11人の侍

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変わらないイタリアの本質と、変わるかもしれない結末

2006年06月14日 10時46分42秒 | サッカー
 確かに今回のイタリアはいつもより少しばかり攻撃的なのかもしれない。しかしチームの本質的な特徴というのはそんなに簡単に変わるものではないだろう。
 例えば日本代表のジーコ監督とトルシエ前監督は“自由”と“組織”というまったく対照的なキーワードを当てはめられ、そのチーム作りのコンセプトの違いを4年ものあいだ比較・検証されてきたわけだけど、先日オーストラリアに破れたチームと、日韓大会のチームのあいだにそれほど明確な違いがあったかといえば、そうでもない。

 これまでイタリアの攻撃はクリスチャン・ヴィエリという1基の重戦車に頼ってきたけれど、今回はルカ・トーニとアルベルト・ジラルディーノを最前線に据えている。後方で指揮を採るのは復活したフランチェスコ・トッティだ。
しかしそれでも、サッカーの伝統国であり、そして日本よりもずっと長い歴史を誇るイタリアサッカーの本質が急に変わったりすることはないようだ。イタリアは確かにいつもより破壊力を備えてはいるけれど、相変わらず堅い守備と抜け目のなさをベースとしたチームのようにみえる。

 グループリーグ初戦でイタリアはいつものようにボール保持率で対戦相手に遅れをとっている。しかし前半終了間際までガーナが得たコーナーキックはひとつもなかったのに対し、イタリアは6,7回の機会があった。イタリアはそのうちのひとつで機転の利いたショートコーナーを選択し、素晴らしい揺れるボールの名手アンドレア・ピルロのミドルシュートへと繋げている。

 この抜け目なさはイタリアという国をあげて徹底している。イタリア紙スタンパはブラジルークロアチア戦を翌日に控え、イタリア検察当局がパスポート偽造の疑いで捜査をされていたACミランのカフーが禁固9月の罪に相当するとの判断をくだしたと報じた。カフーの動揺は想像に難しくない。なにせ愛妻家で知られるブラジル代表主将の妻までも同じ求刑を受けている。
 世界王者ブラジルや勝負強い開催国ドイツを出し抜いて優勝カップを奪い去ってしまう国があるならば、それは相変わらず抜け目なさを発揮するイタリアになるだろうと個人的に思っている。


 日本やイランといったアジアのチームが相変わらずのナイーブさをさらけ出し評価を落としているのと同様に、アフリカのチームは相変わらずの暴力的なプレイで評価を落としている。アンゴラがグループリーグ初戦でポルトガル相手に挑んだのは、サッカーではなくカンフーの勝負だった。

 ガーナのプレイメイカーであるエシアンはその卓越したゲームメイクとパワーでイタリアをおおいに悩ませていたけど、イタリアにとってより脅威だったのは“闘牛”が振り回し続ける肘だったことだろう。
 ディフェンスリーダーのクフォーがイアキンタに向けた背後からのスライディングタックルにいたっては論外で、当然レッドカードが出されるべきだった。ただしイアキンタはそのあとクフォーに罰を与えている。クフォーのキーパーへのミスパスのかっさらって決定的な追加点をあげてみせたのだ。

 エモーショナルなクフォーはは生気を失ったような表情を浮かべ、ピッチに額をこすりつけた。

イタリア2-0ガーナ


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