徐仙日乗 読書 SF英雄群像 野田昌宏 ハヤカワ文庫
読了
読書メーターと重複
昭和31年生まれの子供としては未来社会はエアカーとロケットとロボットが活躍するユートピアであった。公害もまだ多くの人の知るところでは無かった。本書は日本SFの勃興期(昭和37年とある)に連載され昭和50年代後期に大幅に改訂されて出版された、とある。子供とはいえ、本を読み出した頃の話なので記憶を探り、類推しながらの読書は楽しかった。歴史でいえば一回目の世界大戦後から次の大戦の頃、アメリカで「新しい時代の新しい娯楽、読み物」って感じで隆盛した分野のようである。小生たちの親世代の重なる感じ。本書が出た昭和50年頃には「スペースオペラ」はすでに古く、他愛のない物って感じで、懐古趣味って年でも無く、日陰の感じがした。本書で登場する「レンズマン」「スカイラーク」「キャプテンフィーチャー」は既読。翻訳されたのが大分遅い所為でアシモフ、クラーク、ブラットベリー、とかと並んで創元、早川エリアを埋めていた物でであった。スペースオペラがこんなに量産されていたってのは新知識で、時期が違えば日本では漫画がその役割を担っていたのではって連想が働く。手塚漫画で「キャプテンケン」と言う作品があった。これが火星で西部劇風味でロボット馬が活躍し、インディアンもどきの原住民との恋と革命(殖民地支配の地球人に対する)、ガンファイトと正にスペースオペラの世界だった。これは収穫。あと「キャプテンウルトラ」って特撮ドラマがあって、まぁキャプテンフィーチャーのパクリって事で軽蔑して見ていた。当たり前だけど、SF黎明期の作家達も多くの影響を受けて成長していたわけで当然と言えば当然。