JR 人吉駅で次の列車に乗るまで、1時間の待ち時間があります。それまで人吉市を散策してみる事にしました。
人吉駅から数分歩くと、球磨川のほとりに出ました。平日の昼過ぎということもあり、観光客の姿が見当たらず、地元の人もあまり歩いていません。人吉城跡や球磨川下り、それに温泉もある観光地なのに、あまりに静か過ぎて少し寂しい雰囲気です。球磨川沿いを人吉温泉の方に歩いてみましたが、僕がイメージしている、温泉の煙が立ち上るような温泉街とは違いました。
ふと交差点で信号待ちをしていると、どこからか聞き覚えのあるメロディが耳に入ってきました。 まいにち、まいにち僕らは鉄板の~あれ?これ「およげたいやきくん」では!かすかな音ですが、静かな町の風に乗って、はっきり理解できるメロディです。信号が青に変わり交差点を渡ると、角にあるお店からそのメロディが流れていました。そのお店は秋山製菓舗という和菓子屋さんです。店の前には何故か大きな熊の置物が?その横に、確かに「たい焼」の文字がありました。和菓子屋さんが作るたい焼きって、なんか期待できますね。
たい焼の文字に誘われて、躊躇する事無くお店の中に入りました。するとそこには、温泉饅頭が沢山売られていました。それを見ると、ここは確かに温泉地だと何となく理解できます。秋山製菓舗さんは、温泉饅頭がウリなんですね。でも僕のお目当てはたい焼きです。早速たい焼きを一個購入すると、既に作り置きしてあった物を、白い紙袋に入れて渡していただきました。驚くのが秋山製菓舗さんのたい焼きのお値段です。通常1匹84円も安いと思いましたが、毎月5日と20日はサービスディらしく、なんと1匹63円で売られています。実は僕が訪れたのが、ズバリ20日なのです。偶然とはいえ、なんかいい出会いで嬉しくなりますね。今まで食べたたい焼きの中で一番安い値段でしたし、多分今後もこのサイズでこの値段のたい焼きに出会う事は無いと思います。
お店を後にし、すぐ裏を流れる球磨川を眺めながら、秋山製菓舗さんのたい焼きを食べる事にしました。紙袋から取り出し、たい焼きの形を見てビックリ!確かに背びれが大きく長く、尻尾の付け根も独特な丸みがあります。尻尾も大きくそりあがり、こんな形のたい焼き見たことありません。それ以上にもっと驚くのが、裏を返すと鯛の形がないのです。勿論今まで食べたたい焼きにはこんな形有りませんでしたし、多分今後も出会うことはないでしょう。はじめ半分だから値段が安いのかと思いましたが、でも作る工程を考えたら、生地を流して焼くのは同じですから、それは考えられません。やはりこれは秋山製菓舗さんオリジナルな形なのでしょう。またまたいい出会いが出来たような気分です。
お味はというと、皮がやわらかく、中の餡子の適度に甘い。たい焼き屋によく見る、「北海道十勝産あずきを使用した」というようなこだわりは無いように思えますが、和菓子屋・秋山製菓舗さんオリジナルのこだわりは感じます。若干水分を含む餡子は、甘いにもかかわらず後味にしつこさが残らない甘さです。それにしっとりとして、このたい焼きの皮によく合っていると思います。自家製の餡子は、田舎を思い出させる、昔ながらの味わいです。それにさすが和菓子屋さんといえるのが、冷めても美味しいたい焼きです。この日は20度後半の気温で、むしむししていました。九州の夏はもっと暑いと思うので、焼きたてより作り置きして有る方がありがたいかも。
後で知ったのですが、秋山製菓舗さんのあの温泉饅頭が結構人気らしく、一個買って食べればよかったと後悔してます。口コミによると、僕の思っている温泉饅頭とは違うようで、独特な饅頭の皮と中の餡が美味しいらしい?それに8月はたい焼きの販売をしていないという事は、観光土産や帰省土産の為、温泉饅頭の方が忙しいという事かも。そういえば、店の前にマスコットキャラクターらしい熊が有りましたが、あれ球磨川から取って熊が置いてあるのか・・・?
この秋山製菓舗さんは、新しい雰囲気ですが、なかなかの老舗との事です。
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