徐仙日乗 読書 花々と星々と 犬養道子 中公文庫 M 7
読了 読書メーターと重複
まぁ読んでみて下さい、日本の近代史と雰囲気、例えば大正デモクラシーと呼ばれた明るさとか、戦後に起きた軍国主義への嫌悪感とかを知らないとちょっと苦しいかも知れないけど。面白かったとしか言いようが無い。発表は70年代で小生は学生だったけど、全く知らなかった、まぁ他に読むべき本が沢山あった所為だが。また、当時読んだとしても今日の様な感想を抱いたかどうかは疑問であって、それだけに「出版当時の書評」を知りたいと云う思いが募る。増補された5・15の記録は迫力満点なのは当然として、敢えて道子だからこそ書けた点を挙げれば「道子の母親が舅の身替りにならなかった」として批判を浴びたって逸話を挙げておこう。今となっては分かりにくい話かも知れないが、これも当時の雰囲気だったのだろう。祖母、つまり犬養首相の奥方や古参のお付きの女中の露骨な嫌がらせもあったらしい。余りにも屈折して暗い情念とでも言おうか。それを受けて母親は事件の事(軍法裁判には証人として出廷している)を一生涯語らなかったと道子は記す。余りにも過酷な体験ではないか。