無理矢理張ったテント。奥と右端は地面無し。ちょっと写真いがんでる、地面自体はほぼ水平。奥左一段上にソロかツェルトならいけそうなスペース有り。
眠れたのかどうだか…なんか変な夢みたからちょっとは眠れたんかな?って。だといいんだけど。
さて、どうする?
昨日より酷くはなっていない。と言っても左の手、肘、膝はパンパンに腫れあがっているし曲げることはできないが、稜線まで上がれたのだから槍へ向かうという。自分の体は自分が一番よく分かっているYnさん、私が何を言うても聞かないだろうし、ほんまにあかんかったらちゃんと自分で判断できる人なので行けるところまで行くことにしよう。
そして先ずは、朝ごはん。ここで重大なことに気付く。本来なら一日で槍ヶ岳まで抜けられるはずだが、多分無理。となると水が足りなくなる可能性があったが、昨日までは、Ynさんのザックのサイドに600mlのがあるからと、心持控え目に私の持っていた水を使っていたのだが、Ynさんの水は確認していず、朝、ザックを見てみると、無い!ザックのサイドポケットは切り裂かれ、ペットボトルホルダーの根元だけ残され、水は無くなっていることに朝になって気づいた。これはちょっとヤバイ。しかし朝食は食べないと力が出ないので不安ながらも食事をすませる。
その後、Ynさんの着替えを手伝い、荷物整理、なるべく重いものを私が持ち、軽いけどかさばるものをYnさんに持ってもらう。テント撤収を手伝おうとしてくれたが、片手では何もできず、私の準備が出来る前に先に出発してもらう。いきなりの登りにハラハラしながら見送り、私も急いで準備し、後を追いすぐに追いつく。起床から出発まで2時間を要した。
昨日、も少し行けば広い所があったはず、と言っていた所かな?コッヘルが残されていた。30分ほどだったのでそれくらいと分かっていれば上がれば安定した寝床が確保できたが。
北面でツララ発見。ポキッと折ってガリガリ食べる。少しでも手持ちの水は残しておきたい。
後ろから声が聞こえます。我々の歩みは遅く、登山者さんがあれよあれよと近づいてきます。
あまりに遅い歩みに、追いつかれた時に「おじいさんかと思った」と言われる始末。苦笑
事情をお話しし、彼等もさほど余裕はないだろうが、申し訳ないがお水を分けてもらえないだろうかとお願いした所、お二人から分けていただくことが出来た。名古屋から来られたGさん、Fさん本当に感謝してます!
彼等を見送った直後、Ynさんうっかり左膝に捻じりの力が加わり激痛に声が出る。声を聞いたGさんが「救助を呼ぶのは、はずかしいことじゃないですよ!」と言って下さった。気にかけてくださり有難うございます。Ynさんの四肢でまともなのは右足だけ。左膝は少しでも捻る力が加わると悲鳴にも似た声が出るほど。ただ、足首に損傷がなく荷重が掛けられた事は幸だった。
この木の所で、Ynさんは左へ進んだが、見ているとザレザレで私は苦手過ぎるので、右を選択。結果合流で来た。
独標手前のビバーク地点。ここから奥への踏み跡もあったがそれは多分直登ルート?ここを左手に見つつ右回りで進む。
余裕が有れば独標を踏みたいと思っていたが、今はそんなことより無事に槍ヶ岳に抜けたい。
落ちたら一巻の終わりだ。
この先の凹角で難儀する。新しめのハーケンにお助けスリングがあったが、それだけだとチトキビシイ。足元には古いハーケンにスリングが付いたものが落ちていた…抜けたんやな。ザックがなければいけそうだが万が一落ちたら、止まらない。槍では使わないと思っていたロープをここで出す。来る直前に購入したのでキンクを取るのに手間取る。ロープを引いて空身でYnさんが登ったが、上で確保できるような都合の良いものがない。慎重にまずザックを引き上げてもらうが、凹角に引っかかってしまうので、私が途中まで上がり下から押し上げ2つのザックを上げてもらった後、私も空身で上がる。万が一私が滑落したらYnさんを引きずり込んでしまうので慎重に登りきる。ここでずいぶんタイムロスしてしまったが、安全第一だ。
15:30頃、そろそろ行動を打ち切った方が良さそう。この先に張れそうなところがいつ出てくるか分からないのでここで張ることに。ここもテントの敷地面積より若干狭く縁が浮いてしまう。下地も岩が若干出ておりフラットではなく、フライもペグが刺さらず風が強くバタバタとうるさかったが仕方がない。
何とか張り終え、Ynさんをテントへ入れて着替えを済ませる。
西の方が明るくなり、私だけ外に出て撮影し、のちにYnさんにカメラで夕日を見せた。
Gさん、Fさんから頂いた水を使い、夕食を摂り就寝。