歌庭 -utaniwa-

“ハナウタのように:ささやかで、もっと身近な・気楽な庭を。” ~『野口造園』の、徒然日記。

雨を呑んで

2013年06月17日 | 徒然 -tzure-zure-
雨を呑むと、

草は途端に
色濃く、強く、厚く、凛と立ち上がる。

花は一気に、
むにむにとふくらみ、
ぽん、と、はじけ出す。


アガパンサス。
数年前に友人の庭から頂いてきた株が
今年もまた、花を咲かせむと。
あと少し。

もうすぐ、あの青い色が咲く。


ギンバイカ(銀梅花)。祝福の木。
隣の家から、こぼれんばかりに。
葉をもむと、何とも言えない、清涼で濃厚で明瞭な、甘い香り。
花の香りは、粉っぽい香り。
雨の雫をたたえて、こぼれんばかりに。



ザクロ(柘榴)。
現場近くの、道ばたに。
ぱっと目の覚めるビタミンカラーは、遠くからでも目映い。

雨の後。黒い道にちりばめられたそれは、
落ちた星のよう。



ノウゼンカズラ(凌霄花)。
ザクロとはまた違う。ほんのりピンクを帯びた、やわらかなオレンジ。
いつもの通い路の、公園にて。



マツヨイグサ(待宵草)。
その名の通り、宵どきの帰り路にて。

宵から夜へ。

緑の多い道すがらは、雨を呑んだばかりの、蒸せるほどの夏草の香が、風にまぐわう。
自転車をこぎながら、たまらず深く、吸い込む。

深く吸い込むと、背筋が伸びて。

ふう~っと吹くと、その日の熱にあてられた疲れまで、すう~っと抜けた。

夏の宵の入り。青い時間。
愛おしい時間。





アガパンサス。固まっていたつぼみが、また一段と開いた。

もうすぐ。




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1 Comments

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Unknown (fumika)
2013-06-18 22:38:49
わたくしも、雨をあびて、
きっぱりと伸びをしたい。
さっぱりと軽やかでいたい。

草花の瑞々しく生きる姿をみせてくれてありがとう。
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