徐仙日乗

日記、随筆

徐仙日乗 読書 SF英雄群像 野田昌宏

2019-12-22 19:48:00 | 日記
徐仙日乗 読書 SF英雄群像  野田昌宏 ハヤカワ文庫 
読了
読書メーターと重複

昭和31年生まれの子供としては未来社会はエアカーとロケットとロボットが活躍するユートピアであった。公害もまだ多くの人の知るところでは無かった。本書は日本SFの勃興期(昭和37年とある)に連載され昭和50年代後期に大幅に改訂されて出版された、とある。子供とはいえ、本を読み出した頃の話なので記憶を探り、類推しながらの読書は楽しかった。歴史でいえば一回目の世界大戦後から次の大戦の頃、アメリカで「新しい時代の新しい娯楽、読み物」って感じで隆盛した分野のようである。小生たちの親世代の重なる感じ。本書が出た昭和50年頃には「スペースオペラ」はすでに古く、他愛のない物って感じで、懐古趣味って年でも無く、日陰の感じがした。本書で登場する「レンズマン」「スカイラーク」「キャプテンフィーチャー」は既読。翻訳されたのが大分遅い所為でアシモフ、クラーク、ブラットベリー、とかと並んで創元、早川エリアを埋めていた物でであった。スペースオペラがこんなに量産されていたってのは新知識で、時期が違えば日本では漫画がその役割を担っていたのではって連想が働く。手塚漫画で「キャプテンケン」と言う作品があった。これが火星で西部劇風味でロボット馬が活躍し、インディアンもどきの原住民との恋と革命(殖民地支配の地球人に対する)、ガンファイトと正にスペースオペラの世界だった。これは収穫。あと「キャプテンウルトラ」って特撮ドラマがあって、まぁキャプテンフィーチャーのパクリって事で軽蔑して見ていた。当たり前だけど、SF黎明期の作家達も多くの影響を受けて成長していたわけで当然と言えば当然。

徐仙日乗 読書 ご笑納下さい: 私だけが知っている金言・笑言・名言録 高田文夫

2019-12-15 09:25:00 | 日記
徐仙日乗 読書 ご笑納下さい: 私だけが知っている金言・笑言・名言録  高田文夫
読了 読書メーターと重複


ビートたけしを支えたブレーンの一人?放送作家、ディレクター、「芸能人、演芸関係に詳しい人」って理解していた。永六輔の話、リスペクトが時折出てくるが、存在、立ち位置が似ているのかも知れない。残念ながらラジオのリスナーであった事が無いので、その方面の知識が無いのは残念。ビートたけしの凄みがラジオだからこそ発揮されたって話はよく聞くが、その点に関しては損をしたなぁって感じはある。この人の本は初読。著者の生きてきた芸能界のゴシップ集。三割くらい知らない人が出てくるのは此方が年を取ったせい。永六輔の「その世界」シリーズには大変お世話になったって思いがあって、それで新しい世界が開けたとさえ思っている。スタイルとしては永六輔の書かなかったその後として記録の意味は有る。中身は玉石混交、支離滅裂って感もあるが、ラジオの呼吸なのかも知れない。文の人ではないって気がする。結構適当に、良く言えば気楽に書き散らしている。嬉しかったのは越路吹雪の豪快、下品なネタがあって小生は永六輔本で知っていたが、此の本では平凡な羅列にとどまっているのを発見したこと。ちょっとした優越感。芸に対するリスペクトは伺える。
少し感じが違うが、戸板康二の「ちょっといい話」永六輔「その世界」小林信彦「百科」などなど、あと小沢昭一、芸人と芸を学んだ人々、著作に感謝!

徐仙日乗 読書  望月三起也 生誕80周年&『ワイルド7』50周年記念 文藝別冊

2019-12-08 17:46:00 | 日記
徐仙日乗 読書 望月三起也 生誕80周年&『ワイルド7』50周年記念  文藝別冊
読書メーターと重複


名作「ワイルドセブン」の作者として名高い望月三起也。ファンだったわけではない。後発の少年キングを支えたって感覚があり、作品は拾い読み程度だったにも関わらず、購入してしまったのは「少年誌掲載作品群中で明らかに異質な画風、構成が異彩を放っていた」印象が残っていたから。中心は武器、アクション、お色気で小生にとっては不得手な物ばかり。残酷なシーンも結構有りドキッとした記憶もある。あと古手のサッカーファンてな一面も。映画で「007・ゼロゼロセブン・ショーン・コネリー主演」の大ヒットの波に乗ったって感じもある。少年誌の発展で変化したと思われる青年コミック誌(直接ではないがビッグコミックの創刊は画期的だった)にこそ相応しい作家だったし、今読んでも充分面白いと思う。個人的には「ジャパッシュ」が記憶に残る。

徐仙日乗 読書 腹を抱へる 丸谷才一エッセイ傑作選1 丸谷 才一

2019-12-02 06:32:00 | 日記

徐仙日乗 読書 腹を抱へる 丸谷才一エッセイ傑作選1 丸谷才一 文春文庫
読了 読書メーターと重複

殆どが既読。丸谷才一のエッセイには思い入れがあって、大袈裟に言えば80年代から90年代くらいに「育てられた感覚」が有る。読書は割と奥手で高校の終わり頃から「大人の物」を読み出した記憶がある。最初は「男のポケット」で難しい話題もあったが、知性とか教養に触れている気がして、大人になった気がしたものだ。あと「女性対男性」の洒落た気分も忘れ難い。主婦の友社・週刊女性連載ってのも隔世の感。「食通知ったかぶり」は名店の食べ歩きだが、コミック「美味しんぼ」以降とは大いに異なる。偉そうって批判も聞こえてきそうだが、文章表現に贅を凝らしている。著者曰く「食の文章」は難しい。良い文章に触れたくて、著者の掲げる吉田健一、檀一雄、邱永漢を読んだことも。酒飲みで多彩な交際と付随してバーの女性とかも多く出てくるが、当時の文士気分ということか。

