切なものであり、GDPにおける余計なものとしてとらえておけば良いのでしょうか。

A2) ここが一番わかりにくいところです。固定資産は売った方はすぐに売り上げがたち、支出面では「固定資本形成」として認識されます。本当はここでおしまい。会計は発生主義、国民所得計算は現金主義(もしくは生産主義)のちがいで、単年度で考えれば画が出るけれど、複数年で考えれば同じと割り切った方が楽です。

問題は分配面に「固定資本減耗」が出てくることです。所有者の費用負担となりますが、生産と消費の時間差のためにおこるもので、発生主義の会計では費用認識しますが、現金主義の国民所得計算では現金支出を伴わないので所有者への「分配」とみなしています。

会計用語でいえば、キャッシュフロー増減=利益ー資本的支出+減価償却費となります。これを国民経済計算では、資本的支出を固定資本形成として支出面(キャッシュフローのマイナス)に、減価償却費を固定資本減耗として分配面(キャッシュフローのプラス)として計上します。

→固定資本の問題は理解しづらく、私もすっきりしないところです。「生産」を測定しようとしているのに、売上・費用を測定する会計で使用する減価償却費的な考え方をとりいれたために混乱しがちです。
いい機会なので、国民経済計算を公開している内閣府のサイトから問合せしてみましたが、いまだに返事がきません。統計の問題ではなく、理論の問題なので自分で考えろということかもしれません(笑)。

Q3) そういえば貯蓄Sというのも、銀行にあずけるだけなので、BS項目ですね。
 たまたま、企業が借り入れて、その分と同じくらいをIに充てていると考えればよいのでしょうか。IとSがバランスがとれているという場合。

A3) はい。一般的に 家計が収入>支出、企業・政府が収入<支出と考えれば、家計で余った現金を起業・政府が借入れ、支出するので、債権=債務となります。
また、投資=固定資本の増加=将来において利用(消費)できる資本=貯蓄となります。
→ここも固定資本が絡むと話がややこしくなります。

Q4) しかしここで、一番右端の枠で、賃金収入のうち、一部を消費に、残りを貯蓄Sとしていますが、本来はSは考えるべきではないのでしょうか。ケインズの消費関数において均衡の点では、貯蓄がマイナスから始まってゼロになることろで均衡となっていますし。

A4) 収入>支出であれば貯蓄をし、収入<支出であれば借入をするので、当然貯蓄=借入となります。国民経済計算では、それぞれの主体の収入・支出のギャップを埋めるものが債権債務となりますので、ここにあまり大きな意味はないと思います。

Q5) このへんのことについて適切なレベルでわかるようなおすすめの書籍などあれば教えていただければありがたいです。

A5) 企業会計と国民所得計算をリンクさせて考える論点での書籍はあまりないような気がします。ただ、この二つがどうつながっているかは当然気になる論点です。

個人的には 内閣府のホームページに掲載されている数字と、作成方法・定義・見方等の資料がいちばんいい情報ではないかと思います。
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/menu.html

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国民経済計算

2018-09-14 13:00:41 | 経済統計

 

 国民経済計算とは、国内総生産GDPをはじめとする、一国の経済指標を計算することです。

2016年度の数字(推計)がどうだったか、おおまかに見てみましょう。

 

(1)支出面

民間支出 300兆円 → 全体の55.6%

政府支出 106 → 19.6%

総固定資本形成 128 → 23.7%、固定資産減耗に対応します

輸出入 5 → 輸出88-輸入83、ネットしてしまうとほんの少しです。

合計 539兆円

*在庫変動という項目もありますが、金額はごくわずか<±1兆円です。

 

(2)分配面

雇用者報酬 270 → 人件費あるいは給与のことです。50%

営業余剰・混合所得 105 → 会社利益のことです。20%

固定資産減耗 120 → 生産・購入されたときに「形成」、使用期間にわたって「減耗」します。22% 

その他 44 → 大部分は消費税です。8%

合計 539兆円

 

よく見るときになるのは、固定資本形成が支出面で計上され、(おそらく)その耐用期間にわたって固定資産減耗として分配面の一項目として計上されています。固定資産減耗ということはだれの所得にもなっていないのか?

