徐仙日乗 読書 アウトサイダー 陰謀の中の人生
フレデリック・フォーサイス 角川文庫
読了 読書メーターと重複
大好きなフォーサイス。90年代は数年置きに大部の新作が出て、文庫落ちまで二年くらい待って読みまくった。当然好き嫌い、合う合わない、出来不出来はあるが「自分にとっての新作」を手にした時の期待感は相当なものだった気がする。現代史の確認にもなるので、結構再読も出来た。21世紀になっても健筆なのは超人的で、自伝といっても「枯れた感じ」が微塵もない。問題なのは自伝が面白すぎて「盛った感」が拭えない事で、この感覚は読了後も自分の中で処理出来ていない。祖父の逸話が冒頭に来るが、これが既に「よく出来た短編小説」になっていて、「流石?」と「本当かよ?」の狭間で逡巡することになる。小説家になる前の人生が小説に出て来るスパイとか軍人の様に格好良くて、たまに危険な目にも遭ったりしちゃう。多分構成と文体と翻訳のせいかもしれない。異色と言えば異色の自伝。サービス精神とも言える。素直に読めば「天は人に二物も三物も四物も与える事がある」、羨ましい、と我が身の非才を嘆くばかり。少し内容に触れると東西冷戦、ドイツの壁、イスラエル独立、植民地独立といったフォーサイスの生の声は当時の証言、英国人の視点として興味深く読めた。特に当時は「イスラエルに判官贔屓的な感情」が結構有った事を思い出した。あと東ドイツでの「ナチス資料館」見学体験とか。冷戦時代がよく分かる。
フレデリック・フォーサイス 角川文庫
読了 読書メーターと重複
大好きなフォーサイス。90年代は数年置きに大部の新作が出て、文庫落ちまで二年くらい待って読みまくった。当然好き嫌い、合う合わない、出来不出来はあるが「自分にとっての新作」を手にした時の期待感は相当なものだった気がする。現代史の確認にもなるので、結構再読も出来た。21世紀になっても健筆なのは超人的で、自伝といっても「枯れた感じ」が微塵もない。問題なのは自伝が面白すぎて「盛った感」が拭えない事で、この感覚は読了後も自分の中で処理出来ていない。祖父の逸話が冒頭に来るが、これが既に「よく出来た短編小説」になっていて、「流石?」と「本当かよ?」の狭間で逡巡することになる。小説家になる前の人生が小説に出て来るスパイとか軍人の様に格好良くて、たまに危険な目にも遭ったりしちゃう。多分構成と文体と翻訳のせいかもしれない。異色と言えば異色の自伝。サービス精神とも言える。素直に読めば「天は人に二物も三物も四物も与える事がある」、羨ましい、と我が身の非才を嘆くばかり。少し内容に触れると東西冷戦、ドイツの壁、イスラエル独立、植民地独立といったフォーサイスの生の声は当時の証言、英国人の視点として興味深く読めた。特に当時は「イスラエルに判官贔屓的な感情」が結構有った事を思い出した。あと東ドイツでの「ナチス資料館」見学体験とか。冷戦時代がよく分かる。