徐仙日乗 読書 月別まとめ

2019-12-01 10:02:00 | 日記

11月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:1894
ナイス数:641

コンビニ人間 (文春文庫)コンビニ人間 (文春文庫)感想
少し前の芥川賞受賞作品。話題になったのは知っていた。コンビニはお世話になっているし、薄くて読み易そうなので購入。最近では破格の面白さ!小説って奴を堪能できた。難しい言葉や言い回しは殆どないが、主人公のリアクション、感覚にハッとさせられて、読み返してみることが多かった。ネタバレは避けたいので内容に関してはこれまでとする。沢山の登録とコメントが有る様だが、「読んで何を思い、何を得たか」は恐らく百花繚乱の賑わいだと思う。小生も色々思考を巡らす楽しみを味わった。続く
読了日:11月26日 著者:村田 沙耶香
詐欺の帝王 (文春新書)詐欺の帝王 (文春新書)感想
所謂「オレオレ詐欺」とよばれて世に知られる事になった、特殊詐欺の世界を知りたくてたく購入。ヤクザが暴力団になって以降、興味は失せた分野。オレオレ詐欺と言うと巧妙、悪辣な犯罪って気がして無かったせいで過小評価?(変かなぁ、笑)していたのだが、反社会勢力(今はこう言うらしいが、これも危険な分類を含むなぁ)の重大なシノギがこれと覚醒剤なのだそうだ。人材の供給源として大学のイベントサークル活動があったと知りちょっとビックリ。あと闇高利貸しシステムから特殊詐欺のシノギが構築されたらしい。続く
読了日:11月23日 著者:溝口 敦
東京會舘とわたし 下 新館 (文春文庫)東京會舘とわたし 下 新館 (文春文庫)感想
いわゆる名店、老舗の総本山とも言える東京會舘。作者のこともよく知らず、ただ歴史的な宴会場の名声に興味を惹かれて購入。歴史のエポックに相応しい登場人物が時代相を織り込みながら「麗しの會舘」讃歌を奏でる。当然だけど連作の割に単調になりがち。越路吹雪のディナーショーの話だけは別で、当時のディナーショー流行を思い出したりした。コーチャンのディナーショーを掛けていたって事で東京會舘の格が窺える。一流の歌手たちが各ホテルで商売していたが、越路吹雪は最高級の更に五割増って位置付けであった。続く
読了日:11月19日 著者:辻村 深月
ちばてつや--漫画家生活55周年記念号(文藝別冊)ちばてつや--漫画家生活55周年記念号(文藝別冊)感想
漫画雑誌が月刊から週刊に移った頃、50円玉を握りしめて、国鉄!駅の売店(キオスクなんて言葉なかった)に少年マガジンを買いに行っていた時期があった。貨物輸送だったのだろう、本屋より早く買えたため。記憶に有るのは「ハリスの旋風」!これは初回から最終回までリアルタイムで読んだ筈。「紫電改の鷹」も殆ど読んでいる。そして「巨人の星」に少し遅れて「あしたのジョー」の連載開始。マンガ雑誌が出現して常にちばてつやは執筆していたって印象。ちばてつや曰く「力の八割はコマ割りに使う」。続く
読了日:11月14日 著者:
辻政信は生きている (1967年)辻政信は生きている (1967年)感想
神田の古書イベントで発見。戦後の元高級参謀がどう言う存在だったかは想像するしか無いのだが、終戦後数年間の逃亡?を経て、その間の手記がベストセラーになり、国会議員も務めた。陸士を主席卒業ってことは少なくとも屈指のエリートだったことは事を間違いない。そう言う有名人が冷戦に揺れるラオスで行方不明になった。安否、真相もさることながら当時の三面記事的騒ぎが興味深い。多分本書もその方面の物かと思われる。「中共」って呼称が普通だった時代で東南アジアが東西の綱引きで統治もグチャグチャだったことだけは分かった。続く
読了日:11月11日 著者:野田 衛
東京會舘とわたし(上)旧館東京會舘とわたし(上)旧館感想
連作小説だった。例によってコメントは下巻終了後。サクサクと読みやすかった、、、でも。
読了日:11月11日 著者:辻村深月
クォン・デ―もう一人のラストエンペラー (角川文庫)クォン・デ―もう一人のラストエンペラー (角川文庫)感想
森達也に興味があるなら読んだ方がいい。というか発端から最終までに「作家」としての森達也が濃密に感じられる。無理に分類すれば「埋もれた歴史、人物」物になるのだろうが、予想もつかない展開は「森達也自身」のドキュメンタリーにもなっている。資料の少なさを埋めていると思われる、些か感傷的なシーンは通俗的ではあるが彩りとしておこうか。ちょっと再現ドラマ風だけど。日本の近代史の傍流、大アジア主義とか中村屋が絡んでくる。成果を出せなかった革命とか独立運動とかテロリズムが浮かび上がる。続く
読了日:11月03日 著者:森 達也

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