徐仙日乗

日記、随筆

徐仙日乗 読書 お嬢さん放浪記 犬養道子

2020-01-30 20:46:00 | 日記
徐仙日乗 読書 お嬢さん放浪記 犬養道子 角川文庫
読了 読書メーターと重複

1957発表。最初の本にしてベストセラーを記録したらしい。1948の渡米、結核療養を克服して念願の(彼女の志向と思いは自叙伝などで窺える)ヨーロッパ留学を果たす。この辺りの各国での生活、活動のレポートといってもいい。全編に溢れる明るさ、明晰さ、学びの姿勢に曇りはなく読後感も爽やか。自叙伝の予備知識と併せると、その印象は更に深みを増す。カソリックの信仰と実際の活動はよく分からないのだが「人の為に働く」長い伝統に裏打ちされているネットワークは強固な様だ。外国人の中で個人で対等以上に渡り合う数々のエピソードには驚いたり羨望したり。自叙伝の中で上海で英国婦人から本式の英会話レッスンを受けたってエピソードを思い出した。あとは矢張り個人の教養と資質とか。薪と汽車の時代の日本人にこんな人がいたのだ。2017逝去。合掌。

徐仙日乗 読書 花々と星々と 犬養道子

2020-01-21 18:51:00 | 日記

徐仙日乗 読書 花々と星々と 犬養道子   中公文庫 M 7
読了 読書メーターと重複

まぁ読んでみて下さい、日本の近代史と雰囲気、例えば大正デモクラシーと呼ばれた明るさとか、戦後に起きた軍国主義への嫌悪感とかを知らないとちょっと苦しいかも知れないけど。面白かったとしか言いようが無い。発表は70年代で小生は学生だったけど、全く知らなかった、まぁ他に読むべき本が沢山あった所為だが。また、当時読んだとしても今日の様な感想を抱いたかどうかは疑問であって、それだけに「出版当時の書評」を知りたいと云う思いが募る。増補された5・15の記録は迫力満点なのは当然として、敢えて道子だからこそ書けた点を挙げれば「道子の母親が舅の身替りにならなかった」として批判を浴びたって逸話を挙げておこう。今となっては分かりにくい話かも知れないが、これも当時の雰囲気だったのだろう。祖母、つまり犬養首相の奥方や古参のお付きの女中の露骨な嫌がらせもあったらしい。余りにも屈折して暗い情念とでも言おうか。それを受けて母親は事件の事(軍法裁判には証人として出廷している)を一生涯語らなかったと道子は記す。余りにも過酷な体験ではないか。

徐仙日乗 読書 亜剌比亜人エルアフイ 犬養健

2020-01-07 21:05:00 | 日記
徐仙日乗 読書 亜剌比亜人エルアフイ 犬養健 豊平文庫
読了 読書メーターと重複

娘の道子によると上品でリベラルで知性溢れる父親として描かれている。戦時中はチャイナとの秘密和平工作に奔走している。戦後は法務大臣も務めた。それでいて若い頃は小説家としても活動。アムステルダム五輪・マラソン金メダリストの青年がチュニジアを訪れたアンドレ・ジイドの思い出を語る、アンドレ・ジイドの人と思想紹介って趣か。カソリックとの関連にも言及している。

徐仙日乗 読書  ある歴史の娘 犬養道子

2020-01-07 20:49:00 | 日記
徐仙日乗 読書 ある歴史の娘 犬養道子 中公文庫 
読了 読書メーターと重複

著者の犬養道子は名前だけは知っていた。母親が読んでいたのかも知れない。
森達也のクォン・デ―もう一人のラストエンペラー (角川文庫)絡みで本書を知り、購入した次第。一応自伝てな分類になるのだろうが、著者の円熟と読者の欲求の結果、誠に不思議な本になっている。各章が歴史のトピックを背景にして若き著者が思い悩むのだが、これがすこぶる小説的で、重厚な印象を与える。文章とか構成、表現が如何にも70年代を思わせる生真面目さが有る。ある意味では懐かしいとも言える。その上著者が古典を引用するものだから、此方としては恐れ入るしかない。クォン・デーに止まらず、頭山満、横山大観、尾崎秀実などなどが幼馴染の如く登場する本書が面白くない訳がない。些か胃にもたれるけど。昭和史に興味がある方は是非。決して上流階級のお嬢様の思い出の書では有りません。 これもコメントをまとめるのに時間がかかった。理由は書きたい事、紹介したい事が多すぎた為。当然だが並の人には書けない材料を持っている。こう云う物は書き残して貰わないと、と言ったところ。少し年下の母親の人物評価とかを聞いておけば良かった。著者描く母親とか祖母の言葉遣いとかも印象に残る。

徐仙日乗 読書 膝を打つ 丸谷才一エッセイ傑作選2 (文春文庫)

2020-01-05 12:29:00 | 日記
徐仙日乗 読書 膝を打つ 丸谷才一エッセイ傑作選2 (文春文庫)
読了 読書メーターと重複

読了から大分経っている。後期というか対談が多い。並べて見ると良くも悪くも著者が大物になっているのが分かる。英語、翻訳関係から和歌、日本古典が専門?になった感が有り、教養の積み重ねが凄い。話題の振りに出典を示していて、本の紹介てな側面の時代もあった。対談を並べて見ると各人との綱引きが透けて見えるのも興味深い。まぁ「丸谷さんに売り出して貰っている感」とか。ジョイスも新古今和歌集も勉強してないので、その分は損した感もあったなぁと。続き この二巻には収められていないが、丸谷さんの随筆で口アングリだった一編を思い出した。文化勲章を貰った時に受賞者の最年長者が挨拶を述べる事になっていて、その顛末を述べていた奴。その大役を務めるにあたって丸谷さんは「例文を教えてもらい」(小生思うにこれで済ます人も多いのではないか)「その上で自分で書いて」「両方を並べて読者に提供」って荒技の一編。文章力への自負心は当然としても、、、嫌味も混じるが、まぁ凄い展開に感心した。さて本の題名は何だったか。