徐仙日乗 読書 A3 下 森達也 集英社文庫
読了 読書メーターと重複
サリン事件より四半世紀が過ぎ、過日「予定通り」死刑が執行された。本書はサリン事件当時から映像で教団を追い続けて来た著者による紙によるレポート。インタビューを主として関係者の素顔と本心を伝えようとする姿勢は好感が持てる。たくさんのオウム本の中で異彩を放つのは「裁判の初期で麻原は精神的に壊れていた」とする部分で、裁判を止めない為に精神鑑定に関して裁判所!がかなり無理筋の行き方を選択した、と告発している。麻原の壊れ方についてはある法務大臣のコメントも紹介されている。
全て「一刻早く死刑に」ってモーメントで動いていたことが分かる。「お上」でもこういう事をしちゃうってのは覚えておいていい。そしてこの事件をキッカケにして世間が大いに変わって行った、と著者は説く。これは1995年辺りからのマスコミの狂騒に端を発し、監視カメラ、通報の増加、更に「不寛容さ」が指摘される現代まで続いている流れだというのは小生も同意。ふと気がつくと「表現の自由」って根本原則が妙に旗色が悪い昨今の風潮も気になる、と思ったら「信教の自由」なんてとんと聞かなくなった。憲法に書いてあるのだけど。当然だけど憲法を変えろと主張する物では無い。書いてある限りは守って欲しいだけだ。司法のことは素人だが、大津事件のことを思い出した。