生産設備(中間投入財)の生産と消費の期間のズレを解消するのなら理解できますが、そもそも固定資産の定義はなんなのか。

As I don't know well on this issue, it needs further study.

I'd like to create article based on my findings down the road.  

(英語もできますというアピールのため、わざわざ英語で書いてみました) 

 

年次推計は2016年度までデータが公開されています。それぞれの項目の内訳等もかなり細かく表示されています。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/files_kakuhou.html

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指数分布

2018-09-10 15:45:26 | 経済統計

指数分布の問題です。

累積分布関数→確率密度関数、平均・分散、無記憶性(時系列的独立)の三つです。

指数分布が載っている本にもよく書いてありますが、数式に興味ある方は下の添付画像をご覧ください。

 

指数分布とは何か?

確率分布の代表選手といえば二項分布と正規分布ですが、研究分野によってはこの指数分布のほうがより重要になります。

確率分布は「偶然」を考察する一方法です。

 

たとえば、街をあるいていて知人にばったりでくわす可能性を考えましょう。

どこを歩くか、その人の顔の広さ等にもよりますが、そんなにしょっちゅう起こることでもありませんし、ほぼ偶然に起こることと考えられます。

 

確率密度関数の累積分布関数は、P(T<x) = 1 - exp(-μx)と書けます。

10時間歩くと1人の知人に会うとすれば、1時間で0.1人の知人に会うことになります。この場合 μ=0.1となります。

 そして、x時間たった時に、知人に会った確率は 1 - exp (-0.1x) となります。

exp (-0.1x) は減少関数ですから、時間xが大きくなるほど、すなわち時間がたつほど知人に会った確率は1に近づきます。

 また、確率密度関数は 0.1 exp(-μx) となり、知人に会うまでの平均は10時間、分散は100時間(=標準偏差10時間)になります。

面白いのは、平均=標準偏差となることです。

 

指数分布は知人に合うまでの時間に関する関数ですが、時間を一定にして何人と会うかの関数がポアソン分布で、この場合 平均=分散 となります。

えっ、それって何のこと? と興味がわいた人は、指数分布・ポアソン分布についてかかれた本をお読みください。

デュレット 確率過程の基礎 にも詳しく書かれていて、非常に面白い本ですが、ある程度基礎知識が必要です。

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効用関数

2018-09-06 17:14:18 | 経済統計

この問題(問題[1]のほうです)は効用関数について基本的考察をしています。

財Xの効用関数は、 U = x : 正比例 → 効用逓減しません

財Yの効用関数は、U = ln x:対数関数 → 効用逓減します

普通の消費財なら効用逓減します。食べ物の場合、空腹時はどんどん食べますが、満腹になればもう食べたいと思わなくなります。映画が趣味という人も、たくさん観たら他のことがしたくなると思います。

財Xのような効用一定のケースはあまりなさそうですが、貨幣については効用一定を想定することはできます。十万円の効用は、一万円の効用の十倍だと考えます。一億、十億の大金となるとわかりませんが、普通の金額ならそこそこ妥当性はありそうです。

このように、貨幣の効用一定を想定して、効用逓減する一般的な財と比較する議論はときおり目にします。興味深い、というか特徴的なのは、財Xとペアにした対数関数型の効用関数の場合、需要の価格弾力性がー1になります。

消費者は、価格変化と同じ割合で消費量を変化させますから、その材に支出する金額は変化しません。

ちなみに逓減する効用関数として、平方根を考えることができます。この場合、需要の価格弾力性はー2になります。

対数関数のほうが効用関数よりも効用逓減の度合いが強いので納得できる結果ではありますが、正比例と対数関数あるいは平方根をペアにすると需要の価格弾力性が整数で出てくるところが興味深い点です。

消費者行動をモデル化する場合にいろいろと使えそうなアプローチです。

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