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セイピースプロジェクトのブログ

米セスナ機墜落 〔沖縄〕

2008年10月28日 | ニュース紹介
<事件概要>
10/24(金)夕方、沖縄県名護市に米セスナ機が不時着、炎上しました。
墜落場所は民家まではわずか50mのサトウキビ畑。幸い死者は出ていませんが、電線に期待が接触し700世帯が停電し、国道58号線がしばらく封鎖されました。
セスナ機は、嘉手納基地内の航空愛好会「嘉手納エアロクラブ」所属のもの。
乗っていた米兵は「公務外」でした。
25日、県警は米空軍と合同で機体などの現場検証が行われましたが、機体は米軍が回収。
また、現場では厳重な警戒態勢が取られ、県・市の基地問題担当者、地元代表者などは一切立ち入りを許可されませんでした。

<事故原因>
「燃料切れ」が有力です。ただし初め米軍は奄美空港で給油した、としていましたが、同空港の給油所では「給油していない」と否定、
後日になって「給油しなかった」と回答。当初の説明との食い違いが出ています。

<デジャビュー?>
日米地位協定では、米軍財産の差し押さえなどには米軍側の同意が必要とされています。
今回の事故では、墜落機が米軍所有のものだったため、県警が証拠品として差し押さえを要求したものの、拒否されました。
これを聞いて思い出されるのは、2004年の沖縄国際大学でのヘリ墜落事故。
当時は、県警さえも排除され、機体のみならず現場の土草までも米軍が回収しました。
今回の事故は、「公務中」であった前回の事故とは違い、「公務外」と見られています。前回の事故を受けて日米間で合意されたガイドライン(指針)が
県内で初めて適用されましたが、軍事機密などとは関係がないにもかかわらず、機体は同様に回収され、現場検証も県警しか立ち入れませんでした。

<「公務外」>
今回、県警は航空危険行為処罰法違反容疑での立件を視野に入れています。
日米地位協定では、米兵による「公務外」の事件・自己に関しては、日本国に第一次裁判権があります。
一方で、日本側の起訴前までは法を犯した米兵は米軍が拘束するとなっており、
今回の事件においては、米軍は乗組員4人の事情聴取に未だ応じておらず、名前すらも明かしていません。
また、この第一次裁判権に関して、日米両政府が1953年「日本にとって著しく重要と考えられる事件以外は1次裁判権を行使するつもりがない」
との密約を交わしていたことを裏付ける文書が、先日明らかになっています。

<米・日本政府の対応>
外務省沖縄事務所の今井正沖縄担当大使によると、日本政府の要請に対し駐日米軍剤士官と在日米軍司令部は、
捜査協力のほか、原因究明と再発防止、飛行の安全運用に同意した、とのことです。
一方、島袋市長は(1)事故原因究明と再発防止対策の地元への公表(2)被害者への謝罪と完全な補償(3)原因究明まで飛行中止(4)日米地位協定の見直し
―の四項目を要請しましたが、今井大使は「地位協定は運用改善で対応したい」と従来見解を述べるにとどまっています。
また、フレッチャー大佐は事故発生から2日後の26日に初めて名護市を訪れ謝罪したものの、
直接被害を受けた地主や沖縄電力などへの謝罪はなく、地元住民らからは批判の声も上がっています。

<住民の不安な日々>
事故後、原因や飛行経路についての十分が説明もなく、住民の間に不安が広まっています。
沖縄戦当時のことが思い出されて眠れない、という高齢者の方も。
また、県平和委員会の嘉手納基地での調査によると、03-08年(除05年)の飛行回数で軽飛行機は全機種のうち12%を占めるそうです。
特に訓練が休みの金曜日に突出して多く、事故が起きたのも金曜日でした。
嘉手納では、墜落の危険だけでなく、未明・日中ともに日常的な騒音も問題です。
21日には一日に14件と異例な多さの苦情が寄せられ、騒々しい工場内に相当するほどの音が観測されました。
【◆ニュース紹介】嘉手納・普天間航空騒音軽減 外務省に要請/県、発生回数が増加


<おわりに>
これは、まさに今沖縄で起きている「日常」です。
想像してみてください、家の近くの畑にいきなり飛行機が墜落してきたとしたら…。
しかも、事件の捜査は十分にできず、住民への説明も不十分など、日米地位協定の「壁」がみえた事故だったのではないでしょうか?
また、沖縄では連日新聞・テレビで大きく取り上げられていますが、本土では事故当時にちらっと新聞に出た程度で、
沖縄の問題は本土の人々から見えにくくされているのが実態です。
また、そうして多くの人が「知らない」ことが、更に沖縄の困難を深めていくのではないでしょうか?
長くなってしまいましたが、この記事が、沖縄のことそして沖縄と本土との関係を改めて考えるきっかけになれば、と思います。


(参考)・沖縄タイムズ
     ・琉球新報
     ・琉球朝日放送


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