韓国サッカー界の革命児

　韓国人はずっと中田英寿が欲しいと思っていたのかもしれない。

　代表デビューとなった韓国との親善試合でその実力をみせつけてからというもの、中田は世界への階段を跳ぶように駆け上がってきた。そして中田のワールドカップでの活躍や、アジア最高の選手として積んできた数々の欧州での経験は、すなわち日本サッカーの成長を意味してきた。

　過去４つアジアカップで３度の優勝を果たしている日本は、近年のアジアサッカー界を支配してきた存在だ。そして王者としてアジアサッカーを世界に宣伝する代表者的な役割をすら担ってきたといっても過言ではない。その先頭に立って日本サッカー界を牽引する中田を、韓国人はいつしか「日本サッカー界の革命児」だと位置づけるようになった。

　僕は今パクチソンが欲しい。

　トーゴ相手に想定どおりの勝利を収め勝ち点３を手にした韓国にとって、パクは紛れもなくもっとも重要なプレイヤーだ。パクはもともと韓国のサッカー選手らしいスピードとテクニックを兼ね備えていたけれど、韓国代表とＰＳＶアイントフォーヘンでヒディングに戦術的な動きを叩き込まれ、世界一タフなプレミアリーグでも当たりの激しさに対応を見せ始めたことで、アジリティーを武器とするアジアの選手が目指すべき完成型のようなアタッカーになった。
　オーストラリアとの一戦に数多くのファールを獲得できるパクのような選手がいれば、日本は得意のフリーキックをもっと獲得することができたはずだ。

　世界的な名門クラブであるマンチェスター・ユナイテッドに所属し、ＰＳＶ時代にはチャンピオンズリーグ準決勝というアジア人の未踏の地さえも経験しているパクは、いまや「韓国サッカー界の革命児」と呼ぶべき存在だ。
　韓国が勝ち進めばパクは大会中にもっとも数多くのファールを受けた選手になるだろう。
　決勝トーナメントに進出して、復讐心を燃やすスペインを返り討ちにすれば（対戦相手はもしくはウクライナになるかもしれない）それはもう現実になるのかもしれない。

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