徐仙日乗

日記、随筆

徐仙日乗 読書 〆切本

2019-07-21 09:40:16 | 日記
徐仙日乗 読書 〆切本 左右社
読了 読書メーターと重複

結構分厚くて読み応えがあった。本好きならば、本が出来てくる過程に締切ってモノがあるらしいとか、編集者と作家のせめぎ合いとか、「書けない苦痛」といった話題に興味があるはずで、また作家の性格にも触れることが出来るはずで、期待感も高まるし、面白い小ネタも仕入れられたし、と楽しい一冊であった。通読して思ったのは、我々の「締切にまつわるイメージ」ってはもはや過去の物なのだなぁって感慨か。特に「売文、出版で飯を食ってる人達」にとっては神話時代のような話なのではないか。せめぎ合いがあったとしても、万事がゆったりとしていたのは間違いない。手紙での交渉なんてある意味優雅でさえある。長谷川町子の漫画では当時の漫画製作の実際が出てきたりする。大笑いした。手仕事の時代だったのだ。

徐仙日乗 読書 最後の秘境 東京藝大: 天才たちのカオスな日常 二宮敦人

2019-07-20 21:58:08 | 日記
徐仙日乗 読書 最後の秘境 東京藝大: 天才たちのカオスな日常 二宮敦人
新潮文庫
読了 読書メーターと重複

いやぁ、面白かった。題名は少々盛りすぎで、インタビューで登場するのは皆いい子達って感じ。但し皆さん「修行中」なので、エクセントリックな行為、思考は当然なのである。常人ではないのだから。世紀が変わって以降、管理とか効率とかが幅を効かせ、憂鬱な世の中になってきた、と思っていたので、浮世離れした若い衆の姿は一服の清涼剤とさえ思える。美術系に漂うガテン臭は微笑ましくも感動的に逞しい。工芸部門の贅沢な教育環境も素敵。日本の伝統工芸技美術系に漂うガテン臭は微笑ましくも感動的に逞しい。工芸部門の贅沢な教育環境も素敵。日本の伝統工芸技術がしっかり継承されているらしい。音楽部門では古楽器と呼ばれる分野の「役に立たなさ加減」が素敵。声楽科が「チャライ」ってのもよく分かる。あと藝大の学祭がこんなに盛り上がっているとは知らなかった。参加者が全て表現者の祭りである、凄いのが当然であった。

徐仙日乗 読書 「日本スゴイ」のディストピア 早川タダノリ

2019-07-18 10:23:44 | 日記

徐仙日乗 読書 「日本スゴイ」のディストピア: 戦時下自画自賛の系譜 早川タダノリ 朝日文庫

読了 読書メーターと重複

著者のスタンスを知っていれば、内容は想像がつく。大昔の話なので「今とは関係ない」「昔は遅れてた」って言ってしまえばそれまで。昨今の「日本スゴイ」
探しの根底に戦前の翼賛体制下での活動が有ると著者は主張している。多分そうなのだろう。全く役に立たず、気の重い運動、主張が延々と続く。再確認したのは公的機関、外郭団体が挙って皇国史観から導き出された理屈に従って、粛々と「仕事」をして来たって事か。こうなっちゃうと個人の思想なんて笹の小舟であろう。臣民が一致協力して戦争に備えた計画に邁進するのが「公共」であり「正義」だったのだ。そしてその根拠は天皇と2600年あまりの輝かしき歴史って事になっていたらしい。一応理論らしき体裁を整えているのが恐ろしい。飛躍するが、役人の唱える「正義」の危うさを思う。

徐仙日乗 読書 月別まとめ

2019-07-01 20:59:37 | 日記
徐仙日乗 読書 月別まとめ


6月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:817
ナイス数:355

富嶽百景 (青空文庫POD)富嶽百景 (青空文庫POD)感想
もう少し、太宰でも読んでみようかって気まぐれで青空文庫を漁って、目についてたので読んで見た。もう少しって思ったのは「文豪と東京-明治・大正・昭和の帝都を映す作品集 (中公文庫)」収録の「未帰還の友に」が面白かったから。よく言われる太宰の人柄と仮面性が窺えた小品であった。高校の現国で取り上げられていたのを思い出した。井伏鱒二が「放屁なされた」シーンだけ覚えていた。先生が随分批判的な解説をいていたのは覚えている。小説の一部分を授業で取り上げるのが無理筋だったなぁと思う。
読了日:06月30日 著者:太宰治
これで古典がよくわかる (ちくま文庫)これで古典がよくわかる (ちくま文庫)感想
1997発刊。橋本治の「一見中高生向きの語り口」本。大人が読むと気恥しくなることもあるが、言っていることは大まともに思える。こんな書き方をしているのも、自分が古文に対してコンプレックスを抱いているせい。専門家の指摘、ツッコミもあったことと思うが、初学の小生としては取っ掛かりを与え貰った気分。作者に感謝したくなる読後感って有りそうであまり無い。今更だけど「言葉」を大切にしている姿勢には素直に尊敬と共感が出来た。今度はこの人の訳した古典でも読んでみようか。
読了日:06月29日 著者:橋本 治
文豪と東京-明治・大正・昭和の帝都を映す作品集 (中公文庫)文豪と東京-明治・大正・昭和の帝都を映す作品集 (中公文庫)感想
帝都物語を読んでいたせいか、帝都って言葉に反応したのかも知れない。某カップ焼そば本と違い、中身は本当の文豪揃いのアンソロジーで中身が濃い。巻頭を飾るのが漱石の「三四郎」鴎外が続き、露伴、鏡花など。帝都物語を引き摺るが如く寅彦も有り、偶然だけど多分この随筆が荒俣の種本だろう。精読すれば、古い順・風景描写が多いため、帝都の変遷と風景描写の違いを味わうことが出来る。編者の長山靖生は初読だが小生が知らなかっただけで、作品リストを見ると中々の品揃え。「文芸好き」な人は読んで損なし。
読了日:06月21日 著者:長山 靖生
わたしのミウわたしのミウ
読了日:06月01日 著者:ヒデキング
裏切りの街裏切りの街
読了日:06月01日 著者:ヒデキング
帝都物語〈10 復活篇〉 (カドカワノベルズ)帝都物語〈10 復活篇〉 (カドカワノベルズ)感想
これにて全巻終了。今読むとそうでもないが、三島と角川春樹の扱いがやはり気になる。近未来とはいえ「現代人」が超人的な役割を振られているってのは如何なものか。カドカワノベルズの古書を手に取りながらカドカワのメディアミックス戦略全盛期を思い出した。但し出版元のカリスマ社長が人類の未来を担うかも知れないって流れには素直に乗れなかった。世紀末、昭和末期という終末感がこの作品を支えていたのではないか。
読了日:06月01日 著者:荒俣 宏

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